日本感染症学会や日本小児科学会などが加盟する予防接種推進専門協議会は4日までに、はしか(麻疹)、風疹を予防するMRワクチンの定期接種を受けた子供の割合が低下しているとして、接種の呼び掛けを始めました。新型コロナウイルス流行に伴う受診控えが影響しているとみられます。専門家は、「これから感染が広がる可能性がある」と危機感を抱いています。
MRワクチンの定期接種は、1歳と、小学校入学前の1年間に、計2回受けます。発症すると脳炎を起こすことがあるほか、妊婦が風疹のウイルスに感染すると胎児に影響が出ることがあります。
どちらのウイルスも感染力が強く、流行を防ぐためには1、2回目のいずれも95%以上の接種率を保つのが望ましいとされています。
厚生労働省と国立感染症研究所の集計では、従来は95%以上だった1回目の接種率が2021年度は全国で93・5%と低下しました。2回目も93・8%。専門家によると2022年度以降も低い傾向が続いているといいます。
報告感染者数も新型コロナ流行後は減っているものの、世界的に根絶していないことから、今後海外から持ち込まれたり、渡航した際に感染したりして広がるリスクがあります。
予防接種推進専門協議会の岩田敏委員長は、「未接種の子供は定期接種の期間内に受けてほしい。期間を過ぎてしまった場合でも、自治体によっては補助が出ることもあり対応が異なるため、まずはかかりつけ医に相談してほしい」と話しています。
2023年4月4日(火)