厚生労働省が23日発表した2022年の新型コロナ感染を除く労働災害発生状況によると、死者数は774人(前年比4人、0・5%減)とわずかに減少し、過去最少となりました。しかし、休業4日以上の死傷者数は13万2355人(同1769人、1・4%増)に増えました。死者数は2017年の978人から5年連続の減少。死傷者は2001年の13万3598人以来の多さで、過去20年で最多となりました。
死者で最も多かった業種は例年と同様に建設業の281人(同3人増)で、製造業の140人(同9人増)が続きました。死傷者では製造業が2万6694人(同270人増)で最も多く、商業が2万1702人(同264人増)で続きました。接客・娯楽が9140人(同903人増)と突出した増加ぶりでした。
事故の類型別でみると、死者は「墜落、転落」が234人、「交通事故」が129人、「はさまれ、巻き込まれ」が115人の順。死傷者では「転倒」の3万5295人が最も多く、「動作の反動、無理な動作」の2万879人、「墜落、転落」の2万620人の順。
死傷者を年齢別(5歳刻み)にみると、最も多いのは「50~54歳」の1万7196人で、「55~59歳」の1万6921人が続き、50歳代だけで26%を占めています。
一方、派遣労働者の死者は14人(同1人増)と2ケタが続き、死傷者も6248人(同544人増)に増え、製造業が最多を占めています。
また、外国人労働者の死者は15人(同9人減)に減り、死傷者は4808人(同231人増)に増えました。国別ではベトナムが1319人と突出して多く、業種は製造業が2466人で過半数を占めました。
個別に集計されている新型コロナ感染による労働災害では、、コロナ罹患による死者は17人(前年比72人減)に減ったものの、4日以上休業した死傷者の数は15万5989人と前年の8倍超となりました。オミクロン型の流行で感染者数が急増したことに加え、新型コロナの感染も労災補償の対象になるという認識が広まったことが背景にあるとみられます。
コロナ関連の労災を業種別でみると、医師や看護師、介護職員といった「保健衛生業」が、前年の11・5倍となる13万8752人で9割近くを占めました。病院や高齢者施設でクラスター(感染集団)の発生が相次いだ影響が大きくなりました。ほかの業種でも、「製造業」で4197人(前年の1・9倍)、「建設業」で2766人(同2・4倍)などと増加しました。
厚労省は、コロナ感染者が複数確認されるなど、リスクの高い職場で勤務して感染した場合には、感染経路が不明でも労災認定するようにしています。こうした運用が浸透し、コロナ関連の労災を事業所側が積極的に届け出るようになったことも、死傷者数の急増につながったといいます。
コロナ関連の労災の急増によって、 2022年の労災全体の死傷者数は28万8344人となり、前年の1・9倍となりました。死者数は前年比76人減の791人でした。
2023年5月24日(水)