2023/06/19

🟧国会が旧優生保護法下の実態巡り報告書 強制不妊手術に公的機関の関与も浮き彫り

 旧優生保護法(1948~1996年)に基づき障害者らに強制不妊手術が行われた問題で、衆参両院事務局は19日、立法の経緯や被害実態についてまとめた調査報告書を公表しました。

 今回の報告書は、2019年4月に成立した被害者救済法に基づき、国の対応が遅れた経緯や社会的背景を解明するためにまとめられました。2020年6月から厚生労働省や自治体、当事者らに対して調査を実施しており、12日に報告書の原案が衆参両院の厚生労働委員長に提出されていました。

 報告書は約1400ページ。「不良な子孫の出生を防止する」との目的で、1948年に旧法が成立したことなど、優生思想が国の施策に反映されていく過程を詳述しています。

 報告書によると、不妊手術の実施件数のピークは1955年。旧法下では2万4993人が手術を受けたとされ、「本人同意なし」の手術は約66%に上りました。

 全体の約75%が女性。都道府県別では北海道が3224件で最も多く、宮城県1744件、大阪府1249件と続きました。最少は鳥取県63件でした。

 手術の背景には、経済状況による育児困難、家族の意向や福祉施設の入所条件などがありました。最年少はいずれも当時9歳だった男女2人で、男児は昭和30年代後半に、女児は同40年代後半に手術を受けました。最年長は57歳の男性でした。

 報告書は、本人にわからないよう施術されたケースや、原則として認められていなかった子宮や睾丸の摘出が横行していたことを指摘。旧厚生省は、手術について「欺罔(ぎもう)等の手段を用いることも許される場合がある」との通知を出していました。資料からは「虫垂炎手術ということで納得させていた」「盲腸手術の時に本人にわからないうちにした」などの事例も確認されました。

 不妊手術の適否を判断する「都道府県優生保護審査会」は定足数を欠いて開催されたり、書類による持ち回りで審査されたりもしていました。

 2023年6月19日(月)

2023/06/18

🟧マツタケ、食物アレルギーの任意表示から削除へ マカダミアナッツ、追加候補として調査へ

 食物アレルギーを引き起こす食品を事業者の任意で表示する「推奨表示」の1つだったマツタケが、表示対象から外れます。河野太郎消費者担当相が16日の閣議後記者会見で、消費者庁に今年度中の対応を指示したと発表しました。

 推奨表示は現在20品目あります。推奨表示からの削除は、表示が義務の品目に移行したもの以外では、2001年の制度開始以来初めてとなります。

 消費者庁はこのほど、推奨表示に関する追加や削除の際の基本的な考え方を初めて整理しました。削除候補となるのは、おおむね3年ごとに行う全国実態調査の直近4回の結果で、症例数で上位20品目に入っていないもの、およびショック症例数が極めて少数であるものに該当する品目とされました。マツタケは直近4回の全国実態調査で症例数がありませんでした。

 一方、推奨表示の追加の候補となっているのはマカダミアナッツで、河野消費者担当相は16日、閣議後記者会見で、本年度内にマカダミアナッツの流通実態などを調査して検討するよう消費者庁の事務方に指示したと明らかにしました。

 2023年6月18日(日)

🟧5月下旬の新型コロナ抗体保有者、全国で42・8% 2月の調査から変化なし

 新型コロナウイルスへの感染によってできる抗体を持つ人は、献血の血液を分析した結果、感染症法上の位置付けが「5類」に移行した後の5月下旬時点で、全国で42・8%だったとする結果を厚生労働省が示しました。今年2月の調査からほとんど変化しておらず、専門家はこの間、感染が大きくは拡大しなかったことを示しているとしています。

 厚労省は、5月下旬に献血に訪れた16歳から69歳の1万8048人の血液を調べ、新型コロナに感染した場合にだけできる抗体を持つ人の割合を分析しました。

 それによりますと、抗体の保有率は全国で42・8%で、今年2月時点の42・0%からほとんど変化していませんでした。

 年代別では、16歳から19歳が60・5%、20歳代が53・0%、30歳代が51・4%、40歳代は46・0%、50歳代は36・2%、60歳代は28・8%と、年代が上がるほど低い傾向がみられました。

 また、地域別では、沖縄県が63・0%、東京都と宮崎県で52・9%、大阪府で49・5%などと高かった一方、石川県で34・1%、青森県で34・9%などと地域によって差がみられました。

 厚労省の専門家会合の脇田隆字座長は、「2月から5月にかけて、それほど感染が拡大しなかったことを示している。免疫によって感染を防ぐ力は時間とともに下がるので、全体としてコロナに対する免疫が下がってきている可能性がある」としています。

 2023年6月18日(日)

🟧アメリカFDA、「XBB」に対応する「1価ワクチン」の開発勧告 新型コロナ秋接種に備え

 アメリカ国内で今年の秋以降、使用する新型コロナウイルスのワクチンについて、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、現在、流行の主流となっているオミクロン型派生型「XBB・1・5」に対応する「1価ワクチン」の開発を製薬各社に推奨しました。

 アメリカでは、新型コロナの感染状況の変化に伴い、ワクチンの成分をどのようにするか、FDAの専門家会議などで議論が重ねられてきました。

 FDAは16日、アメリカ国内でこの秋以降、使用する新型コロナのワクチンとして、オミクロン型派生型「XBB・1・5」に対応する「1価ワクチン」の開発を製薬各社に推奨したことを発表しました。

 「XBB・1・5」は複数のオミクロン型が組み合わさり、免疫から逃れやすい性質が指摘されており、6月10日現在、アメリカ国内の新規感染者の中で最も多く、約4割を占めると推定されていますが、検出割合は減少傾向。同じ系統の「XBB・1・16」など別タイプが増えつつあり、秋までに取って代わる可能性もあります。ただウイルスの形の違いはわずかで、接種の効果はほぼ同じと見込んでいます。9月中に出荷をほぼ終える必要があり、製造スケジュールも考慮して推奨を急ぎました。

 複数の製薬会社はすでにオミクロン型派生型「XBB」系統に対応する成分のワクチンの開発を進めており、今回のFDAの推奨は、開発中のワクチンの有効性に関するデータや、製薬各社が供給できる時期の情報などをもとに行ったとしています。

 FDAの推奨を受け、製薬各社は今後、ワクチンの開発をさらに加速させるものとみられます。

 日本の厚生労働省も、国内で主流となっている同じ「XBB」系統に対応した製品を導入する方針で、接種対象者は追って決めます。ヨーロッパ医薬品庁(EMA)は、高齢や持病などの重症化要因がある人や妊婦を優先するほか、医療関係者への接種も考慮すべきだとの考え方を示しています。

 2023年6月18日(日)

2023/06/16

🟧肝機能を調べるALT値が30超えたら受診を 日本肝臓学会が新指標、コロナ禍で増加

 日本肝臓学会は15日、血液検査の項目のうち肝機能を調べるALT(GPT)値が30を超えた場合を、かかりつけ医へ受診を促す新たな指標に定めたと発表しました。新型コロナウイルス禍で脂肪肝やアルコール性肝障害になる人が増えており、早期発見や治療につなげたい考え。これまで日本人間ドック学会などが、どこまでが正常かを示す基準値を示していたものの、明確に受診を促す指標は初といいます。

 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、自覚症状のないまま悪化するリスクがあります。肝臓学会理事長の竹原徹郎大阪大教授は、「肝臓病を見付ける糸口になってほしい。健康診断で決して軽視しないで」と呼び掛けました。

 ALTは肝臓などの細胞に多く含まれる酵素。障害が起こって細胞が壊れると数値が上がり、肝機能障害が起きている可能性を示します。

 同学会によると、最近は治療法の進歩によりウイルス性肝炎による死亡が減る一方、アルコール性の肝障害の死亡率は増加。コロナ禍の外出自粛などで非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)も増加傾向にあります。

 2023年6月16日(金)

🟧新型コロナ、夏に一定の感染拡大の可能性 5類移行後初の専門家会合 

 新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が感染症法上の位置付けの5類への移行後初めて開かれ、新規患者数は緩やかな増加傾向が続いていて、夏の間に一定の感染拡大が起きる可能性があると分析しました。手洗いや換気、マスクの効果的な場面での着用などの基本的な対策が重要だとしています。

 専門家会合は、5類への移行後初めて開かれ、感染状況や医療提供体制の状況について分析し、今後求められる対応について検討しました。

 専門家会合によりますと、新規患者数は4月上旬以降緩やかな増加傾向で、5類移行後も4週連続で増加が続いていて、地域別では36の都道府県で前の週より増え、沖縄県では感染拡大の傾向がみられるとしています。

 新規入院者数や重症者数も増加傾向で、医療提供体制は全国的にひっ迫はみられていないものの、沖縄県の状況には注意が必要だとしています。

 また、検出される新型コロナウイルスの種類はオミクロン型のうちの「XBB系統」が大部分を占めていて、民間の検査会社で検出された結果をもとにした分析では、6月下旬時点にはインドなどで拡大し免疫を逃れやすい可能性が指摘されている「XBB・1・16」が49%になると推定されています。

 さらに今後の感染の見通しについて、過去の状況などを踏まえると夏の間に一定の感染拡大が起きる可能性があり、医療提供体制への負荷が増大する場合も考えられるとしていて、感染やワクチンによって得られた免疫が弱まる状況や、より免疫を逃れやすい可能性がある変異ウイルスの増加、接触する機会の増加によって感染状況に与える影響にも注意が必要だとしています。

 こうしたことを踏まえ、専門家会合は、感染の動向をさまざまな指標で把握し、医療提供体制を注視すること、高齢者や基礎疾患のある人へのワクチン接種、感染拡大が起きても必要な医療が提供されるよう体制の移行を進めることが求められるとした上で、手洗いや換気、マスクの効果的な場面での着用など、基本的な感染対策を呼び掛けました。

 厚労省は同日、新型コロナの感染で得られた抗体の有無を5月17~31日に調査した結果、抗体保有率は42・8%(速報値)だったと明らかにしました。前回2月の調査(42・0%)から横ばいで、年代が上がるほど保有率が低くなる傾向がみられました。

 専門家会合の座長の脇田隆字・国立感染症研究所所長は「2月以降、それほど感染が拡大しなかったことを示している。時間とともに免疫の状態は低下している可能性がある」と述べました。

 調査は日本赤十字社の献血ルームなどを訪れた全国の16~69歳の1万8048人分の血液を対象にしました。

 2023年6月16日(金)

🟧新型コロナ感染者、前週比1・12倍 36都府県で増加

 厚生労働省は16日、全国に約5000ある定点医療機関に6月5~11日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数は計2万5163人で、1定点当たり5・11人(速報値)だったと発表しました。前週(4・55人)の約1・12倍となり、36都府県で前週より増えました。4月上旬からの緩やかな増加傾向が続いています。

 最多は沖縄県の18・41人で、前週比約1・17倍。鹿児島県7・37人、石川県6・58人、埼玉県6・51人、北海道6・47人と続きます。少なかったのは秋田県2・62人、島根県2・76人、岡山県3・01人など。

 東京都5・99人、愛知県6・28人、大阪府4・33人、福岡県5・76人でした。

 5~11日の全国の新規入院患者数は4330人で、前週(4122人)の約1・05倍。集中治療室に入院している全国の重症患者数は7日間平均で79人で、前週(63人)から16人増えた。

 2023年6月16日(金)

🟩世界の糖尿病患者、過去32年で倍増

 世界の成人の糖尿病患者の割合は過去30数年で倍増し、特に途上国での増加が著しいとする論文が14日、イギリスの医学誌「ランセット」に掲載されました。  イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者らによると、成人の糖尿病患者は1990年には全成人のうち7%でしたが、202...