2024/01/18

🟧歯周疾患検診の対象に20歳と30歳追加へ 4月以降、若年層患者増加で厚労省

 全身の病気リスクに影響する歯周病の患者が若年層でも増えているのを受け、厚生労働省が4月以降、健康増進法に基づく自治体の歯周疾患検診の対象年齢を拡大し、20歳と30歳を追加する方針であることが18日、明らかになりました。切れ目のない歯科検診体制を整えて早期治療を促し、健康寿命の延伸につなげます。

 現行は、乳幼児期と学齢期はそれぞれ母子保健法と学校保健安全法に基づき、歯科検診が実施されています。歯周疾患検診は40歳から10歳ごとに70歳までが対象で、75歳以上は高齢者医療確保法による検診があります。20、30歳代は国費の検診が手当てされていません。

 2022年の歯科疾患実態調査によると、歯周病が進行した状態の4ミリ以上の歯周ポケットがある人は15~24歳で17・8%、25~34歳で32・7%と、2005年調査に対していずれも10ポイント以上増えました。

 高齢者だけでなく若年層にも歯周病の増加がみられることから、2024年度以降の自治体の歯周疾患検診は、40歳以上と同様に20歳と30歳についても国が費用を補助します。

 2024年1月18日(木)

2024/01/17

🟧国内の海藻・海草が炭素36万トン吸収 「ブルーカーボン」世界初算定、国連に報告へ

 政府は、2022年度に国内の海の海藻・海草に吸収・固定された二酸化炭素(CO2)由来の炭素「ブルーカーボン」を約36万トンと算定し、国連に報告する方針を固めました。今後、国内で排出された温室効果ガスの量から差し引いて、実質排出量を算出します。海藻・海草による吸収量を算定したのは世界で初めて。

 地球温暖化対策として各国は、人類の活動による排出量から、植物の光合成などによる吸収量を差し引いた実質的な排出量を算出し、将来の削減目標を策定しています。日本は実質排出量を2030年度に2013年度比で46%削減、2050年までにゼロとする目標を掲げ、最新の数値を国連に毎年報告しています。

 各国は、植物のうち、海藻・海草による吸収量については算定方法が確立されていないなどの理由で、国連に報告していません。そこで政府は、ワカメやアマモなど海藻・海草の種別の吸収量と沿岸部の藻場面積を基に国内全体の吸収量を算定する方法を考案。2022年度は、一般家庭約14万世帯分の年間排出量に相当する約36万トンと算定しました。1月22日の有識者らによる環境省の検討会で正式に確定します。

 国内で2021年度に植物が吸収したCO2量4760万トンのほとんどは、森林が吸収源。森林は今後、老化で吸収量が減退する見通しで、吸収量全体に占めるブルーカーボンの割合は2030年に1割に達するとの試算もあります。環境省は、「海に囲まれた地形をいかし、藻場の造成などブルーカーボンを活用した脱炭素化に努めたい」としています。

 2024年1月17日(水)

🟩スーパー中和抗体、オミクロン型にも効果 富山大などが改良に成功

 富山大と富山県衛生研究所などの研究チームは16日、新型コロナウイルス感染症から回復した患者の血液を基に作った「スーパー中和抗体」を、オミクロン型に対しても感染予防効果を持つよう改良することに成功したと発表しました。分子シミュレーション解析の技術を活用したもので、この技術を今後の広範な変異型にも応用することを目指します。

 スーパー中和抗体は、ウイルスの特定の部分に結合して人などの細胞への侵入を防ぎ、感染を予防します。これまでの研究では、オミクロン型に対しては感染予防効果が落ちることが報告されていました。同チームは今回、分子シミュレーション解析を用いて抗体内のウイルスとの結合箇所を変異させ、オミクロン型にも効果を持つよう改良しました。

 今回の手法を使えば抗体医薬品の改良設計が1カ月程度で可能になるといい、今後の広範な変異型にも迅速に対応できるといいます。

 成果は16日付けの国際学術雑誌に掲載されました。同チームは、「今後同様の事例を積み重ねることで分子シミュレーション解析での予測精度の向上が見込まれ、ウイルスの非常に素早い変異速度を超えて、対抗できる中和抗体開発が進むことが期待される」としています。

 2024年1月17日(水)

🟧サワイグループホールディングス、アメリカの後発薬事業から撤退 台湾企業に譲渡

 ジェネリック医薬品(後発医薬品)大手の沢井製薬の親会社サワイグループホールディングスは17日、後発薬を手掛けるアメリカ子会社のアップシャー・スミス・ラボラトリーズなどを、台湾の医薬品メーカーのボラ・ファーマシューティカルズに譲渡すると発表しました。アメリカ事業から撤退し、品質不正で揺らぐ日本国内の後発薬事業に経営資源を集中させ、立て直しを急ぎます。

 サワイグループホールディングスは、アメリカ子会社の株式80%を3月末に約227億円で譲渡するなど、最大で約300億円を受け取る予定。アメリカ子会社の株式20%を保有していた住友商事も同様に売却します。

 サワイグループホールディングスは、2017年にアメリカ市場に進出したものの、競合他社の増加や価格競争の激化に見舞われ、2022年3月期にはアップシャー・スミス・ラボラトリーズの減損などで282億円の最終赤字になるなど業績が悪化していました。

 2024年1月17日(水)

🟧世界の喫煙者、2030年には12億人下回る WHOが推計を発表

 世界保健機関(WHO)は16日、世界中の15歳以上の喫煙者が2022年に12億4500万人おり、2030年には12億人を下回るとの推計を発表しました。2000年の13億6200万人から減少が続いています。

 WHOは「近年のたばこ規制でよい進展がみられる」と評価し、公衆衛生向上のため各国政府にさらなる規制を呼び掛けました。

 推計によると、15歳以上の人口に対する喫煙者の割合も、2022年の20・9%(男性34・4%、女性7・4%)から、2030年には18・1%(男性30・6%、女性5・7%)に減る見通しです。

 地域別では、2022年で東南アジア地域事務局管内が最も高い26・5%。ヨーロッパ地域事務局管内(旧ソ連諸国やトルコを含む)が25・3%と続きます。ヨーロッパでは女性喫煙者の割合がほかの地域よりも高く、減少する勢いも小さいといいます。

 調査対象は加熱式を含む紙巻きたばこや葉巻、無煙たばこなどで、化学物質が入った液体を蒸気化して吸う「電子たばこ」は除外されています。

 2024年1月17日(水)

2024/01/16

🟧老化抑える脳内の神経細胞を特定、マウス実験で寿命延長にも成功 アメリカのワシントン大

 老化を抑える働きを持つ脳内の神経細胞をマウス実験で特定したと、アメリカのワシントン大学の今井眞一郎卓越教授(老化学)らの研究チームが発表しました。この神経細胞を操作して老化を遅らせ、寿命を延ばすことにも成功しており、5年以内に人での臨床応用を目指すといいます。論文はアメリカの科学誌「セル・メタボリズム」に8日付けで掲載されました。

 研究チームは、哺乳類の視床下部にある「Ppp1r17神経細胞」に注目しました。遺伝子操作でこの神経細胞の働きを強化したところ、何も操作しなかったマウスより寿命が7~8%延びました。運動量も通常の1・5~2倍に増加したといいます。

 この神経細胞は脂肪細胞を刺激し、老化を抑える働きがある「 eNAMPT(イーナムピーティー )」という酵素を分泌させます。加齢とともにこの神経細胞の働きが衰え、老化が進むと考えられるといいます。

 今井卓越教授は、「人間でも同様の仕組みがあるか確かめ、抗老化の治療法の実現に向け、研究を進めたい」と語っています。

 理化学研究所の影山龍一郎・脳神経科学研究センター長(神経発生学)は、「特定の神経細胞が、寿命にこれほど影響することが示されたのは驚きだ。仕組みの解明や人での研究が進めば、老化研究は大きく進展する」とコメントしています。

 2024年1月16日(火)

🟧新型コロナ後遺症、発症者の7割が女性 症状は倦怠感が最多

 新型コロナウイルスの後遺症を発症する人の約7割は女性であることが、後遺症専門外来を設置する医学研究所北野病院(大阪市)を受診した320人のデータから判明しました。

 医学研究所北野病院の調査によると、後遺症を発症した患者のうち、女性は68・8%で男性は31・2%と、女性が多くなりました。

 主な症状は、「倦怠(けんたい)感」が最多で、「思考力と集中力の低下」、「軽い活動や運動後に数時間から3日以内の激しいだるさ」、「不眠」が続きました。

 年齢の中央値は45歳で、体格指数(BMI)の中央値は23・8。普通体重(18・5~25未満)に分類されるものの、やや肥満寄りでした。

 新型コロナを発症した際に入院した人の割合は12・5%にすぎず、症状の重さと後遺症の発症には関連性が乏しいとみられます。

 アメリカのワシントン大学の研究者らが2022年10月にアメリカの医師会誌に公表した論文では、アメリカやドイツ、イタリアなど22カ国の120万人を分析した結果、女性のほうが後遺症を発症しやすく、20~40歳代に多かったとまとめました。発症のピークは男女とも20歳代でした。医学研究所北野病院の調査と似たような傾向を示しています。

 世界保健機関(WHO)は後遺症を「発症から3カ月後に2カ月以上の症状がある」と定義しています。体内の炎症が後遺症の原因とみられ、炎症の原因として体内にウイルスが残る持続感染や再活性化が指摘されています。

 昨年2月に公表された横浜市立大学病院の論文は、日本やアメリカ、スイス、ノルウェーなどの7万4690人のデータを解析した結果、オミクロン型感染者のうち後遺症患者の定義に当てはまる人は11%に上ると明らかにし、後遺症に苦しむ人が多くいることが浮き彫りになっています。

 医学研究所北野病院で後遺症患者を治療する丸毛聡医師は、「治療を続けても完全に治らない人もおり、仕事復帰に支障を来すなど社会問題になっている。新型コロナのワクチン接種の拡大や、治療薬の登場で、後遺症の発症は以前より減ってきている印象だが、ゼロにはなっておらず注意してほしい」と呼び掛けています。

 国の後遺症診療手引の編集委員で、愛知医科大学の牛田享宏教授も、「後遺症の患者は、血液データなどから明確な異常がみえにくいことが多いため、治療法の選択がむずかしい。症状も多様で、根本的な治療法は確立していない」と説明した上で、「後遺症を抱えながら、仕事や社会活動に復帰するため、時短勤務や産業医の支援などが必要だ。社会復帰できないと、さらに症状が悪化するという悪循環に陥りかねない」と話しました。

 2024年1月16日(火)

🟧千葉県銚子市の鳥インフルエンザ陽性、41万羽を殺処分へ 今季2例目

 千葉県は12日、高病原性鳥インフルエンザの疑いがあった銚子市の養鶏場の採卵鶏について、遺伝子検査で陽性が判明したと発表しました。県は同日、自衛隊に災害派遣を要請しました。養鶏場で飼育されている約41万羽の殺処分や消毒などの防疫措置を進めます。今季、県内での鳥インフルエンザ発生...