ポップコーンを喉に詰まらせて窒息する危険性があるとして、日本小児科学会が4歳未満の子供には与えないよう呼び掛けています。特にトウモロコシを加熱した際に破裂せず残ってしまった未破裂コーンは硬くて嚙み切りづらいため、より注意が必要だとしています。
小児科学会の傷害速報では、昨年12月に起きた事故を報告。当時1歳9カ月だった女児は、大型商業施設に設置された自動販売機で購入したポップコーンを食べていた際にむせ込みました。母親が背中をたたくとコーンを数粒吐き出したものの、すぐに顔色不良、全身脱力し、反応が消失したといいます。通行人により心肺蘇生措置が実施され、1分後に反応が出現して救急搬送。
蘇生から1時間後、医療機関に到着。気管支鏡検査で気道に異物を確認後、バスケットカテーテルで摘出されました。摘出後は心停止後症候群として5日間集中治療室(ICU)で全身管理を行い、13日後に後遺症なく退院しました。
気管支から摘出されたのは未破裂コーンで、直径6ミリほどの大きさでした。同学会は「市販の製品に未破裂コーンが交じっている可能性は低いが、自販機で買ったり自宅で作ったりした際は取り除いてから食べる必要がある」としています。
ポップコーンは破裂したものでも窒息リスクが高く、アメリカ小児科学会(AAP)は、4歳未満の子供の手の届かないところで保管するよう推奨しています。一方、日本ではこれまで、ポップコーンに関して、年齢制限や誤嚥に関する注意喚起は行われていませんでした。食品を口の中に入れたまま走るなどの行動により窒息や誤嚥につながりやすいものの、今回は容器を傾けて一気に摂取したことが窒息リスクを高めたと思われます。
日本小児科学会は予防について、①ポップコーンは窒息リスクの高い食品であることを知っておく、②食事の際には窒息につながる要因をできるだけ減らす、③ポップコーンを食べる際には未破裂コーンが混在することがあると知っておく、④4歳未満児にはポップコーンを与えない、⑤ポップコーンを食べる際には未破裂コーンを取り除いて1個ずつ食べるーを推奨してしています。
赤坂ファミリークリニック(東京都港区)院長の小児科医、伊藤明子(みつこ)さんによると、4、5歳ぐらいまでの幼児は、のみ込んだ飲食物が気道に入るのを防ぐ喉頭蓋がうまく働かないために、誤嚥しやすいため、ポップコーンに限らずプチトマトやブドウなどでも同様に窒息事故のリスクがあるといいます。
また、今回の事故では、女児が底に残ったポップコーンを一気に食べようと、容器を傾けて口に流し込むようにしていたことも重視。「4歳未満の子供に食べ物を与える時は、あらかじめ小さく切っておき、親がそばで顔を見られる位置、角度、距離で様子を見守ることが大切だ」と話しています。
2023年10月24日(火)
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