2023/01/11

🟪大塚製薬の認知症の行動障害の治療薬、アメリカで申請受理

 大塚ホールディングス傘下の大塚製薬は10日、アルツハイマー病に伴ってみられる暴力などの行動障害の治療薬として、統合失調症薬「レキサルティ(一般名:ブレクスピプラゾール)」の効能を追加する承認申請がアメリカ食品医薬品局(FDA)に受理されたと発表しました。優先審査の対象で審査終了目標日は5月10日を予定しています。アルツハイマー病は認知症全体の6割強を占めるとされ、行動障害に対する効能が承認されればアメリカで初となります。

 介護負担の軽減につながる可能性があり、日本やヨーロッパでも同効能を追加する承認申請を目指します。

 アルツハイマー病患者の約45%が、介護者らに対する暴言や暴力、錯乱などの行動障害などの行動障害を起こすとされています。従来は一般的に、鎮静薬や抗精神病薬などが処方されてきました。

 アメリカやヨーロッパで実施した最終段階の臨床試験(治験)では、レキサルティを12週間服用した患者は、偽薬を服用した人よりも行動障害の起きる頻度が平均的に減っていました。日本では3月までに、最終段階の治験を終える予定です。

 レキサルティは大塚製薬が創薬し、アメリカとヨーロッパではデンマークのルンドベックと共同開発・販売契約を結んでいます。2015年にアメリカで成人のうつ病や統合失調症の治療薬として発売し、現在約60カ国・地域に供給しています。

 レキサルティの2022年12月期の製品売上高は、前の期比で38%増の1675億円を見込みます。アメリカで効能が追加された場合の売上高の計画は、2月の2022年12月期決算発表時に開示する予定です。

 2023年1月11日(水)

🟪エーザイ、ヨーロッパでも承認申請 アルツハイマー病新薬「レカネマブ」

 製薬大手エーザイは11日、アルツハイマー病治療の新薬「レカネマブ」について、ヨーロッパ医薬品庁(EMA)に販売承認申請を提出したと発表しました。承認されれば、ヨーロッパ連合(EU)の域内で販売できます。同社は日本でも3月までに承認申請します。

 レカネマブはエーザイが主導してアメリカの製薬会社バイオジェンと共同開発した新薬で、症状が軽い患者向けとして9日付でEMAに申請しました。まず受理の可否の手続きがあり、その後、承認に向けた審査を受けるといいます。

 アメリカでは、アメリカ食品医薬品局(FDA)から6日に条件付きで迅速承認を受け、同日に正式承認に向けて申請しました。商品名は「レケンビ」で、販売価格は年間2万6500ドル(約350万円、体重75キロの場合)。1月中に発売する予定です。

 レカネマブは、アルツハイマー病の原因とされる物質「アミロイドβ」を脳内から除去して病気の進行を長期間抑えることを狙った新しいタイプの薬。同種の薬のアメリカでの迅速承認は、バイオジェン主導でエーザイと共同開発した「アデュカヌマブ」に続いて2例目でした。

 2023年1月11日(水)

🟪オミクロン派生型「XBB・1・5」、国内で4件確認

 松野博一官房長官は11日の記者会見で、新型コロナウイルスのオミクロン型の新たな派生型「XBB・1・5」が1月10日時点で、国内で4件確認されていると明らかにしました。 この派生型がアメリカで拡大しているのを踏まえ、「感染力がより高くなっている可能性が指摘されているが、現時点において感染性や重症度に関する疫学的・臨床的な知見はないと承知している。引き続きXBB・1・5系統を含む変異型の発生動向を監視していく」と強調しました。

 アメリカからの入国者に対する水際対策強化の是非を巡っては、「国内外の感染状況や主要国の水際対策の状況などを踏まえ、適切に判断する」と述べました。

 現在の第8波ではオミクロン型の派生型「BA・5」が主流ですが、「BQ・1・1」や「XBB」への置き換わりが懸念されています。

 2023年1月11日(水)

🟪中国、日韓に新規ビザの発給停止 コロナ水際対策に対抗

 中国政府は10日、中国に行く日本人と韓国人に対するビザ(査証)の新規の発給業務を取りやめました。日本と韓国は中国からの渡航者に対する水際対策を強化しています。中国外務省の報道官は「中国への差別的な入国制限措置に断固反対する」と表明し、対抗措置だと明らかにしました。

 中国外務省の汪文斌副報道局長は10日の記者会見で、日本と韓国を念頭に「少数の国は政治的な操作をすべきではなく、差別的な取り扱いをやめるべきだ」と批判しました。

 在韓国の中国大使館は10日、韓国人を対象にした短期ビザ発給を同日から停止したと発表。「韓国の差別的な入境制限が取り消されれば再調整する」としています。韓国外交省は「我が政府の措置は科学的で客観的な根拠に基づくもの」と反論するコメントを出しました。

 日本の旅行会社によると、人道目的以外の、商用ビザなどの申請ができなくなったといいます。ビザ発給手続きの停止が長期化すれば日本から中国に出張できなくなり、日中間のビジネスに支障が出る懸念があります。

 日本政府高官は10日、中国の対応について「全く釣り合っていない一方的な措置で極めて遺憾だ」と批判しました。

 中国は8日に、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために外国などから中国本土に入る際に義務付けていた隔離措置を撤廃したばかりで、本土と香港間も同様に隔離なしの往来を可能にし、感染を徹底して抑え込む「ゼロコロナ」政策を事実上終了させました。

 中国内で感染爆発が起きる中での突然の開放路線に、諸外国は警戒を強めています。世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は、「中国での感染が非常に多くなる一方、包括的データが出てこないため、各国が自国民を守るのに必要と信じる措置を取るのは理解できる」と発言しました。

 日本政府は4日、中国からの渡航者を対象にした新型コロナの水際対策を8日から強化すると発表し、入国時に義務付けてきた検査をより精度の高いPCR検査などに切り替えました。

 アメリカやヨーロッパ各国も水際対策を強化したものの、中国政府は日韓以外の国への対抗措置は明らかにしていません。

 2023年1月11日(水)

2023/01/10

🟪東京都、7462人の新型コロナ感染を発表  6日ぶり前週下回る

 東京都は10日、新型コロナウイルスの感染者を都内で新たに7462人確認したと発表した。前週の同じ曜日から2166人減り、6日ぶりに1週間前を下回りました。なお、9日は休日だったため、検査数が少なかった可能性があります。

 10日までの週平均の感染者は1万4632・0人で、前週(1万2954・3人)の113・0%でした。

 新規感染者の年代は20歳代の1678人が最多で、30歳代1384人、40歳代1279人など。65歳以上は536人でした。発表人数以外に、医師の陽性判定を受けていない感染者も少なくないとみられます。

 病床使用率は55・5%。「人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)を使用」とする都基準の重症者は、前日より2人少ない54人でした。

 一方、感染が確認された28人が死亡しました。

 2023年1月10日(火)

🟪南極上空のオゾン層、2066年に回復と予測 国連環境計画

 国連環境計画(UNEP)は9日に公表した報告書で、破壊が最も顕著だった南極上空のオゾン層が、2066年ごろには面積、厚さともに回復するとの見通しを示しました。北極圏では2045年ごろ、その他の地域では2040年ごろに完全に回復する見込みとしています。

 UNEPが世界気象機関(WMO)やヨーロッパやアメリカの政府機関と共同でまとめた報告書によると、オゾン層を破壊する化学物質の使用禁止を巡り約200カ国が合意した1987年の「モントリオール議定書」が、期待通りの効果を発揮しています。

 科学者約200人が参加する「オゾン層破壊に関する科学的評価」の共同議長を務めるイギリスのケンブリッジ大学のジョン・パイル教授は、「オゾン層は回復している。これは朗報だ」と語りました。

 オゾンは地球全体を覆い、生物に有害な太陽の紫外線の大半を遮っています。しかし、1980年代に南極を中心に上空のオゾンの濃度が極端に少なくなる「オゾンホール」が観測され始めました。冷蔵庫の冷媒やスプレーの噴射剤など幅広く使われた人工物質のフロンガスがオゾン層の破壊を引き起こすことがわかり、1989年発効の「モントリオール議定書」で、影響が特に大きい特定フロンなどの生産が禁じられました。

 UNEPやWMOなどは共同で、オゾン層の状況について4年に1度、報告書をまとめており、今回で10回目となる報告書では、使用が禁止されたオゾン層破壊物質の約99%が削減されたといいます。

 また、今回の報告書では、人口の多い熱帯・中緯度地方の成層圏下部のオゾン層が予想外に減少していることも指摘されました。

 UNEPは化学物質の使用規制により、今世紀末までに温暖化を0・3~0・5度抑えられるとの評価も明らかにしました。 

 2023年1月10日(火)

🟪医療費が月1000万円以上、過去最多1517人 健保組合、2021年度

 健康保険組合加入者の中で、2021年度に1カ月の医療費が1000万円以上となった患者が延べ1517人と過去最多を更新しました。2011年から10年間で約8倍に増えました。高額医薬品が近年相次いで登場し、定着したことが背景にあります。2021年度は1億円以上も7人いました。健康保険組合連合会(健保連)がまとめました。

 健保組合は約1400あり、大企業の社員や家族約2850万人が入っています。患者の自己負担は、毎月の負担額に上限を設ける高額療養費制度などを活用すれば数十万円までですみ、残りは加入先の健保組合が負担します。

 健保連は、加入者の1カ月の医療費を診療報酬明細書(レセプト)を用いて分析。その結果、1000万円以上かかった人は延べ1517人で、うち162人が2000万円以上でした。

 2021年度の最高額は1億6852万円。1億円以上の7人は、いずれも筋力が徐々に衰える脊髄性筋萎縮症の点滴薬「ゾルゲンスマ」を使いました。2020年に公的医療保険適用となり、投与は2歳未満の患者に1回限りで、薬価は1億6707万円とされました。

 健保連は、「画期的な薬に医療費を使うことは必要だが、このまま高騰の一途をたどると、公的医療保険の維持は困難になる。制度見直しの議論を進める必要がある」としています。

 2023年1月10日(火)

🟪新型コロナ、沖縄県が独自で注意喚起へ 流行時に「拡大準備情報」を発出 

 沖縄県は19日、新型コロナウイルス感染症の流行が疑われる場合、県独自で「新型コロナ感染拡大準備情報」を発出すると発表しました。新型コロナについては、過去の感染データの蓄積が乏しいことなどから、国がインフルエンザのような注意報や警報の発令基準を設けていない一方、重症化する高齢者...