2023/08/14

🟧大学発の医療系スタートアップに文科省が年最大5億円支援 東大・京大などから公募

 文部科学省は、来年度から大学発の医療系スタートアップ(新興企業)の支援に乗り出します。基礎研究の費用を補助し、人材育成もサポートします。有望な研究の実用化を後押しし、革新的な医薬品や医療機器の開発に向けた環境を整えます。

 支援は、スタートアップを設立する研究者が所属する大学や研究機関を介して行います。東京大や京都大、国立がん研究センターなど国内の11大学・研究機関から公募で4、5カ所を選び、それぞれに研究費補助金などとして4億~5億円を充てます。

 こうした財政支援に加え、研究者らに対し、薬事や治験、知的財産を巡る規制に詳しいプロ人材も紹介します。スタートアップにはこれらの専門知識にたけた人材が不足していることが多いとされ、人材育成につなげます。

 文科省は関連経費として、20億円超を来年度予算案の概算要求に盛り込む方向です。2025年度以降の支援を継続することも検討しています。

 日本の大学発スタートアップの数は近年、増加傾向にあります。経済産業省の2022年度調査によると3782社あり、2021年度調査の3305社から477社増えた。業種別(複数回答)では、バイオ・ヘルスケア・医療機器が1126社で、最も多かったIT(1146社)に次ぐ数でした。ただ、文科省によると、設立件数で、アメリカ、イギリス、ドイツと比べて大きく劣っているといいます。

 医療系スタートアップへの支援強化は、新型コロナウイルスへの対応が後手に回った反省が背景にあります。日本は海外と比べ、ワクチンや治療薬の開発が遅れました。急速に進化するAI(人工知能)を活用したリモート診断や再生医療、バイオ医薬品の開発など、次世代医療は世界的に注目を集めています。文科省は日本の医療系スタートアップが抱える課題の解決を後押しし、国際競争力を高めたい考えです。

 2023年8月14日(月)

🟧アメリカでマラリア国内感染者、20年ぶり発生 フロリダ州とテキサス州で7人、海外への渡航歴なし

 アメリカのフロリダ州とテキサス州で今年、海外への渡航歴がないのにマラリアに感染した例が相次いで報告され、人々の間に不安が広がっています。アメリカ疾病対策センター(CDC)によれば、7月7日までに、フロリダ州サラソタ郡で6人、テキサス州キャメロン郡で1人が感染しました。アメリカでは、2003年にフロリダ州パームビーチ郡で8人の感染者が出て以来、国内で感染した例は報告されていませんでした。

 アメリカでは毎年約2000人のマラリア感染者が出ていると推定されているものの、そのほぼ全員が、サハラ以南のアフリカまたは南アジアからの入国者です。しかし、マラリアを媒介するハマダラカはアメリカにも存在し、マラリア原虫を媒介する可能性があります。

 「かつてアメリカには、マラリアや黄熱病など、蚊が媒介する感染症がたくさん発生していました」と話すのは、アメリカのジョンズ・ホプキンス大学で感染症、パンデミック、バイオセキュリティーを研究するアメシュ・アダルジャ氏。「こうした感染症がアメリカで発生するのを防ぐ何らかの障壁があるわけではありません。水たまりをなくすなど、蚊の発生を防ぐための非常に効果的な対策を行ったことが功を奏し、感染症が抑えられたのです」。

 そのため、アメリカで20年ぶりに国内感染者が出たことに関して、感染症の専門家はさほど驚いていません。テキサス州ヒューストンにあるベイラー医科大学熱帯医学部長のピーター・ホテズ氏は、「予測していましたし、予測可能でした」と話しています。

 「アメリカ南部だけではありません。世界のほかのホットスポットでも感染者数は増えています。貧困、都市化、人の移動、そして気候変動など4つか5つの要因がすべて重なったためです。その結果、マラリアだけでなく、デング熱、ジカ熱、チクングニア熱、ウエストナイル熱、シャーガス病、リケッチア症、寄生虫感染症も増加しています」。

 マラリアは、ハマダラカ属の蚊が媒介するマラリア原虫によって引き起こされる感染症。症状は、発熱のほか、震えを伴う悪寒、頭痛、筋肉痛、倦怠(けんたい)感、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢など、インフルエンザの症状によく似ています。赤血球の数が減少して貧血を起こしたり、肌や目が黄色くなる黄疸(おうだん)が見られることもあります。症状は通常、感染してから7〜10日後に現れるものの、1年ほどたってから発症する場合もあります。

 世界保健機関(WHO)の推定では、2021年には世界で2億4700万人がマラリアに感染しました。人間に感染するマラリアには5種類あり、大半のケースは、熱帯熱マラリア原虫と三日熱マラリア原虫のどちらかに感染していた。そのうち、熱帯熱マラリア原虫のほうは悪性度が非常に高く、2021年のマラリアによる世界の死者数61万9000人の大多数を占めていました。また、死亡者の大半(96%)がアフリカに集中し、その8割は5歳未満の子供でした。

 最近のアメリカでの国内感染は、いずれも三日熱マラリア原虫によるもの。こちらはアフリカ以外の世界各地でみられ、深刻な病気ではあるものの、熱帯熱マラリアほどではなく、致死率は低くなっています。

 今年発生したアメリカ国内感染者の中で最近の海外渡航歴がある人はいないものの、同じ地域の別の誰かがマラリアの流行地から最近入国してきた可能性はあると、アダルジャ氏はいいます。最も考えられるシナリオは、国外でマラリアに感染した誰かがその地域にやってきて蚊に刺され、その蚊が原虫を取り込み、近くにいる別の人を刺して感染させてしまったというケースとしています。

 2023年8月14日(月)

🟧バングラデシュでデング熱が猛威を振るう 7月以降の死者350人以上に

 バングラデシュでは、蚊が媒介するデング熱の感染が猛威を振るい、7月以降、350人以上が死亡しており、現地の日本大使館は感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 バングラデシュでは毎年、デング熱が流行していますが、今年は例年より早く5月ごろからデング熱の感染が拡大しています。

 地元の当局などによりますと、7月には、4万3854人が感染し、204人の死亡が報告されており、前の年の7月(感染者数1571人、死者9人)と比べて感染者数は28倍、死者は23倍となっています。また、前の年の感染ピークだった9月(2万1932人)のほぼ2倍の感染者数となっています。

 8月に入ってデング熱の感染はさらに猛威を振るっており、感染者数は13日の時点で3万3500人余り、死者は147人に上っているということです。

 現地からの映像によりますと、首都ダッカの病院では感染した患者でベッドが満床となっていて、子供たちが床に寝て治療を受けている様子などが確認できます。

 例年は、9月にかけて感染がピークを迎えることから、現地の当局は、8月は記録的に感染者数が増える恐れがあるとして警戒しています。

 デング熱はネッタイシマカやヒトスジシマカと呼ばれる蚊が媒介する感染症で、高熱や激しい頭痛、それに筋肉痛や関節痛などの症状が出ます。

 在留邦人の中でもデング熱感染が報告されており、現地の日本大使館は滞在者には長袖や長ズボンを着用して肌の露出を控えることに加え、虫除けスプレーを使用して蚊に刺されないようにするなど感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 2023年8月14日(月)

2023/08/13

🟧兵庫県宝塚市立病院で2件の医療事故発表 患者の手術部位誤り、痛みやしびれが残った状態

 兵庫県の宝塚市立病院は10日、腰椎椎間板ヘルニアの40歳代女性患者とリウマチの60歳代女性患者の手術で、それぞれ手術部位を誤認する医療事故があったと発表しました。患者はいずれも市内在住で、ヘルニア患者は右太もも後ろ側の痛みやしびれ、リウマチ患者は左手親指の痛みなどが残ったままの状態といいます。

 同病院によると、ヘルニアの女性は昨年5月、腰の痛みなどを訴えて整形外科で手術を受けました。その際、50歳代の男性医師は手術が必要な腰椎よりも3、4センチ上にある腰椎の突起部を切除。部位の目印となる長さ約2センチの金属針を突起部に刺していたものの、医師がよく確認していなかったとみられます。

 手術後、女性の痛みやしびれが悪化。今年4月、別の民間病院に相談すると、違う部位が切除されたことを指摘され、市立病院で再受診し、医療ミスが発覚しました。健康面に影響はないといいます。

 リウマチ患者の女性は今年4月、親指付け根の関節変性疾患「母指CM関節症」で左手親指の痛みを訴え、リウマチ科で手術。担当した40歳代の男性医師は親指付け根の大菱形骨(だいりょうけいこつ)ではなく、隣接する舟状骨(しゅうじょうこつ)を誤って摘出しました。リウマチによって骨が変形するなどしていたため、医師が正確な部位を見誤ったといいます。

 手術後の放射線撮影でミスが判明。本来必要な骨を摘出したため、市立病院は患者の親指付け根周辺の骨を補強する手術などを検討しています。

 市立病院は「患者と家族に大変な苦痛をかけ、心よりおわびする。放射線撮影で何度も手術部位を確認するなど医療事故の再発防止策の徹底に努めていく」としています。

 2023年8月13日(日)

🟧市民病院で新型コロナ感染の看護師が勤務 人手不足理由、香川県三豊市

 香川県三豊市の市民病院で、新型コロナウイルスに感染した看護師が勤務していたことがわかりました。

 病院の管理職は、報告を受けていたにもかかわらず人手不足を理由に勤務を認めていたということです。

 三豊市立みとよ市民病院によりますと、8月5日、40歳代の女性の看護師が出勤前の検査で新型コロナの感染が確認されました。

 看護師は無症状だったということですが、看護部長は勤務させる判断をしたほか、報告を受けた事務長など管理職も勤務を認めたということです。

 看護師は、午後4時から翌日の深夜0時45分まで予定通り勤務し、一般の患者と分けられた場所で、新型コロナに感染した患者の対応に当たったということで、他の看護師らとの接触はなかったといいます。

 この病院では7月末からこれまでに、患者と職員合わせて16人の感染が確認されていて、病院は管理職などが勤務を認めた理由として、人手不足で看護師と交代する人がいなかったためだとしています。院内のマニュアルでは、自宅待機(5日間)となっていました。

 みとよ市民病院は「医療機関としてあってはならないことで、管理責任について厳正に対処した上で、市民への説明と信頼回復に努めていきます」としています。

 2023年8月13日(日)

🟧鳥取県倉吉市の果樹園で熱中症疑いの女性死亡 熱中症警戒アラート発令下

 鳥取県倉吉市の果樹園で12日、90歳の女性が熱中症とみられる症状で死亡しました。鳥取県内では7月26日にも畑にいた高齢者が熱中症の疑いで死亡しており、鳥取県は暑い時間帯での屋外の作業を避けるよう注意を呼び掛けています。

 12日午後1時半ごろ、倉吉市の果樹園で90歳の女性が倒れているのを家族が見付け消防に通報しました。

 女性はその場で死亡が確認され、鳥取県は13日、女性が死亡したのは熱中症が原因とみられると発表しました。

 12日の鳥取県には熱中症警戒アラートが出されていて、気象台によりますと、倉吉市の最高気温は31・4度でしたが、1日の平均湿度は82%と8月で最も高くなっていたということです。

 鳥取県内では7月26日にも境港市の畑にいた91歳の女性が熱中症の疑いで死亡していて、県は暑い時間帯の屋外での作業を避けたり、家族や地域の人が、屋外で1人で作業をしている人の様子を確認するなど熱中症に十分注意するよう呼び掛けています。

 2023年8月13日(日)

2023/08/12

🟧ブラジル北部のアマゾンで「水俣病」懸念 食用魚から基準超の水銀検出、健康被害も確認

 ブラジル北部のアマゾン地域で取れた食用魚の2割超から安全基準を超える濃度の水銀が検出されたことが、11日までにブラジルの研究機関の調査で判明しました。金の違法採掘で使用される水銀の排出が主な原因。障害がある新生児が増えるなど深刻な健康被害が確認されている地域もあり、専門家は「『水俣病』が強く疑われる」と懸念しています。

 水銀と水銀化合物による環境汚染や健康被害の防止を目指す「水銀に関する水俣条約」の採択から10月で10年。ブラジルも締約国ですが、世界最大の熱帯雨林があるアマゾンの経済開発に熱心だったジャイール・ボルソナロ前大統領が2019年に就任して以降、条約の履行に向けた動きは停滞しています。

 ブラジルの研究機関による調査は2021年3月~2022年9月、北部の6州17自治体の市場などで流通する魚を対象に行われ、結果は今年5月に公表されました。ロライマ州では40%、アクレ州では35・9%の食用魚で世界保健機関(WHO)などが定める魚の身1グラムにつき0・5ミクログラムという許容摂取基準量を上回る水銀を検出、全体では21・3%でした。

 2023年8月12日(土)

🟩公立病院の院長になる要件に「医師少ない地域での勤務」を検討 医師偏在で厚労省

 医師が都市部などに偏り地方で不足する「医師の偏在」への新たな対策として、厚生労働省が、公立病院の院長などの管理者になる要件に、医師が少ない地域で1年以上勤務することを新たに加える方向で検討を進めていることがわかりました。  「医師の偏在」は医師が都市部や特定の診療科などに偏り...