介護が必要な高齢者の在宅生活を支える民間企業の認証制度が、新年度に創設されます。家事代行や配食などの民間サービスの信頼性を高め、安心して選べるようにします。働きながら介護する家族らの負担を軽減し、介護離職の防止につなげる狙いです。
関連する企業10社が近く、認証団体「介護関連サービス事業協会」を設立し、4月に制度をスタートさせます。利用料の明示や苦情・相談窓口の開設、サービス内容の定期的な点検などの条件を満たした事業者を今夏にも認証し、ホームページで公開します。経済産業省が認証の仕組み作りを支援します。
まずは、部屋の掃除や買い物などを代行する「生活支援サービス」と、弁当などを届ける「配食サービス」の2業種で、認証を受けたい事業者を全国で募ります。2026年度以降、通院をサポートするタクシーなどの交通事業者や訪問理美容、運動や趣味の活動を支援する業種などに広げます。
高齢者の在宅生活を支えるサービスには、訪問介護などの介護保険サービスがあります。利用料は国が定めており、自己負担は原則1割です。自治体が事業者の情報を一覧にするなどして公開しています。
一方、保険外の民間サービスは事業者によって利用料に幅があり、全額自己負担になります。事業者の情報も得にくく、介護関連サービス事業協会は認証を通じて、高齢者や家族が安心して利用できる環境を作りたいといいます。経産省も、介護保険ではカバーしきれないニーズを民間サービスで補い、高齢者の日常生活を支える体制の充実につながることを期待しています。
国の調査では、2022年に家族の介護を理由に仕事を辞めた人は10万6000人で、多くは40〜50歳代です。経産省の試算によると、超高齢社会で、働きながら高齢の親らを介護する「ビジネスケアラー」は2030年に約318万人になります。心身の疲労で業務の効率が低下したり、離職したりして年9兆円超の経済損失が出る見込みです。
2025年2月24日(月)
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