警察へ2022年に届け出があった認知症の行方不明者は1万8709人(前年比1073人増)で、統計を取り始めた2012年以降、10年連続で増加して過去最多でした。警察庁が22日、発表しました。大半はその後無事に見付かっている一方で、2021年以前に届け出られた人も含め、2022年には491人が遺体で見付かりました。
認知症で行方不明になった人は、10年前の2012年の9607人から1・95倍に増えました。警察庁は、高齢化の進展で認知症患者が増えていることが背景にあるとみています。
警察庁によると、2022年に届け出があった1万8709人のうち、80歳代以上(1万670人)と70歳代(6968人)で合わせて94%を占めました。
都道府県別では、兵庫県が最多の2115人。大阪府1996人、埼玉県1902人、神奈川県1780人、愛知県1549人と続きました。2022年中に見付からなかった人は284人いました。
2021年以前に届け出があった人も含め、昨年中に生存した状態で所在が確認できたのは1万7923人。このうち、届け出を受理した当日に見付かったのが77・5%。99・6%は1週間以内に見付かりました。
高齢化が進み、行方不明者は今後さらに増加する可能性があります。警察は自治体や地域の団体、企業などと連携し、行方不明者の特徴を広く知らせるなど、早期発見に向けた取り組みを進めています。
認知症以外の人も含めた昨年の行方不明者の総数は8万4910人。統計が残る1956年以降で最少だった2020年(7万7022人)から、2年連続で増えました。
原因別では、認知症を含む「病気関係」が2万4719人(29・1%)で最多。親子・夫婦間の不和など「家庭関係」が1万2899人(15・2%)、失業など「事業・職業関係」が9615人(11・3%)と続きました。
また、認知症以外を含む行方不明者の総数は、前の年から5692人増えて8万4910人となりました。過去最少だった2020年から2年連続の増加で、新型コロナウイルス禍に伴う行動制限が緩和された影響とみられます。
年代別では、20歳代が最も多い1万6848人、次いで10歳代が1万4959人。さらに80歳以上が1万3749人、70歳代が1万779人で続き、これら4つの年代で6割以上を占めました。
原因・動機別では、認知症を含む「病気関係」が約3割と最も多く、「家庭関係」、「事業・職業関係」と続き、この3つで約6割となっています。
一方、理由がわからず犯罪被害や事故に遭遇した恐れなどがある不明者は、1万7080人に上っているということです。
2023年6月22日(木)