2022/07/31

■全国で19万7792人が新型コロナに感染 死者82人、重症者427人

 31日午後6時の時点で、東京都で3万1541人、大阪府で1万6473人、神奈川県で1万5088人、埼玉県で1万3690人、愛知県で1万1085人、福岡県で1万1043人、千葉県で9507人、兵庫県で9442人など全47都道府県と空港検疫で、新たに19万7792人の新型コロナウイルスへの感染が発表されました。5日ぶりに20万人を下回ったものの、日曜日としては過去最多となりました。埼玉県や滋賀県などで最多を更新した。

 また、東京都で8人、大阪府で6人、愛知県で6人、熊本県で6人、兵庫県で5人、栃木県で5人、千葉県で4人、神奈川県で4人、香川県で4人、鹿児島県で4人、北海道で3人、福島県で3人、三重県で2人、埼玉県で2人、岐阜県で2人、岩手県で2人、福岡県で2人、長崎県で2人、佐賀県で1人、宮城県で1人、宮崎県で1人、富山県で1人、山口県で1人、山形県で1人、島根県で1人、徳島県で1人、愛媛県で1人、滋賀県で1人、群馬県で1人、高知県で1人の、合わせて82人の死亡の発表がありました。

 国内で感染が確認された人は、空港検疫などを含め1279万5548人、クルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせて1279万6260人となっています。

 感染して亡くなった人は、国内で感染が確認された人が3万2613人、クルーズ船の乗船者が13人で、合わせて3万2626人です。

 厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や集中治療室などで治療を受けるなどしている重症者は、前日より24人増えて31日時点で427人となっています。

 一方、症状が改善して退院した人などは、31日時点で、国内で感染が確認された人が1070万4663人、クルーズ船の乗客・乗員が659人の合わせて1070万5322人となっています。

 大阪府は31日、新型コロナウイルスの新たな感染者を1万6473人確認したと発表しました。感染者数は前週同曜日(1万7438人)と比べ965人減りました。府内の感染者の累計は137万1139人となりました

 新たに70~90歳代の男女6人の死亡が判明し、府内の累計死者数は5348人になりました。

 31日時点の重症者は前日から2人減の49人で、重症病床(596床)の同日の実質使用率(重い持病などを抱える軽症・中等症患者らを含む)は19・8%になりました。軽症・中等症病床には2669人が入院しており、軽症・中等症病床(4190床)の使用率は63・7%となりました。

 新規感染者のうち、感染者と同居して症状があり、PCR検査を受けずに医師の診断で陽性と判断された濃厚接触者は642人でした。自宅療養者は13万7290人。公費によるPCR検査などを3万1928件実施しました。

 2022年7月31日(日)

■東京都で3万1541人が新型コロナ感染 日曜で過去最多

 東京都は31日、都内で新たに10歳未満から100歳以上の3万1541人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

 1週間前の日曜日より3429人増えました。前の週の同じ曜日を上回るのは12日連続で、日曜日としては過去最多です。31日までの7日間平均は3万2177・6人で、前の週の131・1%でした。

 新規感染者を年代別にみると、20代が5863人と最も多く、40歳代が5411人、30歳代が5301人と続きました。若年層や現役世代の感染が目立ちます。65歳以上の高齢者は3189人でした。

 ワクチンの接種状況別では、2回接種済みが1万9813人、未接種は5675人でした。

 病床使用率は53・7%。また、都が緊急事態宣言の要請を判断する指標を30〜40%としている重症者用病床使用率は25・0%。「人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使用」とする都基準の重症者数は、30日より1人減って23人となっています。

 一方、都は、感染が確認された10歳未満の女児1人と、70歳代から90歳代の男女7人の合わせて8人が死亡したことを発表しました。

 東京都の累計の感染者数は216万6733人となり、累計の死者数は4669人になりました。

 2022年7月31日(日)

■北朝鮮、2日連続で新規発熱者ゼロ 新型コロナの抑え込み強調

 北朝鮮の朝鮮中央通信は31日、30日午後6時までの24時間に新型コロナウイルスの感染者とみられる新たな発熱者は確認されなかったと報じました。

 新たな発熱者がゼロだったと報じるのは前日に続いて2日連続。同通信は前日、新型コロナの発生を公表した5月12日以降初めて新たな発熱者がいなかったと伝えていました。

 同通信は、4月末からの発熱者の累計が477万2813人で、このうち約477万2563人が完治し、176人が治療を受けていると伝えました。

 新たな死者や死者の累計、致死率などは前日に続いて、明らかにしませんでした。最後に公開した7月5日の統計では死者の累計は74人、致死率は0・002%となっています。

 ただ、北朝鮮には十分なPCR検査態勢が整っていないため実際の感染状況は不明で、死亡率も他国に比べて極めて低く、統計の信ぴょう性を疑う指摘もあります。

 同通信は「完全な安定状態が維持されている。完全終息のための段階的目標が前倒しで達成された」と評価。「悪性伝染病(新型コロナ)と普通の風邪を見分けるための技術的対策が講じられている」として、新型コロナ検査の正確性を高めるための研究も進められていると強調しました。

 2022年7月31日(日)

■モデルナ「BA・5」対応の改良型ワクチン、アメリカ政府に6600万回分提供へ

 アメリカのバイオ医薬品企業モデルナは29日、新型コロナウイルスのオミクロン型変異ウイルスの新系統「BA・5」に対応した改良型ワクチン6600万回分をアメリカ政府へ供給することで合意したと発表しました。改良型ワクチンは現在、開発中で、秋以降の使用が想定されています。

 アメリカ食品医薬品局(FDA)は6月、ワクチンメーカーに対して「BA・5」を標的としたワクチンを開発するよう勧告していました。発表によると、アメリカ政府はモデルナに最大で17億4000万ドル(約2300億円)を支払います。また、最大2億3400万回分を追加購入するオプション契約も結びました。

 アメリカ政府はこれまでにアメリカのファイザーとドイツのビオンテックとも、新たに1億500万回の改良型ワクチンを含むコロナワクチンを32億ドルで購入する契約で合意しており、追加接種(ブースター接種)向けに計1億7100万回のワクチンを確保したことになります。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)によると、現時点で「BA・4」と「BA・5」の感染が国内感染者全体の90%超を占めています。


 2022年7月31日(日)

🇳🇪嚥下性肺炎

誤嚥によって、口の中の細菌が気管や肺に流れ込んで生じる肺炎

嚥下(えんげ)性肺炎とは、口の中に常在する細菌が唾液などの分泌物とともに気管内に入る誤嚥に引き続いて、発症する肺炎。誤嚥性肺炎とも呼ばれます。

飲み物や食べ物を飲み込む動作を嚥下といい、食道を通って胃に運ばれます。食道と気管は隣り合わせで、気管の入り口である喉頭(こうとう)が大きく開いており、このままでは飲み物や食べ物が気管に入ってしまいます。それを防ぐために、フタの役目を持つ喉頭蓋(がい)という軟骨からなる部分が、嚥下の動作とともに気管の入り口をふさぎます。

健常者でも、本来は胃の中に運ばれなければならない飲み物などが誤って気管内に入る誤嚥を起こしますが、むせたり、せき込んだりして気管から吐き出そうとします。たとえ誤嚥により口の中の細菌が唾液などの分泌物とともに気管や気管支、肺に入り込んだとしても、体力や抵抗力、免疫力により細菌を駆除できるので、生活していく上でさほど影響はありません。

高齢や脳の病気などの影響で嚥下機能の低下がある人は、飲み物や食べ物をうまく飲み込めず、喉頭蓋の動きが低下し、さらに誤嚥した際のむせたり、せき込んだりといった動作も鈍くなり、気管への誤嚥を招きやすくなります。誤嚥によって口の中の細菌が気管や気管支、肺に入り込んだ場合、体力や抵抗力、免疫の低下などにより細菌を駆除することができす、嚥下性肺炎にかかる危険度が増します。

超高齢化社会を迎えて、肺炎の重要性が増しています。抗生物質(抗菌剤)の発達にもかかわらず、肺炎は全死亡原因の第4位、高齢者に限ってみると第1位です。高齢者の肺炎のほとんどは、この嚥下性肺炎に相当し、再発を繰り返す特徴があります。

再発を繰り返すと、耐性菌が発生して抗生物質による治療に抵抗性を持つため、優れた抗生物質が開発された現在でも、体力や抵抗力、免疫力が全般的に落ちている高齢者が多く死亡する原因になっています。

嚥下性肺炎の原因となる誤嚥は、胃液などの消化液が食べ物とともに食道を逆流して肺に流れ込むような明らかで大量の誤嚥よりも、不顕性誤嚥といって、口の中の分泌物や胃液が少量ずつ肺内へ吸引される誤嚥のほうが原因として重要です。この不顕性誤嚥に合わせて、口の中の細菌が気管や気管支に吸引され、嚥下性肺炎が引き起こされます。

不顕性誤嚥は、特別な現象ではありません。元気な高齢者であっても、夜間は嚥下機能が低下するため、容易に誤嚥してしまいます。加齢とともに、のど仏の位置は下がり、嚥下の時に喉頭蓋が気管の入り口をふさぐのに時間がかかるようになるからです。特に、鎮静薬、向精神薬などの薬を服用している場合は、嚥下反射が抑えられ、不顕性誤嚥を起こしやすくなります。

肺炎は一般に、発熱、せき、痰(たん)、呼吸困難、胸痛などを主な症状としますが、これらの訴えが高齢者の場合ははっきりしません。また、肺炎は一般的に38℃以上の高熱を起こしますが、高齢者の場合は体温の上昇をみないか、あっても微熱程度のものが少なくありません。それに対して、呼吸数は増え、皮膚や舌の乾燥、すなわち脱水状態になることが多いといわれています。

嚥下性肺炎の検査と診断と治療

内科、呼吸器内科、呼吸器科の医師による診断は、胸のX線(レントゲン)検査で行われます。嚥下性肺炎では低酸素血症に陥っていることが多くあるため、パルスオキシメーターという医療機器によりSpO2(動脈血酸素飽和度)をモニターすることが、診断の参考となります。

原因となった細菌の特定のため、喀痰(かくたん)の培養検査を行います。気管支鏡で気管内採痰ができれば診断がより確実になりますが、発症者の状態があまりよくないことが多いので、細菌の特定は難しいこともしばしばあります。嚥下性肺炎を引き起こす主な原因となるのは、肺炎球菌です。

内科、呼吸器内科、呼吸器科の医師による治療では、原因となった細菌を殺菌するペニシリン系、セフェム系などの抗生物質を投与します。胃液を肺の中に吸い込んで肺炎になった場合、ステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン剤)を短期に用いて肺炎を鎮める場合もあります。

さらに、低酸素血症に陥って呼吸不全(酸素欠乏)になった場合は、酸素吸入を行います。重症の呼吸不全では、人工呼吸器などによる治療も併せて行います。

嚥下性肺炎の多くは抗生物質の投与で治るものの、肺炎の原因である不顕性誤嚥が減らなければ、いったん改善した肺炎が悪化します。そこで、誤嚥を減らす予防策が重要となります。

何より大事なのは口の中を清潔に保ち、口の中でたくさんの細菌を増殖させないようにすることです。歯磨きを毎日して口の中の細菌を減らしたり、たとえ歯がなくともブラッシングをしたり、就寝前にポピヨンヨードでうがいすることも有効な方法です。

寝たきりの高齢者の場合は、仰向けに寝かして放置していると誤嚥が悪化するので、頭部や上半身をベッドで高くしたり、口腔(こうくう)ケアなどを行うと有効です。栄養状態の低下、筋力の低下、意識レベルの低下が誤嚥を増やすため、日ごろよりこれらに対処しておきます。

また、医師による治療で、嚥下機能を改善するアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、抗血小板薬(シロスタゾール)を投与することもあります。アンジオテンシン変換酵素阻害薬は高血圧の薬ですが、嚥下反射物質の濃度を上昇させて肺炎を予防します。抗血小板薬も脳梗塞(こうそく)の予防薬ですが、嚥下反射を高めて肺炎を予防します。

唐辛子(とうがらし)に含まれるカプサイシンにも、同様の作用が認められています。カプサイシンの入った辛い物を食べて、嚥下反射あるいはせき反射を高めておくことは、誤嚥予防、肺炎予防に役立ちます。

🇳🇮遠視

調節しないと、遠いところも近いところもはっきり見えない状態

遠視とは、目の屈折異常の一つで、自動的に調整しないと、遠いところも近いところもはっきり見えない状態。遠視眼、遠眼とも呼ばれます。

目には、近くを見る時に網膜上に正しく焦点を合わせるため、目の中の筋肉である毛様体筋を働かせて、水晶体の屈折を強くする調節力が備わっています。調節力は、小児の時に最大に備わっており、それ以後は加齢とともに徐々に減少します。

この調節力を働かせていない状態で、遠方から眼内に入った平行光線が網膜より後ろで焦点を結ぶのが、遠視です。遠いところにある物も、近いところにある物も、調節力を自動的に働かせないと、はっきり見ることができません。遠視とは、遠くがよく見える状態ではないのです。遠くがよく見える目は、屈折異常のない目である正視です。

正視の場合、5メートル以上の遠方を見ている時には、調節力はほとんど働いておらず、近くを見る時にだけ使っています。遠視の場合、遠方を見ている時にも、本来は近くを見る時にしか使わない調整力を自動的に働かせ、遠視を補正しようとします。いわば、常に眼内の毛様体筋を働かせて、水晶体を厚くした状態を維持しなければなりません。調節し切れない場合には、物がぼやけて見えてしまいます。特に、近くを見る時は、より強い調節が必要になります。

角膜や水晶体の屈折力が弱いために起こる遠視と、眼球の長さが通常より前後に短いために起こる遠視とがあります。前者を屈折性遠視、後者を軸性遠視と呼びます

小児期は眼球が小さく長さも短いため、遠視であることが普通で特別なことではありません。5歳までの小児では、90パーセントに遠視が認められます。成長するにつれて遠視が弱くなり、正視になったり、通り越して近視になることが多くなります。

 小児が遠視であっても調節力が強いため、症状が現れない場合が多いのですが、豊富な調節力をもってしても補正できないほどの強度遠視になると、目が寄ってきて内斜視になったり、視力の発達が止まって弱視になったりします。目が疲れやすく、集中して物を見ることが難しくなるために、行動にむらが出て、周囲から「落ち着きがない」、「集中力がない」、「飽きっぽい」などといわれることもあります。

軽度の遠視でも年を取るにつれ、絶えず目の調節を必要とするために、眼精疲労や体の疲労の原因になります。集中できないために、学習や仕事の能率が上がらない原因にもなります。また、光をまぶしく感じたり、肩凝りや頭痛を覚えことも多くなります。

60歳以上になると、正視だった目が遠視になったり、遠視だった目の度数が強くなる傾向があります。これは老人性遠視と呼ばれます。 60歳以前に「遠視になった」といわれるものは、ほとんどの場合、若いころは自覚されなかった軽度の遠視が調節力の低下により、自覚されるようになったものです。

遠視の検査と診断と治療

人間の視覚の発育は、6歳ころまでにほぼ終わります。小児の強度遠視が疑われた場合には、早めに発見して適切な処置をとるために、小学校入学前にでも念のため、眼科医による検診を受けます。

小児以外の遠視の場合では、目の疲れを中心とした症状に、体の疲労が加わります。近くを見る作業を長く続けると、目や体に疲れがたまりやすいようであれば、眼科医に相談してみます。

眼科では遠視を見付けるために、調節を一時的に休ませる目薬を用いて検査します。子供では調節力が強いため、幼稚園や学校の視力検診で発見されないのが普通です。

遠視の治療としては、凸レンズの眼鏡、コンタクトレンズなどで屈折率を高め、矯正します。凸レンズは、レンズに平行に入ってきた光を集め、屈折力を強めるように働くので、 網膜の後ろで像を結ぶ遠視の矯正に用いられます。凸レンズの度数は、調節力を働かせない状態で遠方にピントが合って、はっきり見える状態に設定されます。

子供の場合は、生理的な状態にあるものにまで矯正をする必要はありません。しかし、遠視の度が強かったり、斜視や弱視がある時、また眼精疲労を訴える時には、矯正を行います。

🇦🇶炎症性角化症(乾癬)

慢性の経過をとり、なかなか治りにくい皮膚疾患

炎症性角化(かくか)症とは、皮膚が赤みを帯びる炎症と、皮膚の表皮や角質層が厚くなる角化症が同時に起こる皮膚疾患。乾癬(かんせん)、扁平苔癬(へんぺいたいせん)、毛孔性紅色粃糠疹(もうこうせいこうしょくひこうしん)などが含まれる。

炎症性角化症の代表である乾癬は、皮膚が赤くなって盛り上がり、表面に厚い銀白色の鱗屑(りんせつ)がついて、その一部がポロポロとはがれ落ちる皮膚疾患。慢性の経過をとり、なかなか治りにくい疾患ですが、周りの人に移ることはありません。

日本では3〜16万人の発症者がいると推定され、近年は増加傾向にあります。男女比は2対1で男性に多く、主に30〜40歳代に発症します。女性では、10歳代と50歳代の発症が多いといわれています。

乾癬の起こる原因は、いまだはっきりとしていません。一説によると、一種の免疫反応の異常により生じるとされます。すなわち、健常な皮膚では、表皮細胞と白血球(リンパ球など)がサイトカインなどの伝達物質を使って、うまく連絡を取り合ってお互いを制御していますが、このバランスが崩れると表皮細胞が一方的に増殖して、早く脱落していくことが起こります。

健常な皮膚では普通、表皮細胞はその一番外側に角質層という死んだ細胞の層を作り、垢(あか)になって落ちていくことを、一定の周期の45日で繰り返しています。乾癬では、この周期が4~5日と極度に短縮しているため、カサカサした薄皮である鱗屑がどんどんできては、ポロポロとはがれていきます。

この免疫反応の異常は、遺伝的になりやすい体質がある人に、扁桃腺(へんとうせん)炎などの感染症、薬物や外傷などの外的因子、糖尿病や高血圧、肝臓病、ストレスなどの内的因子が複雑に絡み合って発症したり、悪化したりすると考えられています。第二次世界大戦後に増加した疾患であり、もともと欧米人に多いことから、食事の西洋化が関係しているのではと類推されています。

一つひとつの発疹は、にきびのような赤いぶつぶつで始まり、次第に周囲に拡大するとともに厚い鱗屑を持つようになり、ある時を境によくなって、鱗屑がなくなるということを繰り返します。その時の鱗屑の大きさは、一定していません。このように、よくなったり悪くなったりを年余に渡って繰り返します。

乾癬では、ケブネル現象といって、繰り返しこすったり、傷付いたりした個所に、数日してから新しい発疹が出てくることがあります。これは、体の中でよくこすれる部位である肘(ひじ)や膝(ひざ)、尻(しり)、頭の毛の生え際などから発疹が出てきたり、あるいは発疹がひどい傾向にあります。

また、アウスピッツ血露現象といって、鱗屑を無理にはがすと、点状に出血がみられることがあります。これは、乾癬の特徴的な表皮の増殖の仕方と関係しています。すなわち、表皮が厚くなった部分と薄くなった部分が隣り合っているため、薄い表皮の下にある血管が傷付いて生じると考えられます。

鱗屑が厚い時にかゆみがありますが、基本的には自覚症状もなく、内臓にまで疾患が及ぶことはありません。爪(つめ)が白く厚ぼったくなり、爪水虫と間違われる場合もあります。

こういった乾癬の典型的症状のみがみられる例を、尋常性乾癬といいます。乾癬の中の特殊な病型として、発疹が全身に広がり真っ赤になる乾癬性紅皮症、赤みの上に小さな膿(うみ)が多発する膿疱(のうほう)性乾癬、リウマチのような関節症状を伴う関節症性乾癬があり、これらは何かの切っ掛けで急に悪化する重症型の乾癬といえます。別の特殊型に、滴状乾癬があります。これは、子供から若い人に多く、風邪のような症状に引き続いて、全身に小型の発疹が一度に多発します。

炎症性角化症(乾癬)の検査と診断と治療

乾癬の症状に気付いたら、近くの皮膚科専門医のいる医療機関を受診し、治療法を相談します。多くのケースでは外来通院治療が行われ、重症型の場合には入院治療が必要なこともあります。

皮膚科の医師による診断は、特徴的な発疹とその分布、経過より判断します。通常は内臓の異常はありませんが、時に糖尿病、高血圧、肝臓病を合併していることがあるので、検査で確認することが必要です。また、薬の副作用で乾癬のような発疹が出てくることもあります。治療の効果がみられない場合や経過の長い場合は、発疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査を行うと、診断が確定します。

まだ根本的な治療法はなく、症状に合わせたいろいろな治療が行われます。いずれの治療法も治療を中止すると、再発することがあります。また、必ずしも強力な治療法を行うことが最善とは限りません。そこで、乾癬のタイプなど医学的要因、年齢など発症者の要因などをもとに、治療による効果と危険性を考え、医師と発症者とで検討をして治療方針を決めます。

症状に合わせた治療の方法には、外用薬、内服薬、光線療法などさまざまあります。症状が軽い場合には主に外用薬で、症状が重くなると内服薬や光線療法で治療します。

外用薬には、副腎皮質(ふくじんひしつ)ステロイド薬が多く用いられています。そのほか、活性型ビタミンD3外用薬も副腎皮質ステロイド薬ほどの速効性はありませんが、副作用が軽微なので併せて使用します。古くから用いられてきた外用薬にタールやアンスラリンなどがありますが、現在は一部の病院でしか使用されていません。

内服薬としては、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)や、免疫抑制薬であるシクロスポリン(ネオーラル)が用いられ、一定の効果が得られています。

エトレチナート(チガソン)は、表皮細胞がどんどん増殖していくことを抑制する薬で、特に膿疱性乾癬の場合には最も効果があります。問題は副作用で、妊娠中に内服すると奇形児が産まれる可能性が高まります。薬をやめてからも、女性は2年、男性は半年間避妊の必要もあります。長期間に渡って内服した場合には、骨への影響が出ることがあり、口唇がカサカサと荒れることもあります。

シクロスポリン(ネオーラル)は、最も即効性があります。副作用として腎障害、高血圧があり、薬の血中濃度と併せて定期的チェックを行い、薬の量を調整します。胎児への安全性は確立されていないので、妊娠中は内服を行いません。

光線療法は、紫外線の増感剤であるメトキサレン(オクソラレン)を発疹部に塗り、長波長紫外線UVAを当てる治療で、PUVA(プーバ)療法といいます。乾癬が全身にある場合、入院して内服のメトキサレンを使用してPUVA療法を行う場合もあります。紫外線を当てることで、異常な免疫反応が抑制され、効果が得られると考えられています。

ただし、皮膚への障害が少ないUVAとはいっても、長期間に渡る場合は将来の発がんの危険性を高める可能性もありますので、照射する総量を一定量以下にしておく配慮が必要とされます。妊娠中は、胎児への影響がわかっていないので行いません。近年、PUVA療法に代わる光線療法として、特定の紫外線波長を利用したナローバンドUVB療法も利用されるようになってきています。

いずれの治療法も一長一短があるため、治療により得られる効果と副作用のリスクの兼ね合いを考え、うまく組み合わせて症状をコントロールすることが大切です。乾癬の多くは慢性に経過しますが、自然に軽快、治癒することもあります。滴状乾癬は、副腎皮質ステロイド薬の外用と抗生物質の内服で軽快し、他の病型と異なり多くは一過性です。

生活上の注意としては、こすると新しい発疹が出てくるケブネル現象がありますので、皮膚をこすり過ぎないように注意します。入浴は構いませんが、こすり過ぎず、また鱗屑を無理にはぎ取らないようにします。ただし、鱗屑には発疹の慢性化に関係する物質も含まれていますので、ぬるま湯につかって軟らかく後で無理なく鱗屑を取ることはよいことです。

日光浴も効果があるので、適度に行います。急激に日焼けをするとやはりケブネル現象で悪化することもあるので、あくまでも適度に。風邪を引いたりした後など、感染によりサイトカインのバランスが崩れ、乾癬の症状が悪化することがあります。風邪を引かないように、まめにうがいを励行します。精神的な動揺やストレスが疾患を悪くしますので、短気を起こさず、気長に治療していきます。

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