2023/05/27

🟧厚労省、H5N8型ワクチン備蓄に切り替え 新型インフルエンザ流行対策

 厚生労働省は26日、今後、起こり得る新型インフルエンザの流行対策として「H5N8型」のウイルスのワクチンを2023年度から備蓄する方針を決めました。世界的に拡大しているH5N1型の高病原性鳥インフルエンザへの効果が期待できるため。専門家による感染症部会が同日了承しました。

 政府は、人の新型インフルエンザに変異する可能性が高い鳥インフルエンザのワクチンを2006年度以降備蓄しています。現在のH7N9型からH5N8型に切り替えて最大1000万人分の備蓄を目指します。

 H5N8型のウイルスは、流行中のH5N1型と系統が近く、世界保健機関(WHO)がワクチンの製造に使用可能だと確認していることから選びました。

 H5N1型の鳥インフルエンザは2021年以降、世界中で鳥類に拡大し、哺乳類のアザラシやミンクなどのほか、人でも散発的に感染が報告され、死者も出ています。2022年には,、北海道でキタキツネやタヌキの感染が確認されました。

 人から人への感染は確認されておらず、人で流行する可能性は低いとされますが、人への感染性がより高くなったウイルスが出現する可能性も否定できないとされています。

 2023年5月27日(土)

🟧重い目の病気「網膜色素上皮裂孔」の患者にiPS網膜細胞を移植 住友ファーマが初の治験開始へ

 目の視野が欠けたり視力が低下したりする重い目の病気の患者に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った網膜の細胞を移植する、初めての臨床試験(治験)の計画を国に届け出たと、開発を行っている製薬会社が発表しました。国の機関の調査を受けた後、実用化に向けた治験を進めるとしています。

 治験の届け出を行ったのは、大阪市に本社を置く製薬会社の「住友ファーマ」と、東京都のバイオベンチャー「ヘリオス」です。

 両社は、視界がゆがんだり視力が低下したりする「加齢黄斑変性」などから症状が進んだ「網膜色素上皮裂孔」という重い目の病気の患者に、他人のiPS細胞から作った網膜の細胞が含まれた液体を移植し、機能の回復を目指す新たな治療法の開発を進めています。

 両社は、この治療法の治験の計画書を医薬品の審査を行う国の機関、医薬品医療機器総合機構(PMDA)に届け出たと25日、発表しました。

 iPS細胞から作った網膜の細胞の移植は、理化学研究所などのチームが2014年に世界で初めて「加齢黄斑変性」の患者を対象に臨床研究として行っています。

 住友ファーマは「iPS細胞を用いた治療を一日も早くお届けするために、早期の有効性・安全性の確認を進めます」とコメントしていて、実用化の時期は、現時点では再来年度中を目標としていますが、治験の状況を踏まえて検討するとしています。

 2023年5月27日(土)

🟧子供用歯磨きを使用した小児でアナフィラキシー、半年間に3件報告 歯科医院向けに1800万本出荷

 子供用の薬用歯磨き「チェック・アップコドモA」の使用後に急性アレルギー反応「アナフィラキシー」が起きたとされるケースが、昨年12月から今年5月までの半年間に3件報告されたため、厚生労働省は19日、都道府県などに対し、医療関係者に注意喚起するよう通知しました。

 厚労省によると、アナフィラキシーが起きたとされる3人は4~9歳で、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、ぜんそくなどの病歴がありました。

 この歯磨きとの因果関係は明らかではないものの、「安全性をより注視していく必要がある」としています。この製品について過去10年間にアナフィラキシーの報告はありませんでした。

 製造販売する「ライオン歯科材料」によると、2011年から歯科医院向けに販売されており、これまでに約1800万本が出荷されています。

 自宅で使うケースもあるため、厚労省はアナフィラキシーが起きた場合は使用を中止し、製品を持参して速やかに医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 2023年5月27日(土)

2023/05/26

🟧マスク氏設立のアメリカ企業、脳にデバイスを埋め込む治験の許可取得

 起業家のイーロン・マスク氏が立ち上げた新興企業「ニューラリンク」は25日、同社が開発中の脳とコンピューターをつなぐ技術の臨床試験(治験)について、アメリカ食品医薬品局(FDA)の認可を得たと発表しました。

 ニューラリンクはツイッターに、「我が社初の人体内における臨床試験を開始するための認可を得た」、「臨床試験の患者募集はまだ始まっていない。近く情報を公表する」と投稿しました。

 同社が開発するのは「ブレイン・マシン・インターフェース」と呼ばれる技術。専用ロボットで人の頭蓋骨の一部を切り取って小型デバイスを脳に埋め込み、コンピューターとつないで情報をやりとりする研究を進めており、脳卒中で体が不自由になった患者がコミュニケーションを取れるようになることを目指しています。

 同社の小型デバイスの試作品は硬貨ほどの大きさで、初期のデモンストレーションでは、専用ロボットの支援によってサルの頭蓋骨の一部をこのデバイスに置き換え、微細なワイヤを脳内に挿入していました。

 マスク氏によると、脳の神経活動がデバイスに検知され、その情報を一般的なワイヤレス信号であるブルートゥースでスマートフォンなどのデバイスに送信します。

 プレゼンテーションでは、数匹のサルがデバイスを通じて簡単なビデオゲームで遊んだり、画面上のカーソルを動かしたりする様子が紹介されています。この技術はブタでも試験が行われています。

 マスク氏は「デバイスは頭蓋骨の中にうまく収まる」、「髪で隠され気付かれないかもしれない」と述べています。

 臨床試験の目標の一つに、失われた視力や運動能力の回復があります。マスク氏は「奇跡のように聞こえるかもしれないが、脊髄を損傷した人の全身機能を回復させることも可能だと確信している」としています。

 さらに、そうした神経障害の治療にとどまらず、人間が人工知能(AI)に圧倒されないようにすることが最終目標だとも述べています。

 マスク氏は以前から、人間がAIの「飼い猫」のような存在になる事態を避けるには、脳とコンピューターを融合させる技術が不可欠だと主張してきました。

 だが、専門家や研究者は、超強力なコンピューター技術と人間の心を共生させるという同氏のビジョンに慎重な姿勢を崩していません。

 2023年5月26日(金)

🟧イベルメクチン、新型コロナ患者に投与も効果みられず 北里大学病院

 寄生虫が原因で失明などが引き起こされる感染症の特効薬「イベルメクチン」について、新型コロナ患者に投与しても効果がみられなかったとする結果を、治験を進めていた北里大学病院などのチームが発表しました。

 治験は北里大学病院などのチームが行い、5月22日、海外の医学雑誌に結果をまとめた論文を発表しました。

 それによりますと、治験は2020年8月から2021月10月までに新型コロナに感染した20歳以上の中等症までの患者248人を対象に行われ、イベルメクチンを1回服用するグループと偽の薬を服用するグループに分けて、患者も医師もどちらが投与されているかわからない方法でPCR検査で陰性となるまでの期間を比較しました。

 その結果、どちらのグループでも14日前後で陰性となり、陰性となるまでの時間に差はなく、イベルメクチンの投与で時間を短縮する効果はなかったと結論付けています。

 イベルメクチンは、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授の研究を元に開発された、寄生虫によって失明やリンパ管のはれが引き起こされる河川盲目症(オンコセルカ症)の特効薬で、新型コロナへの効果があるか各国で研究が進められましたが、昨年9月、製薬会社の「興和」も新型コロナ患者に投与しても、有効性がみられなかったとする治験の結果を発表していました。

 2023年5月26日(金)

🟧沖縄県のコロナ感染、1医療機関当たり10・8人 前週の1・8倍増、病床使用率も増加

 沖縄県の玉城デニー知事は26日午前の定例記者会見で、新型コロナウイルスの感染が拡大傾向にあるとして注意を呼び掛けました。5月15~21日までの1週間で、1定点医療機関当たりの新規感染者数は前週比1・8倍の10・8人。季節性インフルエンザにおける流行発生注意報の基準(10人)を超えています。

 沖縄県は29日に「新型インフルエンザ等対策会議」を開き、関係部局で対応策を協議します。

 玉城知事は会見で、発熱やせきなど体調不良がある場合には外出を控えるとともに、手指消毒や換気、推奨される場面でのマスク着用など感染防止対策を改めて呼び掛けました。

 重症化リスクの高い高齢者などへの感染を防ぐため、医療機関や高齢者施設を訪れる際はマスク着用を含め、事業者が求める感染防止対策にも協力するよう求めました。

 また、糸数公保健医療部長は会見で、15日時点で16・4%だった病床使用率が21日には29・3%に増加していると説明。「入院調整も必要な状況になってきている」と明らかにしました。

 2023年5月26日(金)

🟧全国のコロナ感染者、1医療機関当たり3・56人 前週比1・35倍で緩やかな増加傾向続く

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、5月15~21日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が3・56人で、前の週の1・35倍となっています。

 厚労省によりますと、5月21日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から4567人増えて1万7489人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は3・56人で、前の週の1・35倍となりました。前の週より増加するのは7週連続です。

 都道府県別では多い順に沖縄県が10・8人、石川県が6・38人、岩手県が6・32人、新潟県が6・11人、山梨県が5・68人、北海道が5・44人と続きました。東京都は3・53人、愛知県は4・51人、大阪府は2・37人、福岡県は3・09人でした。42の都道府県で前の週より増加しています。

 このほか、5月21日までの1週間に新たに入院した人は全国で3215人で、前の週と比べて726人の増加となりました。集中治療室に入院している全国の重症患者数は7日間平均で52人でした。

 死者数は、一部自治体から先行して集めたデータをもとに、例年と比べてどれほど増えたかを調べ、6月9日に定点報告に移行後の初回分を公表する予定といいます。

 厚労省は全国の流行状況について、「比較的低い水準にあるが、4月以降、緩やかな増加傾向が続いているほか、新たに入院した人の数も増えていて、今後の感染状況を注視したい」としています。

 2023年5月26日(金)

🟩世界のサンゴの44%が絶滅危機 温暖化影響、COP29で公表

 世界のサンゴ892種のうち44%が絶滅の危機にあると、国際自然保護連合(IUCN)が14日までに発表しました。温暖化が主な要因で、IUCNは「急速な気候変動が地球上の生き物に与える影響の深刻さを表している」と警鐘を鳴らしました。  アゼルバイジャンの首都バクーで開催中の国連気...