アメリカのボストンにあるマサチューセッツ総合病院は21日、重い腎臓病を患ったマサチューセッツ州の62歳男性にブタの腎臓を移植したと発表しました。これまで脳死状態の患者へのブタの腎臓移植は行われたことがありましたが、患者の回復を目指した移植は世界で初めてだということです。
ブタは人体側の拒絶反応を避けるため、69カ所の遺伝子操作を施してありました。男性は順調に回復し、近く退院できる見込み。移植用臓器の不足を緩和するための重要な一歩だと評価しました。
同病院移植外科の河合達郎医師は、「この手法が、世界で腎不全に苦しむ何百万人もの人々にとって頼みの綱になることを望む」とコメントしました。 使用した腎臓は、アメリカの企業eGnesis(イージェネシス)が供給しました。遺伝子を高効率で改変するゲノム編集技術を使ってブタの一部遺伝子を削除し、人間の遺伝子を挿入することで人体への適合性を高めました。ブタのウイルスの機能を失わせる感染対策もしました。サルへの移植で有効性を検討し、人間の患者への実施に踏み切りました。
男性は長く2型糖尿病や高血圧に悩まされ、7年間の透析治療の後、2018年に死亡した人から腎臓の提供を受けたものの、昨年、機能不全に陥りました。
アメリカでは遺伝子操作したブタの臓器を人間に移植できないか、研究が進められており、2022年には、ほかの治療法で回復が見込めない患者がブタの心臓の移植を受けましたが、およそ2カ月後に死亡していました。
2024年3月22日(金)
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