厚生労働省は、予防接種法に基づき新型コロナウイルスワクチンの費用を国が全額負担し、接種を無料としている特例的な扱いについて、来年3月末までとなっている期限を延長し、当面継続する調整に入りました。
政府・与党内で有料化の議論が浮上していましたが、現在は厚労省や専門家が見直しの前提となる季節性インフルエンザとの病原性の比較などについて評価を続けている段階で、来春から切り替えるには自治体の予算対応などが間に合わないと判断しました。
新型コロナのワクチンは予防接種法上、「まん延を予防する緊急の必要がある」場合の臨時接種の位置付けです。重症化率や死亡率の低下を受けて見直しを求める声が出ているものの、専門家はウイルスの病原性を評価した上で、ワクチン接種の計画を立てるには一定の時間がかかると主張しています。また、国際的にも来年度以降、ワクチン接種を続けるべきか見解は定まっていません。
こうした状況を踏まえ厚労省は、臨時接種の位置付けを当面続けた上で、将来的には他の予防接種と同じ予防接種法上の定期接種に切り替える方針。対象者は重症化リスクの高い高齢者とし、夏と冬の感染拡大前の2回接種とする案も浮上しています。
定期接種化されると、自己負担が出てくる可能性があります。まん延防止を重視するA類では実質無料の場合が多い一方で、B類(65歳以上に対する季節性インフルエンザなど)は、一部自己負担を求める場合もあります。また、定期接種の対象外の人は、原則として全額自己負担となります。
厚労省は専門家会議での議論を踏まえて接種計画を決める方針で、13日の会合ではワクチンの効果の持続期間や諸外国の方針などを考慮することを示しました。専門家からは「(定期接種となれば)自治体の予算を組むのが間に合わない」として、臨時接種の延長を早急に決定するよう求める意見が上がりました。
2022年12月14日(水)