2024/03/04

🟧世界初の生体肺肝同時移植手術に成功 京都大病院で10歳未満の男児に両親と祖父が提供

 京都大医学部付属病院は4日、世界で初めて、生体の肺と肝臓を1人の患者に同時に移植する手術を実施し、成功したと発表しました。先天性の疾患がある関東在住の10歳未満の男児に、両親の肺、祖父の肝臓のそれぞれ一部を移植しました。手術は2023年11月15日に行われ、男児は3月1日に退院しました。

 同病院によると、海外では脳死患者から提供された肺と肝臓の同時移植は少数ながら行われています。日本は海外と比べて脳死による臓器提供が少ない現状があり、脳死でも実施事例がありませんでした。生きている健康な人が提供者となる同時移植は世界初で、同病院は「新しい治療の可能性を広げた意義は大きい」としています。

 男児は、染色体の異常が原因で、全身の臓器などに影響が出る「先天性角化(かくか)不全症」の患者。根治療法はなく、国内の重症患者数は約200人とされます。

 男児は2歳で血液細胞が減少する再生不良性貧血になったため、4歳の時に妹から骨髄移植を受けました。しかし、その後に肺や肝臓の疾患も発症し、移植が必要になりました。

 手術は、父親(40歳代)の右肺の一部、母親(40歳代)の左肺の一部、祖父(60歳代)の肝臓の一部をそれぞれ移植。4つの手術室を使い、医師ら約30人が参加して、約18時間かかりました。両親と祖父は、すでに社会復帰しているといいます。

 男児の両親は病院を通じ、「当初はもう打つ手はないものと絶望的な気持ちで、(移植手術は)唯一の希望でした。今回の移植を機に、これまで移植をあきらめるしかなく、何もできないもどかしさや絶望感を抱えている患者さんや親族の方の一筋の光になればうれしいと考えております」とコメントしました。

 2024年3月4日(月)

🟧アステラス製薬、更年期障害薬の日本での最終段階の治験を開始

 アステラス製薬は4日、更年期障害向け治療薬「フェゾリネタント」について、日本で臨床試験(治験)の最終段階に当たる「第3相治験」を始めたと発表しました。治験の結果を踏まえて、日本でも承認を申請する方針です。

 フェゾリネタントは、女性の閉経に伴って現れる、顔のほてりやのぼせなど「ホットフラッシュ」と呼ばれる症状を治療する経口薬。2023年5月に承認を取得したアメリカでは、「ベオーザ」の製品名で販売を始めています。

 更年期障害の症状に対して、エストロゲン製剤を用いたホルモン補充療法が行われることもあるものの、乳がんや血栓症の発症リスクを高める可能性が指摘されています。これに対して、初の非ホルモン治療薬としてアメリカで承認されたのがフェゾリネタントで、日本でも更年期障害の治療に向けた新たな選択肢となる可能性があります。

 アステラス製薬は同薬のピーク時の売上高を最大5000億円と見込み、注力製品の一つと位置付けています。アメリカのほか、ヨーロッパでも2023年12月に承認を取得しています。

 2024年3月4日(月)

2024/03/03

🟧環境保護活動家がPFAS生産停止訴え化学工場に侵入、8人逮捕 フランス南東部リヨン

 フランス南東部リヨン近郊で2日、環境保護活動家グループが有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」の生産停止を訴えて化学工場の敷地に侵入し、8人が逮捕される騒ぎがありました。

 環境保護団体「絶滅への反逆」と「ユース・フォー・クライメート」のメンバーがフェンスを破り、フランスの化学大手アルケマのピエールベニット工場に乱入しました。

 団体の報道担当者によると、約300人が抗議に参加しました。警察は約150人としています。

 同担当者は、「我々はアルケマによる『フォーエバー・ケミカル(永遠の化学物質、PFAS)』のローヌ川への廃棄を阻止したい」と説明し、「ここで秘密裏に行われていることを公にしたい」とも語りました。

 同工場の近くでは、空調大手のダイキン工業が新工場建設を計画しており、地元住民の反対に遭っています。地元当局は、「2024年末までに界面活性剤としてのPFASの使用停止を2022年9月に命じられたアルケマと違い、ダイキンの新工場ではPFASの水系への流出はない」としています。

 2024年3月3日(日)

2024/03/02

🟧アメリカCDC、新型コロナ感染後5日間の隔離推奨を見直し 24時間の自宅待機を推奨

 アメリカ疾病対策センター(CDC)は新型コロナウイルスに感染した人に対し、5日間の隔離を推奨していたこれまでのガイドラインを見直し、今後は発熱などの症状を目安にして24時間の自宅待機を推奨する新たなガイドラインを公表しました。

 CDCは1日、新型コロナウイルスに感染した場合のガイドラインの改定を公表しました。

 これまでは新型コロナに感染した人に対し、5日間の隔離を推奨していましたが、改定されたガイドラインでは、新型コロナに感染しているかどうかにかかわらず、発熱などの症状があった際は、熱が下がるなどしてから少なくとも24時間たつまでは自宅で待機することを推奨するとしています。

 また、その後5日間は周囲にうつさないよう、換気や手洗い、マスク着用、対人距離の確保など、感染を広げない行動を推奨しています。

 CDCによりますと、アメリカでは、ワクチンやこれまでの感染により98%を超える人が新型コロナに対する何らかの免疫があるということで、「新型コロナを巡る状況はかつてのような緊急事態ではなくなった」としています。

 今回の更新はこうした現状に合わせるとともに、症状を目安にしたガイドラインにすることで、インフルエンザなどほかの感染症にも有効な対策にする狙いがあるということです。

 2024年3月2日(土)

2024/03/01

🟧東京都のインフルエンザ患者報告数「16・74人」で2週連続減少 新型コロナは3週連続減少

 東京都のインフルエンザ患者報告者数は2週連続で減少しました。新型コロナウイルス患者も3週連続で減少しています。

 「東京都感染症情報センター」によりますと、2月19日から25日の1週間でインフルエンザの患者報告数は1医療機関当たり「16・74人」で、前の週の「21・47人」から約22%減少しました。

 減少は2週連続で、約8割が14歳以下の子供です。依然として注意報レベルの「10人」を超えています。

 また、新型コロナウイルスの患者報告数は「5・3人」で、3週連続で減少しています。

 入院患者数は1349人で、前の週から350人減少しました。

 2024年3月1日(金)

2024/02/29

🟧花王とアース、東南アジアで蚊よけ殺虫剤を販売へ デング熱感染防止

 花王とアース製薬は29日、東南アジア向けに蚊よけの殺虫剤を共同で商品化したと発表しました。花王独自の界面活性剤の技術を活用し、蚊の羽の表面をぬらして飛べなくする製品を開発しました。まずタイで7月から販売します。蚊が媒介するデング熱の感染拡大の防止につなげます。

 商品名は「アース モスシューター」。花王が開発した特殊な界面活性剤は、水をはじきやすい蚊の羽の表面をぬらすことができるといいます。最終的に「気門」と呼ばれる酸素を取り込む体の表面の穴を液剤で覆い、窒息させることで駆除します。

 花王のタイの工場で製造し、主にアース製薬の持つ販路を通じて、スーパーや個人経営の商店など5万店で販売し、年間数億円の売上高を目指します。販売状況を見ながら段階的に取扱店舗や商品数を増やすほか、周辺国での販売も検討します。

 東南アジアでは温暖化の影響もあり、重症化すると死亡する恐れもあるデング熱の感染が急速に拡大しています。世界保健機関(WHO)の推計によると、世界で年間3億9000万人が感染しており、タイやベトナム、マレーシアの感染者は2023年に前年の数倍に増えたもようです。

 花王とアース製薬は、入浴剤やトイレ用洗剤などでは競合するライバル。花王の長谷部佳宏社長は29日の発表会で、「自社だけでの開発も検討したが、少しでも早く商品を出すために虫の研究に強いアース製薬と組むことにした」と説明しました。花王は2023年12月期まで5期連続で最終減益となりました。独自技術を生かした商品の開発に力を入れます。

 レモングラス由来の殺虫成分を使ったのも新商品の特徴です。化学合成の殺虫成分の健康への影響を懸念して、東南アジアでは殺虫剤の使用を控える消費者もいるといいます。

 アース製薬の川端克宜社長は、「小さな子を持つ家庭など化学成分を使わない殺虫剤へのニーズは高い」と話しています。タイは同社にとって東南アジアでの主戦場で、2023年の売上高は51億円、殺虫剤のシェアは2割弱の2位です。

 デング熱対策では日本企業が存在感を示しており、武田薬品工業はインドでワクチン製造を始めます。

 2024年2月29日(木)

2024/02/28

🟧高病原性鳥インフルエンザ、周辺の島に続けて南極大陸で初検出 南アメリカから渡り鳥が持ち込んだか

 イギリス南極研究所(BAS)は23日、南極地域で渡り鳥の死骸から高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が初めて検出されたと明らかにしました。ペンギンなど在来種への影響が懸念されます。

 BASは、南極大陸の北に位置するイギリス領サウスジョージア・サウスサンドイッチ諸島のバード島で、ミナミオオトウゾクカモメの死骸から検体を採取。イギリスに検査のため送った結果、陽性だったといいます。

 鳥インフルエンザの感染が拡大している南アメリカから戻ってきた渡り鳥が、ウイルスを持ち込んだ可能性が高いとしています。

 鳥インフルエンザが専門のオーストラリア・メルボルン大学のミシェル・ウィレ氏は、南極地域への感染拡大は「衝撃的な知らせ」だと述べました。

 同氏はX(旧ツイッター)に、「状況は急速に変わる恐れがある」と投稿しました。

 専門家らは、史上最悪の被害をもたらしているHPAIが、多くの鳥類の主要繁殖地となっている南極に到達するとの懸念を示していました。

 イギリス動植物衛生庁のウイルス部門責任者、イアン・ブラウン氏は先週、渡り鳥が南アメリカから南極周辺の島々へ、それから南極大陸へウイルスを広げる恐れがあると警告しました。

 ブラウン氏は報道陣に対し、ペンギンなど南極固有の鳥への影響が現実味を帯びる可能性があると指摘していました。

 一方、スペインの研究機関が25日に公表した報告書によると、南極にあるアルゼンチンの基地付近で見付かった複数のトウゾクカモメの死骸を検査したところ、HPAIが確認されました。これまで南極周辺の島でカモメなどから検出されていましたが、南極大陸で確認されるのは初めて。

 研究機関は、HPAIが「他の大陸から距離がある南極に到達したことを初めて示した」としています。

 2024年2月28日(水)

🟥サンフランシスコ市、超加工食品の製造業者提訴 健康被害への責任追及

 アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ市は2日、超加工食品の製造業者を相手取り訴訟を起こしたことを明らかにした。超加工食品を巡っては、数十年にわたる過剰摂取の結果、多くのアメリカ人が肥満になったと専門家らは指摘している。  訴訟の対象には、クラフト・ハインツ、コカ・コーラ...