2023/09/11

🟧新型コロナ患者増加、新変異型「エリス」の割合が拡大

 新型コロナウイルスの患者数が増えています。東京都内にある病院では、感染力が強いとされる新たな変異型、通称「エリス」の割合が増えて、一般の医療にも影響が出ています。

 全国約5000の定点医療機関から8月28日~9月3日の1週間に報告された新型コロナウイルスの感染者数は計10万1289人に上り、1医療機関当たり20・50人で、法的な位置付けが5月8日に「5類」に引き下げられて以降、最も多くなっています。

 現在、感染が広まっているのは世界保健機関(WHO)が8月、注目すべき変異型に指定したオミクロン型の新たな変異型「EG・5」、通称「エリス」とみられています。

 東京都品川区にある昭和大学病院では、8月に入ってEG・5の割合が増え、コロナ患者を解析した結果、約6割がEG・5だということです。現在、コロナ病床12床に対し44人が入院していて、5類移行後最多です。一般病床も使って対応に当たり、通常の医療にも影響が出始めています。

 昭和大学病院の相良博典院長は、「(入院患者の)7割ぐらいが高齢者かなと思います。通常の医療業務に関してもかなり影響が出てきている。恐らく、かなり市中感染は増えているだろうと思います。まだまだ、もうちょっと増えていくだろうと思います」と話しています。 

 感染力がやや強いとされるEG・5の特徴については、「ほとんどが中等症から軽症。重症はそれほど多くない。今、流行しているEG・5に関しては、従来、我々が接種してきたワクチンは効きにくいと思いますので今度、認められた新たなワクチン、それを早めに接種する必要性があろうかと思います」 と話し、高齢者など重症化リスクの高い人に感染を広げないよう、場面に応じた感染対策を取るよう呼び掛けています。

 2023年9月11日(月)

🟧日本調剤と料理宅配ウォルト、処方薬宅配サービスを開始 最短30分で配送

 全国47都道府県で調剤薬局を展開する日本調剤(東京都千代田区)と、料理宅配サービス「Wolt(ウォルト)」を展開するウォルトジャパン(東京都渋谷区)は、処方薬を最短30分で届ける宅配サービスを9月11日から始めました。

 配送の対象は日本調剤の窓口やオンラインで服薬指導した処方薬で、患者は薬剤師に配送の希望を伝えるとウォルトの配達パートナーが自宅に届けるといいます。配送時間は30分後から1週間程度まで指定できます。

 料金は1回800円。まずは日本調剤の東京都と神奈川県の18店舗からサービスを始め、11月には首都圏の120店舗まで対象を広げます。また、来年以降は順次対応店舗を全国に広げていく計画です。

 このサービスが可能になった背景として、電子処方箋の制度が今年1月にスタートし、オンラインでの処方薬の取り扱いが認められたことがあります。しかし電子処方箋の導入は緩やかで、システム導入コストが障壁となっています。

 日本調剤は、電子処方箋が中長期的には定着し、処方薬の自宅配送も普及すると見込んでいます。自社の店舗網を生かした配送サービスが、制度の利用を後押しすることが期待されます。一方、ウォルトにとっては新規事業の柱となり得ます。

 処方薬を受け取れるサービスは、大手ドラッグストアやコンビニエンスストアが普及に取り組んでおり、関連銘柄に注目が集まりそうです。

 2023年9月11日(月)

2023/09/10

🟧新型コロナワクチン接種、来年度からは高齢者などに年1回で調整

 来年度からの新型コロナウイルスのワクチン接種について、厚生労働省は65歳以上の高齢者や重症化リスクのある人を対象に、年に1回、秋から冬の間に行う方向で調整していることがわかりました。今後、専門家などの意見を踏まえ最終的に決定することにしています。

 新型コロナワクチンの接種については、「まん延予防上緊急の必要がある」として接種費用を全額公費で負担する「特例臨時接種」で行われ、今年5月に感染症法上の位置付けが5類に変更された後も、無料での接種が続けられています。

 一方、「特例臨時接種」は来年3月末が期限となっていて、厚労省は来年度以降の接種の対象者や費用負担の在り方などについて検討を進めています。

 こうした中、厚労省が、来年度以降の接種について、年に1回、秋から冬の間に行う方向で調整していることがわかりました。

 接種を受ける対象者については、65歳以上の高齢者など重症化リスクの高い人とする方向で検討しており、今後、専門家などからの意見を聞いた上で決定することにしています。

 また、接種の費用負担の在り方についても、季節性インフルエンザなどと同様に一部自己負担となるケースもある「定期接種」に変更するかどうかなどについて今後検討を進め、今年中にも最終的な方針を取りまとめることにしています。

 2023年9月10日(日)

🟧立ったまま撮影できるCT公開、疾患見付けやすく 愛知県の藤田医科大学病院で導入、国内臨床で初

 愛知県豊明市の藤田医科大学病院は9日、立ったまま撮影できる「立位CT(コンピューター断層撮影)」を報道陣に公開しました。今年5月に運用を始め、臨床現場では国内初の導入。

 内臓や脂肪、血管の位置などは重力の影響で変動するため、寝台に仰向け寝る従来のCTではわからなかった、患者が立った時に症状が出る痛みなどの原因の特定につながることが期待されています。

 患者が装置の中央に立つと、筒状の部分が上下に動いて体内の画像を撮影します。座ったままで、頭や首の内部の撮影も可能。運用開始以降、膝関節などの運動器や呼吸器、消化器など幅広い分野の診断に用いられています。キヤノンメディカルシステムズ(栃木県大田原市)が慶応大学と共同開発しました。

 現在は、副作用による転倒の可能性を考え、造影剤を用いた撮影はしていません。大野良治教授(放射線診断学)は、「気を失っても転倒しないような独自の装具を数年以内に開発し、立位CTを世界に普及させていきたい」と話しました。

 2023年9月10日(日)

🟧宿泊施設でレジオネラ属菌を検出、宮崎市が1年超指導せず 職員が報告を見落とし

 宮崎市は、1年余り前に市内の宿泊施設の浴槽から国の基準値を超えるレジオネラ属菌が検出されたという報告を受けたものの、消毒などを指導せず、再び基準の10倍以上の菌が検出されたとして謝罪しました。

 これまでに健康被害は確認されていないということです。

 これは、宮崎市が9日会見を開いて明らかにしました。

 市によりますと昨年7月29日、保健衛生課の職員が市内の観光地、青島にある「AOSHIMA SUIKOEN」から、浴槽の水質検査で国の基準値を超えるレジオネラ属菌が検出されたという報告をファックスで受け取った際に見落とし、消毒などを指導していなかったということです。

 その後、今年8月28日になって別の職員が2022年度分の報告書を確認していた際、見落としに気付いたのを切っ掛けに、宿泊施設に浴場の使用停止を依頼して立ち入り調査を実施し、水質検査の結果、男湯と女湯の浴槽などから基準の10倍から13倍のレジオネラ属菌が検出されました。

 宿泊施設側は最初に問題がわかって以降、浴槽などを消毒したものの、再検査は行っていなかったということです。

 毎月、平均で延べ800人から1000人の宿泊者がいましたが、これまでに健康被害は確認されていないということです。

 宿泊施設では現在、市の要請や指導に基づいて大浴場の利用を停止して浴槽や配管の洗浄などを行っています。

 宮崎市健康管理部の袈裟丸未央部長は会見で、「市民の皆様に不安と心配をおかけして大変申し訳ありません」と謝罪しました。市は報告書を担当者以外にも確認させるなどの再発防止策をとるといいます。

 2023年9月10日(日)

2023/09/09

🟧iPS細胞の心筋球移植で心臓の収縮機能倍増 2年後に実用化へ

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓の筋肉(心筋)の細胞約1千個を球状に加工した「心筋球」計約5万個を、重い心不全患者の心臓に移植する世界初の治験を進めている慶応大学発の医療ベンチャー、ハートシード(東京都新宿区)が、手術を行った患者2人について顕著な症状改善効果を確認したことが9日、わかりました。心筋梗塞で硬化し収縮しづらくなった心臓の収縮機能が倍増。2年後の2025年の実用化を目指すといいます。

 治験の対象は、心臓の血管が詰まって心筋が壊死(えし)し、心臓の筋肉組織が硬くなって柔軟性が失われ、血液を送る力が衰えた「虚血性心筋症」という心不全の患者。息切れやむくみが起こり、悪化すると歩行ができなくなり生命の危険も生じます。

 すでに4手術を実施。そのうち昨年12月に1例目、今年2月に3例目の手術を、いずれも60歳代男性に対して実施した共同研究機関の東京女子医科大学病院(東京都新宿区)が、術後半年を経過したことから、治療の効果について取りまとめました。

 2人とも重篤な副作用はなく、細胞のがん化もありませんでした。心筋球は約30倍の大きさに成長して心臓と一体化し、筋肉組織は柔軟さを取り戻し機能が改善しました。生命にかかわる不整脈もなく、患者は退院し歩行のリハビリテーションも始めたといいます。

 手術から半年後の分析では、心臓が血液を送り出す力を示す収縮率(健常者は平均約65%)が、1例目が26%から28%に改善。3例目は、17%から38%に倍増しました。また、心筋梗塞を起こした心筋細胞数の指標となる物質も、1例目が血液1ミリリットル当たり1万1471ピコグラム(ピコは1兆分の1)から5733ピコグラムに急減。その後も減少が続いています。3例目は、5225ピコグラムから817ピコグラムに大幅減少し、重篤な心不全の基準となる900ピコグラム以下に改善しました。

 ハートシードの社長を務める福田恵一・慶応大学名誉教授は、「入念な準備を重ねた結果、大きな問題は起こっておらず、iPS心筋球移植の安全性と有効性を立証できた。日本発の新たな心不全治療法を世界に広げたい。今後は世界規模の最終段階の共同治験を行い、2025年ごろの実用化を目指している」と説明しています。

 今回の成果は、9日に開かれた日本心臓病学会学術集会で発表されました。

 2023年9月9日(土)

🟧インフルエンザの感染者、1万2638人に増加 学校の学級閉鎖も

 インフルエンザや新型コロナウイルスによる学級閉鎖が、夏休み明けから増加しています。財団法人の日本学校保健会は、全国にある保育園や幼稚園、学校などのうち、登録のあった約4万の施設の学級閉鎖などの状況を集計しています。

 それによりますと、多くの学校で2学期が始まった8月25日の時点で学級閉鎖となったのは、新型コロナで11クラス、インフルエンザで1クラスでしたが、1週間前の9月1日では、新型コロナで205クラス、インフルエンザで42クラスに、8日午後3時の時点では、新型コロナで515クラス、インフルエンザで186クラスに増えています。

 全国のインフルエンザの患者数は9月3日までの1週間で1医療機関当たり2・56人となり、前の週より増加しました。流行の目安とされる「1人」を超える状態が続いています。

 厚生労働省によりますと、9月3日までの1週間に全国約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週から5700人余り増えて1万2638人でした。1医療機関当たりでは、前の週の1・40人から2・56人に増えました。

 地域ごとでは、いずれも1医療機関当たりで沖縄県で9・41人、宮崎県で4・95人、三重県で4・42人、千葉県で4・20人、福岡県で4・16人などとなっています。

 インフルエンザは、全国で1医療機関当たり1人を超えると「流行期入り」の目安とされていていますが、昨年の12月25日までの1週間に「1・24人」となって以降、1人を上回る状態が続いています。

 厚労省によりますと、この時期まで1人を上回る状態が続くのは、現在の集計方法となった1999年以降で初めてだということです。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授は、「コロナ禍の感染対策が行われていた時期はインフルエンザは感染拡大が抑えられていたため、免疫を持たない人が増えたことが影響していると考えられる」と話しています。

 2023年9月9日(土)

🟥茨城県の救急電話相談、2カ月間で最多2万9170件 選定療養費徴収が影響か

 救急車を呼ぶか迷った際に助言を受けられる茨城県の「救急電話相談」で、昨年12月と今年1月の2カ月間の相談は前年同期比約12%増の2万9170件に上り、過去最多となったことが11日、県への取材でわかりました。12月に始まった緊急性のない救急搬送患者から「選定療養費」を徴収する制...