いずれも認知症状のある神経難病「前頭側頭型認知症(FTD)」と「ハンチントン病」の治療に、パーキンソン病で使われている薬が効く可能性があると慶応大発のベンチャー「ケイファーマ」が発表しました。患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使う独自の手法で確かめたとしています。
FTDは脳の前頭葉や側頭葉が萎縮して神経細胞が傷付き、精神症状や言語障害が出る認知症の一種。国内の推定患者数は1万2000人で、65歳未満の若年性認知症では3番目に多くなっています。
ハンチントン病は手足や顔が勝手に動いてしまう症状や、精神症状、認知症状が起こる遺伝性の病気で、国内には推定約1000人の患者がいるとされます。
同社は、いくつかのタイプがあるFTDの各タイプが含まれる患者8人、ハンチントン病の患者5人の血液からそれぞれiPS細胞を作製。それを神経細胞へと分化させた上で、それぞれに約1300種類の薬を投与して、どれかに効果があるか調べました。
すると、パーキンソン病に適応のある既存薬「ロピニロール塩酸塩」が、FTDの神経細胞が損傷、死滅するのを8株中7株で抑える効果があることがわかりました。効果はタイプを問いませんでした。
ハンチントン病の患者由来の神経細胞でも、すべての株で、病気によって神経細胞が短くなったのを回復したり、異常を抑制したりするのを確かめました。
ケイファーマの福島弘明社長は、「臨床試験(治験)実施に向け準備を進め、海外も視野に、患者に治療を早く届けたい」と話しました。
2025年4月16日(水)
0 件のコメント:
コメントを投稿