ウイルス感染症「エムポックス(サル痘)」の可能性がある受診希望者が、医療機関から診療を断られる事例が沖縄県内で複数生じていることが明らかになっています。感染に不安を感じる人の相談先や医療の受け入れ態勢の整備は不十分で、対応の遅れによる感染拡大が懸念されています。沖縄県も診療拒否を把握しており、相談先や診療可能な医療機関リストを公表する検討に入りました。
沖縄県は現在、ホームページなどで、発疹などエムポックスを疑う症状があれば最寄りの医療機関を受診するよう案内しています。感染に不安を感じる人向けの相談窓口は明示していません。
主にHIVやエイズに関し適切な治療を受けられるようサポートする沖縄県感染症診療ネットワークコーディネーターの新里尚美さんには4月以降、土日を除く10日間で、感染の不安を訴える男女30人から電話相談がありました。このうち、明確に診療を拒否されたのは少なくとも3人。発熱や発疹の症状があることから、複数の医療機関に受診の可否を問い合わせたものの、「専門ではない」「急性期病院に行ってほしい」などと断られたといいます。
沖縄県内では4月7日以降、県内在住の40歳代男性と30歳代男性の3人のエムポックス感染が確認されています。2人に接触はなく、40歳代男性は発熱のほか、発疹、喉の痛みなど、30歳代男性は発熱のほか、歯茎の痛みなどの症状がありました。
13日時点で国内のエムポックス感染者はすべて男性ですが、性別や年齢を問わずうつるため、海外では女性や子供の感染例もあります。免疫が低下している人や子供は重症化することもあるため、年齢や性別を問わず、手指消毒などの感染対策に注意が必要。
2023年4月18日(火)