2022/08/18

🇸🇨廃用症候群(生活不活発病)

体を動かさない状態が続くことが原因で、全身の機能が低下する障害

廃用症候群とは、長期の安静で体を動かさないことによって二次的に起こる、全身の機能低下の総称。廃用とは使わないという意味で、廃用症候群は生活不活発病とも呼ばれます。

高齢者や、持病のために安静が必要な人に起こりやすく、寝たきり状態や入院などが切っ掛けとなることが多くみられますが、災害時の避難生活でも多発することから、東日本大震災発生後、厚生労働省などは注意を呼び掛けています。

症状としては、歩行、食事、入浴、洗面、トイレなど身の回りの動作が不自由になり、家事や仕事、趣味やスポーツ、人との付き合い、電話やメールで連絡をとるなどの日常活動も低下します。

健常な人でも体を動かさないでいると、意外に早く筋力が落ちたり、関節が固まるなど運動器官の機能低下がみられます。安静による筋力低下は1週目で20パーセント、2週目で40パーセント、3週目で60パーセントにも及び、1週間の安静によって生じた筋力低下を回復するには1カ月かかるともいわれています。特に高齢者では、その範囲が大きく、進行が早くなります。

体を動かさなくなり、頭も使わなくなったために起こる機能の低下は、筋肉や関節だけではなく、全身のいろいろの臓器に生じてきます。抑うつ状態、仮性痴呆(ちほう)、偽痴呆などの精神や知能の障害、床擦れ、廃用性骨委縮(骨粗鬆〔こつそしょう〕症)、起立性低血圧、静脈血栓症、沈下性肺炎、尿路結石、尿閉、尿失禁、便秘などが、主な障害として挙げられます。

「年のせい」と思いがちな、いろいろな動作の不自由や体力の衰えが、実はこの廃用症候群によるということも多いのです。また、「病気のため」と思っていることに、実はこの廃用症候群が加わっていることも多いのです。

廃用症候群はいったん起こると悪循環に陥りやすく、機能の回復には相当の時間を要するため、治療よりも予防のほうが大切です。すなわち、動かして起こるリスクより安静にして起こるリスクのほうが高いことを認識し、動くことで心身の機能低下を予防しなければなりません。家族や周囲が早期に気付けば、積極的に体を動かさせることで機能の改善、回復も見込めます。

体を動かす用事や機会を増やしながら、自然に体や脳を活性化させたり、腰や脚など下半身の筋肉を保ったりすることが大切。外出する意欲を持てるよう仲間を作るのもよいでしょう。

より進行した高齢者に対しては、トイレまで歩きやすいよう手すりを設置したり、シルバーカーを利用したり、介助者が手を引くなどの方法もあります。ひざの痛みがあるとかがみにくいので、トイレを和式でなく洋式にすると使いやすくなります。

高齢者の介護では、特に寝たきりでいることによって起こる廃用症候群を防ぐことが大切であるといわれています。それぞれの症状や環境に応じて、安全に配慮しながら工夫を心掛けることです。

🇸🇨パイロニー病

陰茎の皮膚の下に硬いしこりができる疾患

パイロニー病とは、陰茎の皮膚の下に硬いしこりができる疾患。陰茎形成性硬結症、陰茎硬化症、ペロニー病、ペイロニー病とも呼ばれます。

30~50歳代の男性に多く、陰茎海綿体を包む白膜(はくまく)という結合組織に、線維性のしこり(硬結)ができます。しこりは陰茎の陰嚢(いんのう)と反対側の面にできることが多く、すじ状のものから板状で骨のようなものまで、さまざまな形があります。

勃起(ぼっき)すると陰茎がしこりのある方向に曲がり、疼痛(とうつう)が起こることもあります。曲がり具合にもよりますが、十分な勃起が得られず、パートナーとの性交に支障を来すこともあります。

平常時は痛くもかゆくもなく、しこりそのものは無害と考えられ、自然によくなることもあります。

詳細な原因は、まだよくわかっていません。慢性陰茎海綿体炎、糖尿病、痛風、外傷などとの関連が疑われています。

また、手のひらや指の腱膜(けんまく)の肥厚と収縮によって、主として小指や薬指が次第に曲がって変形するデュプイトラン拘縮という疾患が、パイロニー病に合併して起こることがあります。デュプイトラン拘縮は北欧系の白人に多く、日本人には比較的少ないものの、中年すぎの50~60歳での発症が時々みられ、5対1の割合で男性に多く、半数以上は両手に起こります。

パイロニー病らしいと思い当たり、性生活に支障を来すようであったり、ほかの疾患、例えば陰茎がんなどとの見極めが困難な場合は、泌尿器科などの医師に相談することが勧められます。

パイロニー病の検査と診断と治療

泌尿器科の医師による診断では、特徴的なしこり(硬結)の症状の視診、触診で確定できます。以前に外傷や炎症などがあったかどうかが、参考になります。パイロニー病ががんになることはありませんが、がんによるしこりと区別するために、しこりの一部を切除して組織検査を行うこともあります

パイロニー病に特に有効な根本的な治療法は、現在のところありません。勃起障害の原因となったり、痛みが起こる場合には、超音波治療、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の局所注射ないし内服、コラーゲン分解酵素の局所注射、ビタミンEの内服、ヘパリン類似物質や非ステロイド系消炎鎮痛薬の軟こうの塗布などが試みられますが、あまり有効ではないようです。痛みが起こる場合には、放射線照射が有効とされています。

性交渉に障害が出るような場合、本人が希望すれば手術を行うこともあります。陰茎海綿体を包む硬化した白膜を切除し、欠損部には皮膚の移植をします。ただし、手術後の瘢痕(はんこん)組織が硬化して、手術前より悪化することがあります。

🇲🇺歯ぎしり

睡眠中に歯をこすり合わせたりする習癖

歯ぎしりとは、睡眠中に上あごと下あごの歯をこすり合わせたりする習癖。歯には、咬耗(こうもう)と呼ばれる歯が擦り減った跡が見られます。

歯ぎしりの仕方には、歯をこすり合わせるほか、歯をカチカチ合わせる、歯をくいしばるという3タイプがあります。

上下の歯をこすり合わせるのが一般的で、下のあごが左右に素早く動いた状態を繰り返し、ギリギリ、ガリガリという音が出ます。この動きは、起きていて意識がある時に再現するのは難しく、無意識に早く、大きく動かしている人が多くみられます。

歯をカチカチ合わせるのは、下のあごが上下に素早く動く状態を繰り返し、上下の歯をぶつけ合うので、カチカチ、カンカンといった音が出ます。軽くカチカチ当てる人から、強く当てる人までさまざまです。

歯をくいしばるのは、あごに力を入れて上下の歯をギュッと強くかみ締めた状態で睡眠していて、音はほとんどしません。自分の体重ほどの力で、無意識にかむ人もいます。起床時にあごの疲れを感じたら、このタイプの歯ぎしりが疑われます。

3タイプの歯ぎしりを全部する人もいますし、人によってさまざま。いずれにせよ、歯ぎしりは歯や体の健康にとってあまりいいものではありません。

周囲の人にとっても、夜中に隣で寝ている人にギリギリ、ガリガリ、カチカチ、カンカンと大きな音を立てられると、たまったものではありません。目が覚めたら最後、不快な音が気になってなかなか寝付けなくなってしまうでしょう。ところが、歯ぎしりをしている当の本人は、音をさせながらもスヤスヤと夢の中にいます。

自分自身が立てている音に気付かないのは、だれもが睡眠中は感覚器の伝達経路が遮断されているためです。起きている時は、音は筋肉から脊髄(せきずい)を通り脳へと伝えられますが、睡眠中はこの回路が全く働かなくなるため、脳はすぐそばのあごで起こっている歯ぎしりの音を感知できなくなるのです。

つまり、周囲にいるほかの人から注意されない限り、自分自身の歯ぎしりに気付くことはほとんどないでしょう。ほとんど音を発することなく、ギュッと歯をかみ締めるタイプの歯ぎしりは、他の人に気付かれることも少ない一方、あごの痛みで目を覚ます人も中にはいます。

日中に上下の歯が接触している時間は、食事の時間がほとんどで、累積は約15分といわれています。睡眠中の夜間の歯ぎしりにおいては、最長90分程度接触しているといわれています。日中の数倍の時間というだけでなく、夜間の歯ぎしりによって歯にかかる力は日中の数倍、または数十倍ともいわれています。

歯ぎしりの原因として、精神的ストレス、肉体的ストレスとの関連が指摘されているほか、歯のかみ合わせが悪い人にもよくみられます。継続的に起こるケースが危険なので、特に歯のかみ合わせが問題視されます。

歯のかみ合わせが悪い原因としては、あごの筋肉の緊張がアンバランスとなっていることが挙げられます。例えば、虫歯があって歯が痛い時や虫歯治療の金属冠の高さが不適合な時、歯を抜いた後ほったらかしにしたりすることでかみ合わせがおかしくなっている時は、あごの筋肉の緊張がアンバランスになっているといえます。

精神的ストレス、肉体的ストレスから起こっている場合は、寝ている間に歯ぎしりすることによって、日常の不安や憂うつを発散させているのです。かみ合わせに問題がない場合は、今ストレスを抱えていないか、よく考え、なるべくストレスを回避することが大切です。

大人だけでなく、子供も同じようにストレスが要因で 歯ぎしりをすることもあるようです。自分の子供が歯ぎしりをしたら、かみ合わせだけでなく、何かストレスに感じていることはないか考えてみましょう。

激しい歯ぎしりが続くと、単に眠りの妨げになるばかりでなく、 歯が擦り減る、歯周組織が損傷する、知覚過敏症になる、外骨腫(がいこつしゅ)が起こるなどのダメ−ジを受ける恐れもあります。知覚過敏症とは、歯の根元が擦り減ったようにえぐれて、水などがしみる疾患です。外骨腫とは、歯の回りの骨が異常に突出する疾患です。

また、肩凝り、あごの痛み、あごのだるさ、目の奥の痛み、偏頭痛や顎(がく)関節症を引き起こすこともありますし、耳鳴りがする、熟睡できないなど自律神経失調症による体の異変が現れることもあります。

最も気を付けたいのは、睡眠時無呼吸症候群と関連が深い点です。この睡眠時無呼吸症は、歯ぎしりの直後に頻発することが確認されており、眠っている間に呼吸が停止する結果、脳が酸欠状態となり、突然死を引き起こすこともあります。

歯ぎしりが気になったら、なるべく歯科医と相談し、それぞれに合った治療法を探すことが大切です。

歯科医による治療法としては、歯のかみ合わせの調整、マウスピースの装着、精神的ストレスの緩和、自己暗示療法などが挙げられます。薬局などで手軽に購入できるマウスピースも、種類が豊富にあります。

🇲🇺白衣高血圧

白衣高血圧とは、病院や診療所で医師が測る外来血圧のほうがふだんの血圧より高くなって、軽い高血圧と診断されるレベルまで上昇してしまうことです。

白衣高血圧の人は、病院という非日常的な環境に緊張してしまうようです。緊張すれば、血管が収縮して、血圧が一時的に上がります。とりわけ、医師や看護士の白衣がきっかけになると考えられるので、白衣高血圧と呼ばれるのです。

病気ではなく一種の現象ですから、積極的に治療しなくても、脳卒中や心筋梗塞といった高血圧性臓器障害にはつながらないとされていますが、将来、本当の高血圧になりやすいとの報告もあります。減塩など生活習慣の見直しは、心掛けたほうがよいでしょう。

🇲🇺白色便性下痢症

冬季に乳幼児の間で流行し、白っぽい水様便が続く腸炎

白色便性下痢症とは、冬季に乳幼児の間で流行し、白っぽい水様便が続く腸炎。ロタウイルス腸炎、ロタウイルス下痢症、乳児嘔吐(おうと)下痢症、仮性小児コレラなどとも呼ばれます。

オーストラリアのビショップが1975年に発見したロタウイルスの感染が原因となって、11〜3月ごろまでの乾燥して気温が5℃以下になる寒い時期に、乳幼児が発症します。生後6カ月から2歳までが好発年齢であり、発症すると重症化しやすくなります。

発展途上国では乳児死亡の主な原因の一つに挙げられていて、医療が発達した先進国でも1歳未満の乳児には恐ろしい疾患です。保育所、幼稚園、学校などで集団発生することもありますが、多くは感染経路が明らかではありません。

3カ月未満では母親からの免疫で守られ、3歳以上の年齢層では発病しても一般には軽症です。

症状としては、1日に数回から十数回の下痢が5~7日続き、酸っぱい臭いの、白っぽい水様便が出ることが特徴です。便が白っぽくなるのは、ロタウイルスが感染して胆汁が十分に分泌されなくなるためです。時には、白くならずに黄色っぽい便のままのこともあります。

発病初期には吐き気、嘔吐を伴うのが普通ですが、通常、半日から1日で落ち着きます。軽い発熱と、せきを認めることもあります。

下痢の回数が多いと、脱水症状が現れます。その兆候としては、ぐったりしている、機嫌が悪い、顔色が悪く目がくぼんでいる、皮膚の張りがない、唇が乾燥しているなどが挙げられます。まれですが、けいれん、脳症、上方の腸管が下方の腸管の中に入り込む腸重積(じゅうせき)、腎(じん)不全を伴うことがあります。

脱水症状の兆候が認められたり、けいれんなどほかの症状が認められたら、できるだけ速やかに小児科、ないし内科の医師を受診することが、体力のない乳幼児にとって大切なことです。

白色便性下痢症の検査と診断と治療

小児科、ないし内科の医師の診断は、症状と便中のロタウイルスの検出により確定します。イムノクロマト法を利用した迅速診断検査薬で、10分以内にロタウイルスを検出できます。

人に感染するロタウイルスにはA、B、C群があり、A群以外は頻度は少ないものの、一般の検査試薬では検出できません。しかし、B群は以前に中国で流行したものの日本ではみられませんし、C群による腸炎は主に3歳以上の年長児や成人にみられ、A群のような大規模な流行はほとんどなく、流行散発例あるだけです。C群は、最も感度が高い電子顕微鏡検査で検出します。

脱水の状態は、排尿があれば尿中のアセトン体の有無および量で推定します。血液中の電解質を調べることもあります。

白色便性下痢症には、特効薬はありません。小児科、ないし内科の医師による治療では、嘔吐を伴う時期には絶食、絶飲が行われます。嘔吐に対しては、鎮吐(ちんと)剤を使用することもあります。

嘔吐、吐き気が治まると、下痢による脱水症状を改善するための対症療法が行われます。まず、経口補水液をこまめに与えます。すぐに嘔吐するようであれば、入院して点滴をしなければなりません。また、外来で点滴だけを受けることもできます。

嘔吐がなければ、経口補水液の量を増やしていきます。動物性蛋白(たんぱく)質、脂肪に富むミルクや牛乳をこの時期に与えると、ウイルスの攻撃を受けて弱っている腸に負担がかかって吐きやすい上、下痢が長引く恐れがありますので控えます。母乳の蛋白質、脂肪はミルクや牛乳のそれよりも吸収されやすいため、少しずつなら与えても差し支えありません。

さらに野菜スープを与えることへと進め、経口摂食が可能であれば、少量で回数を多くした食事を与えます。腸にかかる負担が最も少ないのは、重湯、おかゆ、うどん、パンなどのでんぷん類です。年齢的にミルクが主たる栄養源で、離乳が進んでいなくて下痢が著しい時には、ミルクを薄めたり、大豆から作ったミルクや牛乳の蛋白質を加水分解したミルクを勧めることもあります。

止痢(しり)剤は原則として使わず、ラックBやビオフェルミンなどの生菌製剤を用います。ロタウイルスの再感染は多く、免疫は生涯できませんが、多くは重症にならずに済みます。

乳幼児の世話をする人は、便とオムツの取り扱いに注意が必要です。ロタウイルスは感染力が強く、下痢便中に大量に排出されるウイルスなので、便に触った手から口に感染することがほとんどのため、せっけんを使って十分に手洗いをし、漂白剤や70パーセントアルコールの消毒液で、オムツ交換の場所や周辺をふきましょう。オムツ交換の場所に、おねしょパッドやバスタオルを敷いておくと、布団までを汚さずに済みます。

予防のためには、予防接種が最も良い対抗手段となります。日本でも2011年11月よりロタウイルスワクチンが認可されましたので、乳児には接種を受けることが勧められます。予防ワクチンには、ロタリックス、ロタテックの2種類があり、生後6週から接種できますが、ヒブや小児用肺炎球菌など他のワクチンとの同時接種を考えて、生後2カ月からが最適です。

🇰🇲白癬(はくせん)

白癬菌と呼ばれる一群の真菌が皮膚に感染

白癬(はくせん)とは、皮膚糸状菌が皮膚に感染して起こる疾患。皮膚糸状菌の多くは、白癬菌と呼ばれる一群の真菌(カビ)です。

白癬菌は高温多湿を好み、ケラチンという皮膚の蛋白(たんぱく)を栄養源とするため、足の裏、足指の間などが最も住みやすい場所になります。白癬は発症部位によって、頭部白癬、顔面白癬、須毛(しゅもう)部白癬、体部白癬、股部(こぶ)白癬、陰嚢(いんのう)白癬、手白癬、足白癬、爪(そう)白癬などに分けます。

●頭部白癬(しらくも)、ケルスス禿瘡(とくそう)

頭部に生じる白癬。しらくもでは、頭皮がカサカサして毛が抜けてきます。頭の毛の中に深く菌が入るとケルスス(ケルズス)禿瘡という深在性白癬になり、うみ、しこりを伴うようになって、放置すると瘢痕(はんこん)、難治性の脱毛を生じます。ケルスス禿瘡は、子供が犬や猫と遊んで移ったイヌ小胞子菌により生じることがしばしばあります。

●体部白癬(ゼニたむし)

生毛部にでき、表皮に限局する浅在性白癬で、被髪頭部、手のひら、足の裏、陰嚢、陰股部を除く部位の白癬をいいます。ステロイド薬を外用している人に多く、原因菌は猩紅色(しょうこうしょく)菌であることが多いのですが、近年、犬猫に寄生しているイヌ小胞子菌による発症者が増えています。

生毛部に比較的強いかゆみを伴う輪状に配列する発疹(はっしん)で、小水疱(すいほう)、紅色小丘疹からなります。中心にはフケ状のものが付着し、疾患が治ったようにみえるので、これを中心治癒傾向があると表現します。

股部白癬ほど皮膚が硬くも厚くもならず、色素沈着も強くありません。イヌ小胞子菌の場合は感染力が強く、露出部に小型の輪状疹が多発します。

●股部白癬(いんきんたむし)

頑癬(がんせん)ともいい、太ももの内側(陰股部)にできる浅在性白癬です。夏季に、男性に多くみられ、時に集団発生することもあります。原因菌は、大部分が猩紅色菌ですが、まれに有毛表皮糸状菌によることもあります。

中心治癒傾向がある境界鮮明な輪状の湿疹様の形で、激しいかゆみがあります。中心部の皮膚は厚く硬くなり、色素沈着がみられ、辺縁は紅色丘疹が輪状に配列、融合して、堤防状の隆起を形成します。陰股部のほか、臀部(でんぶ)に生じやすく、まれに下腹部にまで及ぶこともあります。

●足白癬(水虫)

足にできる浅在性白癬で、最も頻度の高い真菌症です。主に、足の裏に小水疱ができる小水疱型汗疱型、足の指の間にできる趾間(しかん)型、足底全体に角化のみられる角質増殖型に分類されます。小水疱型は、足底や足縁に小水疱や紅色丘疹ができるか、または皮がむけ、強いかゆみがあります。趾間型は、足の指の間の皮がむけ、白くふやけたようになります。第4指と第5指の間によく発症します。角質増殖型は、足底全体の角質が厚くなり、皮がむけ、あかぎれも生じます。

●爪白癬(爪の水虫)

足白癬を放置していると、白癬菌が爪(つめ)を侵し、爪白癬になります。爪にできることはまれと従来いわれていましたが、最近の統計によると足白癬を持つ人の半分が爪白癬も持っていることがわかりました。高齢者に多くみられます。

爪の甲の肥厚と白濁を主な特徴とし、自覚症状はありません。まれに、爪の甲の点状ないし斑(まだら)状の白濁のみのこともあります。陥入爪(かんにゅうそう)の原因の一つにもなりますが、一般にカンジダ症と異なり、爪の爪囲炎の合併はまれです。

白癬の検査と診断と治療

医師による白癬の検査では、ふけや水疱部の皮膚、爪、毛を水酸化カリウムで溶かし、溶けずに残る白癬菌を顕微鏡で観察する方法が一般的で、皮膚真菌検査と呼ばれます。 時には、培養を行って、原因菌の同定を行うこともあります。手足に水ぶくれがみられ、原因が明確になっていない汗疱との区別が、白癬の検査では必要とされます。

治療法としては、白癬菌を殺す働きのある抗真菌薬の外用が一般的です。手足では4週間、そのほかは2週間で症状が改善しますが、皮膚が入れ替わる数カ月間の外用が必要です。広範囲のもの、抗真菌薬でかぶれるもの、爪白癬、ケルスス禿瘡では、内服療法を行います。

爪白癬の場合、少なくても3〜6カ月間の内服が必要です。肝臓に負担がかかることもあるため、肝臓の弱い人は内服できません。内服中は1カ月に1回、肝機能検査を行います。ケルスス禿瘡の場合、頭のしらくもをかぶれと間違って副腎皮質ステロイド薬を塗っているうちに、症状が進展して生じる場合も多いといえます。ステロイド薬を早急に中止することが必要です。

生活上で白癬に対処する注意点を挙げると、真菌(カビ)は高温多湿を好むので、その逆の状態にすることが必要です。すなわち、蒸さない、乾かす、よく洗うといったことです。足白癬(水虫)の場合、ふだんから足の清潔を心掛けることは予防のためにも大事です。家族で他に水虫の人がいたら、一緒に治療することが必要です。白癬菌は共用の足ふきから移ることが最も多いため、足ふきは別々にします。

🇰🇲剥脱性口唇炎

唇の皮が繰り返して、はがれ続ける疾患

 剥脱(はくだつ)性口唇炎とは、唇が乾燥して皮がめくれたり、はがれたり、赤くなったり、ひび割れたり、かさぶたがみられたりする疾患。難治性で、症状が繰り返し出現し、治るまでに時間がかかることも少なくありません。

 原因ははっきりしませんが、自分の舌で唇を繰り返しなめる、もしくは自分の手指で唇の皮をむしるなどの物理的な刺激による炎症と考えられています。大人より子供のほうが舌で唇をなめる機会が多く、子供がかかりやすい口唇炎であることから、別名で「舌なめずり口唇炎」あるいは「落屑(らくせつ)性口唇炎」と呼ばれることもあります。

 唇が乾燥している状態であり、舌で唇をなめると唾液(だえき)で一時的に潤ったように感じられますが、舌なめずりのような刺激が繰り返し加わることで、唇の油分が減り、唾液に含まれる消化酵素が乾燥を助長し、唇の皮膚の表層にある角質層がはがれやすくなります。その結果、皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が早まり、角質層が正常に形成されないため、外部からの刺激や異物の侵入から守ったり、内側に蓄えている水分が逃げないようにしたりする皮膚のバリア機能が失われた状態となります。

 唇は極度に乾燥し、それによってさらに舌なめずりを繰り返すことで、症状が悪化するという悪循環を生じます。唇の皮がめくれたり、はがれたり、赤くなったり、ひび割れたり、かさぶたがみられたりするほか、出血などの症状がみられるようになります。また、口角に亀裂(きれつ)が入ったり、唇の内側の皮がむけたりするなど周囲の皮膚にまで炎症が波及することもあります。唾液や飲み物などの刺激によって、ヒリヒリ感、痛み、かゆみを生じることもあります。

 特に冬季などの空気が乾燥した時期に、剥脱性口唇炎は起こりやすくなります。

 剥脱性口唇炎は時に大人にもみられ、栄養不足、ビタミンの欠乏、精神的な背景なども原因になることもあります。

 感染症による口唇炎を伴うケースもあり、唇に水疱(すいほう)ができるものはヘルペスなどのウイルス感染、白い苔(こけ)のようなものが唇に付着するものはカンジダなどによる真菌感染、ただれが強いものは細菌感染が考えられ、強い痛みやはれ、発熱などが現れることもあります。

剥脱性口唇炎の検査と診断と治療

 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、剥脱性口唇炎と確定するためには、アレルギー性の接触性口唇炎、いわゆる、かぶれを除外することが必要です。かぶれの原因として、食べ物や口紅、リップクリーム、歯磨き粉、治療で使用している外用薬などが考えられるので、これらに対しパッチテストを行い、かぶれかどうかを判断します。

 また、口の中にいる一般的なカビであるカンジダや細菌、ウイルスなどの感染を伴うこともあり、それぞれ治療法が異なるので、検査を行います。
剥脱性口唇炎と同じような症状を示す特殊な疾患として粘膜苔癬(たいせん) があるので、この疾患を除外するために、唇の組織を一部切り取って顕微鏡で調べる生検を行うこともあります。

 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、ワセリンなどの保湿剤を使用し、炎症が強い時はステロイド剤(副腎〈ふくじん〉皮質ホルモン剤)や非ステロイド剤の外用薬を使います。また、栄養バランスに気を付け、ビタミン、特にビタミンB2、B6を補うことも治療の一つとなります。

 感染症による口唇炎を伴っている場合には、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬など、それぞれの病原体に適した塗り薬や内服薬を使用します。

 精神的な原因が背景にある場合には、抗うつ剤の内服薬の使用で改善するケースもありますが、無意識のうちに舌で唇をなめたり、皮をむしったりしてしまうことがあって、治りにくくなるので、ストレスをためないなど日常生活を工夫することも大切です。

🟥アフリカ連合、エムポックス緊急宣言終了 新規感染者数減少で拡大抑止

 アフリカ連合(AU)の疾病対策センター(CDC)は23日までに、エムポックス(サル痘)の拡大を受けて2024年8月に出した緊急事態宣言を終了した。22日付。2025年前半から後半にかけて新規感染者数の減少傾向が続き、拡大を抑止できたためとしている。  アフリカでは2024年に...