後発医薬品(ジェネリック医薬品)最大手の「沢井製薬」が国の承認を得ていない不正な方法で試験を実施していた問題で、本社がある大阪府と工場がある福岡県は22日、それぞれ法律に基づく業務改善命令の行政処分を出しました。また、厚生労働省も総括製造販売責任者の変更命令を出しました。
沢井製薬は今年10月、福岡県飯塚市にある九州工場で製造した胃薬「テプレノンカプセル50ミリグラム『サワイ』」について、品質を確認する試験を国の承認を得ていない不正な方法で実施していたと発表しました。
この問題について、本社がある大阪府と工場がある福岡県は、2015年からおよそ8年間にわたって、薬の溶け具合を調べる際に別のカプセルに詰め替える不正な方法で試験が行わていたことを、製造販売業者として認識できず、適正な製造管理ができていなかったなどとして、それぞれ沢井製薬に対し、医薬品医療機器法に基づく業務改善命令を出しました。大阪府は製造販売業、福岡県は九州工場に製造業の許可を与えています。
また、厚労省も、総括製造販売責任者を務める取締役が原因究明を指示しなかったほか、不正について大阪府や厚労省に報告しなかったなどとして、総括製造販売責任者の変更命令を出しました。
薬は自主回収が進められていて、厚労省によりますと、健康被害などは確認されていないということです。
沢井製薬の九州工場は今後1カ月以内に業務改善計画を提出することになっており、大阪府や福岡県は改善状況を確認することにしています。
厚労省や大阪府などからの処分を踏まえ、沢井製薬は、澤井光郎会長が月額報酬の50%を、木村元彦社長が月額報酬の25%を、それぞれ半年間、減額することを明らかにしました。
その上で会社は、今年10月にまとめた、すべての従業員へのコンプライアンス教育の実施や、生産時の作業手順の検証などを柱とした、再発防止策を進めているとしています。
沢井製薬は、「患者様や医療従事者を始めとする関係者の皆様に大変なご迷惑、ご心配をおかけしていること、深くお詫び申し上げます。行政処分を厳粛に受け止め、役員や従業員が一丸となって再発防止に向けた取り組みを徹底的に行い、信頼を回復できるように努めてまいります」とコメントしています。
2023年12月22日(金)