2023/12/06

🟧カビ毒検出の小麦を使ったせんべい汁、体調不良13人 仙台市立小の給食で児童が腹痛嘔吐

 JA全農いわてが販売した岩手県産の小麦から「カビ毒」が検出された問題で、仙台市内の10の小学校でもこの小麦を使用した給食が提供され、これまでに13人の児童が腹痛や嘔吐などの体調不良を訴えていたことを仙台市教育委員会が5日、明らかにしました。

 いずれも軽症といいます。カビ毒と体調不良の因果関係はわかっていないということです。

 JA全農いわてが販売した岩手県産の2022年産小麦「ナンブコムギ」から、嘔吐などを起こす恐れがある「カビ毒」が基準値を超えて検出されました。

 宮城県内ではこれまでに、気仙沼市の小中学校や、岩沼市と女川町の県立支援学校でこの小麦を使った「せんべい汁」が提供され、気仙沼市の児童や生徒が体調不良を訴えていたことが明らかになっています。

 これについて、仙台市内の10の小学校でも給食が提供されていたことが新たにわかりました。

 仙台市教育委員会によりますと、11月27日に、仙台市青葉区の南吉成学校給食センターで作られた「せんべい汁」が提供され、児童13人が腹痛やおう吐などの体調不良を訴えていたということです。学校ごとの体調不良者の人数は公表していません。

 「カビ毒」との関連はわかっていないということですが、11月29日以降に「せんべい汁」を提供する予定だった市内の15の中学校では提供を停止したということです。

 仙台市教育委員会は、「児童の体調不良の状況などを引き続き学校と連携して確認を進めたい」としています。

 また、神奈川県小田原市も5日、市立小1校の給食でこの小麦を使っていたと発表しました。健康被害はないとしています。

 2023年12月6日(水)

2023/12/05

🟧市販薬を過剰摂取する若者が急増し、依存症や救急搬送が増加

 医療現場では、薬局やインターネットで手軽に買える風邪薬やせき止めなどの市販薬の過剰摂取(オーバードーズ)による依存症や救急搬送が増えています。救急搬送の8割は女性で、10歳代を含む若い女性が多く、専門家は生きづらさが背景にあると指摘しています。

 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)の実態調査によると、全国の精神科で薬物依存症の治療を受けた10歳代の患者が使用していた主な薬物は、2014年は48%が危険ドラッグでしたが、2020年には市販薬が56%と過半数におよび、2022年には65%を占めました。10歳代の若者が関心を持つ薬物が世代交代した形です。

 「規制強化で危険ドラッグが流通しなくなったため、市販薬で高揚感を得ているのだろうと考えがちだが、そうではない」と話すのは、若者の依存症に詳しい松本俊彦・同センター薬物依存研究部長。麻薬や覚醒剤の化学構造を少し変えた危険ドラッグを乱用していた人たちは学校をドロップアウトしたり非行歴があったりする男性が多かったものの、市販薬は非行歴や犯罪歴のない高校生や卒業生が多く「乱用する人たちが完全に変わった」といいます。

 松本さんは、「市販薬は医師が処方する薬に比べて安全だと思われているが、医療現場では処方されなくなった危険な成分や依存性のある成分が使われていることが多い」と警告します。

 厚生労働省が乱用の恐れがあると指定し、松本さんが問題視するのは、せき止め薬と風邪薬の2大成分であるメチルエフェドリンとジヒドロコデイン。前者は覚醒剤の原料で気分を爽快にする作用があり、後者はアヘンから作られ麻薬取締法の規制対象になっています。いずれも少量であるため、用法・用量を守る限りは問題ないものの、長期または大量に服用すると依存症になったり精神症状が出たりすることがあります。

 厚労省は2020年9月に、これらの成分を含む医薬品の一部は販売時に1人1箱と定め、若年者には名前などを確認するようドラッグストアに求めました。今年4月からは医薬品の対象を拡大しました。

 購入制限に掛からないせき止め成分のデキストロメトルファンは乱用すると幻覚が生じる上、飲み合わせによっては血中濃度が上昇し、致死量に達する可能性があります。

 解熱鎮痛薬に含まれるアリルイソプロピルアセチル尿素は、出血しやすくなる血小板減少性紫斑病を引き起こすリスクが海外で報告され、医療現場では長らく使われていません。眠気を覚まし、頭がすっきりするカフェインは多くの市販薬に入っていますが、医師が処方する薬には含まれていません。

 厚労省研究班の調査によると、2021年5月~2022年12月に全国7救急医療施設に救急搬送された市販薬の過剰摂取による急性中毒患者122人の平均年齢は26歳で、女性が8割を占めました。使われた市販薬は189品目で、解熱鎮痛薬が25%、せき止め19%、風邪薬が18%でした。平均102錠を服用し、自傷・自殺目的が74%を占めました。

 また、救急搬送された人のほとんどが入院したほか、集中治療が行われた人は半数を超え、後遺症で通院が必要になった人もいたということです。

 松本さんは、市販薬を乱用する女性は、子供時代にさまざまな虐待を受けたり、家庭内や学校でメンタルヘルスに起因する問題を抱えたりしている人が多いといいます。

 「生きづらさを抱えていつ死んでもおかしくない子供たちが市販薬を乱用しながら何とか生き永らえている現状があるのではないか。規制強化だけではなく、若者が持つ問題に目を向け支援の手を差し伸べる必要がある」と話しています。

 2023年12月5日(火)

🟧新型コロナ感染も救急搬送されず死亡、両親が国などを提訴 千葉県船橋市

 新型コロナウイルスに感染した千葉県船橋市の23歳の男性が死亡したのは救急搬送を適切に行わなかったためだとして、男性の両親が国と県、市の3者に合わせて1億円余りの賠償を求める訴えを起こしました。

 両親の弁護士によりますと、新型コロナ患者の救急搬送を巡って国を訴えるのは初めてです。

 訴えを起こしたのは、緊急事態宣言中の2021年8月に新型コロナウイルスに感染して死亡した千葉県船橋市の当時23歳の男性の両親で、5日に東京都内で会見を開きました。

 訴状によりますと、基礎疾患があった男性は8月23日に感染し、保健所の指示で一度は宿泊療養施設のホテルに入ったものの、男性から十分な治療を受けられないと告げられた両親が29日に自宅へ連れ戻しました。

 自宅でも発熱などの症状悪化を訴えたため、両親が繰り返し救急搬送を要請しましたが、受け入れ先の病院が決まらないなどとして搬送を断られました。

 30日の5回目の要請で男性は自宅から救急車に乗せられましたが、約1時間半にわたって搬送先が決まらず、そのまま車内で心肺停止となり、病院に搬送後に肺炎で死亡しました。

 両親は、保健所を運営する船橋市と、搬送先の病院を調整していた千葉県に加え、国に対しても「都道府県に必要な指示を行う権限があった」などとして責任があると主張していて、合わせて約1億300万円の賠償を求めています。

 弁護士によりますと、新型コロナ患者の救急搬送を巡って国を訴えるのは初めてです。

 会見で男性の父親は、「世間ではコロナは終わったような印象ですが、自分たちは今からが闘いです。夢も希望もある青年が、何の治療もしてもらえず死ぬ社会は終わりにしてください」と涙ながらに語りました。

 訴えについて、千葉県と船橋市はそれぞれ、「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」としています。

 2023年12月5日(火)

🟧妊娠初期のビタミンAサプリ摂取、子供に心臓病リスク 妊娠希望時の摂取も注意

 国立成育医療研究センターなどは、母親が妊娠初期にビタミンAのサプリメントを摂取すると、生まれる子供が心臓病を抱えるリスクが高まるとの研究成果をまとめました。従来もビタミンAの過剰摂取を避ける必要性が指摘されており、大規模調査で裏付けました。

 横浜市立大学などとの共同研究の成果で、論文がアメリカの心臓協会の学術誌に掲載されました。環境要因が子供の健康に与える影響を調べる環境省の疫学調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のデータを用いました。

 約9万組の母子について、3歳までに心臓の各部位を隔てる壁に穴ができる「心室中隔欠損症」や「単心室」など先天性の心臓病と診断された子供と、化学物質や環境との関係を調べました。

 妊娠初期に「ビタミンAサプリメントを内服しているか」との質問に「はい」と答えた妊婦では、「いいえ」とした人に比べて生まれる子供が心臓病を持つリスクが約6倍に高まりました。

 ビタミンAは胎児の発達に必須の栄養素ですが、過剰に取ると胎児の奇形などにつながると報告されています。胚が分化する過程でビタミンAの活性体のレチノイン酸が作用し、心臓などに奇形を生じると考えられているものの、発症の詳しい仕組みはわかっていません。 厚生労働省は、妊娠を計画する人や妊娠3カ月以内の人はビタミンAの大量の摂取を避けるべきだとしています。

 また、妊婦が降圧薬や抗てんかん薬のバルプロ酸を服用している場合、生まれてくる子供の心臓病のリスクは約4〜5倍でした。ただ、薬を控えるかどうかは主治医と相談すべきだとしています。母親が先天性の心臓病を患ったことがある場合、リスクは約3倍でした。

 研究をまとめた国立成育医療研究センターのデータサイエンス部門長で小児循環器医の小林徹さんは、「胎児の心臓が形成されるのは受精から3カ月ぐらいまでとされている。妊娠が判明するまでの時間差を考慮すると、妊娠初期だけでなく、妊娠を考えている女性はビタミンAのサプリは飲まないほうがよい」と指摘しています。

 2023年12月5日(火)

🟧「咽頭結膜熱」と「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」の感染者数さらに増加 過去10年間で最も多い状況が続く

 子供を中心に流行が続く咽頭結膜熱の11月26日までの1週間の患者数は、前の週からさらに増え、過去10年間で最も多い状況が続いています。

 また、溶連菌感染症の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎も感染者数が過去10年間で最多となり、専門家は「今後も流行が続くと予想されるため、周囲の感染状況に応じて対策を取るようにしてほしい」と話しています。

 プール熱とも呼ばれた咽頭結膜熱は子供を中心に高熱や結膜炎などの症状が出るウイルス性の感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで感染するほか、ウイルスが付着したタオルなどを介しても感染します。

 国立感染症研究所によりますと、11月26日までの1週間に全国約3000の小児科の定点医療機関から報告された患者数は、前の週より771人多い1万1139人となりました。

 1医療機関当たりでは前の週を0・24人上回って3・54人となり、過去10年間での最多を6週連続で更新しました。

 都道府県別では、北海道が7・99人、福岡県が7・24人、福井県が6・48人、佐賀県が5・96人、奈良県が5・91人、三重県が5・56人などとなっていて、合わせて26の都道府県で国の警報レベルの目安となる「3人」を超えています。

 また、主に子供が感染し、発熱やのどの痛みなどの症状が出る溶連菌感染症の一種、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者も、増加が続いています。

 11月26日までの1週間に報告された患者数は前の週から253人増えて全国で合わせて1万2146人、1医療機関当たりでは3・86人となっていて、過去10年間で最も多くなりました。

 都道府県別では、鳥取県が国の警報レベルの基準となる「8人」を超えて9・53人となっていて、次いで宮崎県が7・06人、千葉県が6・1人となっています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「咽頭結膜熱などのウイルス感染症の場合、3日以上高熱が続くと脱水症状を起こすことも懸念されるので注意が必要だ。また、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は細菌性の感染症で、抗菌薬による治療が可能なので早めに医療機関を受診してほしい。流行は今後も続くと予想されるため、周囲の感染状況に応じて対策を取るようにしてほしい」と話していました。

 2023年12月5日(火)

2023/12/04

🟧再生可能エネルギー発電容量、2030年までに3倍 COP28で110カ国超賛同

 アラブ首長国連邦(UAE)ドバイで開催されている国連(UN)気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で2日、2030年までに世界全体の再生可能エネルギー発電容量を3倍に引き上げることに、日本を含む110カ国以上が賛同しました。

 2050年までにカーボンニュートラルを実現させるためには、太陽光発電、風力発電、水力発電などの再生可能エネルギーが、石炭や石油、ガソリンに取って代わることが極めて重要です。

 UAEのスルタン・ジャベル議長は、加盟国の半数以上が2030年までに世界全体の再生可能エネルギー発電容量を3倍に増やし、エネルギー効率を2倍にする誓約に署名したと述べました。

 だが、この誓約には、サウジアラビア、ロシア、イランなどの主要産油国のほか、石油消費量の多い中国も署名していません。

 これとは別に、COP28では同日、2050年までに世界全体の原子力発電の設備容量を2020年の3倍にする宣言に、日本やアメリカ、イギリス、フランスなど20カ国以上が参加しました。

 アメリカのジョン・ケリー大統領特使は、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの目標達成に原子力発電技術は必要不可欠だと述べ、石炭火力発電所に代わる理想的な解決策として、次世代型原発「小型モジュール炉(SMR)」技術の利点を強調しました。

 2023年12月4日(月)

🟧塩野義製薬の抗菌薬「セフィデロコル」、厚労省が承認 欧米に続いて日本でも販売へ

 塩野義製薬は11月30日、既存の抗生物質が効かない薬剤耐性感染症の治療薬「セフィデロコル」について、厚生労働省から製造販売の承認を受けたと発表しました。アメリカやヨーロッパではすでに販売しており、日本でも近く販売を始める予定です。

 塩野義は2022年3月に、日本での製造販売の承認を申請していました。セフィデロコルは2020年にアメリカで販売を始め、2023年4〜9月期にアメリカとヨーロッパで計111億円の売り上げがあり、海外市場を開拓する戦略製品となっています。日本でも薬剤耐性感染症向け抗菌薬として一定の需要が期待できるといいます。

 セフィデロコルは11月7日、「抗菌薬確保支援事業」の第1号に指定されました。抗菌薬確保支援事業は、厚労省が薬剤耐性対策の一環として新たに試行導入したもので、抗菌薬の販売を手掛ける製薬企業の収益の一定額を保証する制度で、製薬企業が薬剤耐性対策(販売量の適正水準維持)に協力することで生じる減収に対して一定額を支援すると同時に、抗菌薬の開発を促す仕組みを作ることで、薬剤耐性対策を推進することを目的としています。

 抗菌薬は開発に多額の費用がかかる一方で、使いすぎると細菌が薬剤耐性を持つ可能性が高まるとされ、過剰な利用の抑制が求められています。セフィデロコルがあまり使われなかった場合には、一定の売り上げに達しなかったぶんを厚労省が補います。

 塩野義製薬は、「(セフィデロコルは)薬剤耐性菌による感染症で苦しむ日本の患者に対する新たな治療選択肢となることが期待される」とコメント。さらに、「当社では、抗菌薬適正使用推進の一環として、セフィデロコルの感受性検査の開発・提供に向け取り組みを進めている」としています。

 2023年12月4日(月)

🟪「O157」に感染、横浜市の70歳代女性が死亡 市内死亡例は2019年以来

 神奈川県横浜市は18日、腸管出血性大腸菌「O157」に感染した女性が死亡したと発表しました。  横浜市青葉区に住む70歳代の女性は7月5日、腹痛などの症状が出て7日に病院に運ばれました。  女性は搬送先の病院で腸管出血性大腸菌「O157」が検出され入院していた16日、合併症に...