2024/01/14

🟧iPS細胞を活用し糖尿病治療法を共同開発 京大発リジェネフロとアラブ首長国連邦の研究所

 京都大学発スタートアップのリジェネフロ(京都市)は11日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用して糖尿病の治療法を開発する共同研究契約をアラブ首長国連邦(UAE)の研究機関などと結んだと発表しました。中東地域で多いとされる糖尿病に対し、患者負担が小さく低コストな治療法の普及を目指します。

 契約を結んだのは、リジェネフロとUAEの細胞医療の研究機関であるアブダビ幹細胞センター(アブダビ・ステム・セルズ・センター)、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)の3者。発症のメカニズムが異なる1型、2型糖尿病について、個別に治療法を開発します。

 2型糖尿病は肥満の人に多くみられ、血糖値を下げるインスリンが膵臓(すいぞう)の細胞から出づらくなるなどして発症します。こうした細胞の機能低下を抑える低分子医薬品を開発します。iPS細胞から膵臓細胞をつくって多数の薬剤を試し、効果が高いものを探します。

 膵臓の細胞が壊れてしまう1型糖尿病に対しては、iPS細胞から細胞を作って補充する治療法を開発します。iPS細胞を遺伝子改変し、免疫抑制剤を使わずに補充できるようにします。免疫抑制の副作用や生活の質低下を避けられる可能性があります。

 1型糖尿病の根治療法は膵臓移植ですが、臓器の提供者(ドナー)が不足しています。ほぼ無限に増やせるiPS細胞から機能の高い膵臓細胞を作製できれば、多くの患者を根治できる可能性があります。

 中東地域では、肥満や糖尿病の患者が多いとされます。世界保健機関(WHO)の2016年の報告によれば、UAEでは過体重の人が人口の7割を占め、糖尿病患者は8%います。サウジアラビアでは、糖尿病患者は14%に達します。

 2024年1月14日(日)

🟧正月用の冷凍おせちで81人が食中毒 関東5都県の高齢者施設12カ所で

 4日午後、徳島保健所に、徳島市北沖洲2丁目の総菜製造業「エイブルフーズ」から「冷凍おせちを販売したグループホームなどの施設で体調不良者がいる」と連絡がありました。

 その後の調査で、同じ業者が製造した「冷凍おせち」を食べて、下痢や嘔吐などの症状が出た高齢者関連施設が、5都県に12施設あることがわかりました。

 12日午前現在、対象の施設は、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県にある計12施設で、症状が認められた入所者と職員は42歳~100歳の計81人に上ることがわかりました。

 このうち、23人の便からノロウイルスが検出されているということです。入院した人はなく、いずれも快方に向かっているといいます。

 徳島保健所は、12月11日と12日に製造された冷凍おせちが原因と断定しました。

 同日に製造されたおせちは、5都県と群馬県の関東6都県で計480個販売されたということです。

 おせちは、有頭海老や豚角煮、合鴨ロース、昆布巻、黒豆、きんとん、伊達巻、なますなどのメニューでしたが、保健所は「製造から通報までおよそ1カ月経過しており原因は

わからない」としています。

 県は、エイブルフーズを1月12日から18日まで7日間の営業停止の処分としました。

 2024年1月14日(日)

2024/01/13

🟧筋ジストロフィーの一種で症状改善の可能性 山口大学が既存薬を転用

 全身の筋肉が委縮する難病、筋ジストロフィーの患者に感染症などの治療に使われる薬を投与する臨床試験を行ったところ、患者の症状を改善できる可能性が示されたと山口大学などの研究チームが発表しました。

 筋ジストロフィーの一種で、国内に1万人を超える患者がいるとされる筋強直性ジストロフィーは、細胞でタンパク質がうまく作られず、全身の筋力の低下などを起こす進行性の難病で、根本的な治療法はありません。

 山口大学などは、ほかの病気に使われている治療薬からこの病気に有効なものを探そうと感染症などの治療に使われる抗生物質「エリスロマイシン」に注目し、有効性や安全性を確認するための臨床試験を行いました。

 患者30人を、薬を投与するグループと投与しないグループに分け、4年前から2年半にわたってタンパク質を作る機能を調べた結果、投与したグループでは検査の数値が改善したということです。

 このことから、研究チームは、患者の症状も改善できる可能性が示されたとしています。

 薬の投与による重篤な副作用もなかったということで、今後、患者数を増やして最終段階の治験を行い、実際に症状の改善がみられるか確認し、根本的な治療薬の開発につなげたいとしています。

 山口大学の中森雅之教授(臨床神経学)は、「世界初の治療薬として患者からの期待は高く、安全性と有効性が確認できてほっとしている。治療薬につながるよう今後も開発を続けたい」と話しています。

 治験の結果をまとめた論文は昨年12月、イギリスの医学系学術誌に掲載されました。

 2024年1月13日(土)

🟧大腸がん手術の技術向上へ、シミュレーターを共同開発 イービーエムと国立がん研究センター

 医療従事者の技能を磨く訓練機器の開発・製造を手掛けるイービーエム(東京都大田区、研究拠点・福島市)は12日、国立がん研究センターと共同開発した大腸の内視鏡外科手術シミュレーター「COLOMASTER(コロマスター)」を発表しました。

 コロマスターは大腸がんの手術などで行われる「腹腔(ふくくう)鏡下結腸右半切除術」の訓練に用います。腸間膜や腹膜などの膜組織、胃や膵臓、腎臓などの周辺臓器、動脈、静脈の配置を1ミリ単位で再現しました。腹腔の構造は複雑で同様の訓練モデルはこれまでありませんでした。

 ポリエステルなどの化学繊維を用い、ゾル化素材を染み込ませることで内臓の質感を再現しました。人体構造の把握や内視鏡カメラを使用した場合の視野の展開、膜状組織を剥離する手技など、大腸がん手術の全工程を実際の医療機器を使って体験できます。

 大腸がんの外科手術の訓練は動物で行われ、1回の訓練費用が100万円を超えるなどの課題がありました。コロマスターは1体約20万円で販売します。安価かつ軽量で、どこでも訓練ができます。製品の活用により、外科医の専門的技能向上への貢献が期待されます。

 大腸がんの患者数は近年、増加しています。国立がん研究センターによると、2019年の大腸がんの罹患(りかん)者は15万5625人で、がんの部位別で最多。コロマスターは手術用のロボットを開発する上で、機能を評価する製品としての活用も期待されています。すでに大手医療機器メーカーからの引き合いもあり、今年は約2000個の生産を見込んでいます。

 2024年1月13日(土)

🟧北海道の赤ちゃんポストで新生女児を一時受け入れ 児相が保護し医療機関に搬送

 北海道当別町で自称「赤ちゃんポスト」を運営する施設で今月、出産直後の母親から新生児の預け入れ要請があり、女児を一時受け入れたことが13日、わかりました。施設によると、女児は児童相談所が保護し、その日のうちに医療機関に搬送されました。現時点で健康上の問題はないとしています。

 運営者の坂本志麻さん(49)によると、今月上旬、母親からLINE(ライン)で連絡があり対面。母親が独りで出産後「1日未満」で、母子を救急搬送しようとしたものの母親は断りました。複雑な事情を抱え、自分で育てられないと考えていたといい、施設側で児相などと連絡を取り、預かった女児を搬送しました。

 施設は2022年5月に開設。2023年2~3月、女児2人を受け入れたものの、先天性の病気を患う1人が必要な医療ケアを受けられず入院し、回復後、坂本さんに親権がないため引き取れない問題が一時生じました。

 2024年1月13日(土)

🟧観測史上最も暑い年となった昨年より、今年はさらに暑くなる可能性 エルニーニョ現象の影響で

 世界気象機関(WMO)は12日、今年はエルニーニョ現象の影響で、過去最高を大幅に上回り、観測史上最も暑い年となった2023年より、さらに暑くなる可能性があると警鐘を鳴らしました。

 WMOによると、2023年の世界の平均気温は産業革命前(1850~1900年)の水準よりも約1・45度高くなりました。特に7月と8月は観測史上最も暑い2カ月間でした。

 WMOのセレステ・サウロ事務局長は、「2023年半ばまでに、寒冷化をもたらすラニーニャ現象から温暖化をもたらすエルニーニョ現象に切り替わったことが、気温上昇に明らかに現れている」とし、「エルニーニョ現象が通常、ピークを迎えた後に世界の気温に最も大きな影響を与えるのを考えると、2024年はさらに暑くなる可能性がある」と述べました。

 アメリカ海洋大気局は、今年の気温が昨年より上昇する確率は3分の1で、暑い年の上位5番目までに入る確率は99%だと予測しています。

 アメリカ航空宇宙局ゴダード宇宙科学研究所所長で気候学者のギャビン・シュミット氏は、「(昨年より)暑くなるか若干涼しくなるかは五分五分だ」とさらに高い確率を示した上で、地球の気候システムに「不可解な」変化の兆しがあるが、断定するにはデータ不足だと述べました。

 2024年1月13日(土)

🟧新型コロナ感染者の報告数、岐阜県が全国最多 新変異型「JN・1」が増加傾向

 新型コロナウイルスの岐阜県の感染状況は、1月7日までの1週間で1医療機関当たりの平均患者数が15・23人と、全国の都道府県で最も多くなりました。

 季節性インフルエンザの平均患者数も全国で3番目に多くなっており、岐阜県は「場面に応じた基本的な感染対策や体調管理をしてほしい」と呼び掛けています。

 厚生労働省によりますと、1月7日までの1週間に全国の医療機関から報告された新型コロナの患者数は7週連続で前の週より増加し、1医療機関当たりの平均患者数は6・96人でした。

 一方、岐阜県は1医療機関当たりの平均患者数が全国平均の2倍を超える15・23人で、昨年8月以来約5か月ぶりに全国の都道府県で最も多くなりました。

 また、同じ期間のインフルエンザの平均患者数は20・82人と4週間ぶりに増加し、全国の都道府県では3番目に多くなっています。

 古田肇知事は、新型コロナの変異型の状況について、全国と同様にオミクロン型の派生型「EG・5」系統が引き続き主流となっている一方、新変異型「JN・1」の増加傾向がみられるとし、「今後、感染力の強い危険因子が発生する可能性もあり、油断できない状況」と懸念を示しました。

 岐阜県は、「コロナ禍以降、初めて行動制限のない年末年始となり感染が拡大したとみられる。重症化のリスクが高い高齢者と接する際はより慎重に対応するなど、場面に応じた基本的な感染対策や体調管理をしてほしい」としています。

 また、12日夜に県庁で感染症対策の専門家会議を開き、感染状況の分析や今後の対策などを話し合うことにしています。

 2024年1月13日(土)

🟥サンフランシスコ市、超加工食品の製造業者提訴 健康被害への責任追及

 アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ市は2日、超加工食品の製造業者を相手取り訴訟を起こしたことを明らかにした。超加工食品を巡っては、数十年にわたる過剰摂取の結果、多くのアメリカ人が肥満になったと専門家らは指摘している。  訴訟の対象には、クラフト・ハインツ、コカ・コーラ...