中国東部の浙江省政府は25日、新型コロナウイルスの1日当たりの新規感染者が100万人を超えたと発表しました。広東省東莞市や山東省青島市も数十万人に上り、急増しています。中央政府の公式統計は流行の実態を反映しておらず、情報公開への批判が国内外で高まりそうです。
また浙江省政府は、1日当たりの感染者数が2023年1月1日前後にピークを迎え、200万人に及ぶとの予測も公表しました。
人口が約6500万人の同省は上海市に隣接し、中国ネット通販最大手のアリババ集団が本社を置く杭州市などがあります。アメリカのアップルの取引先工場のほか、日本電産など外資系も多い製造業の集積地で、感染拡大でサプライチェーン(供給網)への影響が懸念されます。
イギリスの調査会社エアフィニティは21日のリポートで、中国の1日当たりの感染者が「100万人を超えた可能性がある」と推計しましたが、大幅に上回る実態が明らかになりました。広東省東莞市の衛生当局も23日、毎日の感染増加が25万~30万人規模だと発表。山東省青島市は毎日の感染増加が49万~53万人との推計値を示しました。
一方、中国国家衛生健康委員会は25日、これまで続けてきた毎日の感染情報の公表をやめると発表し、中国疾病予防コントロールセンターが同日、代わりに感染者数や死者数を公表し、24日に確認した新規感染者数は2940人としました、同センターは衛生健康委員会に所属する政府機関で、発表主体が格下げされました。
海外からは中国の情報公開に疑問の声が上がっており、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は21日の記者会見で感染拡大に懸念を示し、中国政府に重症度や入院患者数など、より詳細な情報を提供するよう求めました。
これに対して中国外務省の毛寧(マオニン)副報道局長は22日の記者会見で、「中国は一貫して透明性のある情報を発表し、WHOにも報告してきた」と反発。情報公開に問題はないとの立場を示しました。
北京市など感染者数が急増した都市では、病院の人手不足が深刻です。現地メディアの財新は23日、「山東・湖北・江蘇の3省が重症者の治療を支援するため北京に医師や看護師を派遣した」と報じました。今後、全国的に感染がさらに増えれば、各地で医療体制が逼迫しそうです。
2022年12月25日(日)