2023/12/30

🟥出産前などに多く分泌される「オキシトシン」に毛の成長促す働き 神奈川県の研究所など発表

 神奈川県の研究所などの研究チームは、出産前や授乳期の女性で多く分泌され、分娩誘発・促進作用がある「オキシトシン」と呼ばれるホルモンに、毛の成長を促す働きがあることを人の細胞を使った実験で突き止めたと発表しました。

 この研究は、神奈川県立産業技術総合研究所の景山達斗研究員と横浜国立大学の研究チームが国際的な科学雑誌で発表しました。

 チームは、妊娠中に体毛が濃くなったという体験談に注目し、妊娠後期から授乳期の女性に多く分泌されるホルモン、オキシトシンと毛の成長の関係を調べました。

 チームでは、人の細胞から毛根の根元にある「毛包」と呼ばれる器官を作製し、オキシトシンを振りかけて変化を観察したところ、6日目の時点でオキシトシンをかけなかった場合と比べて毛の元となる組織の長さが約1・3倍になっていました。

 また、毛包にかけるオキシトシンの量を増やすほど、毛の成長にかかわる特定の遺伝子が活発に働くこともわかったということです。

 このためチームは、オキシトシンが毛の成長を促している可能性があるとしています。

 景山研究員は、「妊娠によって体毛が濃くなるという声を裏付ける結果で驚いている。脱毛症に悩む女性や子供にも使える薬の開発などに役立てたい」と話しています。

 2023年12月30日(土)

2023/12/29

🟥脳死判定、瞳孔検査できない場合はCTで代替へ 臓器提供の意思尊重に期待

 厚生労働省は来年1月から、脳死判定で瞳孔の状態を確認する検査などができない場合、CT(コンピューター断層撮影法)やエックス線を使った補助検査を導入します。画像検査で脳内の血流が失われていることを確認します。

 本人や家族に臓器提供の意思があるものの、検査ができないため提供に至らない例があるものの、補助検査の導入で、より提供の意思が尊重されるようになると期待されます。

 臓器移植法に基づく法的な脳死判定では、①深い昏睡(こんすい)②光を当てても瞳孔が動かず、一定以上広がっている③顔を左右に振っても眼球が動かないなど脳幹反射の消失④平たんな脳波⑤自発呼吸の消失の5項目を、2人以上の医師が6時間(6歳未満は24時間)以上の間隔を空けて2回確認します。

 しかし、交通事故で目が傷付いていたり、白内障があったりすると、瞳孔や脳幹の状態を調べるのが難しいため、厚労省は代わりの手段として、画像検査を使って判定することを認めることにしました。

 検査項目のうち、深い昏睡、平たんな脳波、自発呼吸の消失については、従来通り確認が必要です。

 医療現場が検査を行いやすいようにするため、2024年度に脳死判定のマニュアルを改訂します。

 2023年12月29日(金)

🟥北海道の新型コロナ感染者、約3カ月ぶりに1医療機関当たり10人超え 神奈川県の感染者は6週連続で増加

 北海道は28日、道内の定点医療機関における18〜24日の新型コロナウイルス感染者数が1施設当たり10・69人だったと発表しました。前の週から1・38人増加しました。10人を超えるのは9月25日〜10月1日以来、約3カ月ぶり。全定点医療機関の合計感染者数は313人多い2416人でした。

 道内の定点医療機関における感染者数は増加傾向にあります。道感染症対策課によると「年末年始が近付き、人との接触増加が影響しているのでは」といい、手洗いや換気など基本的な感染対策を呼び掛けています。

 新型コロナウイルス感染症を巡り、神奈川県は28日、県内358カ所の定点医療機関で報告された感染者数を公表しました。18~24日の1週間で、1医療機関当たりの平均患者数は2・88人で前週比0・38人増え、6週連続で増加しました。

 報告された患者数は全県で1030人。定点医療機関当たりでは、横浜市が2・68人、川崎市が3・35人、相模原市が2・33人、政令市以外の県域が3・05人でした。27日時点の入院者数は364人(前週比113人減)で、うち重症者は7人(同2人増)でした。

 また、同期間の季節性インフルエンザは定点医療機関当たりの平均患者数が22・10人で、前週比2・08人減少しました。

 報告された患者数は全県で7912人。定点医療機関当たりでは厚木保健福祉事務所(31・16人)、鎌倉保健福祉事務所三崎センター(31・00人)の管内で警報レベルの30人に達しました。

 2023年12月29日(金)

🟥新型コロナワクチン未接種の職員を隔離し廊下で業務、第三者委「人権保障に問題」 滋賀県の消防本部

 滋賀県の消防本部が、新型コロナウイルスのワクチンを接種していない女性職員を隔離し、廊下で業務をさせていたなどの問題で、第三者委員会が「組織としてのコンプライアンスやガバナンスの確保、人権保障において問題があったと考えられる」と指摘しました。

 滋賀県甲賀市の甲賀広域行政組合消防本部によりますと、2021年4月、警防課の30歳代の女性職員がインフルエンザのワクチン接種で副反応が出たことがあるとして、新型コロナのワクチンを接種しない意向を上司に伝えました。

 消防本部は、接種の有無で区別が必要と考え、この女性職員を廊下脇のスペースに隔離して業務をさせ、更衣室の使用も制限。さらに、職場での行動記録を提出するよう求めました。

 職場で接種していなかったのはこの女性職員だけでしたが、消防本部は「接種拒否者への業務区別」と題した文書を作成し全職員に伝えていて、女性職員はおよそ4カ月後の8月末に退職しました。

 弁護士や医療関係者らでつくる第三者委員会は26日、中間報告書をまとめました。報告書では、女性職員が上司から電話で「皆が(ワクチン接種を)受けているのに自分のことしか考えていない」などといわれたことのほか、何度も説得のための面談を受けたことなどが明らかにされました。面談では、基本的に摂取しないということが法的に認められないというようないい方がされ、「一般は任意だが消防職員は違う」という説明がされたということです。

 第三者委員会は、事実関係を確認した上で、「職員は、業務区別等の措置が続き、終わりがみえない状況で、自身の精神的苦痛が増大していった」とし、「職員の退職への判断に至る事情及び退職決意後の処遇等に関しては、違法、不当、または不適切な対応の疑いがある。関係する職員の処分等、および職員の権利救済の措置が検討される必要がある」と指摘しました。

 第三者委員会の新川達郎委員長は記者会見し、「公務員としての基本的なコンプライアンス違反が前提としてあり、人権侵害やハラスメント行為が認められる」と述べました。

 甲賀広域行政組合消防本部は、「『拒否者』という文言は配慮が足りなかったかもしれない。委員長の発言を重く受け止めるとともに、今年度末にいただくことになっている最終答申をもって、適切に対応してまいります」とコメントしています。

 2023年12月29日(金)

🟥オーバードーズの女子高校生を放置し、死亡させる 大阪府で58歳男を再逮捕

 大阪市中央区で16歳の女子高校生を車で自宅に連れ帰ったとして逮捕された58歳の男の容疑者が、市販薬のオーバードーズ(過剰摂取)で体調不良になっていた女子生徒を自宅に放置し、急性薬物中毒で死亡させたとして、大阪府警は28日、保護責任者遺棄致死の疑いで再逮捕しました。

 再逮捕されたのは、住所不定の会社役員、橘孝憲容疑者(58)です。

 橘容疑者は11月11日、大阪市中央区の路上で16歳の高校1年の女子生徒を車に乗せ、当時の自宅だった大阪府茨木市中穂積のマンション一室に連れ帰ったとして、未成年者略取の疑いで逮捕されました。

 女子生徒は翌日、容疑者の自宅で死亡しているのが見付かっており、大阪府警によりますと、死因は急性薬物中毒で、体内から致死濃度の約2倍のせき止め薬の成分が検出されたということです。

 このため大阪府警は、市販薬のオーバードーズで体調不良になっていた女子生徒を病院に連れてゆくなどの対応をせず、自宅に放置して死亡させたとして28日、保護責任者遺棄致死の疑いで再逮捕しました。

 女子生徒を連れ帰る直前、2人はカラオケ店にいたことがわかっていて、大阪府警によりますと当初、容疑者は「部屋の中にせき止め薬の空き容器があり、女子生徒が大量に薬を飲んでいたことは知っていた」などと供述していたということですが、現在は調べに対し黙秘しているということです。

 2023年12月29日(金)

2023/12/28

🟥新型コロナの新変異型「JN・1」の検出急増 年末年始に想定した感染対策を

 新型コロナウイルスの「JN・1」(ジェイエヌ・ワン)と呼ばれる新たな変異ウイルスが世界的に拡大し、日本でも広がりをみせています。世界保健機関(WHO)はほかの変異ウイルスより重症化のリスクが高いという報告はないとしてますが、専門家は「JN・1の割合が増えている国の中には感染者数が急増しているところもある。国内でも感染者が増えることを想定し、対策をしてほしい」と話しています。

 新型コロナウイルスの「JN・1」はオミクロン型の一種で、2022年に国内でも広がっていた「BA・2」系統のウイルスがさらに変異したものです。

 世界各地でこの変異ウイルスが検出される割合が急増していることから、WHOは、12月18日に「VOI=注目すべき変異ウイルス」に指定しました。

 日本国内でも11月ごろから増加し、国立感染症研究所によりますと、「JN・1」が検出される割合は12月3日までの1週間で11・6%でしたが、今週の時点では31%に急増していると推定されています。

 新たな変異ウイルスの特徴について、WHOは免疫を逃避する能力が高まっている可能性があるとしている一方、入院や重症化のリスクが高くなっているという報告はないとしています。

 海外の感染状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授は、「JN・1の割合が増えている国では感染者数が急に増えているところもある。国内でも感染者数が増えることを想定し、感染対策をしっかりしてほしい」と話しています。

 新型コロナウイルスの「JN・1」と呼ばれる新たな変異ウイルスは、アメリカで新規感染者の4割あまりを占めるなど、海外でも流行していて、WHOは、本格的な冬を迎える中、今後も感染の増加が予想されるという見方を示しています。

 アメリカ疾病対策センター(CDC)は、23日までの2週間に、新型コロナウイルスに新たに感染した人のうち、約44%が「JN・1」に感染しているとする推定を発表しました。

 前の2週間と比べると20ポイントほどの増加で、検出される割合が急増しています。

 WHOによると、「JN・1」はアメリカだけでなく、フランスやシンガポール、マレーシア、カナダ、イギリス、スウェーデンなどでも検出が相次いでおり、12月16日時点で、41カ国からこの変異ウイルスが報告されているということです。

 WHOは「JN・1」について、「本格的な冬を迎える中、感染の増加を引き起こすことが予想される」という見方を示しています。

 海外の感染状況に詳しい東京医科大学の濱田篤郎特任教授によりますと、「JN・1」が増加しているアメリカやヨーロッパでは感染者数も急増している国もあるということです。

 これについて濱田特任教授は、「呼吸器の感染症が流行しやすい冬に入ったことや、クリスマスの休暇で人の移動が多かったことだけでなく、JN・1が増えていることが影響している可能性がある。一方、季節性があまり影響しないシンガポールでもJN・1の増加に伴い感染者も増えているので、より多くの国や地域に拡大することを懸念している」と指摘しています。

 その上で、「新型コロナが『5類』になって初めての年末年始で人の移動も多くなるとみられ、国内でも今後、感染者が増加することを想定すべきだ。混雑した場所ではマスクをしっかりすることや、換気を十分に行うこと、体調が悪い場合は自宅で療養するといった対策を取って、年末年始を過ごしてほしい」と呼び掛けています。

 2023年12月28日(木)

🟧iPS細胞使ったパーキンソン病治療、アメリカで臨床試験開始 住友ファーマ・京都大など

 製薬大手の住友ファーマなどは26日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した神経細胞をパーキンソン病の患者の脳へ移植する臨床試験(治験)を、アメリカで開始したと発表しました。対象患者が推定で日本国内の3~5倍いるアメリカでの実用化を目指します。

 パーキンソン病は、運動にかかわる神経伝達物質「ドーパミン」を分泌する脳の神経細胞が減り、手の震えや歩行困難などの症状が現れる病気。50歳以上で多く発症し、同社などによると国内に約20万~30万人、アメリカでは約100万人の患者がいると推定されています。

 京都大iPS細胞研究所や同社などは2018年、健康な人のiPS細胞からドーパミンを出す細胞を作って移植する臨床試験に着手。2021年までに予定していた7人の患者への移植を完了し、現在、安全性と有効性の確認を行っています。

 アメリカでの臨床試験はカリフォルニア大サンディエゴ校で実施。住友ファーマが日本で製造した細胞を空輸し、京大で行われている臨床試験とほぼ同じ方法で7人に移植する計画で、2年間経過を観察します。

 アメリカでは、iPS細胞と似た性質を持つES細胞(胚性幹細胞)を使ったパーキンソン病の臨床試験が先行しています。

 今回は、大学病院などが中心となって行う比較的小規模な臨床試験。より人数を増やした試験もアメリカで今年度中に開始する方針で、同社は2032年度末までの実用化を目指すといいます。

 2023年12月28日(木)

🟥スマホ等の使用、仕事・勉強・家事以外は1日2時間まで 愛知県豊明市の条例案可決

 仕事や勉強、家事以外でのスマートフォンなどの使用は1日2時間以内を目安にするよう促す条例案が、22日、愛知県豊明市の市議会で採決され、賛成多数で可決・成立した。市によると、すべての市民を対象にスマートフォンなどの使用時間の目安を示した条例は全国で初めてで、10月1日に施行され...