茨城県内の大規模病院で昨年12月から始まった、緊急性が認められない救急搬送に対する「選定療養費」の徴収について、同県は2月までの約3カ月間の検証結果を発表しました。対象22病院での徴収率は4・2%で、県内全体の「軽症など」の救急搬送件数は前年同期比で9・2%減少しました。県は救急医療の逼迫(ひっぱく)緩和などについて「一定の効果があった」としています。
県によると、昨年12月2日から今年2月末までの3カ月間で、対象22病院への救急搬送は2万2362件。うち4・2%に当たる940件で、選定療養費が徴収されました。症状別では、「風邪の症状」83件(8・8%)や「腹痛」80件(8・5%)、「発熱」68件(7・2%)、「打撲」59件(6・3%)などが多くなりました。
一方、県は、福島、栃木、群馬、埼玉、千葉の近隣5県の協力を得て同期間の救急搬送件数も比較。その結果、5県の救急搬送はいずれも前年同期比約4~9%増加しましたが、茨城県は全体の救急搬送が0・5%減少の3万8041件でした。
内訳でみると、同期間中には記録的なインフルエンザの流行などもあり、「中等症以上」は前年同期比で7・1%増加したものの、「軽症など」が9・2%減少しました。医療、救急の現場からも、「軽症者や不要不急の救急搬送が減った」といった意見があったといいます。
こうした結果を踏まえ、県は「救急搬送のピークでもある冬場で救急車の適正利用や救急医療の逼迫緩和に一定の効果があった」と結論付けました。
また、救急車の呼び控えによる重症化などの事例報告はありませんでした。このほか、「救急電話相談で救急車を呼ぶよう助言されたにもかかわらず、選定療養費を徴収された」といった苦情により返金されたケースも2件あったといいます。
県は引き続き、関係者で構成する検証会議で運用に問題がないか検討するとともに、県民への広報などを実施し、適切な運用を図る方針。
2025年4月17日(木)
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