救急車で救急搬送された軽症患者から選定療養費(7700円)を徴収する取り組みを進めている三重県松阪市の救急医療の基幹3病院の検証結果がまとまり、25日に市議会に報告されました。取り組みが始まった6月から8月末までの3カ月間で、3病院に搬送された患者(3749人、死者を含む)のうち、選定療養費を徴収された患者は7・4%(278人)でした。
搬送された患者のうち、入院せずに帰宅した患者(2056人)に限ると、徴収された人の割合は13・5%で、「有料化」の対象となったのは10人に1人程度でした。
松阪中央総合病院、済生会松阪総合病院、松阪市民病院の3病院と市が、検証結果を数値化しました。今後も検証を続け、救急医療の充実を図るといいます。
療養費が徴収された278人の傷病別内訳は、 疼痛(とうつう )(痛み)が24人、打撲傷が21人、熱中症・脱水症が21人、新型コロナウイルスが16人などでした。年代別では、65歳以上の高齢者が114人で徴収者の4割を占め、乳幼児も51人で2割近くいました。
選定療養費を徴収するかどうかを決めた理由は、診療に当たった「医師による緊急性の判断」が57%を占めました。3病院の関係者の一人は、「ぜんそくの発作が起きた場合、病院で処置すれば入院は必要ないが、救急搬送をためらえば死に至るケースもある」と指摘し、徴収基準を設けることは難しいと語りました。
取り組み開始以降、救急車の出動ペースは減少傾向にあります。
松阪地区広域消防組合(松阪市と多気、明和町)の6〜8月の救急出動件数は、3カ月間で前年同期比21・9%減となりました。1日に50件以上出動した日数は、78・7%減少しています。市は、「傷病者の必要に応じて救急隊が直行できる頻度が増えた」と効果を認めています。
松阪市民病院の石川圭一事務部長は、「当初から選定療養費の徴収に数字の想定はない。市民に(かかりつけ医など)1次救急をうまく使ってもらい、松阪の救急医療体制に理解を深めてもらうことが、選定療養費を導入した趣旨だ」と話しています。
2024年10月26日(土)
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