2022/08/06

🇬🇫尿道カルンクル

女性の外尿道口付近の後壁にできる良性腫瘍

尿道カルンクルとは、主に中高年女性の尿が体外に出る外尿道口付近の尿道後壁にできる良性の小さな腫瘍(しゅよう)。尿道カルンクラとも呼ばれます。

中年以降の女性の良性の尿道腫瘍としては最も多く、赤色または暗褐色で、5ミリから1センチほどの大豆(だいず)くらいの大きさで、比較的軟らかい腫瘍です。尿道に付着している本体が、外尿道口からはみ出しています。

症状としては、排尿時の尿道出血、血尿が多く、排尿痛があることもあります。また、腫瘍には血管が多いため触れると容易に出血し、疼痛(とうつう)があります。腫瘍が小さい場合には、自覚症状がないことも少なくなく、排尿後にトイレットペーパーに血液が付着したり、下着にこすれて血液が付着したりすることで気付きます。

自転車に乗ったり、きついズボンをはいたりする物理的な刺激によって炎症を起こし、腫瘍が大きくなることもあります。

現在のところ、原因ははっきりとしていませんが、便秘や多産、閉経による女性ホルモンの低下などが関係しているのではないかという考え方もあります。

尿道カルンクルの検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断では、視診のみを行うことで判断を下します。尿検査を行って、血尿や尿路感染の有無を確認することもあります。視診で鑑別すべき疾患としては、尿道腫瘍(しゅよう)、尿道脱、尿道がんなどがあります。

泌尿器科の医師による治療では、炎症を抑える副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤) 含有軟こうを使うほか、女性ホルモン剤を局所的に投与することもあります。痛みがある場合は、鎮痛剤を使うこともあります。細菌感染している場合は、抗生物質(抗生剤、抗菌剤)を使います。

炎症が治まることで腫瘍が縮小すれば、良性の腫瘍で悪性化することはないため、経過を観察します。日常生活では、下着に触れるなどの刺激が繰り返されれば再び大きくなるので、自転車に乗ったり、きついズボンをはいたりするのを避けることが望まれます。

 炎症が治まらず出血と痛みを繰り返す場合、下着が汚れるのが気になる場合は、手術で腫瘍を切除し、摘出する選択もあります。局所的な麻酔で切除、摘出する短時間の手術で、日帰りも可能です。手術後は、排尿後に外尿道口付近を強くこすってふかないようにしたり、清潔を保てるようにハイアミンなどでしばらく消毒するようにします。

 似ているものに、尿道内の粘膜がめくれて外に出る尿道脱があります。治療法はほぼ同じですが、こちらは痛みを伴うことも多く、また、軟こうなどでは治りにくいため、多くは手術で切除、摘出します。

🇻🇺尿道下裂

生まれ付きのもので、尿道口が陰茎の途中や陰嚢などにある状態

尿道下裂(かれつ)とは、尿道の出口が陰茎の先端になくて、陰茎の途中や陰嚢(いんのう)などにある状態。陰茎背面の包皮が過剰で、陰茎が下に向くことが多い先天的な尿道の奇形です。

尿道の出口の位置によって、会陰(えいん)、陰嚢(いんのう)に出口がある近位型、陰茎、冠状溝(かんじょうこう)、亀頭(きとう)に出口がある遠位型という分類や、上部型、中部型、下部型という分類があります。

発生頻度は軽症のものを含めると、男児出生300~500人に1人の頻度でみられ、近年は増加傾向にあります。明らかな遺伝性はわかっていませんが、父親や兄弟での家族内発生が認められます。

奇形の原因は、尿道が発達する段階で陰茎の腹側で尿道がうまくくっつかなかったことや、胎児の精巣が作り出すホルモンの異常、母親が妊娠中に受けたホルモンの影響などが考えられており、近年の増加は環境ホルモンの影響が疑われています。

胎生8~9週に尿道の原基となる溝ができ、9週ごろから胎児の精巣から分泌されるテストステロン(男性ホルモン)により陰茎と尿道の形成が進みます。この段階でホルモンの産生や作用の異常が起きると、うまく尿道が形成されなくなると考えられます。尿道が形成されなかった組織が、下への屈曲の原因になっています。

症状は、尿道の出口が正常の位置と違っているために、排尿する際に尿が飛び散ることです。奇形の程度が強い場合は、男児でありながら立小便ができないことがあります。陰茎が曲がっていることが多く、将来の性交渉の際に腟(ちつ)内に射精ができないこともあります。特殊な場合として、尿道の出口は正常で陰茎の屈曲だけがみられることもあります。

合併症として、尿道の出口が会陰、陰嚢に開く近位型では、停留精巣、矮小(わいしょう)陰茎、前立腺(せん)小室、二分陰嚢などが多いとされています。また、尿道の出口から包皮小体にかけて陰茎索といわれる結合組織束を伴うため、陰茎は腹側に湾曲することが認められます。

男児に尿道下裂の症状が認められた場合は、合併症の有無を含めて、早期に小児泌尿器科もしくは小児外科の医師に相談すべきです。停留精巣や陰嚢の発育不全を伴う場合には、性分化異常の可能性もあるので、染色体検査や精巣機能検査を行ったほうがよいとされています。

尿道下裂の検査と診断と治療

小児泌尿器科、小児外科の医師による診断では、従来から出生前環境因子、遺伝的要因が尿道下裂の発生に関係しているといわれているため、家族内発生の有無や母親が妊娠中にプロゲステロンなどのホルモン剤やアスピリン、インドメタシンなどの解熱薬を使用したかどうかを問診します。

家族内発生があった場合や、奇形の程度が高度な場合には、半陰陽と区別するために染色体検査、ホルモン検査、内性器と性腺の確認のために内視鏡検査を行います。

医師による治療では基本的に、ごく軽度の場合を除いて、手術による形成術が行われます。治療の目的は、正常な立位による排尿が行えることと、将来の性生活が支障なく行えることにあります。また、患児の男性としての自覚、精神発達に大きな影響を及ぼすため、機能だけでなく美容上の面からも満足するようにすべきです。

手術は通常、日本では1~3歳で行われますが、欧米では10カ月前後で行われています。1~2歳で亀頭、包皮の発育が十分であれば、対象になります。矮小陰茎では、テストステロン軟こうなどで陰茎の発育を促します。

形成術には、陰茎索の切除をまず行ってから形成術を行う二期手術と、一期的に行う手術とがあり、200以上の術式があるといわれています。奇形が高度な場合は二期手術をすることもありますが、近年は縫合糸、マイクロ機器の発達で一期手術が多く行われており、包皮を用いて尿の出口を新しく作り、曲がった陰茎をできるだけ真っすぐにし、必要な場合は亀頭の形成を行います。この形成術は非常に繊細なため、熟練した小児外科医が慎重かつ丁寧に行う必要があります。

手術後の合併症としては、尿道の途中から尿が漏れて皮膚と交通したり、新しくつないだ尿道が狭くなったり、陰茎が屈曲したりすることが起こりやすく、再度手術が必要になることも少なくありません。

生まれ付きテストステロン(男性ホルモン)が少ないため、手術後の思春期以降に陰茎が短いという訴えもみられます。この場合には、ホルモン療法を行うこともあります。

🇧🇹尿道狭窄(きょうさく)

尿が細くなり、排尿できないことも

尿道狭窄(きょうさく)とは、尿道の内腔(ないくう)が狭いために尿が出にくくなる疾患。

先天性、外傷性、炎症性の3つがあります。かつては淋(りん)病のために起こることが多かったのですが、近年は外傷性のものが多くなっています。

今日の外傷性の大部分を占めるのが、実は医原性です。手術や検査などで尿道にカテーテルを挿入した際に、無理な操作をして尿道を傷付けるために起こるもの。しかし、この医原性の場合は障害の程度が軽く、比較的簡単な処置で軽快します。

症状としては、排尿障害が起こります。尿は細くなり、腹圧をかけても細くしか出ません。閉尿といって、尿が膀胱(ぼうこう)にあっても排尿できない状態になることもあります。

尿道狭窄の検査と診断と治療

尿道狭窄の治療は内視鏡を用いて、狭いところを切開する場合が多いのですが、切開手術を要することもあります。いずれにしても、処置後も比較的長期間、ある程度の拡張処置を外来で続ける必要があります。

🇧🇹尿道憩室

尿道の壁にほころびができ、尿が通過する際の圧力により、袋状の憩室が外側に突出する疾患

尿道憩室とは、尿道の内腔(ないくう)の壁の弱い部分が排尿の圧力によって膨らみ、袋状の憩室ができて外側に突出する疾患。

腎臓(じんぞう)で作られた尿は、腎盂(じんう)、尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道と続く尿路を通って体の外に出ます、最終的な尿路である尿道の内腔の壁に、外側にまで通じる完全な穴ではなく、不完全なほころびができ、その弱くなった壁の一部が、排尿に際して内腔を通過する尿の圧力により、風船のように膨らんだ憩室として外側に向かって突出します。

尿道憩室には、先天性尿道憩室と後天性尿道憩室とがあります。

先天性尿道憩室は、生まれ付きの原因で発症します。症状が軽く、まれな前部尿道憩室と、症状が重い後部尿道憩室とがあり、いずれも男児に多くみられます。

外尿道口に近いほうにできた前部尿道憩室の場合は、息んでも尿が垂れるようにしか出ず、排尿後、尿道憩室にたまっていた尿が滴ることがあります。膀胱に近いほうにできた後部尿道憩室の場合は、高度の排尿困難がみられ、膀胱や腎臓が拡張していることもあります。

いずれの場合も、残尿が多くなるため、失禁、夜尿、繰り返す尿路の感染、発熱などの症状がみられます。

後天性尿道憩室は、20歳から40歳代の女性に多くみられます。出産による尿道損傷、尿道の周囲に存在する尿道腺(せん)の細菌感染、尿道狭窄(きょうさく)などが原因となって、後部尿道にできる憩室が多く認められます。

後天性尿道憩室を発症すると、排尿困難、排尿痛、尿が真っすぐに飛ばない尿線の異常などを起こします。排尿後、尿道憩室にたまっていた尿が滴ることがあります。陰部に痛みやはれを感じることもあります。

また、憩室内部には尿がたまりやすいので、細菌感染や結石、腫瘍(しゅよう)などが起こりやすくなります。細菌感染を起こして、憩室内部に膿(うみ)がたまると、排膿(はいのう)、膿尿、尿道痛などもみられ、憩室内に結石が形成されることもあります。尿が逆流することで膀胱炎を繰り返していると、腎盂炎、腎炎などの重篤な疾患になっていく可能性もあります。

尿道憩室の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断では、造影剤を膀胱内に注入し尿路を撮影する尿路造影検査や、柔軟性のある内視鏡を挿入して観察することで確定します。

結石や腫瘍があるのではと疑って検査した際に、尿道憩室が見付かることもあります。先天性尿道憩室のうちの後部尿道憩室の場合は、触診により膀胱や腎臓が拡張しているのがわかることがあります。

泌尿器科の医師による治療では、憩室が小さくて細菌感染を生じていない場合、放置して経過観察することもあります。細菌感染を生じている場合、抗生物質(抗生剤、抗菌剤)で炎症を鎮めます。

炎症を繰り返したり、憩室が大きい場合、内視鏡を尿道から入れて憩室を切除したり、開腹して憩室を切除する手術を行います。

🇳🇵尿道結石

腎臓などで作られた結石が、尿道の途中にとどまる疾患

尿道結石とは、腎臓(じんぞう)や膀胱(ぼうこう)で作られた結石が、尿の最終的な通路である尿道の途中にとどまる疾患。

膀胱に蓄積した尿が体の外へ出る時に通る管である尿道に結石が詰まると、尿の流れが妨げられます。そのため、トイレにいってもうまく尿を排出することができなくなり、力んでも途切れ途切れにしか出なかったりします。また、昼夜を問わず頻繁に尿意が起こり、排尿後もまだ何となく尿が残っている感じがして、 すぐにまたトイレにいきたくなります。

ひどい場合は、30分~1時間ごとにトイ レにいくこともあり、最悪の場合は尿の出が完全にストップしたりします。さらに、ふだんはわからなくても、コップに尿を取り、光に透かしてみると尿が白っぽく濁っています。

尿道に詰まった結石が尿道壁を傷付けると、排尿の終了時に強い痛みを感じたり、血が混じった赤色の尿が出てくることもあります。

この尿道結石は、女性に起こることは少なく男性がほとんどです。その原因は、男性と女性とでは尿道の長さや形状などがかなり違うことにあります。まず、男性の尿道は長さが15~16センチほどで細長く、膀胱から前立腺(ぜんりつせん)を貫いて陰茎の先端までS字を描くように伸びています。対して、女性の尿道は、長さが3~4センチほどで男性よりも太く、膀胱から膣(ちつ)の前方を通って外尿道口まで直線的に伸びています。

男性の尿道は長くて細いので、それだけ結石がとどまって詰まりやすいのです。女性の尿道は男性のそれと比べると短くて太いので、結石ができても多くは尿と一緒に流れ出ます。ただし、女性の尿道結石が全くないというわけではありません。ビールの飲みすぎなど、食生活に何らかの問題があれば起こり得ます。

なぜ石ができるのかは尿路感染、代謝異常、ホルモン、薬など原因のはっ きりしているものもありますが、およそ8割は原因不明。石が作られる過程は、尿中の結石成分であるミネラルの濃度が何らかの原因で過飽和状態に なり、腎臓に結晶核が生じてきます。その結晶が成長、凝集して結石となると考えられています。

尿道結石は尿道狭窄(きょうさく)や前立腺肥大症などの尿の出にくくなる状態の時に現れますので、排尿時の痛み、血尿などの症状が出たら、そのまま放置してはいけません。何の対処もせずにいると、主に大腸菌などの腸内細菌の感染によって膀胱の粘膜に炎症が起こったり、悪化して腎不全や尿毒症を引き起こす可能性もあるからです。

尿道結石の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断は、触診や尿道鏡、X線撮影などの検査で行います。

泌尿器科の医師による治療は、尿道狭窄が起きていた場合には、ブジーと呼ばれる棒状の医療器具を挿入して結石を膀胱へ押し込みます。そして、内視鏡を使って超音波やレーザーなどで結石を破砕します。結石が前部尿道にあった場合には、異物鉗子(かんし)と呼ばれる器具を入れて石をつかみ、摘出するという処置が試みられます。

ブジーにより尿道が広げられると、自然に石が出てくることもあります。 開腹手術などを行うこともあります。

原因がはっきりしないため、予防には難しい面があります。ただし、尿路結石で最も多い成分のシュウ酸カルシウムに関していえば、食物中のシュウ酸が体内に吸収されて、尿になる時にカルシウムと結合して結石になるため、予防にはシュウ酸の多く含まれた食物を控えるか、腸で吸収されて血液中に入る前に、 腸内でカルシウムと結合させることです。

それには、シュウ酸の多いコーヒー、紅茶にはカルシウムを含むミルクをたっぷり入れたり、結石を溶かす作用があるクエン酸を含む食べ物を取ることです。クエン酸を含む食べ物は、レモン、みかん、グレープフルーツ、いちご、パイナップル、キウイ、梅干し、酢などです。

また、日本で尿道結石が急激に増えてきた背景には、食生活が欧米型になったこともあるようなので、魚や野菜中心の日本型食生活を心掛けることも有効。逆に、ビールにもシュウ酸が多く含まれているので、注意が必要です。

🇳🇵尿道上裂

生まれ付きのもので、外尿道口が陰茎の背面に開口する尿道奇形

尿道上裂(じょうれつ)とは、先天的な奇形である膀胱外反症のうちの軽症に相当し、外尿道口が陰茎の背面(上面)に開口する状態。

男児の尿道上裂は、外尿道口が亀頭または陰茎幹部の背面もしくは陰茎恥骨移行部に開口している状態のことをいいます。女児の尿道上裂は、外尿道口が陰核と陰唇の間または腹部に開口している状態のことをいいます。

外尿道口がどの程度、通常の位置から外れているかにより、近位型上裂と遠位型上裂とに分類されます。

近位型上裂は男児では陰茎恥骨型、女児では完全型であり、これらは尿道括約筋の欠損により尿失禁を伴います。近位型上裂は遠位型上裂よりも多く、全体の4分の3を占めるといわれています。

遠位型上裂は女児にはまれな状態で、男児では陰茎型と亀頭型とに分類されます。遠位型上裂では、尿失禁のほかにも、頻尿が多発していることが知られています。そのほかの症状としては、膀胱(ぼうこう)尿管逆流症がほとんどの場合に認められ、尿路感染症が起こりやすくなります。

尿道上裂の原因は、先天性の奇形であり、はっきりとはわかっていません。

尿道の先天性の奇形は、男児においては通常、陰茎の解剖学的異常を伴いますが、女児においては、ほかの外性器異常は伴わないことが多いとされています。尿道上裂により引き起こされる機能障害や症状のほとんどは、その形態の異常により引き起こされています。

尿失禁が引き起こされるのは、奇形により膀胱粘膜が体の表面に出ていることが原因とされ、軽度の膀胱外反症と見なされます。

頻尿が多発するのは膀胱の容量が小さいためであり、膀胱尿道逆流症が起こるのは腎臓(じんぞう)から膀胱につながっている尿管口が片側に偏って位置するために起こります。尿路感染症が起こりやすくなる原因は、外尿道口の位置の奇形により粘膜が表面にさらされていることや、膀胱に尿が一杯になった時や排尿する時に尿の尿管、腎盂(じんう)への逆流が起こることによって引き起こされます。

男児では出生時に明らかに外陰部の異常が認められ、放置することで尿失禁や尿路感染症などのさまざまな問題が生じるため、小児泌尿器科医もしくは小児外科医に早期に相談すべきです。

尿道上裂の検査と診断と治療

小児泌尿器科、小児外科の医師による診断では、出生時に外陰部の状態により確定しますが、膀胱尿管逆流症の合併が多いため、膀胱尿道造影などを行います。膀胱尿道造影は、新生児、乳幼児の場合には麻酔をかけて行います。膀胱に過度の圧をかけないようにして造影剤を膀胱内に注入し、膀胱充満時のX線(レントゲン)撮影を行います。膀胱尿管逆流は排尿時に最も生じやすいため、可能であれば、排尿時に息む際に排尿時膀胱尿道造影を行い、造影剤が尿管および腎盂に逆流しないかどうかを検査します。

小児泌尿器科、小児外科の医師による治療では、奇形部分の外科的形成術を行います。症状が軽い場合でも、見た目上の問題や、尿路感染症の予防のために手術を行うことが多くなっています。

遠位型上裂の場合と近位型上裂の場合とで手術の内容が異なってきており、遠位型上裂の手術では、陰茎背面の外尿道口から亀頭部の先端まで、新尿道を形成するのに必要な皮膚を管状に縫い合わせ、左右の陰茎海綿体の間を割って陰茎腹側に埋め、分割した両側の海綿体を縫い合わせた上で背側の皮膚を縫い合わせます。

近位型上裂の場合は陰茎の外科的再建だけでは、膀胱尿管逆流症の合併が非常に多く、失禁が残存する可能性があるため、両側の尿管口を上方に移動させるようにして膀胱尿管逆流術を行い、同時に膀胱頸部(けいぶ)を縫い縮める形成術を行います。

🇧🇩尿道脱

尿道の粘膜が尿道の外側にめくれるように脱出する疾患

尿道脱とは、尿道の出口の粘膜が尿道の外側にめくれて飛び出す良性の疾患。

小さな女児や高齢の女性にみられます。下着や、排尿後にふいたトイレットペーパーに血液が付いたことにより、気付くことが多いようです。

また、尿道脱が大きくなると、大豆(だいず)大の腫瘍(しゅりゅう)のように見え、尿道の出口の赤い粘膜の突出に触れることができます。異物があるように感じることもあります。

尿が出にくくなったり、脱出した粘膜が締め付けられると痛みが起きたりすることもあります。しばしば尿失禁や頻尿の症状もあります。

よく似ているものに尿道カルンクルがあり、こちらは中高年女性の尿道出口の6時方向にできる赤色または暗褐色の良性の小さな腫瘍(しゅよう)で、やはり出血などで気付くことが多いようです。尿道カルンクルでは、腫瘍は1カ所で尿道の壁につながっているのに対し、尿道脱ではゴムホースの先端を外側にまくったように、尿道の出口の粘膜全周が反転して外側に飛び出します。指で脱出部分を尿道の中に押し戻すと整復できることがあります。

尿道脱は、生まれ付き尿道や骨盤内の組織が弱いことも原因の1つです。高齢の女性の場合は、出産時の外陰部の損傷や閉経後の女性ホルモン不足なども原因となっています。

尿道は一番内側が粘膜で、その外側が内縦走筋、外輪状筋となっており、これら2つの筋肉の間が緩くなって尿道脱が生じると考えられています。せきや便秘などで腹圧をかけることが多い女性は、尿道脱を起こしたり、症状を悪化させたりします。

尿道脱の検査と診断と治療

泌尿器科、ないし小児泌尿器科の医師による診断では、尿道脱の症状が見受けられる場合、排尿記録を何日分かに分けて、患者に行ってもらいます。また、排尿の勢いや残尿があるかどうかをチェックする尿流・残尿検査を行ったり、尿流動態検査、鎖膀胱(ぼうこう)尿道造影というレントゲン造影検査を追加して行ったりします。

高齢の女性では、尿道カルンクルなどの尿道腫瘍、尿管の下端部の膀胱につながる部分が膀胱内で袋状に膨らむ尿管瘤(りゅう)との鑑別を膀胱鏡を用いて行います。

泌尿器科、ないし小児泌尿器科の医師による治療では、まず、女性ホルモン剤の軟こうやステロイド剤(副腎〔ふくじん〕皮質ホルモン)の軟こうの外用を行います。日本では、女性ホルモン剤の軟こうを医療機関で処方することが難しく、まずはステロイド剤の軟こうを使うことが多いようです。これらの軟こうは症状を改善させますが、67%で再発するといわれています。

軟こうによる治療で、尿道粘膜の飛び出しが大きくならず、出血や痛みの症状が現れなくなれば、経過を観察します。腹圧をかけると症状を悪くさせるので、便秘を改善させたり、腹圧をかけるような動作も長く続けないように気を付けます。

また、脱出した尿道粘膜を外側から尿道の中に押し戻し、整復を維持する治療法を行うこともあります。具体的には、膣(ちつ)内に脱出した尿道粘膜の整復を維持するペッサリーという器具を挿入したり、ケーゲル体操を行うことによって、尿道粘膜の整復に必要な骨盤部の筋肉を鍛えたりします。

ケーゲル体操は、排尿を途中で止める時のように、腟、尿道、直腸の周囲の筋肉に力を入れて約10秒間引き締め、次に力を抜いて約10秒間緩めます。この動作を10〜20回繰り返すのを1セットとして、1日に3セット以上行います。

軟こうによる治療、整復を維持する治療に効果がみられず、再発したり、出血や痛み、排尿困難などの症状が出る場合は、外科手術の選択もあります。手術は麻酔をかけて、めくれて飛び出している尿道粘膜を切除し、外側の皮膚と内側の尿道粘膜を縫い合わせます。

状況により全身麻酔もしくは脊椎(せきつい)麻酔で行い、手術に要する時間は30分程度。合併症は少なく、手術中の出血や感染症などが生じる可能性もありますが、程度は軽いものです。手術後はまれに、尿があちこちに飛び散るようになることがあります。

手術前日に入院し、手術後2、3日は排尿のための管を膀胱内に入れて置くので、5、6日の入院が必要です。手術を行って再発することは少なく、飛び出している尿道粘膜を切除するのみですので、尿道が短くなるようなことはありません。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...