2023/11/07

🟩プール熱の1週間の患者数、過去10年間で最多の状態続く

 流行が続く咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の10月29日までの1週間の患者数は、前の週からさらに増え、過去10年間で最も多い状態が続いています。

 専門家は、「流行の地域差が大きく、今後、まだ患者が多くない地域で感染が広がる可能性がある」としています。

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱は、子供を中心にのどの炎症や高熱、結膜炎などの症状が出るアデノウイルスによる急性ウイルス性感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで主に感染するほか、ウイルスが付着したタオルや、プールでの接触などを介しても感染します。ドアの取っ手、エレベーターのボタンなど患者が触れたものを介してもうつり、保育園、幼稚園、小学校などでの小児の集団発生も少なくありません。

 国立感染症研究所によりますと、10月29日までの1週間に全国約3000の小児科の定点医療機関から報告された患者数は7635人で、前の週から840人増えました。

 1医療機関当たりでは2・43人で、過去10年で最も多かった前の週からさらに増加し、最も多い状態が続いています。

 都道府県別にみますと、福岡県が6・94人、沖縄県が5・81人、佐賀県が5・22人、奈良県が5・09人、福井県が4・8人、大阪府が3・86人、三重県が3・64人、京都府が3・49人、北海道が3・15人、和歌山県が3人と、10の道府県で国の警報レベルの目安となる「3人」を超えています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「これまでにみられたことのない季節外れの流行だ。流行状況を細かくみると地域差がかなりあり、今後、まだ患者が多くない地域で感染が広がる可能性がある」と話しています。

 2023年11月6日(月)

2023/11/06

🟩肥満症薬の販売がアメリカを中心に世界で急増 美容目的の「やせ薬」として使われる例も 

 糖尿病や肥満症の治療に使われる新型薬の売り上げが、アメリカを中心に世界で急増しています。美容目的の「やせ薬」として使われる例もあり、適正な使用が課題となっている中、品不足も起きています。食欲を抑える効果があるとされることから、食品業界などにも波紋が広がっています。

 薬は「GLP―1受容体作動薬」と呼ばれ、体内でインスリンの分泌を促して血糖値を下げる働きがあります。もともと2型糖尿病の治療薬として開発されました。一昨年、デンマークの製薬大手ノボ・ノルディスクの「ウゴービ」が肥満症薬としてアメリカで承認されたことで、食欲を抑え体重を減らす効果が注目を集めました。

 2日にノボ・ノルディスクが発表した決算で、ウゴービの1~9月の売り上げは日本円換算で約4600億円と、前年同期の5倍に急増。同様の成分の糖尿病治療薬「オゼンピック」は約1・4兆円と、1・6倍に増えました。

 アメリカの製薬大手イーライ・リリーが昨年発売した糖尿病治療薬「マンジャロ」も、1~9月の売り上げが4500億円近くに達しました。マンジャロや開発中の同様の薬への期待から、同社の株価は今年に入って6割ほど上昇。企業価値を示す時価総額は製薬会社として世界一となりました。

 3つとも注射薬で、日本ではウゴービが近く発売される見通しで、ほかの2つはすでに販売されています。

 アメリカを中心に売り上げが伸びているのは、糖尿病や肥満症の患者が多いことが主因です。品不足も起きており、製薬会社側は増産に取り組んでいます。

 2023年11月6日(月)

🟩インフルエンザの患者数、1医療機関当たり19・68人 10週連続増、愛媛県で51・46人

 インフルエンザの流行が続いています。10月29日までの1週間に全国の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関当たり19・68人で前の週から増加しました。

 国立感染症研究所などによりますと、10月23日から29日までの1週間に、全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、9万7292人で、1医療機関当たりでは前の週から3・3人増え、19・68人となりました。前週比1・20倍。10週連続で増加し、3週連続で自治体の「注意報レベル」の基準となっている「10人」を超えました。

 このデータをもとに推計されるこの1週間の全国の患者数は、前の週から13万人多い約67万4000人となっており、今年9月4日以降の累積の患者数は約291万5000人と推計されています。

 都道府県別では、愛媛県が51・46人、埼玉県が33・08人と、2つの県で「警報レベル」とされる「30人」を超えたほか、山梨県が29・56人、千葉県が29・25人、福島県が28・93人、愛知県が26・35人など、40の都道府県で「注意報レベル」の「10人」を超えました。少なかったのは福井県3・95人など。

 東京都と千葉県、沖縄県を除く、44道府県で前の週より患者の数が増加しています。

 また、年齢別では、患者全体の6割が14歳以下の子供だということです。

 インフルエンザの分析を担当している国立感染症研究所感染症疫学センターでは、「感染者の増加のスピードは最近になって上がっている。過去の流行では2009年のシーズンの動向に似ていて、このシーズンと同じような流行となる場合、ピークの時期が早まる可能性は考えられる。手洗いやマスクの適宜着用などの基本的な感染対策は個人個人が取り組める重要な対策だ」としています。

 感染症に詳しい東邦大学の舘田一博教授はインフルエンザの流行状況について、「全国的に増加傾向がみられ、警報レベルを超えたり、その水準に近付いたりしている地域が増えている。中には愛媛県のように、例年のピークと同じ程度の数の患者が報告された地域もあり、流行が前倒しで起きている状況が明らかになってきた。また、通常のシーズンのように、ここから年明けにかけて、さらに患者が増え、大きな波を作る可能性もあるので、今後の患者の増え方により注意し、その兆候をとらえる必要がある」と話しています。

 今後の注意点については、「感染を広げないためマスクや手指消毒、それに換気の徹底など、これまでの感染対策を継続してもらうこと、風邪のような症状が出たら、インフルエンザやコロナの可能性を疑って、できるだけ外出を控えて、早めに医療機関を受診することが大事だ。また、インフルエンザのワクチンも接種を希望する人は早めに接種してほしい」と話しています。

 2023年11月6日(月)

🟩新型コロナ感染者、8週連続で減少 前週比0・88倍

 新型コロナウイルスの全国の感染状況は、10月29日までの1週間では1つの医療機関当たりの平均の患者数が2・86人で、前の週の0・88倍となっています。

 厚生労働省は「8週連続で減少しているものの、引き続き感染対策は徹底してほしい」としています。

 厚労省によりますと、10月29日までの1週間に全国約5000の定点医療機関から報告された新型コロナの患者数は前の週から1950人減って、1万4125人となりました。

 また、1つの定点医療機関当たりの平均の患者数は2・86人で、前の週の0・88倍となりました。前の週から減少が続くのは、8週連続となります。

 都道府県別では多い順に、北海道が7・08人、長野県が6・39人、山梨県が4・56人、石川県が4・38人、愛媛県が4・3人、福島県が4・16人、群馬県が4・03人などとなっています。少なかったのは島根県1・.55人、神奈川県1・67人、三重県1・68人、大阪府1・82人、東京都1・84人など。35の都府県で前の週より減少しています。

 10月29日までの1週間に、全国約500の医療機関から報告された新たに入院した患者の数は1074人で、前の週と比べて71人減少し、前週比0・94倍となっています。

 厚生労働省は全国の流行状況について、「8週連続で減少しているが、これまで冬になると、コロナの感染は拡大する傾向にある。引き続き、感染対策は徹底してほしい」としています。

 2023年11月6日(月)

🟩厚労省が骨粗しょう症啓発サイト開設 若者にも「骨活」を呼び掛け 

 骨量が減り軽い転倒などで骨折しやすくなる「骨粗しょう症」の対策に関するインターネット啓発サイト「骨粗しょう症予防 骨活のすすめ」を厚生労働省が6日までに開設しました。高齢者だけでなく若い世代も症状が出る可能性があるとして、食生活や運動で骨の健康を保つ「骨活」を意識するよう呼び掛けています。

 骨粗しょう症は加齢などに伴い、古い骨を壊す細胞と新しい骨をつくる細胞のバランスが崩れることが主要因で起こります。骨粗鬆症財団によると、患者数は女性1180万人、男性410万人の計1590万人に上ると推計され、増加傾向にあります。女性は閉経後のホルモン減少も影響し、患者数が多いとされます。

 啓発サイトでは、横浜市立大の善方裕美客員准教授が病気の基礎的な内容や、年代ごとの注意点についてクイズを交えながら説明する動画、詳しい解説を用意しています。例えば「10代編」では、骨の土台を作る大切な時期だとして、バランスのよい食事や十分な睡眠が必要だと指摘しています。

 骨粗しょう症では、骨がもろくなり、つぶれたり、割れるように骨折します。気が付かないうちに骨折し、背中が曲がったり、背が縮んだり腰痛になることもあるので注意が必要です。つまずく程度の転倒で骨折することもあります。歩けなくなったり、介護が必要な状態になることもあるので要注意です。

 2023年11月6日(月)

2023/11/05

🟩市販薬の2・3類を統合へ、薬の説明は「努力義務」に 厚労省検討会で合意

 医師の処方箋(せん)なしで薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品(市販薬)の分類について、厚生労働省の有識者検討会は10月30日、現行の第2類と第3類を統合することで合意しました。第3類は販売時に薬の説明が不要でしたが、統合により2類と同じ努力義務が課されます。年内をめどに報告書をまとめ、別の専門家部会の議論をへて、医薬品医療機器法(薬機法)の改正を目指します。

 市販薬は、副作用などのリスクの高い順に第1類から第3類に分けられます。

 一部の胃薬など第1類は薬剤師のみが販売でき、薬の使用方法や注意事項を説明することが義務付けられています。

 第2類、第3類は薬剤師のほか、薬に関する知識があり資格を有する登録販売者も販売できます。その際の説明は、風邪薬や鎮痛薬、胃薬などの第2類では努力義務、ビタミン剤や保湿剤などの第3類は不要となっています。

 しかし、第2類と第3類の販売に薬剤師らがかかわっていないケースがあることや、「現行の分類が複雑すぎる」といった指摘が出ていました。

 リスクに応じ、薬剤師らがかかわり、必要な情報提供をするために、厚労省は現行の第1類を「薬剤師が販売する医薬品」、第2類と第3類を統合して「薬剤師または登録販売者が販売する医薬品」とする案を、検討会で示しました。第3類に新たに努力義務を課す一方、薬剤師らの関与が不要な医薬品は医薬部外品に移します。

 また、販売時に薬剤師らが購入者の状況を確認できるような店内の動線やネット販売のシステムなどの構築も促すほか、購入者が薬について相談しやすい環境の整備も求めます。

 2023年11月5日(日)

🟩花粉症の症状が目にすぐ出る原因に特殊メカニズム 順天堂大が仕組み解明

 粘膜に守られているはずの目に花粉症の症状がすぐに出るのは、花粉の殻に反応して迅速にアレルギー物質を取り込む特殊なメカニズムが原因とみられることを順天堂大学の研究チームがマウスを使った実験で突き止め、花粉症の新たな治療法の開発につながる成果として注目を集めています。

 この研究は順天堂大学の安藤智暁准教授らのチームが国際的な学術誌で発表しました。

花粉症は、花粉の殻の中にあるアレルギーの原因物質が体の中に取り込まれることで起こりますが、粘膜に守られているはずの目の表面から体内に取り込まれるメカニズムは詳しくわかっていませんでした。

 チームでは、花粉を殻と中の原因物質に分けた上で、マウスの目に殻と原因物質の両方を付着させ、反応を顕微鏡で詳しく観察しました。

 その結果、目の表面にある「杯細胞」と呼ばれる細胞が花粉の殻に反応して大量の原因物質を素早く取り込み、免疫細胞に受け渡している様子が観察できたということです。免疫細胞がアレルギーの原因物質に反応すると花粉症の発症につながります。

 一方、アレルギーの原因物質だけを目に付着させても体内にはほぼ取り込まれませんでした。

 これまでは、目の表面にある上皮細胞などが傷付くと、アレルギーの原因物質が内部に侵入しやすくなり、花粉症を発症すると考えられていました。ただ花粉が体に付いてから早くて数分で症状が出る詳しい仕組みが不明でした。今回見付かった新しい仕組みは体の細胞が積極的にアレルギーの原因物質を取り込む点が特徴的で、短時間での発症にかかわっているとみられます。

 目の表面にあって触覚などにかかわる「三叉(さんさ)神経」を花粉の殻が刺激すると、杯細胞がアレルギーの原因物質を取り込みやすくなることもわかりました。

 三叉神経から杯細胞への作用を防ぐ仕組みを開発できれば、花粉症の予防や治療に応用できる可能性があります。

 安藤准教授は、「この仕組みをさらに詳しく調べることで花粉症の新たな治療法の開発につながるはずだ」と話しています。

 2023年11月5日(日)

🟪小中学生の体力調査、中学生男子はコロナ感染拡大前を上回る

 全国の小学5年生と中学2年生を対象に、50メートル走など8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、中学生の男子の合計点は新型コロナウイルスの感染拡大前を上回りました。一方で、小学生の男女は低下傾向にあり、スポーツ庁は運動の機会を増やす取り組みに力を入れていく方針で...