2023/07/09

🟧宮城県こども病院、心臓手術で血液送る管が外れる 脳に重度の後遺障害

 仙台市の宮城県立こども病院は6日、県内居住の小児患者に心臓手術を行ったところ、人工心肺用送血管が外れ、脳への血液供給が一時的に不十分となり、重度の障害が残る医療事故が発生したと発表しました。

 病院によると、昨年2月25日、先天的に心臓内にある左右の心房を隔てる壁に穴がある「心房中隔欠損症」の患者の手術を行おうと、大動脈と送血管を接続した後に出血が始まりました。さらに、原因の確認に時間がかかったため、少なくとも約18分間、患者の脳への血液供給が不十分な状態になりました。患者は低酸素性脳症に陥り、日常生活で介護が不可欠となる重度の後遺障害(1級)となりました。人工心肺から体内へ血液を送り出す送血管が外れていたのが原因でした。

 事故が起きた手術では、脇の下を切開する腋窩(えきか)側方切開が採用されたものの、この方法は傷口が目立ちにくくなるというメリットの半面、人工心肺のリスクが高くなり、難易度が上がるとされます。

 手術は3人で行われ、研修医が執刀。この研修医は心房中隔欠損症を含めて40~50例の手術経験があったといい、「目視での確認を怠ってしまった」と話しているといいます。

 記者会見した今泉益栄理事長は「経験や手術数を踏まえると問題はなかった」とした上で、「安全確認が不十分だった。多大なる苦しみを与えてしまったことに心から深くおわびを申し上げる」と謝罪しました。

 今年6月2日に示談が成立し、病院は賠償金を支払いました。小児患者の性別や年齢などは非公表でした。

 2023年7月9日(日)

🟧子育て世帯数が初の1000万割れ、老老介護は過去最高の63・5% 厚労省調査

 厚生労働省は、世帯の状況などを調べる「国民生活基礎調査」を行っていて、2022年6月の調査で得られた約20万4000世帯からの回答を分析して、全国の世帯数を推計しました。

 4日に公表した調査結果によりますと、18歳未満の未婚の子供がいる、いわゆる「子育て世帯」は991万7000で、初めて1000万を下回りました。全世帯に占める割合も、2019年の前回の調査から3・4ポイント低下し18・3%と初めて20%を下回り、過去最低を更新。少子化の加速が改めて示されました。 

 岸田文雄政権は6月に「こども未来戦略方針」をまとめたものの、財源の裏付けなど不透明な面が多く、少子化対策の実効性が問われています。

  子供がいる、子育て世帯を人数別にみると、「1人」が49・3%とほぼ半数に上り、「2人」が38・0%、「3人以上」が12・7%でした。

  同居の家族らによる介護では、介護を受ける人と世話をする人がともに65歳以上の「老老介護」が63・5%に達しました。2019年調査から3・8ポイント上昇。過去最高を更新しました。 

 65歳以上の高齢者のみか、65歳以上と18歳未満の未婚の子供だけで暮らしている「高齢者世帯」は1693万1000。全世帯に占める割合は、2019年の前回の調査から2・5ポイント上昇し31・2%でした。高齢化が進む中、単独世帯も1785万2000へ増えました。2019年から4・1ポイント上がり32・9%を占めました。

 今回の調査について、厚生労働省は「出生数が去年80万人を下回ったが、そのような要因も反映された結果だと思う。少子化の動向については今後も引き続き注視していきたい」としています。

 2023年7月9日(日)

2023/07/08

🟧軽い運動で高血圧が改善する仕組みを解明 脳に伝わる適度な衝撃が有効

 ジョギングや速歩などの運動で脳に適度な衝撃が伝わると高血圧が改善することを、国立障害者リハビリテーションセンターや国立循環器病研究センター、東京大、群馬大などの研究チームが発見しました。論文が7日、イギリスの科学誌に掲載されました。成人を対象とした臨床試験でも効果が確かめられ、さまざまな疾患の原因となって健康寿命を縮める高血圧の新たな治療法につながると期待されます。

 軽いジョギングのような運動では、足が着地する時に頭部に衝撃が伝わり、脳内の細胞の隙間を埋める間質液が動きます。この動きで血圧の調整にかかわる細胞が物理的に刺激され、血圧を上げる作用があるタンパク質の量が減り、血圧が低下することがわかりました。適度な運動が高血圧改善に効果があることは統計的に知られていたものの、そのメカニズムが明らかになりました。

 軽いジョギングで頭部に加わる衝撃は約1G。高血圧のラットを使った実験で、麻酔をかけた上で、1Gの衝撃がリズミカルに加わるように頭部を上下させる受動的な運動を1日30分、2~3週間続けたところ、血圧が低下しました。ラットが自ら走行した場合と効果は同じでした。

 人間での臨床試験は、高血圧の約30人を対象に、座面が上下に動いて頭部に1Gの衝撃が加わるようにした椅子に週に3回、1回当たり30分座る実験を1カ月間続けたところ、最高血圧の平均は141・9から132・9に低下しました。さらに、実験終了から約1カ月にわたって効果が持続しました。

 受動的な運動で改善効果が認められたことから、自ら運動できない寝たきりの高齢者や障害者にとって、新たな治療法の開発につながる可能性があります。

 また、糖尿病や肝機能障害など適度な運動による改善効果が知られている病気でも、同様のメカニズムが働いている可能性があり、研究チームは今後の研究で解明したいとしている。

 このほか、重度の身体障害がある子供向けに、上下に動く椅子を使って自律神経障害を改善する臨床試験も進めています。自律神経の乱れは睡眠や排泄(はいせつ)などに問題を起こし、本人や世話をする家族にとって負担が大きくなっています。

 国立障害者リハビリテーションセンター病院の澤田泰宏・臨床研究開発部長(細胞生物学)は、「高血圧や糖尿病には薬があるが、こちらには有効なアプローチがない。負担を軽減できるよう研究を続けたい」と話しました。上下動する椅子は医療機器としての承認を目指します。

 2023年7月8日(土)

🟧新型コロナ感染、前週比1・18倍 富山県を除く46都道府県で拡大、沖縄県は高水準

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、7月2日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が7・24人で、前の週の1・18倍となっています。厚生労働省は「全国的に前の週と比べると増加傾向が続いていて、沖縄県では引き続き高い水準で感染が拡大しているため引き続き注視したい」としています。

 厚労省によりますと、6月26日~7月2日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から5492人増えて3万5747人となりました。

 また、1つの医療機関当たりの平均の患者数は7・24人で、前の週の1・18倍となりました。前の週から増加が続くのは13週連続となり、新型コロナの法的な位置付けが5類に移行して以降では7週連続となります。

 都道府県別では、多い順に沖縄県が48・39人、鹿児島県が13・48人、千葉県が9・89人、宮崎県が9・66人、熊本県が9・58人などとなっていて、富山県を除く46の都道府県で前の週より増加しています。

 このほか、7月2日までの1週間に新たに入院した人は全国で5320人で、前の週と比べて569人の増加となりました。

 厚労省は7日、新型コロナに感染した後に亡くなった人に関する分析も発表しました。死亡診断書の死因欄に「コロナ」や「COVID」と示されていた人数を集計しました。最新の4月の数値は、コロナが直接に影響した死者数は550人、コロナ感染による持病の悪化など間接的に影響を受けた死者数を含めると1406人でした。

 5類移行に伴って都道府県別の死者数の報告や公表は原則終了しました。厚労省はコロナ関連による死者数の公表を亡くなった月の2カ月後としており、今回が初めての発表となりました。

 2023年7月8日(土)

🟧ファイザーとモデルナ、新型コロナ「XBB・1・5」対応ワクチンを厚労省に申請

 アメリカの製薬会社、ファイザーとモデルナは、新型コロナウイルスのオミクロン型の一種「XBB・1・5」に対応したワクチンについて、それぞれ厚生労働省に承認を申請しました。

 承認を申請したのはファイザーとモデルナがそれぞれが開発したオミクロン型の「XBB・1・5」に対応した成分を含むmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチンです。

 6月に開かれた厚労省の専門家分科会で示された資料によりますと、モデルナのワクチンはアメリカで行われた臨床試験で「XBB・1・5」や「XBB・1・16」といった「XBB」系統の変異ウイルスに対して免疫の反応が確認できたということです。

 また、ファイザーのワクチンもマウスを使った実験で「XBB」系統の変異ウイルスに対して免疫の反応が確認されたとしています。

 接種の対象となる年齢はファイザーは生後6カ月以上、モデルナは12歳以上を想定しているということです。

 厚労省は、今年9月から5歳以上の人を対象に行われる予定の追加接種で、「XBB・1・5」を含む「XBB・1」系統に対応する1価ワクチンを使う方針を示しています。現在国内の接種ではファイザー製、モデルナ製ともに、従来型とオミクロン型「BA・1」「BA・4」「BA・5」に対応した2価ワクチンが使用されています。

 2023年7月8日(土)

🟧新型コロナ担当相、第9波入りを否定 「新しい流行の波と認識せず」

 新型コロナウイルス対策を担当する後藤茂之経済再生担当相は、患者数が大きく伸びてはいないとして、現時点では感染の「第9波」には当たらないという認識を示しました。

 新型コロナの感染状況を巡り、日本医師会の釜萢敏(かまやち・さとし)常任理事は5日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染が沖縄県など九州地方で拡大していることなどを踏まえ、「現状は第9波と判断することが妥当だ」と指摘しました。

 これについて後藤担当相は7日の閣議の後の記者会見で、「全国的に少しずつ感染が拡大しているが、数字の伸び方はまださほど大きいという認識は持っていない」と述べました。

 その上で、「政府として今の段階で新しい流行の波が発生しているとは特に認識していない」として、現時点では感染の「第9波」には当たらないという認識を示しました。

 一方で、沖縄県には職員を派遣するなど、必要な支援を行っているとした上で、「今後ともできる限り注意しながら基本的な感染対策をとるようお願いしたい」と呼び掛けました。

 2023年7月8日(土)

🟧インフルエンザ、史上初めて7月も流行 コロナ禍での免疫低下で拡大か

 厚生労働省は7日、6月26日~7月2日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者は1医療機関当たり1・26人だったと発表しました。

 7月まで流行の目安(1人)を超える状態が続いたのは、現在の集計方法となった1999年以降で初めて。新型コロナの感染拡大が始まってからの2シーズンは流行がなく、人々の免疫が低下したことが影響しているとみられています。

 厚労省によると、今シーズンは、昨年12月下旬に全国的に流行入りとなりました。

 小児科や内科の定点医療機関から7月2日までの1週間に報告されたインフルエンザ患者数は計6228人。1医療機関当たりの患者数を都道府県別にみると、鹿児島県が20・07人(前週比1・98人増)で、突出して多くなり、県内全域に流行発生注意報が出されています。宮崎県の7・34人、長崎県の5・26人、熊本県の3・99人が続き、九州7県で前週より増えていました。一方、35都道府県では1人を下回りました。

 この1週間、休校や学年・学級閉鎖があった小中学校などは、全国で193カ所に上りました。

 流行が長引いていることについて、日本感染症学会インフルエンザ委員長の石田直・倉敷中央病院副院長は「2シーズン流行がなかったことで免疫が落ちているため、1人が発症すると周りに広がりやすい状況になっている。手洗いやうがいなど基本的な対策を心掛けてほしい」と呼び掛けています。

 2023年7月8日(土)

🟪新型コロナ、沖縄県が独自で注意喚起へ 流行時に「拡大準備情報」を発出 

 沖縄県は19日、新型コロナウイルス感染症の流行が疑われる場合、県独自で「新型コロナ感染拡大準備情報」を発出すると発表しました。新型コロナについては、過去の感染データの蓄積が乏しいことなどから、国がインフルエンザのような注意報や警報の発令基準を設けていない一方、重症化する高齢者...