2022/08/09

🇮🇹腎性貧血

慢性腎不全などの腎臓の疾患が原因で起こる貧血

腎(じん)性貧血とは、腎臓の疾患が原因で起こる貧血のこと。貧血とは、血液中の赤血球(ヘマトクリット)の数が減少したり、赤血球の中に含まれているヘモグロビン(血色素)の量が減少した状態をいいます。

腎性貧血は、人工透析を受けている人や慢性腎不全、急性腎不全、ネフローゼ症候群などの発症者には付き物です。

腎臓からは、赤血球の産生を促進させ、成熟させる働きのあるホルモンとしてエリスロポエチン(赤血球生成促進因子)が分泌されています。ところが、腎臓の疾患が悪化して機能が低下すると、エリスロポエチンが産生されにくくなるために、造血能力が低下して貧血が起こります。

さらに、腎臓の排出機能の低下によって体内にたまる尿毒症性物質による造血抑制や、赤血球が壊れる溶血の高進、尿毒症による低栄養、人工透析に伴う血液の損失など、さまざまな要素が加わり、ますます貧血が進行します。

腎性貧血に陥ると、疲れやすい、息切れ、めまい、立ちくらみ、食欲不振、動悸(どうき)、頭痛、頻脈、顔色が悪い、爪(つめ)色が悪い、むくみなどの症状が現れます。

医師による診断では、腎性貧血の有無は血液一般検査でわかります。まず腎不全によるクレアチニンクリアランスの低下、血清クレアチニンの上昇などを認め、次にエリスロポエチン濃度を測定し、貧血があるにもかかわらずエリスロポエチン濃度の上昇がみられないことを確認すれば、腎性貧血と確定できます。

腎性貧血の治療では、遺伝子組み換え技術で人工的に作られて薬として使用されているエリスロポエチン剤の静脈内注射、ないし皮下注射による投与や、造血に必要となるビタミンB12、葉酸などのビタミン剤や鉄剤の投与が行われます。輸血は必要最小限にとどめられます。

ただし、エリスロポエチン剤の投与で血圧上昇、高血圧性脳症、脳梗塞(こうそく)を来すこともあるので、あまり急速に貧血を改善させないほうが安全とされます。エリスロポエチン剤の投与でも貧血が改善しない場合は、ほかの原因を調べる必要があります。

🇮🇹腎性網膜症

腎臓の疾患が原因となって、網膜の出血や浮腫、視力低下を起こす疾患

腎性(じんせい)網膜症とは、腎臓の疾患が網膜に悪影響を及ぼし、出血や浮腫(ふしゅ)、時には視力低下を起こす疾患。

しばしば高血圧や貧血などの合併症をもたらす腎臓病にはいくつも種類がありますが、その種類によって網膜が受ける影響もさまざまです。

急性腎炎の場合は、腎炎を起こして間もないころに眼底検査を行うと、網膜動脈が細くなり、出血、白斑(はくはん)、浮腫がみられますが、疾患の回復に伴って自然に消失し、後遺症はほとんど残りません。また、視力の低下もほとんどありません。

慢性腎炎の場合は、腎炎による高血圧症の影響で網膜動脈が細くなったり、動脈硬化を起こしたりします。出血や浮腫、時には網膜剥離(はくり)を起こして、視力が低下することもあります。これらの症状は全身の状態によって一進一退しますが、腎炎による浮腫が消えると、網膜の黄斑(おうはん)部に放射線状に並んだ白斑が現れることがあります。

ネフローゼ症候群の場合は、視力の低下も網膜の変化も起こりません。ただし、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)による治療を長い間続けると、その副作用として白内障、緑内障などが起こり、視力が低下することがあります。

腎性網膜症の検査と診断と治療

内科の医師と眼科の医師の協力のもとに、検査や治療を進めます。

内科では、腎性網膜症の原因となった腎臓病の治療を行います。腎臓病の治療が、腎性網膜症の治療にもなります。眼科では、眼底検査を行い、疾患の推移を見守ります。

腎臓病の治療は、症状によっても異なってきますが、さまざまなアプローチで行われます。まず、食事療法を行い、食生活が腎臓病に大きな影響を与えている可能性があるため、塩分を控えめにするほかにも、たんぱく質も控えめにし、全体的にバランスのとれた食生活へと改善していきます。

次に、薬物療法を行い、腎臓は薬で治すことが難しい器官なので、主に症状を遅らせ、合併症を防ぐために活用します。腎臓病対策に使用される薬物としては、降圧剤、利尿剤、活性型ビタミンD、リン吸着剤、クレメジン(経口吸着炭)、カリウム吸着剤、重炭酸ナトリウム、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)、エリスロポエチン製剤などが挙げられます。

日常生活のケアも欠かせません。特に、腎臓への負担を減らすために、無理な運動や仕事は避ける必要があります。また、症状を悪化させるような風邪などの感染症、脱水症状などにも注意が必要です。

さらに、人工透析による治療もあります。症状が重い腎不全の場合に行われる治療法で、機能が弱まった腎臓の代わりに血液中の老廃物をろ過します。時間もかかり、日常生活にも支障が生じるなど、負担の大きい方法でもあります。ほかにも腎臓を移植する腎移植などもあります。

2022/08/08

🟥国内の新型コロナ新規感染者、13万7859人 8月1日以来20万人を下回る

 国内では8日午後6時30分の時点で、東京都で1万7884人、神奈川県で1万2631人、埼玉県で8832人、福岡県で8461人、大阪府で8164人、兵庫県で7884人、千葉県で7044人など全47都道府県と空港検疫で、新たに13万7859人の新型コロナウイルスへの感染が発表されました。1日当たりの新規感染者が20万人を下回るのは、1週間前の8月1日(13万9572人)以来です。

 また、東京都で13人、埼玉県で11人、千葉県で10人、大阪府で10人、熊本県で9人、北海道で7人、和歌山県で7人など、全国で計150人の死亡の発表がありました。

 国内で感染が確認された人は、空港検疫などを含め1443万9907人、クルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせて1444万619人となっています。

 感染して亡くなった人は、国内で感染が確認された人が3万3848人、クルーズ船の乗船者が13人で、合わせて3万3861人です。

 厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や集中治療室などで治療を受けるなどしている重症者は、前日より4人増えて8日時点で555人となっています。

 一方、大阪府は8日、新型コロナウイルスの新たな感染者を8164人確認したと発表しました。感染者数は前週同曜日(7281人)と比べ883人増えました。府内の感染者の累計は151万9297人。

 新たに50~90歳代の男女10人の死亡が判明し、府内の累計死者数は5486人。

 8日時点の重症者は前日と同じ71人となっていますが、基礎疾患のない未就学の子供などが新たに重症となっています。重症病床(598床)の同日の実質使用率(重い持病などを抱える軽症・中等症患者らを含む)は22・4%になりました。軽症・中等症病床には3154人が入院しており、軽症・中等症病床(4224床)の使用率は74・7%となりました。

 新規感染者のうち、感染者と同居して症状があり、PCR検査を受けずに医師の診断で陽性と判断された濃厚接触者は129人でした。自宅療養者は15万3711人。公費によるPCR検査などを2万1432件実施しました。

 2022年8月8日(月)

🟥新型コロナ検査キット、ネット販売解禁へ 特例で一般用医薬品扱いに

 日本政府は新型コロナウイルスの感染を調べる抗原検査キットのインターネット販売を8月内にも解禁する方向で調整に入りました。感染拡大の第7波では発熱外来に患者が殺到し、検査を受けにくい状態が生じているため、薬剤師による十分な説明などを求めることで、検査キットを購入しやすくし、必要な検査を受けられるようにします。

 これまでは医師会などの慎重論が強く、ネット販売は認めていませんでした。第7波を強い行動制限なしで乗り切るには、さらなる検査機会の拡充が不可欠と判断しました。

 検査キットは医薬品医療機器法上の医療用として位置付けられ、医療機関での使用以外では、薬局で薬剤師が対面で説明する場合に限って販売しており、夜間・休日など薬剤師が不在の時間は買えません。これをコロナ流行期に限った特例として一般用医薬品(OTC)と同じ扱いにし、ネット販売できるようにします。

 薬剤師がオンラインや書面などで、使用法や注意点、陽性だった場合の対応などを説明。発熱などの症状が出た際、薬局を訪れなくても購入できるほか、事前に家族の分を一括購入できるなど利便性が高まります。

 抗原検査キットは15分ほどで結果が出ます。PCR検査のほうが正確に検査できるものの、結果判明まで1日以上かかることが多く、発熱外来ではPCR検査と検査キットを使い検査需要に対応しています。

 感染拡大で発熱外来を受診できない患者も増えているとして、検査キットを国が買い上げ、自治体に提供して住民に無料配布する取り組みも一部で始まっています。医療機関を受診しなくても、自宅で検査キットを使って陽性ならコロナ患者として扱う地域もあります。

 ネット上では「研究用」と称した性能の不明な非正規検査キットが流通しています。第7波で検査需要が急増する中、承認された正規品を入手しやすくします。薬局で店頭販売する正規品の価格は2000円弱ほどで高止まりしている中、ネット販売を認めることで価格が下がる期待もあります。

 厚生労働省は検査キットの在庫を1・8億回分確保したと説明しており、在庫水準を維持できるよう、製造企業に増産などの対応を求めています。ネット販売を解禁する場合、安定供給できる体制の整備も欠かせません。

 検査キットのOTC化を巡っては、岸田文雄首相の諮問機関である規制改革推進会議も5月提出の答申に盛り込んでいました。

 2022年8月8日(月) 

🟥東京都で1万7884人が新型コロナ感染 7月19日以来2万人下回る

 東京都は8日、都内で新たに10歳未満から100歳以上の1万7884人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

 1週間前の月曜日より4074人減り、3日続けて前の週の同じ曜日を下回りました。1日の感染者が2万人を下回るのは、7月19日(1万1018人)以来です。直近1週間平均の新規感染者は3万1150・7人で、前週の97・0%となり、7日に引き続き、2日連続で100%を下回りました。

 新規感染者を年代別にみると、20歳代が3639人と最も多く、40歳代が3068人、30歳代が2958人と続きました。65歳以上の高齢者は1623人でした。

 ワクチンの接種状況別では、2回接種済みが1万1403人、未接種は3142人でした。

 人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使っている重症の患者は、7日より3人増えて39人でした。

 一方、都は、感染が確認された10歳未満から90歳代までの男女合わせて13人が死亡したことを発表しました。このうち、10歳未満の女の子は、複数の基礎疾患があったということです。

 東京都の累計の感染者数は240万6746人となり、累計の死者数は4767人になりました。

 2022年8月8日(月)

🟥着床前検査は流産率低下に有用 産科婦人科学会が9000人調査

 日本産科婦人科学会は7日、体外受精した受精卵の全染色体を調べて子宮に移植する「着床前検査」により流産を繰り返していた女性が流産する割合が下がったとする、約9000人分の大規模臨床研究の集計結果を公表しました。学会は「検査は流産率低下には有用だ」としています。

 流産を繰り返したり、受精卵を複数回子宮に移植しても妊娠しなかったりした9097人分(200施設)を解析しました。移植した受精卵の染色体に異常がない場合の流産率は約11%で、国内での一般的な体外受精例の流産率25%程度よりも低くなりました。

 実際に赤ちゃんが生まれる出産率を推定したところ、一般的な体外受精例と同じ25%前後で、検査で出産数が増えないとみられることも判明しました。着床前検査をせず染色体数の異常がある受精卵を移植しても、胎内で異常が修復されて生まれることなどがあるためとされます。

 2022年8月8日(月)

🇱🇸臍ヘルニア

生後間もなくへその緒が取れた後、へそが飛び出してくる状態

臍(さい)ヘルニアとは、生後間もなくへその緒が取れた後に、へそが飛び出してくる状態。乳幼児期特有の疾患で、俗に出べそと呼ばれます。

へその緒(臍帯)が取れた生まれて間もない時期には、まだへその真下の臍輪が完全に閉じていないために、乳児が泣いたり息んだりして腹に圧力が加わった時に、筋肉の透き間から腸管が皮下に飛び出してきて、へそが膨らんだ出べその状態となります。

触れると柔らかく、圧迫するとグジュグジュとした感触で簡単に腹の中に戻りますが、乳児が再び泣いたり息んだりして腹に圧力が加わると、すぐに元に戻ってしまいます。腸管が腹腔(ふくくう)内に入ったり、出たりする結果です。

臍帯付着部の臍輪の閉鎖不全が、原因です。臍輪の下方には正中(せいちゅう)臍靭帯(じんたい)、外側(がいそく)臍靭帯があり、上方には肝円(かんえん)靭帯があります。特に、臍上部が弱く、出生までに臍輪が閉じられない場合に、臍ヘルニアが発症します。

この臍ヘルニアは、新生児の5~10人に1人、出生体重1000〜1500グラムの未熟児の80パーセント以上にみられるといわれています。生後3カ月ころまで大きくなり、ひどくなる場合は直径が3センチ以上にもなることがあります。しかし、4カ月ころには日1日と急速に小さくなり、ほとんどの臍ヘルニアは左右の腹直筋が発育してくる1〜2年の間に完全に臍輪が閉じて、自然に治ります。

ただし、1~2歳を超えても臍ヘルニアが残っている場合や、ヘルニアは治ったけれども皮膚が緩んでしまって、へそが飛び出したままになっている場合には、手術が必要になることがあります。

臍ヘルニアで痛みがある場合は、大網(だいもう)がヘルニア嚢(のう)に癒着しているためと考えられます。大網とは、胃の下部から垂れて腸の前面を覆う薄い膜で、ヘルニア嚢とは、飛び出してくる腸管を包む腹膜です。乳幼児の臍ヘルニアでは、腸管がヘルニア嚢内に陥入し、腸管血行障害を起こす嵌頓(かんとん)は極めてまれです。

臍ヘルニアの検査と診断と治療

1~2歳を超えても臍ヘルニアが残っている場合や、へそが飛び出したままになっている場合には、小児外科の専門医を受診します。

医師が指で圧迫すると、腸管はグル音という腹腔内に戻る時の音を伴い、簡単に還納できることで、確定診断ができます。

乳幼児期に自然に治る可能性が高いので、まずは手術はせずに外来で経過観察します。腸が腐る危険はまずありませんし、どんなに大きくても皮膚が破裂することもありません。へその形をよくする意味で、絆創膏(ばんそうこう)固定を行う医師もいます。

生後1年以内に、80〜95パーセントは自然に治ります。2歳までに治らなければ、外科的治療を行います。臍輪の穴を閉じるとともに、へそのへこみを人工的に作ります。成人の場合は、臍ヘルニア内に腸管嵌頓が起こる頻度が高いので、発見次第、外科的治療を行います。合併症がなければ、予後は良好です。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...