群馬県神流(かんな)町で、水道水が原因の食中毒が発生し、水道水を飲んだ子供を含む町民14人が発熱や腹痛、下痢などの症状を訴え、一部の人の便から細菌「カンピロバクター」が検出されました。県が29日に発表しました。神流町によると、配水池の農業用水タンクの水が飲料用水タンクへ流入したことが原因とみられます。
県などによりますと、神流町から21日、「町内の相原(あいばら)地区の複数の住人が熱や下痢などの症状で医療機関を受診しており、水道水が原因と疑われる」との連絡が保健所に入り、調査を開始しました。
14人は9歳以下から80歳代の男女で、全員が相原配水池から供給された水道水を飲んでいました。神流町が池の水を調査した結果、「一般細菌数」が水質基準の1・5倍に上り、大腸菌も検出。14人のうち複数の人の便からカンピロバクターが検出され、県は29日、この水道水を飲んだことによる食中毒と断定したと発表しました。入院した人はおらず、14人はいずれも回復に向かっています。
神流町によると、配水池には、飲料用水タンクと農業用水タンクが隣接して置かれており、双方が同一の排水管でつながっています。調査のため飲料用水タンクの水を抜いた際、農業用水タンク側の水が逆流しているのが確認されました。
農業用水は近くの沢から引いていて、消毒などはされていないといいます。
神流町では19日以降、相原地区の25世帯、44人の住民に対し、水道水の飲み水としての使用を控えるよう呼び掛けています。同地区には飲料水のペットボトルを配布しているといいます。
厚生労働省などによると、カンピロバクターは、鶏や牛、豚など家畜の腸管内に生息する細菌。特に鶏の腸管内にいる確率が高く、市販の鶏肉の6割程度から菌が検出されたとの調査結果もあります。
カンピロバクターを原因とする食中毒は、生や半生、加熱不足の鶏肉料理で多発しているほか、殺菌が不十分な井戸水や湧水、簡易水道水に由来する水系の感染事例も確認されています。
国内で発生している細菌性食中毒の中では近年、発生件数が最も多く、年間300件、患者数2000人程度で推移しています。
2025年4月30日(水)
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