がん治療による金銭的な負担から生活に影響があった患者は、全体の2割に上るとの調査結果を国立がん研究センターがまとめました。中でも18〜39歳では4割を上回り、若年患者ほど治療が経済的に重くのしかかっている実態が浮き彫りになりました。
調査は、患者の実態を把握し、国のがん対策に生かす目的で実施。全国367の医療機関で2021年にがんと診断された18歳以上の患者約3万3000人にアンケートを行い、有効回答を得られた約1万1000人について分析しました。
金銭的な負担で生活に影響があったのは全体の24・2%で、若年患者では倍近い44・9%となりました。具体的な影響(複数回答)では、若年患者の29・3%が「貯金を切り崩した」を挙げ、「食費、衣料費を削った」が17・7%、「親戚や他人から金銭的援助を受けた」が16・6%で続きました。2・2%は治療を変更するか断念していました。
働いていた若年患者のうち、18・8%が診断後に仕事を辞めていました。離職時期は、「初回治療後から当初予定していた復職までの間」が26・2%、「一度復職した後」が24・0%、「診断後、初回治療を待っている間」が15・3%でした。
また、抗がん剤などの治療が卵巣や精巣など生殖機能に与える影響について71・5%の若年患者が説明を受けていました。卵子や精子の凍結保存など生殖機能の温存方法の説明を受けたのは67・5%で、実際に温存したのは11・9%でした。
調査を行った同センター元医療政策部長で東京大の東尚弘教授(公衆衛生学)は、「若年患者は収入や貯蓄が少なく、経済的な支援が手薄なので対策が求められる」と話しています。
2025年7月4日(金)
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