全国の自治体が把握した家庭や福祉施設・事業所で虐待を受けた障害者は2021年度、計2960人(前年度比295人増)に上りました。調査を始めた2012年度以降で最多を更新しました。厚生労働省が24日、公表しました。
厚労省は虐待の増加の理由を、「虐待の通報を義務化した障害者虐待防止法の施行から10年がたち、対応の重要性が広まったため」とみています。
家族などの養護者から虐待を受けた人は全体の68%に当たる2004人、福祉施設・事業所の職員らからが956人でした。
福祉施設・事業所職員らから虐待を受けた人は、8年前の2013年度と比べて2倍以上に増えました。身体的虐待が57%と最も多く、心理的虐待が42%、性的虐待が15%と続きました。
福祉施設・事業所などで虐待を受けた人を障害別に見ると、知的障害が73%を占め、身体障害が17%、精神障害が15%でした。
虐待が確認された福祉施設・事業所の種類別では、グループホームが最多で23・2%を占めました。
虐待の発生要因(複数回答)として最も多く挙げられたのは「教育・知識・介護技術などに関する問題」で64・5%。「職員のストレスや感情コントロールの問題」が54・8%、「倫理観や理念の欠如」が50・0%でした。
自治体などへの相談・通報件数も増え続けており、2021年度は1万545件(前年度1124件増)と、初めて1万件を超えました。虐待と判断されたのは2693件。死亡事例はありませんでした。
一方で自治体が把握しきれていない虐待は少なくなく、この調査でも対象は障害者施設などで、精神科病院は含まれていません。
2023年3月25日(土)