2023/10/23

🟧ES細胞の医療製品、初の承認申請へ 国立成育医療研究センター、肝臓病の赤ちゃん治療に

 重い肝臓病の赤ちゃんに、体のさまざまな細胞になれるES細胞(胚性幹細胞)から作った肝細胞を移植する国立成育医療研究センターの臨床試験(治験)で、安全性と効果が確認できたとして、企業を通じて本年度中に再生医療等製品として国に承認申請することが23日、明らかになりました。

 承認されれば来年度中にも実用化の可能性があり、国内初となります。ES細胞を用いた治療は、海外では目の病気や脊髄損傷などを対象に治験が進んでいるものの、実用化の報告はまだありません。

 生まれ付き有毒なアンモニアが分解できずにたまる「尿素サイクル異常症」の赤ちゃんが対象。8000~4万4000人に1人の割合で発症します。

 不妊治療で余った受精卵から作製したES細胞を肝細胞に成長させ、へその緒から患者の肝臓内の血管に注入し、アンモニアの分解を助けます。

 ES細胞は、受精後6、7日目の胚盤胞から細胞を取り出し、それを培養することによって作製されます。ES細胞は、さまざまな細胞に分化しあらゆる組織や臓器になることができるというメリットがあります。また、ES細胞は無限に近い形で増殖させることが可能です。

 2023年10月23日(月)

2023/10/22

🟧「がん治療と仕事の両立は困難」と感じている人は54%に がん検診率減、新型コロナ影響か

 がん対策に関する内閣府の世論調査で、自分ががんになった場合、治療を受けながら働き続けるのは難しいと感じている人は54%に上り、厚生労働省は、治療と仕事の両立に向けた環境整備を進めたいとしています。

 内閣府は、今年7月から8月にかけて全国の18歳以上の3000人を対象にがん対策に関する世論調査を行い、54%に当たる1626人から回答を得ました。

 それによりますと、仮に自分ががんになって、治療や検査のために2週間に1度程度、病院に通う必要がある場合、働き続けられる環境だと思うか聞いたところ、「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」と答えた人は45%だった一方、「そう思わない」と「どちらかといえばそう思わない」と答えた人は54%でした。

 このうち「そう思わない」と答えた人に理由を尋ねたところ、「体力的に困難」が28%と最も多く、次いで「代わりに仕事をする人がいない、いても頼みにくい」が22%、「職場が休むことを許してくれるかわからない」が16%でした。

 厚生労働省の担当者は、「職場での理解促進や相談支援体制の充実を進めてきた効果が一定程度表れているが、まだ半数以上の人が両立が難しいと感じている。引き続き治療と仕事の両立に向けた環境整備を進めたい」と話しています。

 また、2年以内にがん検診を受診した人の割合は42・7%で、2019年の前回調査より約14ポイント減少。新型コロナウイルスの流行が影響した可能性があります。

 2023年10月22日(日)

🟧患者の検体取り違えで良性の前立腺摘出 静岡県立総合病院で医療ミス

 静岡市葵区の静岡県立総合病院が前立腺がんの疑いで検査した患者2人の検体を取り違え、悪性腫瘍がなかった同市の60歳代男性の前立腺を摘出し、悪性腫瘍のある同市の80歳代男性の治療開始が遅れたことが20日、明らかになりました。小西靖彦院長らが同日、静岡県庁で記者会見を開き、経緯を説明しました。

 2人は4月の同じ日、同じ手術室で連続して、病変の一部を切り取って顕微鏡で調べる生体検査(生検)を受けました。同病院の医療事故調査委員会の調べでは、その際に採取した細胞組織を取り違えて容器に入れた可能性があるといいます。

 60歳代男性は別人のデータに基づく告知を受け、7月中旬にロボット支援の腹腔(ふくくう)鏡手術で前立腺を全摘出したものの、摘出した組織は病理検査で良性でした。DNA鑑定により、80歳代男性と検体が取り違えられていることが判明。60歳代男性は前立腺の摘出後に尿漏れなどが起きていて、現在は同病院が定期的に健康状態を確認しています。

 80歳代男性はリンパ節への転移がみられ、現在ホルモン療法を受けています。吉村耕治副院長は「治療開始は実質的には5カ月ほどの遅れが生じた」としました。 

 生検では患者ごとに台車を分け、伝票、名前などを記載した検体容器を準備しています。同病院は患者2人と家族に謝罪した上で、再発防止策として「連続で生検を実施する際は患者ごとに部屋を分けて準備する」「患者のリストバンドと検体容器に貼られたバーコードを照合する」ことをマニュアルに盛り込みました。

 2023年10月22日(日)

2023/10/20

🟧第一三共、新型がん治療薬で世界開拓 アメリカのメルクと提携、最大3・3兆円受領

 第一三共は20日、同社の技術を使ったがん領域の3製品でアメリカのメルクと全世界での開発・商業化契約を結んだと発表しました。第一三共は販売のマイルストーンも含め最大で220億ドル(約3兆3000億円)を受け取るとしています。国内製薬会社の契約としては過去最高額となります。

 第一三共の発表によると、内訳は40億ドルの契約時一時金、15億ドルの後払い一時金と、最大165億ドルの販売マイルストーンで、対象製品は同社独自のDXd-ADC技術を用いた「パトリツマブ デルクステカン」、「DS-7300」と「DS-6000」の3製品。製造と供給は第一三共が担います。

 発表を受けて、第一三共株は6営業日ぶりに反発して取引を開始。一時前日比18%高の4210円と、第一製薬と三共が経営統合した2005年9月以降で最大の日中上昇率となりました。

 同社は4月に、2026年3月期の売上高目標を2兆円とする計画を公表。そのうち9000億円以上をがん領域から叩き出す計画です。がん細胞に標的を絞り、抗体に付加した薬物をがん細胞内に直接届ける抗体薬物複合体(ADC)で同社は世界をリードしており、適用できるがんの範囲を拡大しようとしています。

 同社はこれまでイギリスのアストラゼネカと、乳がん治療など向けの「エンハーツ」製品で提携しています。開発中の製品については単独での販売展開も視野に入れていたものの、ADC領域での競合相手だったメルクとも新たに提携することとなりました。

 第一三共によると、全世界における3製品合計の年間売り上げ規模は、2030年代半ばに向けて、数十億ドルに達する可能性があるといいます。

 2023年10月20日(金)

🟧インフルエンザ患者、「注意報」基準超える 1医療機関当たり11・07人

 インフルエンザの流行状況について、10月15日までの1週間に全国の医療機関から報告された患者の数は、1医療機関当たり11・07人となりました。前週比1・11倍で、それぞれの自治体がインフルエンザの「注意報」を出す基準となっている10人を超えました。例年より1カ月以上早くなっています。

 国立感染症研究所などによりますと、10月15日までの1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週より約5500人増え5万4709人となりました。

 1医療機関当たりでは全国で11・07人となっており、それぞれの自治体が「注意報」を出す基準となっている10人を超えました。

 地域ごとでは、沖縄県が25・37人、千葉県が20・86人、埼玉県が19・69人、愛媛県が18・45人、山口県が17・58人などとなっており、17の都と県で「注意報レベル」の10人を超えています。

 新型コロナウイルスの流行が始まった2020年以降は、インフルエンザの感染が少なかったため、免疫が低下するなどし、すべての年代が感染しやすくなっているとみられます。

 厚労省は「今年は例年より早く本格的な流行が始まる可能性がある」と注意を呼び掛けています。

 2023年10月20日(金)

🟧9月に熱中症で搬送、9193人 過去2番目の多さ

 総務省消防庁は20日、9月に熱中症で病院に救急搬送されたのは全国で9193人だったとの確定値を発表しました。搬送数は前年9月(4931人)の約1・9倍で、集計を始めた2008年以降、2019年の9532人に次いで2番目の多さでした。

 9月の平均気温が全国的に高かったことが影響しました。

 病院に搬送後に死亡が確認されたのは10府県の計12人。3週間以上の入院が必要な重症は132人、短期入院が必要な中等症は2411人でした。

 年齢別では、約半数の4597人が65歳以上。発生場所は、庭なども含む「住居」が2802人で最も多くなりました。

 都道府県別では、大阪府が708人で最多となり、東京都636人、愛知県609人と続きました。

 2023年10月20日(金)

🟧新型コロナ、1医療機関当たり平均患者数が前週比0・72倍 ピークをすぎて6週連続減少

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、10月15日までの1週間では、1つの医療機関当たりの平均の患者数が3・76人で、前の週の0・72倍となっています。

 厚生労働省は「ピークをすぎて6週連続減少しているが、引き続き感染対策は続けてほしい」としています。

 厚労省によりますと、10月15日までの1週間に全国約5000の医療機関から報告された新型コロナの患者数は、前の週から7043人減って1万8587人となりました。

 1つの医療機関当たりの平均の患者数は3・76人で、前の週の0・72倍となりました。

前の週から減少が続くのは6週連続です。

 都道府県別では多い順に、北海道が6・61人、岐阜県が6・13人、石川県が5・58人、沖縄県が5・54人、長野県が5・38人などとなっていて、香川県のみ前の週より増加しています。

 また、今月15日までの1週間に、全国約500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1245人で、前の週と比べて265人の減少でした。

 厚労省は全国の流行状況について、「ピークをすぎて6週連続減少しているが、インフルエンザの患者は増加傾向にあるほか、例年、冬にコロナの感染が拡大することからも引き続き、感染対策は続けてほしい」としています。

 都道府県別の1医療機関当たりの平均患者数は、北海道は6・61人、岐阜県は6・13人、石川県は5・58人、沖縄県は5・54人、長野県は5・38人、愛知県は5・12人、福島県は5・11人、山梨県は5・05人、香川県は4・85人、奈良県は4・65人、茨城県は4・53人、岩手県は4・48人、富山県は4・38人、静岡県は4・24人、群馬県は4・13人、鳥取県は4・1人。

 2023年10月20日(金)

🟪関東ではしか感染報告相次ぐ、すでに昨年1年間の4倍以上 海外渡航の注意や予防接種呼び掛け

 関東ではしか(麻疹)の感染報告が相次いでいます。アメリカでは33年ぶりの大流行となっており、厚生労働省や各自治体は海外渡航の注意や予防接種を呼び掛けています。  厚労省によると、7月2日までの全国のはしか発生件数は計167件。そのうち関東1都6県は計96件で、全国の半数以上を...