2023/09/07

🟧2023年は人類史上最も暑い年になる可能性が高い EU気象情報機関が発表

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス(C3S)」は6日、今年6~8月の世界平均気温が観測史上最高を記録したとし、また2023年は人類史上最も暑い年になる可能性が高いと発表しました。

 C3Sは同日公開した報告書で、北半球が夏となる6~8月の今年の世界の平均気温は16・77度で、1940年からの観測史上最高だった2019年の16・48度を上回ったと明らかにしました。今年8月の世界の平均気温も、同月としては史上最高を記録しました。

 C3Sのサマンサ・バージェス副所長は、「前月までの3カ月は、過去約12万年間、いい換えれば人類史上で最も高温だった」と述べました。

 ここ3カ月には熱波、干ばつ、山火事がアジア、アフリカ、ヨーロッパ、北アメリカを襲い、経済や生態系、人々の健康に甚大な影響を与えました。

 2023年9月7日(木)

🟧メキシコ最高裁、全土で人工妊娠中絶の権利認める判断 禁止は「女性の人権侵害」

 メキシコの最高裁判所は6日、全土において、人工妊娠中絶を合法とする判断を示しました。

 メキシコではかつて全土において人工妊娠中絶が禁止されていましたが、2007年のメキシコ市を皮切りに、これまでに32州中12州で合法化されています。今回の判断は32州すべてに適用されます。

 メキシコ最高裁は2021年9月、北部コアウイラ州が中絶に刑事罰を科すのは違憲との判断を全員一致で示していましたが、各州と連邦政府による現行の刑法の無効化のプロセスは遅々として進んでいませんでした。

 最高裁は、中絶の可能性を否定することは、女性の人権侵害に当たると指摘しました。

 アルトゥーロ・サルディバル最高裁長官は、「レイプの場合、いかなる少女も、州や親、保護者から母親になることを強制されることはない」「この場合の女性の権利侵害は、被害者としての立場からだけでなく年齢からみても、より深刻であり、未成年者の最大の利益の観点から、問題を分析する必要がある」と述べました。

 この判断を受け、連邦医療機関が中絶手術を行う道が開かれました。女性の権利団体も歓迎しています。

 一方、メキシコはキリスト教カトリック教会の信者がラテンアメリカで2番目に多く、今回の司法判断は、保守派の政治家やカトリック教会の怒りを買う可能性があります。

 ただ、教会の影響力は近年低下しており、メキシコ政府は自分たちは世俗主義的だととらえています。

 ラテンアメリカでは、「緑の波」と呼ばれる中絶規制緩和の流れがみられます。コロンビア、キューバ、ウルグアイ、アルゼンチンでは選択的中絶が合法ながら、10月に実施されるアルゼンチン大統領選挙の有力候補ハビエル・ミレイ氏は中絶を禁止したい考えです。

 レイプや、健康上のリスクがある場合の中絶を認めている国もあります。一方、エルサルヴァドルやホンジュラス、ニカラグア、ハイチ、ドミニカ共和国では全面的に禁止されています。

 メキシコなどラテンアメリカ諸国でのこうした動きは、アメリカの最高裁判所が昨年、中絶の権利を認めた判決を覆す判断を示したのとは対照的です。

 2023年9月7日(木)

2023/09/06

🟧大麻成分「THCH」含む食品で救急搬送4件 国民生活センターが注意喚起

 今年8月から「指定薬物」として規制されている大麻に含まれる成分の1つ「THCH」を含む食品やカプセルを摂取して病院に救急搬送される事例が寄せられているとして、国民生活センターが注意を呼び掛けています。

 「THCH」は、大麻に含まれる「カンナビノイド」という化学物質の1つで、幻覚作用や記憶への影響、薬物依存などの健康被害が懸念されるなどとして、国内では今年8月4日から「指定薬物」として輸入や製造、販売のほか、所持や使用などが禁止されています。

 国民生活センターによりますと、今年7月末までの1年間に「THCH」を含む食品などを摂取して救急搬送された事例が、全国の消費生活センターや医療機関などから合わせて4件寄せられたということです。

 このうち、通販サイトで購入した「THCH」の成分を含むカプセルを飲んだ40歳代の女性が上半身と顔がしびれて激しいめまいを感じた後に救急搬送され、そのまま2日間、意識不明となった事例や、20歳代の女性がグミを食べた後に気分が悪くなり、「幻覚が見える」などと訴えて救急搬送された事例などが報告されているということです。

 国民生活センターによりますと、規制の前はリラックス効果をうたった「THCH」を含むグミやクッキーなどの商品が大手通販サイトでも販売され、また、現在も一部のネットのフリーマーケットなどで取り引きされている実態があるということです。

 国民生活センターは、「THCH」を含む商品には絶対に手を出さないよう注意を呼び掛けています。

 2023年9月6日(水)

🟧中外製薬の希少血液疾患治療薬「クロバリマブ」、アメリカ当局が申請を受理

 中外製薬は6日、血液の希少疾患である「発作性夜間ヘモグロビン尿症」の治療薬「クロバリマブ」について、アメリカ食品医薬品局(FDA)が承認申請を受理したと発表しました。既存薬は点滴による2週間に1回の静脈注射のみが認められており、クロバリマブが承認されれば、新たに皮下注射が可能となります。患者が在宅で自己投与することができ、治療の選択肢が広がります。

 発作性夜間ヘモグロビン尿症は、赤血球が体の免疫系の一部である補体系によって破壊され、貧血や疲労、血栓、腎疾患などの症状が出ます。中外製薬によると、世界で約2万人が罹患(りかん)しているといいます。

 クロバリマブは補体系に作用する抗体医薬で、4週間に1回皮下投与します。同社はクロバリマブについて日本、中国、ヨーロッパでも当局に承認申請が受理されており、他国の規制当局に対する申請も進行中。

 2023年9月6日(水)

🟧市販薬を過剰摂取する若者が急増 救急搬送の8割は女性

 市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)で救急搬送された患者100人余りを調べたところ、平均年齢は25・8歳で8割近くが女性だったことが、国の研究班の調査でわかりました。

 多くの人は家族などと同居していて、研究班は「周囲とつながりがあっても、いいだせないような悩みや生きづらさを抱えているとみられ、周りの人は目を配ってほしい」と話しています。

 この調査は埼玉医科大学病院などが参加する厚生労働省の研究班が実施したもので、2021年5月から2022年12月までの1年8カ月間に、解熱鎮痛剤などの市販薬を過剰に摂取して全国7救急医療機関に救急搬送された122人について調べました。

 その結果、年代は20歳代の50人(41・0%)、10歳代の43人(35・2%)が多く、平均年齢は25・8歳で最年少は12歳だったほか、男女別では女性が79・5%、男性が20・5%でした。

 職業別では、最も多いのが学生で33・6%、次いでフルタイムで働く人が26・2%などとなっており、8割以上の人が家族やパートナーと同居していました。

 122人は、吐き気や意識障害、錯乱などの症状で搬送されました。死亡例はありませんでした。使われた市販薬は189品目で、解熱鎮痛剤47(24・9%)、せき止め35(18・5%)、風邪薬34(18・0%)など。

 また、救急搬送された人のほとんどが入院したほか、集中治療が行われた人は半数を超え、後遺症で通院が必要になった人もいたということです。

 研究班の埼玉医科大学臨床中毒センターの喜屋武玲子医師は、「家族と同居したり働いたりしていて周囲とつながりがあっても、いいだせないような悩みや生きづらさを抱えているとみられ、周りの人はそのことを知って目を配ってほしい。身体的な治療だけでなく、過剰摂取の背景に何があるのか、考える必要がある」と話していました。

 新宿・歌舞伎町で若者に話を聞くと、市販薬の過剰摂取を「OD(オーディー)」と呼び、自分や友人が経験したことがあると話しました。

 神奈川県の15歳の女性は、「ODやったことあります。人間関係に悩んで市販の風邪薬を30錠くらい飲んでしまいました。薬を飲むと考えたくないことを考えなくてよくなります。病んでしまったらすぐにODをしてしまうので、これまで何回やったか覚えていないです」と話していました。

 埼玉県の18歳の女性は、「友達6人くらいはODしています。若い人が多くて中高生もやっています。リストカットと違って痛くないので、思い詰めてしまった時にやってしまうのだと思います」と話していました。

 SNSにも、「OD」を巡る投稿が相次いでいます。

 「ODする時みんな何を使っている?」、「ODってどんな感じなのだろうか?」などと参考情報を求める投稿のほか、「負けました。オーバードーズした」などと使用済みの市販薬のケースの写真とともに投稿されたものもあります。

 そして「オーバードーズして死ぬところだった」とか、「肝臓にも負荷がかかるしやめる」など、過剰摂取の危険性を感じている投稿もあります。

 国立精神・神経医療研究センターは、全国の入院施設がある精神科の医療機関と連携し、薬物依存の患者の実態について調査を行っています。

 薬物の依存や乱用で治療を受けている10歳代の患者が、主にどういった薬物を使用していたかを調べたところ、せき止めや風邪薬などの「市販薬」が占める割合は、2014年にはゼロでしたが、その後急増し、2022年は65%と突出して多くなっています。

 厚労省はエフェドリン、ブロムワリレル尿素、プソイドエフェドリン、コデイン、ジヒドロコデイン、メチルエフェドリンの6つの成分を含む製剤を「乱用などの恐れがある医薬品」に指定しています。

 これらの成分が含まれる医薬品を、高校生以下の若者が購入したり、譲り受けようとする場合は、学生証などで名前や年齢、使用状況の確認を求めているほか、購入者が同じ薬をほかの店で買っていないかなどの確認も求めており、複数の購入を希望している場合は、その理由や使用状況を確認し、適正と判断した場合に限って販売するよう求めています。

 2023年9月6日(水)

🟧埼玉県で今季初、公立2校インフル休業に 群馬県でも今季初、4校で学年・学級閉鎖

 埼玉県教育局は4日、県内の公立小学校と県立高校でインフルエンザや体調不良による欠席者が複数いたため、それぞれ学級閉鎖と学年閉鎖を行ったと発表しました。同日から始まったインフルエンザ統計における新シーズンでは、初めてといいます。

 越谷市の小学校では6人が欠席し、4~5日を学級閉鎖としました。県南部の県立高校では58人が欠席し、4~8日を学年閉鎖としました。この高校では、3日に文化祭を実施していたといいます。

 一方、通常は冬に猛威を振るうインフルエンザが、群馬県内で早くも流行の兆しをみせ始めています。県は5日、小学校と高校の計4校で今季初の学年・学級閉鎖が報告されたと発表しました。県によると、インフルエンザによる学校の臨時休業は過去10年で最も早い発生となりました。新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行した後、インフルエンザは全国で再拡大。夏場も収束しないまま異例の流行が続いており、群馬県内も夏休み明けから再び広がっています。

 県感染症・がん疾病対策課によると、学級閉鎖となったのは新島学園高(安中市)の2年生1学級、藤岡中央高(藤岡市)の2年生1学級、藤岡小野小の2年生1学級。インフルエンザと診断されたか同様の症状があると学校が判断した欠席者は、各校で11~16人いました。学年閉鎖は藤岡美九里東小の4年生(18人)で、欠席者は4人。

 過去10年では、2019年9月30日に前橋市の幼稚園1学級で報告されたのが最も早く、今回はそれを大幅に上回る早さといいます。

 県内87カ所の定点医療機関から週ごとに報告される患者数は、1機関当たり「1人」を超えると流行期の目安とされます。8月28日~9月3日は1・77人。例年、流行は春ごろに収まるものの、今年は新型コロナが5類に移行した5月以降、感染対策が緩和されたことなどを背景に再拡大しました。6月中旬にいったん「1人」を下回ったものの、8月下旬に再び超える例年にない広がりをみせています。

 一方、全国では、夏場も「1人」を超える流行期が続いています。県感染症・がん疾病対策課は、「コロナ下では流行がなく、春以降も大きな感染拡大にはなっていないので免疫が低下している人が多い。全国的に流行が途切れない中、夏休みで人の交流が増え、学校が再開して広がった可能性がある」とみています。

 2023年9月6日(水)

2023/09/05

🟧マダニが媒介するSFTSの感染者が過去最多ペース 北日本に分布拡大

 マダニが媒介する感染症の患者が増加しています。かまれて感染する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の2023年の報告は8月下旬までに100人を超え、過去最多だった2022年の同時期を上回りました。ウイルスを持つマダニの分布が北日本に拡大しているとの研究もあります。専門家は山や草むらで肌を露出しないよう注意を呼び掛けています。

 SFTSの潜伏期間は6〜14日間ほどで、発熱や全身のだるさ、下痢といった症状が出ます。重症化すると意識障害や出血症状が起き、死亡することもあります。現時点で有効な薬やワクチンはなく、治療は対症療法が中心。

 国立感染症研究所によると、8月20日までに108人の感染が報告されました。2022年の同じ期間と比べて約3割多く、通年(116人)に迫る水準となっています。感染したネコやイヌを診療した時などに獣医師らがうつったとみられる事例もあります。

 福岡県では8月に、マダニにかまれた80歳代女性が死亡しました。久留米市保健所によると、1日に農作業中に足をかまれて受診。発熱や下痢が続き、転院先で13日に亡くなりました。県の研究機関による検査で、SFTSへの感染が確認されました。

 SFTSは2013年に、海外渡航歴のない人の感染が国内で初めて報告されました。感染症研究所によると、同年から2023年7月末までに確認された患者900人のうち、少なくとも101人が死亡しました。患者数は2022年まで2年連続で、過去最多を更新しました。

 背景について、札幌市医務・健康衛生担当局長を務める西條政幸・感染症研究所名誉所員は、「認知が進み、診断につながるケースが増えたことが大きい」と分析します。マダニが吸血するシカやイノシシといった野生動物が人の生活圏で確認される頻度が高まっていることも一因とみています。

 マダニの分布は拡大しているとみられます。山形大学と森林研究・整備機構は8月下旬、東北地方の離島で複数の南方系マダニ類の生息を確認したと発表しました。この離島には哺乳類がほぼ生息しておらず、渡り鳥に付いて離島を経由するなどして北方に生息を広げている可能性があります。

 見付かった南方系マダニ類の中にはSFTSを媒介する種もいました。研究を率いた山形大の小峰浩隆助教は、「気候変動に伴い、南方系マダニ類の生息に適した環境が北に広がりつつあることが考えられる」と説明しています。

 マダニが媒介する感染症はSFTSのほかに、日本紅斑熱などがあります。分布の拡大で、こうした感染症の発生地域の北方への拡大も懸念されます。

 マダニから身を守るには、肌の露出を減らすことが重要。感染症研究所は長袖、長ズボンの着用に加え、タオルを巻いて首を覆う、ズボンの裾を靴下の中に入れるといった対策を挙げています。

 かまれた場合に無理に取り除こうとすると、マダニの口が皮膚に残って化膿(かのう)する恐れがあります。皮膚科など医療機関で処置を受け、数週間は発熱など体調の変化に注意する必要があります。

 2023年9月5日(火)

🟥ゴールドウイン、PFAS不使用に 年内に衣料品の素材切り替え、海外拡大で

 アパレル大手で衣料品の素材として有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を使うことを取りやめる動きが広がっている。「ザ・ノース・フェイス」などを展開するゴールドウインは2025年内で代替素材に切り替える。PFASは熱に強く、アウトドア向け衣料で活用されている。健康への有害性...