2022/08/17

🇲🇺先天性腎性尿崩症

先天的な原因により、抗利尿ホルモンに腎臓が反応しないために多尿を示す疾患

先天性腎性(じんせい)尿崩症とは、先天的な遺伝が原因で、抗利尿ホルモン(バソプレシン)に腎臓が反応しなくなることで、薄い尿が大量に排出される疾患。遺伝性腎性尿崩症とも呼ばれます。

利尿を妨げる働きをする抗利尿ホルモンは、大脳の下部に位置する視床下部で合成され、神経連絡路を通って下垂体(脳下垂体)後葉に運ばれて貯蔵された後、血液中に放出されて腎臓に作用し尿の量を調節します。先天性腎性尿崩症では、利尿を妨げる働きをする抗利尿ホルモンの分泌は正常でも、腎尿細管における作用障害に由来して腎臓が反応しなくなり、体内への水分の再吸収が低下するために、尿の濃縮障害が引き起こされ、水分が過剰に尿として排出されます。

一方、利尿を妨げる働きをする抗利尿ホルモンの分泌量の低下で、体内への水分の再吸収が低下するために、水分が過剰に尿として排出される疾患は、先天性ないし後天性の中枢性尿崩症です。

腎性尿崩症にも先天性と後天性があり、先天性腎性尿崩症が先天的な遺伝が原因で、出生直後から症状が出現することが多いのに対して、後天性腎性尿崩症は薬剤の副作用や腎臓障害などが原因となって、あらゆる年代において徐々にあるいは突然、症状が出現します。

先天性腎性尿崩症は、腎臓の腎尿細管の抗利尿ホルモン2型受容体の遺伝子異常で90パーセント以上が出現するとされ、性染色体であるX染色体の劣性遺伝のため、男性にのみに発症します。X染色体を2本持つ女性は、発症しないものの保因者になるため、妊娠した場合、先天性腎性尿崩症を受け継ぐ男子が生まれる可能性があります。

また、まれに尿細管の抗利尿ホルモン感受性アクアポリン(水チャンネル)の遺伝子異常によっても出現します。この遺伝子異常は、常染色体の劣性遺伝によって約9パーセントで発症し、常染色体の優性遺伝によって1パーセントで発症します。

先天性腎性尿崩症を胎児期に発症した場合は、母胎の中で大量に尿を排出するため羊水が多くなります。

生後数日からの新生児期に発症した場合は、1日2・5リットルから3リットル以上の著しい多尿、のどの渇きによる多飲を示し、夜間尿の増加などが起こります。

大多数の新生児は生後1年以内に診断されますが、未治療の新生児では、のどの渇きを訴えることができないため、保護者が水の補給を控えた場合や高温環境にさらされた場合には、激しい脱水による発熱と嘔吐(おうと)、けいれんを起こし、血液中のナトリウム値が上昇します。この高ナトリウム血症が起こると、脳が障害され、発達障害や精神遅滞を起こしてしまう可能性があります。

通常、低身長がみられ、慢性的で過大な多尿に伴い、水腎症や水尿管症、巨大膀胱(ぼうこう)など尿路系の拡張が発生し、その結果、逆流性腎症さらに腎不全に至る例もあります。

しかし、一部の軽症型(部分型)の先天性腎性尿崩症の新生児では、これらの症状は気付かれない程度か、軽度です。明らかな脱水の症状を示さずに、嘔吐、吐き気、授乳力低下、便秘もしくは下痢、発育不全、原因不明の発熱、不活発、興奮性といった症状を現します。低身長や発達障害はみられず、小児期の後期に診断される傾向があります。

常染色体優性遺伝によって先天性腎性尿崩症を発症した新生児では、症状の出現は遅く、成人初期まで現れない場合もあります。

早期に診断された場合も、先天性腎性尿崩症を根治できる治療法がないため、長期にわたって飲水とトイレの使用が自由にできる状況を用意することが必要になります。乳児では自分ののどの渇きに従って水を求めることができないので、通常の食事のほかに水を摂取させることが必要です。

自分で水を求めることができる小児期になっても、こまめな水分補給を常に行いながらの生活となります。そのぶん尿量も増えますので、トイレに行く回数もほかの人よりも圧倒的に増え、生活は大きく影響を受け、幼稚園生活、学校生活や、成人後の社会活動、グループ活動も障害されます。

先天性腎性尿崩症の検査と診断と治療

内科、内分泌科の医師による診断では、下垂体(脳下垂体)に由来する抗利尿ホルモンが存在するにもかかわらず、血漿(けっしょう)抗利尿ホルモン濃度が高く、かつ利尿ホルモンの合成類似体であるバソプレシン剤やデスモプレシン剤を投与しても尿の濃縮ができないことによって、先天性腎性尿崩症と確定します。

内科、内分泌科の医師による治療では、先天性腎性尿崩症を根治できる治療法がないため、経験的に対症療法として、尿量を減らす目的で、抗利尿ホルモンの産生を刺激するサイアザイド系(チアジド系)利尿薬、それに加えてインドメタシンなどの非ステロイド系抗炎症薬を使用しますが、十分な効果は得られていません。

サイアザイド系(チアジド系)利尿薬を使用すると、カリウム喪失を招くため、血清カリウム濃度を測定し、必要に応じて食事や薬剤の形で補充します。水腎症、水尿管症、巨大膀胱に対しては、尿量を減らす治療を行い、残尿が多量の場合には周期的もしくは持続的な膀胱カテーテル留置を行います。

また、長期の療養が必要なため、腎臓障害、高度脱水、高ナトリウム血症を起こさないように長期的な経過観察を続けます。

軽症型(部分型)の先天性腎性尿崩症では、利尿ホルモンの合成類似体であるバソプレシン剤や、デスモプレシン剤を使用した治療によって、ある程度尿量を減少させることが可能です。

🇲🇺先天性心臓病

■心臓と周辺の構造の先天的な異常で生じる疾患

先天性心臓病とは、心臓や、その周辺の大動脈、大静脈の構造が生まれ付き異常なために生じる疾患。世界中どこでも、先天性心臓病の頻度は新生児の約1パーセントとほぼ同じ割合です。

いろいろな種類があり、症状が軽くて放置しても心配のないものから、すぐに手術の必要な重症のものまであります。また、成人になってから初めて症状の出現するものもあり、手術によって完全に治るものばかりでもありません。

すなわち、先天性心臓病は小児期のみの疾患ではなく、妊娠や次の世代への遺伝を含めた一生の疾患と認識することが大切。胎児の心臓は妊娠3週ごろから形成され始め、妊娠6週すぎに心臓、大血管の構造がほぼ完成します。この過程が障害され、構造異常が発生した状態が先天性心臓病です。

原因としては、環境因子と遺伝の二つがあります。例えば妊娠1〜4カ月の母親が風疹(ふうしん)にかかると、胎児が感染しやすく、先天性心臓病を始めとする種々の異常を持った子供が生まれることがあります。一方、ある一つの先天性心臓病、例えば心室中隔欠損症がメンデルの遺伝の法則に従って遺伝することはありませんが、種々の先天性心臓病が家族性に発生しやすいことは知られており、多因子遺伝が関係していると考えられます。

実際に環境因子と遺伝で原因がわかっているのは5パーセントくらいで、残りの95パーセントは原因不明であり、環境因子と多因子遺伝の相互作用によると考えられています。

 先天性心臓病の症状としては、ほかの心臓病と同様に、運動時および安静時の息切れ、動悸(どうき)、むくみ、めまいなどが起こります。先天性の場合の比較的特徴的なものとして、成長障害、チアノーゼ(低酸素血症)のほか、指先が膨らんで太鼓のばちのようになったり、心臓に接する前胸部が膨らんで盛り上がったりします。

主に心不全を起こす先天性心臓病には、心室中隔欠損症、心内膜床欠損症、動脈管開存症、大動脈縮窄(しゅくさく)症などの種類があります。主にチアノ-ゼを生じる先天性心臓病には、ファロー四徴(しちょう)症、大血管転位症、単心室、無牌(むはい)症候群などの種類があります。

チアノーゼは、唇や指先が紫色になる現象。血液の酸素不足によるもので、主として右心系の静脈血が動脈内に混じり込んでいることを示しています。一般に、チアノーゼのみられる疾患は重症であり、心臓手術を行わなければ、小児期までに死亡することが少なくありません。

また、心臓病は生まれ付きの異常のために、症状も乳児期から起こると考える人もいるでしょうが、多くの例は徐々に症状が出現し、成人になって初めて心臓病がわかることもあります。

■先天性心臓病の検査と診断と治療

病歴、身体所見、X線、心電図の基本的検査により、多くの先天性心臓病はおおよその診断がつきます。より正確な診断のためには、心機図、超音波検査、CT検査(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像撮影法)などの無侵襲診断法が行われます。

また、手術を決定するためには心臓カテーテル法を行い、内腔(ないくう)の圧測定、血液ガス分析、心血管造影を行う必要があります。

先天性心臓病は自覚症状がないことが多く、幼児や小児期の健康診断や、ほかの疾患で病院を訪れた時に、発見されることが多く見受けられます。病状が出現してからでは、心筋、弁、肺などに不可逆的な変化が生じていることが多くなります。なるべく早期の診断が必要なので、これらの検診は積極的に受けるようにします。

治療においては、心臓病の重症度に応じて、運動制限、減塩食、水分制限を行います。学校での体育実技、クラブ活動については、専門医による指導が必要。

内科的には、心機能の低下に対する強心薬や利尿剤の使用、不整脈に対する治療が行われます。しかし、内科的治療には限度があり、一部の特殊な疾患を除いて根本的な治療は存在しません。

外科的には、心臓の構造異常の多くは修復可能で、疾患の種類に応じて各種の手術法がとられます。例えば重い先天性心臓病に対しては、人工心肺を使った手術で、壁に開いた穴をふさいだり、血管や弁の異常を治します。この際、異常な部分を正常に修復する根治手術ができれば最善です。異常の程度が高度であったり、複雑な異常のために根治手術が不可能であったり、年少のためや合併症のために大手術に耐えない時には、一時的により簡単な待機的手術も行うこともあります。

また、根治手術を行い、構造が正常に戻っても、心機能障害の低下や不整脈が残る場合もあります。人工構造物である人工弁、パッチなどの経時的な変化を観察しなければならぬため、定期的な通院が必要とされます。

🇲🇺先天性水頭症

生まれ付きの異常により、脳脊髄液がたまって脳室が拡大する疾患

先天性水頭症(すいとうしょう)とは、生まれ付きの異常によって、脳脊髄(せきずい)液(髄液)が頭蓋(とうがい)内にたまり、脳の内側で4つに分かれて存在する脳室が正常より大きくなる疾患。

脳脊髄液は、脳全体を覆うように循環して脳保護液として働き、脳を浮かせて頭部が急激に動く衝撃を柔らげたり、部分的な脳の活動によって産生される物質を取り除く働きも併せ持つと考えられています。脳室で血液の成分から産生されて、1日で3回ほど全体が入れ替わる程度のスピードで循環し、最終的には、くも膜という脳の保護膜と脳との間に広がっている部位から吸収され、血液へ戻ってゆきます。

この脳脊髄液の産生、循環、吸収などいずれかの異常によって、脳脊髄液が頭蓋内に余分にたまると、脳を圧迫し、脳機能に影響を与えます。

先天性水頭症は、出生1000人に2人程度発生しています。原因としては、先天的な障害(奇形)や、母胎内での感染が挙げられます。

水頭症の原因となる脳の形態異常には、中脳水道狭窄症(ちゅうのうすいどうきょうさくしょう)、脊髄髄膜瘤(せきずいずいまくりゅう)に合併したキアリーⅡ型奇形(がたきけい)、髄液の静脈洞(じょうみゃくどう)への流入が障害される交通性水頭症(こうつうせいすいとうしょう)、ダンディー・ウォーカー症候群(しょうこうぐん)、脳瘤(のうりゅう)などがあります。

いくつかの骨が結合してできている頭蓋骨は、生まれてしばらくの間、骨同士の結合が弱く、軟らかく組み合わさっています。生まれ付き水頭症を持っている乳児や、頭蓋骨の結合が軟らかい時期に水頭症になった乳児は、脳脊髄液が頭蓋内に余分にたまって大きくなった脳室の圧力によって、頭蓋骨を押し広げる状態が続く結果、頭が大きくなることが起こります。

頭の拡大が目立つ乳児までの時期以降、余分な脳脊髄液による内圧の上昇は、脳を直接圧迫する力となり、頭痛、吐き気、嘔吐(おうと)を引き起こします。食欲不振、体重減少、全身倦怠(けんたい)感など頭の症状とは考えにくいことも起こり、長い間、気付かれない場合もあります。また、神経への影響から、視力の低下、目の動き方の不自由などを起こします。

乳幼児の頭が異常に大きければ、脳の疾患を疑って小児科、ないし脳神経外科を受診することが勧められます。

先天性水頭症の検査と診断と治療

産婦人科、あるいは小児科、脳神経外科の医師による診断では、妊婦の超音波(エコー)検査やMRI(磁気共鳴画像撮影)検査で、胎児水頭症の診断がつくことがあります。確実に診断できるのは、妊娠22週をすぎてからです。

出生後は、頭囲の拡大や、大泉門(だいせんもん)という前頭部にある頭蓋骨の透き間の緊張、ほかの合併する奇形から確定します。頭部X線(レントゲン)検査や超音波検査、MRI検査を行うと、頭蓋骨の骨と骨をつなぐ縫合線の離開、脳室の拡大などが認められます。

小児科、脳神経外科の医師による治療では、先天性水頭症そのものに対する治療としては、一時的な緊急避難的な治療と、永続的な治療が行われます。

一時的な治療では、ドレナージと呼ばれる方法が一般的で、余分な脳脊髄液の一部分を頭蓋骨の外へ流す処置の総称です。頭の圧力が急上昇した状態による病状の不安定さを解除するために、救急処置として行われます。

永続的な治療では、シャントと呼ばれる手術法が一般的で、年齢、原因を問わず行われています。本来の脳脊髄液の流れの一部分から、シリコンでできたシャントチューブと呼ばれる細い管を用いて、頭以外の腹腔(ふくこう)や心房などへ脳脊髄液を半永久的に流す仕組みを作ります。

内視鏡手術も行われています。神経内視鏡を用いて、脳の内部に本来ある脳脊髄液の流れ方の経路とは別に、新しい経路を作ります。治療できる年齢や原因に制約があり、シャントにとって変わる治療法にはいまだ至っていません。

単純な先天性水頭症では、早期に適切な治療を行えば3分の2程度の例で、正常な脳の成長が期待できます。予後に関しては、ほかの合併する奇形にもより、さまざまです。

🇲🇬真性思春期早発症

性腺刺激ホルモンが分泌され、二次性徴の成熟が早い年齢で起こる疾患

真性思春期早発症は、下垂体(脳下垂体)から性腺(せいせん)刺激ホルモンであるゴナドトロピンが分泌され、それにより性腺からの女性ホルモンまたは男性ホルモンの分泌が盛んになり、二次性徴の成熟が通常の思春期よりも2〜3年程度早い年齢で起こる疾患。

中枢性思春期早発症、脳性思春期早発症、ゴナドトロピン依存性思春期早発症とも呼ばれます。

女子では、乳房が少しでも膨らんできた時が、思春期の開始です。この乳房の発育が7歳6カ月以前に起こった時、真性思春期早発症の可能性が高いといえます。8歳より前に陰毛が生えてくる、10歳6カ月より前に月経が発来するなどの症状も認めます。

乳房発育だけがみられる時は、女性ホルモンの分泌の一過性の高進によると考えられる乳房早期発育症との区別が必要です。

男子では、精巣( 睾丸〔こうがん〕)が4ミリリットル以上の大きさになった時が、思春期の開始です。この精巣の発育が9歳未満で起こった時、真性思春期早発症の可能性が非常に高いといえます。10歳より前に陰毛が生えてくる、11歳より前にひげが生えたり、声変わりするなどの症状も認めます。

この真性思春期早発症は、脳内視床下部よりも中枢にある成熟時計と呼ばれる体内時計により、視床下部からの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(ゴナドトロピン放出ホルモン〔GnRH〕または 黄体形成ホルモン放出ホルモン〔LHーRH〕)の分泌が高進し、これが下垂体からの性腺刺激ホルモンであるゴナドトロピン(黄体形成ホルモン〔LH〕および卵胞刺激ホルモン〔FSH〕)の分泌を促進し、さらにこのゴナドトロピンが女性の性腺である卵巣からの女性ホルモンであるエストロジェンの分泌、男性の性腺である精巣からの男性ホルモンであるテストステロンの分泌を促進することで引き起こされ、二次性徴が早く起こります。

また、真性思春期早発症は、胚芽腫(はいがしゅ)・過誤腫・星状細胞腫などの脳腫瘍(しゅよう)や脳炎後遺症、水頭症などによる器質性思春期早発症と、明らかな原因が認められない特発性思春期早発症の2つに大きく分けられます。

女子に起こるものの多くは、原因不明の特発性思春期早発症ですが、男子に起こるものは脳腫瘍などによる器質性思春期早発症が多くみられます。

女性ホルモンであるエストロジェン、または男性ホルモンであるテストステロンが早期に分泌されることにより、成長のスパート(急激な進行)が起こります。女子に男子の約3〜5倍多く、起こります。

原因が脳腫瘍による場合は、腫瘍の圧迫症状による頭痛、視野狭窄(きょうさく)などが起こることがあります。

未治療で放置すると、実際の年齢に対して、実際のその人の体の年齢を現す骨年齢が促進して、骨が成長する骨端(こったん)が早期に融合するため、一時的に身長が伸びた後、最終的に低身長で成長が終わります。

低年齢で乳房が大きくなってきた場合や、急に背が伸びてきた場合には、小児内分泌科などを受診することが勧められます。

真性思春期早発症の検査と診断と治療

小児内分泌科、小児科、内分泌科、内分泌内科、内分泌代謝内科の医師による診断では、問診でいつごろから、どのような症状が始まったかを聞き、視診と触診で全身および外性器の性成熟の状態をチェックします。

また、ホルモン検査で血液中の性腺刺激ホルモンや性ホルモンの分泌状態、頭部MRI(磁気共鳴画像撮影)検査で脳腫瘍などの病変の有無、腹部超音波(エコー)検査で副腎や卵巣の腫瘍の有無を調べることもあります。手と手首のX線(レントゲン)検査を行い、骨年齢を判定して骨の成熟の有無を調べることもあります。

ホルモン検査では、性腺刺激ホルモンと性ホルモンの基礎値の上昇が認められるとともに、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)負荷試験( 黄体形成ホルモン放出ホルモン〔LHーRH〕テスト)では、性腺刺激ホルモンの思春期レベルの反応が認められます。また、骨年齢が促進し、成長率も高くなります。

小児内分泌科、小児科、内分泌科、内分泌内科、内分泌代謝内科の医師による治療では、GnRHアナログ(LHーRHアナログ)という薬剤で選択的に性腺刺激ホルモンの分泌を抑えます。月に1回の皮下注射を行うことで、多くの場合は著しい効果を示し、二次性徴の進行停止、退縮がみられ、骨年齢の進行が緩やかになります。

器質性思春期早発症の場合、脳腫瘍が原因であれば、外科手術により腫瘍を摘出します。手術により切除が難しい場合は、放射線治療や化学療法(抗がん剤)を行います。

しかし、過誤腫が原因であれば、腫瘍そのものによる圧迫症状などがなければ、薬物療法を行います。また、脳炎後遺症、水頭症が原因であれば、薬物療法を行います。

🇲🇬新生児壊死性腸炎

新生児の未熟な腸管に発症し、出血や壊死が起きる消化管疾患

新生児壊死(えし)性腸炎とは、未熟な腸管に発症する後天性の消化管疾患。

広範囲の腸管に出血や、組織や細胞の一部が死滅する壊死が起き、死亡率も高く、新生児医療における重い疾患の一つです。壊死の範囲や程度によって、重症度に幅があります。

原因は不明ですが、未熟な小腸と大腸への血液の流れが障害され、それに細菌などの感染症、人工ミルクによる腸管へのストレスなどの誘因が加わり、発症すると考えられています。症例の4分の3は、出生体重が1500グラム未満の極低出生体重児に発症しています。

生後4〜6日に発症することが多く、その多くは授乳開始後に発症しています。出生体重が1000グラム未満の超低出生体重児や、重度の子宮内胎児発育遅延が認められた新生児では、授乳開始前に発症するケースもあります。

症状としては、胃の中のミルク停滞、腹部膨満、粘血便などを認めます。腸管に孔(あな)が開く腸穿孔(せんこう)を起こすと、腹腔(ふくこう)内に腸管の内容物が漏れて腹部全体に炎症を起こす腹膜炎や、細菌が血管などに入り全身に感染する敗血症を生じ、重症になることがあります。

ほとんどが新生児特定集中治療室(NICU)に入院中の新生児に発症するため、全身管理を行い、必要であれば直ちに外科治療を行う必要があります。

新生児壊死性腸炎の検査と診断と治療

小児科、小児外科の医師による診断では、特徴的な症状に加え、腹部X線(レントゲン)検査を行うと、腸管拡張像、腸壁内ガス像、腸と肝臓をつなぐ門脈内ガス像が認められます。

非典型例では腸管内のガスが乏しく、腸管に孔が開く腸穿孔の後に初めて、新生児壊死性腸炎と判断されることもあるため、繰り返し腹部X線検査を行って経過観察することが重要になります。

小児科、小児外科の医師による治療では、早期診断、早期治療が重要で、新生児壊死性腸炎が疑われたら授乳を禁じ、胃管を入れて内容物を外に吸出して腸管の減圧を行い、輸液の点滴、抗生剤の投与を開始します。呼吸や血液循環の積極的管理も行います。

内科的治療で改善傾向が認められない場合や、腸が穿孔した場合には、手術を行います。穿孔が部分的であれば、穿孔した腸と壊死した腸管を可能な限りに切除し、切除した端と端をつなぐ手術をします。穿孔と壊死が広範囲に及んでいれば、切除した端と端を消化管ストーマ(人工肛門〔こうもん〕)にします。その後、状態や体重増加、時期をみて、消化管ストーマを閉鎖する手術を行います。

新生児壊死性腸炎の発症率は、新生児集中治療室(NICU)に入院中の新生児の0・2パーセント前後です。死亡率は30~40パーセントとされ、救命率は治療の時期や壊死範囲、出生体重で異なります。極低出生体重児では死亡率は依然として高く、予防と早期治療が最も大切です。

🇲🇬新生児エリテマトーデス

新生児に円板状の紅斑、時に肝機能異常、血球減少などの全身症状を生じる疾患

新生児エリテマトーデスとは、慢性円板状エリテマトーデに似た円板状の紅斑(こうはん)、もしくはシェーグレン症候群に随伴する円板状の紅斑によく似た症状を、誕生時から誕生後1カ月以内に生じる疾患。新生児紅斑性狼瘡(こうはんせいろうそう)とも呼ばれます。

紅斑は顔面を中心にして、頭部、胸部、四肢などに生じますが、6カ月程度経過するころには、軽度の色素沈着を残して消失してゆきます。しかし、皮膚の症状とともに、膠原(こうげん)病の代表的な疾患で全身性の症状を伴う全身性エリテマトーデスの特徴である溶血性貧血や、肝臓と脾臓(ひぞう)が肥大する肝脾腫(しゅ)、血小板減少、白血球減少、発熱といった全身症状を生じることがあります。

まれには、皮膚症状、全身症状とともに、不可逆性の先天性に脈が乱れる房室ブロック(2度房室ブロック、AVブロック)、あるいは完全房室ブロック(3度房室ブロック)を生じることがあります。新生児エリテマトーデスの新生児の1〜 2%で、房室ブロックを伴うとされています。

房室ブロックは不可逆性の重篤な心伝導障害ですが、それ以外の皮膚症状、肝機能障害、血液障害は一過性の可逆的な障害で、誕生後1年以内に自然に治癒し、持続的な後遺症は残りません。しかし、新生児エリテマトーデスの子供が成長した後、成人期に全身性エリテマトーデスを発症することも、ないわけではありません。

新生児エリテマトーデスは極めてまれな疾患で、全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群に罹患した母親、あるいは時に無症状の母親から、母親由来の自己抗体が胎盤を経て、胎児に移行することによって発症します。抗SS-A抗体、抗SS-B抗体が原因といわれており、特に抗SS-A抗体は皮膚症状に関与しています。

6カ月程度経過すると紅斑を生じる皮膚症状に改善がみられ、その際、母親由来の抗SS-A抗体、抗SS-B抗体も新生児から消失するため、これらの抗体の関与が指摘されています。

新生児エリテマトーデスは出生前に診断することが可能で、適正な治療を行うことで、新生児を最適な健康状態に導くこともできます。例えば、出生前に徐脈心不全が進行する先天性房室ブロックが胎児に見付かった場合は、リトドリンという治療薬の点滴や錠剤による母親への投与が胎児の心拍数増加、心機能改善、子宮収縮抑制作用を有し、出生後のイソプロテレノールという徐脈、房室ブロックの治療薬への反応の予測にも役立つ治療法です。

先天性房室ブロックを随伴している新生児エリテマトーデスの新生児に対しては、出生直後から発症する高度の呼吸循環不全を乗り切るため、産科、新生児科、循環器科、心臓外科が連携して、呼吸管理、抗心不全療法を行います。房室ブロックを伴う新生児エリテマトーデスの新生児の死亡率は15~22%で、新生児の時期を乗り越えると予後はよくなります。

新生児エリテマトーデスの検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、免疫血清や血液の検査を行います。免疫血清検査では、高頻度にみられる血清中の抗SS-A抗体、抗SS-B抗体を調べます。また、血液検査によって 貧血の程度や白血球減少、血小板減少の有無を調べます。

併せて、皮膚生検も行います。顔面の頬(ほお)などの紅斑の皮膚症状が出ている部位から米粒大の皮膚組織を採取して顕微鏡を用いて判断する病理組織検査で、事前に眠り薬を点滴で投与してから、組織を採取します。

母親由来の自己抗体が発症の原因と見なされているので、母親の問診、血液検査をすることもあります。自覚症状を認めていない母親に、採血にて抗SS-A抗体と抗SS-B抗体陽性が指摘されたり、膠原病である全身性エリテマトーデスやシェーグレン症候群の可能性が指摘されることもあります。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、基本的には皮膚症状、全身症状ともに、対症療法を中心に行います。皮膚症状に対しては、ステロイド薬(副腎〔ふくじん〕皮質ステロイド薬)の軟こうを直接塗ることが一般的です。目立つほど顔にできている場合や、頭皮の脱毛がひどい場合は、内服のステロイド薬を使用します。

全身性エリテマトーデスを合併する場合には、内臓の炎症に対して内服のステロイド薬が有効で、効果を発揮しています。

円板状の紅斑の悪化を防ぐためには、紫外線を避ける必要があります。肌の露出を控えるために、日焼け止めや帽子、長袖(ながそで)などの対策が大切です。肌に過剰な刺激を与えることも悪影響なので、かゆみがある時でもかいたり刺激を与えないように気を付ける必要があります。薬を塗る時なども、手を洗い清潔な状態で塗るようにします。

先天性房室ブロックに対しては、恒久型ペースメーカーの植え込みが適用されることもあります。ペースメーカーは、正常よりも脈が遅くなる徐脈時には電気刺激を出して心臓の拍動を調整するもので、脈の状態は心臓の中に留置したリード線を通して察知します。手術で、ライターほどの大きさのペースメーカーを鎖骨の下に埋め込みます。

🇰🇲新生児黄疸

新生児の血液中にビリルビンが増えて組織に蓄積し、皮膚や眼球結膜が黄色みを帯びる状態

新生児黄疸(おうだん)とは、新生児の赤血球が破壊され、血液中にビリルビン(胆汁色素)が増加して脂肪組織に沈着した結果、皮膚や眼球結膜が黄色く見える状態。新生児は大人に比べて黄疸になりやすく、ほとんどが生理的黄疸で特に治療は必要ありませんが、中には病的な黄疸もあります。重症な黄疸を治療せず放置した場合、脳性まひを残す危険もあります。

生理的黄疸は、90パーセント前後の新生児に起こります。血液中の赤血球が破壊される際に、ヘモグロビン(血色素)からできるビリルビンが黄染の原因で、ビリルビンは肝臓で処理され、腸から便中に排出されますが、生理的黄疸は新生児期に特有の要因により起こります。

その理由としては、新生児は大人に比べて赤血球数が1・5~2倍程度多い多血症で血液濃度が高く、赤血球の寿命も短いため、ビリルビンが大人より多量に産生されること、新生児は肝臓の機能が未熟なため、ビリルビンがほとんど脂溶性で細胞毒性の強い間接型ビリルビン(非抱合型ビリルビン)として排出されること、新生児は腸管運動が十分でないため、腸に排出されたビリルビンが再度肝臓に吸収されることが挙げられます。

生理的黄疸は一般に、生後2〜3日に皮膚が黄色に見えるようになります。顔面から始まり、体の中心部、そして手足へと黄染が強くなっていって、生後4〜5日でピークを迎え、生後1週間を過ぎると自然に消えて、肌色に落ち着きます。

大部分は軽くて、特別の治療を必要としません。

ただし、生まれた時の体重が2500グラム未満の低出生体重児では、間接型ビリルビンが脳の神経細胞に蓄積、黄染していろいろな神経症状を来す核黄疸を生ずる危険があります。まれですが、成熟児にも核黄疸が起こります。

新生児黄疸の検査と診断と治療

小児科の医師による診断では、足の裏などから血液を採取して血液中のビリルビン値を調べます。

小児科の医師による治療では、生理的なものであり通常は自然に治りますが、黄疸が高度な場合は光線療法という治療を行います。

新生児を裸にしてアイマスクを付け、波長420~460nm(ナノメートル)のブルーの光を当てるもので、光エネルギーが作用すると皮膚や皮下毛細血管内のビリルビンの分解が促進されたり、水溶性で細胞毒性の弱い直接型ビリルビン(抱合型ビリルビン)に変えられて、胆汁中に排出されます。

光線療法でもビリルビン値が下がらない場合、あるいは早い時期に核黄疸の危険性がある場合などは、ビリルビンのたまった血液が脳に移行するのを防ぐために、交換輸血を行います。新生児自身の血液をゆっくり取り出しながら、見合う量を輸血する治療法で、新生児自身の約85パーセントの血液が交換されます。

現在では、交換輸血と同程度の効果を持つガンマグロブリンの静脈内注射療法も存在しています。

🟥インフルエンザ感染者、2週連続増加 1医療機関当たり11・33人

 厚生労働省は23日、全国約3000の定点医療機関から12~18日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数は計4万3027人で、1医療機関当たり11・33人だったと発表した。前週比1・07倍で、2週連続の増加となった。全国平均で警報レベルとされる1医療機関当たり30人を下回...