2023/09/26

🟧新型コロナ、成人1~2割に「後遺症」 厚労省研究班が5万3642人調査

 新型コロナウイルスのいわゆる「後遺症」について厚生労働省の研究班が3つの自治体で19万人余りを対象に行ったアンケート調査の結果、成人の11・7~23・4%がせきやけん怠感など何らかの症状が感染から2カ月以上続いたと答えたことがわかりました。

 調査は厚労省の研究班が東京都品川区、大阪府八尾市、札幌市のコロナ感染者と非感染者、計19万5420人(成人8万6476人、小児10万8944人)を対象にオンラインと紙でアンケートを実施。計5万3642人(成人2万5736人、小児2万7906人)から得た回答を、各市区ごとに分析しました。

 この中で、昨年9月までに新型コロナに感染し、せきやけん怠感などが2カ月以上続く、いわゆる「後遺症」とみられる症状があると答えた人の割合は、成人では、札幌市で23・4%、大阪府八尾市で15・0%、東京都品川区で11・7%となりました。

 一方、5歳から17歳の小児を調査した札幌市と八尾市ではいずれも6・3%と、成人より低い割合となりました。

 また、感染前にワクチンを接種した人は接種していない人に比べて、成人と小児のいずれも症状が続いた人の割合が約25%から55%低かったということです。

 研究に参加した国立国際医療研究センターの磯博康医師は、「感染した人の多くが長引く症状に苦しんでいることが大規模調査で裏付けられた。症状が長く続くことで生活に影響が出ている人もいるとみられる。継続的な治療に加え、時間の経過とともに症状がどう変化するのか、さらに研究を進める」と話していました。

 2023年9月26日(火)

🟧アメリカのイーライ・リリーの認知症新薬「ドナネマブ」、厚労省に承認申請完了 実用化は来年か

 アメリカの製薬企業イーライリリーの日本法人は26日、アルツハイマー病の新薬「ドナネマブ」について、厚生労働省への薬事承認申請を完了したと発表しました。来日中のアメリカのイーライリリーのデイビッド・リックス会長兼最高経営責任者(CEO)は東京都内で開いた記者会見で、日本での実用化は来年になるとの見通しを示しました。

 国内では25日に、製薬大手エーザイとアメリカの医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」(商品名レケンビ)が薬事承認されたばかりで、年内にも実用化される見通しです。ドナネマブもレカネマブと同じく「疾患修飾薬」(病気の進行を遅らせる薬)という位置付けで、承認されれば2例目となります。ドナネマブはアメリカでも薬事審査中で、年末までに正式承認の可否判断が出る見通しといいます。

 ドナネマブは、患者の脳内に蓄積する異常なタンパク質「アミロイドβ」の塊(プラーク)を除去することで、症状の悪化を遅らせることが期待されています。

 イーライリリーは最終段階の臨床試験(治験)を、アルツハイマー病の進行の度合いによって患者を複数のグループに分けて実施。認知機能などを1年半にわたって評価しました。

 同社によると、アルツハイマー病の初期段階の患者(1182人)を対象とした治験では、ドナネマブを投与した患者は、偽薬(プラセボ)の投与を受けた患者に比べて、認知機能の低下を35%程度抑えられたとしています。

 一方で、ドナネマブを投与した患者の36・8%に脳の微小出血や浮腫がみられました。大半の患者は軽症なものの、副作用の影響を受けて3人が死亡した可能性があるといいます。

 リックス会長は記者会見に先立つイベントで、「(アルツハイマー病の)治療に関していろいろなコンビネーションも必要だ」と述べ、治療の選択肢を広げる必要性を強調。「日本で(ドナネマブの)治療を実現することで、新しい認知症のケアの時代に入っていきたい」と早期の実用化に期待を示しました。

 2023年9月26日(火)

2023/09/25

🟧アルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を正式承認 厚生労働省、年内実用化へ

 厚生労働省は25日、製薬大手エーザイとアメリカの医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」(商品名・レケンビ)を正式承認しました。早期のアルツハイマー病患者を対象にした治療薬で、病状の進行を抑制します。

 薬の価格は、すでに7月に承認されているアメリカでは1人当たり平均で年間2万6500ドル(約390万円)に設定されていますが、日本ではまだ決まっていません。今後、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関、中医協)で、公的医療保険の適用と薬の価格について結論が出され、早ければ年内に医療現場での使用が始まります。

 エーザイの内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は、「アルツハイマー病治療の歴史に新たなページを開くことができた」とのコメントを発表しました。

 レカネマブは、アルツハイマー病の原因とされるタンパク質「アミロイドβ(ベータ)」を脳内から除去することで、症状の進行を遅らせる効果が期待されます。臨床試験(治験)では、投与開始から1年半後の時点で、投与しなかった患者と比べて認知機能の低下を27%抑制。これについて、エーザイは病状の進行を約7カ月半遅らせる効果に相当すると説明しています。

 進行を遅らせる効果は認められたものの、病状を戻したり、根治したりといったことは期待できません。脳のむくみや、出血などの副作用も報告されました。

 添付文書では、検査などの体制が整備された医療機関でリスク管理ができる医師の下で使用するよう明記。副作用のリスクについて十分な情報提供をした上で患者や家族らの同意が必要とされました。投与開始前に脳のむくみや一定程度の微小出血がある人は使えません。

 2023年9月25日(月)

🟧新型コロナ後遺症が長期化した女性に初の傷病補償年金支給 感染から2年以上症状続く

 新型コロナウイルスの感染した後に症状が長引く後遺症を巡り、東京都内の女性に「傷病補償年金」の支給が認定されました。支援するNPO法人東京労働安全衛生センターによりますと、コロナの感染でこの年金が支給されるのは初めてとみられ、後遺症に苦しむ人たちの救済につながると期待されています。

 22日、厚生労働省で東京都内に住む55歳の女性が記者会見を開きました。

 女性は2021年1月、東京都福生市の有料老人ホームで事務員として働いていた際に、施設でクラスター(集団感染)が発生し、自身も新型コロナに感染して症状が悪化し、救急搬送されました。CT(コンピューター断層撮影)検査で両肺が真っ白に映るほどの重度の肺炎を起こしていたということです。1カ月ほどで退院しましたが休職し、その後も呼吸困難の症状が収まらず、7月に労災認定を受けました。

 その後も息苦しさなどは改善せず、自宅で酸素療法を続ける生活を2年以上続けていたところ、今年5月に労働基準監督署から傷病補償年金の支給が決まったと通知されたということです。

 傷病補償年金はこれまでじん肺などで療養を始めてから1年半が経過した、症状が重い人が対象となっていましたが、NPO法人東京労働安全衛生センターによりますと、コロナで支給されたのは初めてとみられるということです。

 女性は「毎日酸素を2リットル使う生活で、元気に動ける日が少なく不自由な生活になった。時間がかかったけど、支給が認められてほっとしています」と話していました。

 NPO法人東京労働安全衛生センターの飯田勝泰事務局長は、「コロナの後遺症に苦しむ人たちの治療と補償が課題になっている中で、国は傷病補償年金を支給し多くの人たちの救済につなげてほしい」と話していました。

 労働問題に詳しい東洋大学の鎌田耕一名誉教授は、「新型コロナの後遺症が労災認定されるのは、そもそもハードルが高いといわれている。そうした中で後遺症が長期化した人に傷病補償年金の支給を認めたことは重要な判断だ。コロナの後遺症は企業によっては理解が進んでおらず、症状が続く人が『いつまで仕事を休むのか』といわれるようなケースが少なくないため、こうした人たちへの支援をどう進めていくか、考えていく必要がある」と話しています。

 厚労省の研究班は、成人の新型コロナ感染者のうち11・7%から23・4%に後遺症があったとの調査結果を公表しています。

 2023年9月25日(月)

2023/09/24

🟧アイリスオーヤマ「もち麦ごはん」回収、160万個に拡大 当初対象外の製品にも変色や液状化

 アイリスオーヤマが製造し、グループ会社のアイリスフーズを通じて販売した電子レンジで温めるごはんについて、会社側は9月19日に自主回収すると発表しましたが、23日この対象をこれまでの5倍以上に相当する約160万個に拡大すると明らかにしました。

 発表によりますと、自主回収の対象となるのは、アイリスオーヤマが製造し、アイリスフーズを通じて販売した電子レンジで温めるごはん「もち麦ごはん」で、特定のロット番号で賞味期限が来年(2024年)4月から9月までの商品となります。

 これらは自社ブランドのほか、通販サイトのアマゾンとスーパーのライフ、セブン‐イレブンで、それぞれのプライベートブランドとしても販売されたということです。

 会社側は9月19日に30万個あまりの自主回収を発表しましたが、この際に対象となった商品以外にも、同じようにごはんが変色して液状化している商品があることが消費者からの指摘でわかりました。

 このため回収の対象をこれまでの5倍以上に当たる約160万個に拡大することを決めたということです。

 会社側によりますと、これまでのところ健康への被害は確認されていないということです。

 販売したアイリスフーズは、「度重なるお知らせとなり、お客様にはお手数とご迷惑をおかけしますことを深くおわび申し上げます」とコメントしています。対象製品の生産を当面見合わせるといいます。

 問い合わせ先の電話番号は、フリーダイヤル0800-888-6060で、午前9時から午後5時まで受け付けています。(土日祝日は午後0時から1時を除く)

 2023年9月24日(日)

🟧多摩地域の全市町村、住民からPFAS検出 市民団体が血液検査

 一部で有害性が指摘されている有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」について、専門家と市民団体は、東京都の多摩地域の住民を対象にした血液検査の平均で、国の調査の約2・3倍の血中濃度が検出されたとする結果を公表しました。

 「PFAS(ピーファス)」は、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称で、このうち「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」と呼ばれる2つの物質は、アメリカの研究などで有害性が指摘されています。

 沖縄県のアメリカ軍基地周辺で国の暫定的な目標値を超える値が相次いで検出され、多摩地域の水道水からも検出されたことを受け、京都大学大学院の原田浩二准教授と市民団体は、これまでに横田基地のある多摩地域の住民789人の血液検査を行い、21日、立川市で開いた記者会見で結果を公表しました。

 それによりますと、すべての市町村の住民からPFASが検出され、検出したPFOSとPFOAを合わせた平均値は13・9ナノグラムで、これは国が一昨年、全国の3地点で行った調査の平均値の約2・3倍に相当するということです。

 多摩地域の30市町村でそれぞれ10人以上検査を行い、自治体別でみると国分寺市で23ナノグラム、立川市で19ナノグラムなどと北部地域の値が高い傾向だったということです。一方で、八王子市や町田市、奥多摩町などでは値が低くなっています。

 オンラインで参加した原田准教授は、「都は水道水などの調査で濃度が高い場所の取水を停止しているが、効果が出るのが遅いのか、土壌などほかの要因が考えられるのか調べるべきだ」と指摘し、「国分寺市の値は全国的にみても高く、PFASの検出が問題となっている沖縄県と比べても高い状況だ。健康への影響は無視できずアメリカの指針値を参考にした対応を考える必要がある」としています。

 市民団体は原因究明のため、多摩地域の井戸や河川などで行っている水質調査の結果も近いうちに発表する方針です。 

 2023年9月24日(日)

🟧熊本県の70歳代男性、日本脳炎に感染 2023年で全国初の確認 

 熊本県は22日、玉名郡の70歳代男性が日本脳炎に感染したと発表しました。男性は意識障害などがあり、有明保健所管内の医療機関に入院中。今年に入り感染者が確認されたのは全国で初めて。

 県健康危機管理課によると、男性は4日に発熱やろれつが回らなくなるなどの構音障害の症状があり、医療機関を受診。呼吸状態も悪化し、21日に検査で陽性が確認されました。

 日本脳炎は蚊の「コガタアカイエカ」が媒介するウイルスによる感染症。ウイルスに感染して日本脳炎を発症するのは100~1000人に1人で、発症すると高熱やけいれんなどの症状が出るほか、子供や高齢者が感染した場合には死亡するケースもありますが、人から人へ感染することはないということです。

 昨年は全国で日本脳炎の患者5人を確認。うち3人は熊本県内で、70歳代の女性1人が死亡しました。

 同課は7月27日から県内全域に日本脳炎注意報を発令中。蚊に刺されないよう長袖、長ズボンの着用や虫よけ剤の使用を心掛け、蚊の発生源となる水たまりをなくすなどの対策を呼び掛けています。

 2023年9月24日(日)

🟥禁煙の飲食店、全国で6割にとどまる 2023年12月時点、例外規定多く

 多くの人が集まる場所での受動喫煙対策を強化する改正健康増進法施行後の2023年12月時点で、禁煙の飲食店は全国で約6割にとどまることが、厚生労働省研究班の調査でわかりました。改正健康増進法は飲食店を原則禁煙とするものの例外規定が多く、当初から懸念の声が上がっていました。厚労省...