2023/05/11

🟧塩野義製薬、売上高・最終利益ともに過去最高 コロナ飲み薬「ゾコーバ」が貢献

 塩野義製薬が10日に発表した2023年3月期連結決算(国際会計基準)は、同社が開発した国産初の新型コロナウイルス感染症の飲み薬「ゾコーバ」などが貢献し、売上高に当たる売上収益は前期比27・3%増の4266億円、最終利益は62・0%増の1849億円で、いずれも過去最高を更新しました。2024年3月期の業績予想では、昨年11月に承認申請した新型コロナワクチンとゾコーバを合わせた売上高計1050億円を見込みました。

 ゾコーバは昨年11月に緊急承認されて、政府が200万人分を購入し、今年3月末に一般流通が始まりました。ゾコーバの売上高は政府の購入分で1000億円、一般流通分が47億円でした。研究開発費は同社全体で過去最高の1024億円に上り、手代木(てしろぎ)功社長は記者会見で「それでも最高利益を更新できたことに自信を深めている」と述べました。

 2024年3月期連結業績予想は、売上収益が5・5%増の4500億円、最終利益が16・2%減の1550億円。

 コロナの飲み薬はアメリカのメルク製、アメリカのファイザー製と合わせた3剤とも国内での処方が伸び悩んでいます。手代木社長は「医療機関で実績を積み重ね、最新の安全性データを提供するなどの活動を地道に続けていくしかない」と語りました。

 ゾコーバは9月末まで全額が公費負担となるものの、特例措置が終わると、窓口で3割負担の場合は治療1回当たり1万5000円超の自己負担となる見通し。手代木社長は「(10月以降の)下期はかなり使用が減る」とし、承認申請済みの韓国と台湾などを念頭に「アジアの市場に期待している」と語りました。

 一方、コロナのワクチンは定期接種での使用を想定しています。手代木社長は「政府が懸命に審査しており、今年の秋ごろまでに提供開始できれば」と期待を示しました。

 2023年5月11日(木)

2023/05/10

🟧3人の親を持つ子供、イギリスで初誕生 難病の遺伝予防へ核移植

 イギリスの日刊紙ガーディアンは9日、母系遺伝性の難病ミトコンドリア病が子供に伝わるのを防ぐ目的で受精卵の「核移植」を行い、遺伝的に3人の親を持つ子供がイギリスで初めて誕生していたと報じました。

 2018年にイギリス政府の研究監視機関「ヒト受精・発生学委員会」(HFEA)が移植を初承認して以降、少なくとも30件が承認され誕生した子は「4人以内」といいます。

 ミトコンドリア病は細胞内小器官「ミトコンドリア」の働きが低下することで、運動障害などを起こす病気。病気を持つ母親の卵子と正常なミトコンドリアを持つ卵子提供者の卵子それぞれに、父親の精子を体外受精させ、病気の母親の受精卵から核を取り出し卵子提供者の受精卵に移植しました。

 移植した受精卵には提供女性のDNAを持ったミトコンドリアがあり、子供は父母とこの女性の計3人の遺伝子を持つことになります。

 イギリスでは2015年に法改正し、世界で初めて核移植を合法化しました。

 文部科学省によると、日本では同様の手法で受精卵をつくる研究を可能にするため、関連指針の改正を進めています。

 2023年5月10日(水)

🟧アサヒ飲料、空気中の二酸化炭素を吸収する自販機を開発 6月から実証実験

 街なかにある自動販売機で気候変動対策の一翼を担おうという取り組みが始まることになりました。大手飲料メーカー「アサヒ飲料」が空気中の二酸化炭素(CO2)を吸収する機能を備える自販機を新たに開発しました。

 この自販機は、カルシウムなどを使った二酸化炭素の吸収材を機器の中に埋め込み、半径1メートル程度の外気を取り込む機能を備えていて、自販機の稼働に伴う電力消費で排出される二酸化炭素の20%程度の吸収を見込んでいます。

 商品を補充する際に定期的に吸収材を交換することで、1台当たりの年間の二酸化炭素の吸収量は最大で、スギの木およそ20本分に相当する約70キログラムということです。

 開発したアサヒ飲料では、6月から実証実験に入り、この自販機を「二酸化炭素を食べる自販機」としてアピール。関東や関西エリアを中心に、濃度が高いとされる屋内のほか、屋外のさまざまな環境下に約30台を設置します。

 それらの自販機周辺の二酸化炭素計測などを進め、来年以降には既存の自販機にも二酸化炭素吸収材を搭載させて全国で本格展開を目指します。

 また、回収した吸収材に蓄積された二酸化炭素を肥料や建材に活用するパートナー企業や自治体を募集。二酸化炭素を原料とした肥料を利用した場合、一部の植物の生育が促進されるメリットなどを訴求し、パートナーの拡大を図ります。

 飲料メーカー各社の間では、自販機の省エネ化などの取り組みが広がっていますが、アサヒ飲料によりますと、自販機に二酸化炭素を直接吸収する機能を持たせる開発は国内で初めてだということです。

 アサヒ飲料の米女(よねめ)太一社長は、「自動販売機による二酸化炭素の削減と吸収量を高めることで、2030年にカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)な自販機の実現を目指したい」と話していました。

 2023年5月10日(水)

🟧中国、新型コロナウイルス感染がなおも局地的・散発的に発生

 中国国務院共同予防・抑制メカニズムは8日に記者会見を開き、新型コロナウイルスに関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言の終了が発表されたことについて説明を行いました。

 世界保健機関(WHO)がこのほど、新型コロナウイルスに関する「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言の終了を発表しました。中国国家衛生健康委員会はこのことを紹介する一方、新型コロナウイルス感染症が世界的な健康上の脅威でなくなったわけではなく、各国は緊急モデルから他の感染症と同じように管理するように移行し、感染状況を緊密に注視して取り組まなければならないとしています。

 現在、新型コロナウイルスは依然として変異を続けており、中国国内ではなお局地的・散発的に発生する状況にあり、各地の医療サービスは通常の秩序を保っているということです。

 中国国家衛生健康委員会はまた、各地の各部門は引き続き新型コロナウイルス感染症を乙類伝染病に分類し、それに従って管理する「乙類乙管」の関係措置を実施し、学校や高齢者向け施設、福利施設などの重点施設を出入りする人を対象にした健康モニタリングを強化し、良好な衛生習慣を維持し、個人個人の感染症対策をしっかりと行うよう求めています。

 2023年5月10日(水)

🟧熱中症、全国で1週間に495人搬送 消防庁、5月から今年初公表

 総務省消防庁は9日、熱中症により1~7日の1週間で救急搬送されたのは全国で495人だったとの速報値を発表しました。熱中症による搬送者数の公表は今年初めて。

 初診時において死亡が確認された事例はありませんでした。初診時の傷病程度は、3週間以上の入院が必要な重症が11人、短期の入院が必要な中等症が128人。65歳以上の高齢者が253人と、全体の51・1%を占めました。

 都道府県別で最多は埼玉県の51人で、東京都32人、愛知県27人と続きました。

 総務省消防庁は毎年5~9月、週単位で搬送者数を公表しています。

 2023年5月10日(水)

🟧五月病、2人に1人以上が経験 会社員ら1276人対象の調査で明らかに

 ソフトバンクの子会社ヘルスケアテクノロジーズ(東京都港区)が行った調査で、会社員や公務員の2人に1人以上が「五月病」を経験していることが明らかになりました。

 五月病は、新年度からおおよそ1カ月が経過して緊張や疲れがピークに達した結果、5月の連休後あたりに心身にさまざまな不調を感じる症状。多くは、憂鬱になる、何となく体調が悪い、会社にゆきたくないなど、軽いうつ的な気分に見舞われます。

 ヘルスケアテクノロジーズは3月、全国の20~50歳代の会社員や公務員として働く男女1276人を対象に「五月病に関する意識調査」を行った結果、55・6%が五月病になったことがあると自覚し、仕事を休んだ経験のある人は46・8%に上りました。

 「あなたは五月病になったことがありますか」という質問に対して、22・8%が「確かにある」、32・8%が「あると思う」と回答し、5割以上の人が五月病になったことがあると自覚していることがわかりました。

 また、「周囲の人が五月病になったことがありますか」という質問に対しては、20・5%が「確かにある」、36・6%が「あると思う」と回答し、周囲に五月病と思われる人がいる人は6割近くに上ることも判明しました。

 さらに、「五月病は深刻な病気だと思いますか」という質問では、14・2%が「とてもそう思う」、46・9%が「ややそう思う」という結果になり、五月病になったことがあると自覚がない人も含めて、6割以上の人が五月病は深刻だと考えていることが判明しました。

 五月病になったことがあると自覚する人に対し、「五月病からの回復に時間を要しましたか」と聞いたところ、17・7%が「とてもそう思う」、43・2%が「ややそう思う」と、6割以上が回復に時間を要したと考えていることがわかりました。

 加えて、「五月病から心身が回復するまでに、どれくらいの時間を要しましたか」という質問には、「1週間程度」が26・3%、「2~3週間程度」が22・1%と1カ月以内に回復する人が多い一方で、2カ月より長期にわたったと答えた人は全体の17・8%に上りました。五月病からの回復に時間がかかったと多くの人が考えており、実際に数カ月にわたって不調が続く人も一定数いることから、五月病は「連休明けの不調」という概念以上に影響を及ぼしている可能性が明らかになりました。

 五月病になったことがあると自覚する人に対し、五月病が原因による休職・退職経験の有無についても聞いたところ、休職に関しては31・4%が、退職に関しては28・6%があると回答しました。

 さらに、20歳代の場合は「五月病が原因で休職に至ったことがある」が39・5%、「五月病が原因で退職に至ったことがある」が39・5%と、他の世代と10%ほど差をつける結果となりました。環境の変化が大きく、プレッシャーも感じやすい若手社員は、五月病の影響をより重く受けやすいと思われます。

 2023年5月10日(水)

2023/05/09

🟧新型コロナ、全国の死者25人、重症者83人 毎日の発表は9日が最後に

 厚生労働省が9日に発表した、全国で新型コロナウイルスに感染して亡くなった人は合わせて25人、重症者は83人となっています。

 亡くなった人を都道府県別にみますと、埼玉県で4人、沖縄県で4人、新潟県で3人、大阪府で2人、東京都で2人、青森県で2人、三重県で1人、北海道で1人、大分県で1人、奈良県で1人、岩手県で1人、熊本県で1人、秋田県で1人、長野県で1人の合わせて25人で、累計で7万4694人となっています。

 また、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO<エクモ>)をつけたり、集中治療室などで治療を受けたりしている重症者は、9日時点で83人となっています。重症者の数は、8日と比べて3人増えました。

 新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行したことに伴う「全数把握」の終了に合わせて、毎日行われてきた全国の感染者数の発表は8日が最後となり、死亡者と重症者の数については一日遅れで取りまとめられてきたため、9日が最後の発表となりました。

 今後は、感染者数については全国5000の医療機関が1週間分を翌週にまとめて報告する「定点把握」に変わり、厚生労働省の発表は週1回、毎週金曜日に行われ、初回の発表は5月19日に予定されています。

 また、死亡者の数については、今後は「人口動態統計」をもとに動向を把握する方針で、厚労省は死亡者の総数がまとまるのは2カ月後、詳しい死因別の死亡者の数までまとまるのは5カ月後になるとしています。

 一方、医療ひっ迫の状況や重症化の傾向などを把握するため、すべての医療機関からの報告をもとに週1回行っている「入院者」と「重症者」の数の公表は、今後も続けるということです。

 2023年5月9日(火)

🟩特定保健用食品、2商品で機能性成分不足 消費者庁の買い上げ調査

 消費者庁は7日、機能性表示食品や特定保健用食品(トクホ)の表示が適正かどうかを確かめる買い上げ調査の結果を公表しました。調査した101商品のうち機能性表示食品は84商品で、うち2商品で機能性関与成分が記載された含有量を下回っていました。  消費者庁の指摘を受けた2事業者は2商...