2024/04/12

🟧1人暮らしの世帯、2050年に44・3%に 未婚の高齢者急増、厚労省の研究機関推計

 日本の1世帯当たりの人数が9年後の2033年には平均1・99人と初めて2人を下回るという推計を厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表しました。背景の1つには、結婚をしない人の増加があるとみられ、高齢化が進む中で同居する家族がいない高齢者を、どう支えていくかが課題となっています。

 国立社会保障・人口問題研究所は5年に1度、国勢調査を基に将来の日本の世帯数などを推計しており、今回、2050年までの予測を発表しました。

 それによりますと、全世帯に占める「1人暮らしの世帯」の割合は2020年の38%から増加を続け、2050年には44・3%と30年間で6・3ポイント増える見通しです。

 これに伴って1世帯当たりの人数は、2020年の平均2・21人から減り続けて、9年後の2033年には1・99人と初めて2人を下回り、その後、2050年には1・92人にまで減少すると推計しています。

 特に1人暮らしの65歳以上の高齢者が急増する見通しで、高齢者全体に占める1人暮らしの割合は、2050年には、男性が26・1%と30年で10ポイント近く、女性も29・3%と5ポイント以上、増加すると予測しています。

 こうした背景の1つには、近年の結婚をしない人の増加があるとみられ、2050年には、1人暮らしの高齢者のうち、未婚の割合は、男性で59・7%と6割に上り、30年で26ポイント増加すると推計しています。一方、女性も30・2%と18ポイント余り増えると推計しており、同居する家族がいない1人暮らしの高齢者を、どう支えていくかが課題となっています。

 推計を行った国立社会保障・人口問題研究所の藤井多希子室長は、「現在、50歳前後の団塊ジュニア世代は未婚者の割合が高く、このまま高齢化すると身寄りのない人が増えていく。1人暮らしの高齢者を支えるためには介護だけでなく、金銭の管理や意思表示など日常生活をサポートする仕組みを早急に考えていく必要がある」と話しています。

 2024年4月12日(金)

2024/04/11

🟧PFAS、飲み水の濃度基準決定 アメリカ環境保護局、日本より大幅に厳しく

 発がん性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」を巡り、アメリカ環境保護局(EPA)は10日、飲み水の濃度基準を最終決定しました。強制力を伴った全国基準は初。PFASは数千種類ある物質の総称で、代表的な「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」は各1リットル当たり4ナノグラムと、世界的にも厳しい水準に設定しました。アメリカが大きく踏み込んだことで、日本での今後の見直し議論に影響する可能性もあります。

 この2物質については安全な摂取量は存在しないとして、強制力のない目標値はゼロと決定。現実的に検査や削減が可能な規制値として1リットル当たり4ナノグラムを採用しました。日本は水道水や河川など環境中の水についてPFOSとPFOAの合計で1リットル当たり50ナノグラムを暫定目標値としています。

 EPAは、「PFNA(ペルフルオロノナン酸)」や「PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)」など他の種類についても、1リットル当たり10ナノグラムとするなど規制を設けました。

 国内6万6000カ所の公共水道は今後3年以内に汚染状況の監視と公表をするよう義務付けられ、規制値を超えた場合は削減措置を実施します。最大10%程度の事業者で対応が必要になるとみています。事業者らの検査・処理体制確立のため各州に資金支援します。

 PFASを巡っては、沖縄県内ではアメリカ軍普天間飛行場や嘉手納基地など基地周辺の湧き水や河川などから日本の暫定指針値を超える値が検出されています。2023年度に初実施された県の全県調査では、土壌でも全市町村から検出されました。本島の中部河川から高濃度の値が検出されたため取水を停止していた北谷浄水場は、水不足のため取水を再開しています。

 2024年4月11日(木)

2024/04/10

🟧大正製薬が内臓脂肪を減らす「アライ」発売 市販薬で肥満対策、日本でも

 9日に上場廃止となった大正製薬ホールディングス(HD)は、非上場後の注力分野として8日に、内臓脂肪を減らす市販薬「アライ」を発売しました。体内で脂肪の吸収を阻害する仕組みの治療薬です。海外では市販薬として販売されていますが、肥満を改善する医薬品の販売が日本でもようやく始まりました。大正製薬HDはアライなど市販薬の製品群を拡充し成長を目指します。

 アライは体内の脂肪の吸収を抑えることで、内臓脂肪の蓄積を阻害します。食事中に含まれる脂肪の約25%を吸収せずに排出します。体重減少効果は3%程度で限定的ながら、摂取カロリーを抑えることができるようになります。成分の「オルリスタット」は、1999年に医療用としてアメリカで承認され、2007年に市販薬として販売されました。ヨーロッパやアジア各国でも薬店で一般販売されています。

 日本では、武田薬品工業が2013年に同様の仕組みの「オブリーン」を医療目的の肥満症薬として製造販売承認を取得したものの、薬価がつかず販売されませんでした。今回のアライは肥満症ではなく、内臓脂肪減少という形で一般用医薬品(OTC)として販売されることになりました。

 副作用もあり、油分を便として排出するため、下痢や軟便などが起きます。大正製薬は服用に際して、「おむつ」や「便漏れパッド」などの着用を推奨しています。

 購入条件も厳しく、服用できるのは18歳以上の成人で、男性は腹囲が85センチ以上、女性は90センチ以上で、さらに体格指数(BMI)35未満の人が対象となります。BMI25以上で、脂質異常症や高血圧といった疾患を持つ人や妊娠中・授乳中の女性は使用できません。

 また、初回購入時は3カ月以上にわたって食事や運動といった生活習慣の改善に取り組んでいることや、購入1カ月前の食事・運動の内容、体重や腹囲を記録しておくことも条件となるため、気軽に購入・使用を始めることはできません。

 日本肥満学会は、BMIが25以上の状態を「肥満」と定め、BMIが25以上で高血圧や糖尿病などの合併症があり、医学的に減量を必要とする状態を「肥満症」と定めています。肥満症の人は、アライの対象外となります。

 もっとも肥満症に対してはオルリスタットとは違う仕組みのGLP−1というタイプの治療薬が登場し、デンマークのノボノルディスクの肥満症治療薬「ウゴービ」が医療用として処方が始まっています。欧米では肥満症の「特効薬」として普及が進んでいます。さらに新たな治療薬候補の開発を巡ってM&A(合併・買収)などの動きも活発化しています。

 大正製薬HDは非上場化後の戦略の1つとして海外での有望なOTCブランドの買収などで品ぞろえを増やし、自社のネット販売サイトにも積極的に投資していく考えのようです。

同社は上場廃止で「中長期的な視点から抜本的かつ機動的な施策に取り組む」と説明しており、主力の「リポビタン」などに加え、アライなどの自社製品を増やすことで成長を目指す考えです。

 2024年4月10日(水)

2024/04/09

🟧子供への頭部磁気刺激治療の実施は不適切 専門の学会が声明を発表

 18歳以上のうつ病患者を対象に公的な保険が適用されている「反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)」という頭部を磁気で刺激する治療法について、専門の学会は、一部の医療機関が発達障害に有効だとして、子供に対しても実施しているとして、子供への有効性と安全性は確かめられておらず実施は不適切だとする声明を発表しました。

 rTMSは、専用の医療機器で頭部に繰り返し磁気的な刺激を与えて脳の特定の活動を変化させる治療法で、薬による治療で十分な効果が認められない18歳以上のうつ病患者に対して公的な保険が適用されています。

 この治療法について、子供の精神医学の専門家などで作る「日本児童青年精神医学会」は声明を発表し、一部の精神科クリニックが「発達障害に有効」だとして、18歳未満の子供に対しても保険が適用されない「自由診療」で実施しているとして、「子供に対する有効性と安全性のエビデンスは不十分であり、発達障害などに、この治療法を実施することは適切ではない」という見解を示しました。

 声明では、この治療法は別の専門学会の指針で、18歳未満には実施すべきではないと明記されているとした上で、「まれに、けいれん発作が起きることもあり、決して副作用のない治療法ではない」と指摘しています。

 そして、臨床試験で安全性などを確認しないまま、子供に対して実施することは「非倫理的で危険性を伴う」としました。

 学会の岡田俊代表理事は、「安全性や効果が十分に確認されていない治療法に、子供をゆだねることは危険にさらすことにもなる。まずは、効果と安全性を検証することが大事だ」と話しています。

 2024年4月9日(火)

2024/04/08

🟧海洋汚染の「マイクロプラスチック」を雲や雪の中から発見 早稲田大や北見工業大が研究

 微細なプラスチック片「マイクロプラスチック(MP)」が、雲や雪の中からも見付かったことが、早稲田大の大河内博教授(環境化学)や北見工業大(北海道北見市)の大野浩准教授らの研究で8日までにわかりました。海洋汚染が大きな問題となっていますが、大気中ではより小さく、人体に取り込まれた場合の影響は大きいとの指摘があります。ただ研究例は少なく、実態解明が急務です。

 MPはプラスチックごみが波や紫外線などで壊れることによって生じる粒子で、大きさが5ミリ以下のもの。有害な化学物質を吸着する性質があり、海洋生態系への影響が懸念されるほか、人間も魚介類を通じて摂取している恐れが指摘されています。

 大河内教授らの研究チームは2021~2022年、富士山頂など3地点で採取した雲水にMPが含まれていることを野外観測で初めて実証しました。MPが紫外線劣化により水をはじきにくくなり、雲の核となっている可能性があります。有機物などを表面に吸着していると、さらに核になりやすくなるといいます。

 MPは紫外線で劣化する際、温室効果ガスを排出します。一方で雲の形成を促進して太陽光を地表に届きにくくし、地球温暖化の予測モデルを不確実なものにしている可能性もあります。発生源ははっきりしないものの、陸のほか「日本では近海から台風や冬の北西からの季節風で巻き上げられた海洋MPが有力ではないか」と推測します。

 雪からMPを発見したのは、氷雪学を専門とする大野准教授。2021~2023年、世界自然遺産の知床や旭岳(2291メートル)など、道内9カ所で採取した雪を分析すると、全地点で検出されました。

 知床など人の生活圏外では、プラスチック容器に使われるポリエチレンなど0・06ミリ以下のごく小さいものが中心で、大気によって運ばれたと考えられるといいます。一方、都市部では合成ゴムや比較的大きなMPが見付かり、車のタイヤなど現地由来の可能性が高くなっています。

 大河内教授によると、大気中のMPは0・1ミリ以下で海洋と比べて小さくなっています。海洋と同様に日常的に使われるプラスチックが主ですが、上空にあることから強い紫外線にさらされ劣化が早くなっています。MPが呼吸で取り込まれると、肺に蓄積されるほか、より微細なものは血液中に入り込み全身に広がると考えられ、飲食物に混入したものとは異なり体外に排出されにくくなっています。

 ただ大気中のMPに言及した論文が初めて登場したのは2016年。研究手法が統一されておらず、大気中にどのようなサイズのMPがどれほどあるかなど、実態の把握が進んでいません。

 大河内教授は、「まだまだわからないことが多い。特に健康リスクについて明らかにし、対処を考えていきたい」と話しています。

 2024年4月8日(月)

2024/04/07

🟧世界最高齢男性はイギリスの111歳 ギネス社が認定

 存命中の世界最高齢の男性として、イギリスに住む111歳のジョン・アルフレッド・ティニスウッドさんがギネス記録に認定されました。

 ギネス・ワールド・レコーズが5日に発表しました。3月下旬から4月初旬にかけて、114歳で世界最高齢の男性だったベネズエラのフアン・ビセンテ・ペレス・モラさんや、112歳で日本最高齢の男性だった薗部儀三郎さん=千葉県館山市=が相次いで亡くなっていました。

 新たに認定を受けたティニスウッドさんは、ギネスとのインタビューで「人は長生きしたり短命だったりするが、自分ではどうしようもない」と話しました。

 ティニスウッドさんは、たばこを吸わず、酒もめったに飲みません。毎週金曜日には白身魚とポテトを揚げたイギリス料理「フィッシュ・アンド・チップス」を食べる習慣だというものの、長生きの理由は「単なる運」と語っています。

 何事も適度がいいと話し、「飲みすぎ、食べすぎ、歩きすぎなど、なんでもやりすぎればいずれ体を悪くする」と指摘しました。

 ティニスウッドさんは豪華客船タイタニック号の沈没と同じ1912年の8月26日にイングランド北西部リバプールで生まれ、2回の世界大戦とスペイン風邪、新型コロナという2回のパンデミックを生き抜きました。ギネスによると、第2次世界大戦で従軍を経験した男性としても世界最高齢。

 イングランドのサッカーチーム、リバプールは昔からのファンで、19回のリーグ優勝と8回のFAカップ優勝をすべて見届けてきました。

 現在はリバプール近郊の海辺の町、サウスポートの介護施設で暮らしています。施設の責任者によると、新聞を読んだり、ラジオを聴いたりするのが好きだといいます。施設スタッフによると、「とてもおしゃべり」な人柄。

 存命中の世界最高齢の女性には、スペインに住む117歳のマリア・ブラニャス・モレラさんが認定されています。

 2024年4月7日(日)

🟧危険ドラッグ「1DーLSD」摂取後に飛び降りか 死亡するケースが2件相次ぐ

 合成麻薬LSDに似た成分の「1DーLSD」を摂取したとみられる人が、マンションから飛び降りて死亡するケースが相次いでいることがわかりました。

 捜査関係者によりますと2024年2月、東京都新宿区の22歳の女性がマンションの8階から飛び降り死亡しました。

 女性は飛び降りる前に合成麻薬LSDに似た成分の1DーLSDを含んだ製品を摂取したとみられ、一緒にいた男性は警視庁に対し、摂取後に女性の様子がおかしくなり「新しい自分になる」「飛びそう」などといって飛び降りたと話したということです。

 また、2024年1月には四国地方に住む20歳代の男子大学生も、1DーLSDを含んだとみられる製品を摂取後にマンションから飛び降り死亡したということです。

 マンションの部屋からは、いずれも1DーLSDという法律で規制されていないLSDに似た成分の名前が書かれた製品などが見付かっていて、警視庁や厚生労働省の麻薬取締部は、この製品を摂取したことで錯乱状態に陥り、飛び降りにつながった可能性があるとみているということです。

 そのほかにも2023年8月に東京都の浅草の路上で1DーLSDを摂取したという20歳代の男性が全裸の状態で発見され、首を切った痕が複数あったため救急搬送されたケースや、東京都町田市で16歳の男子高校生が摂取後、通行人に暴行を加えたり路線バスや車を壊したりするなどして逮捕されるケースなど、1DーLSDとの因果関係はわかっていないもののトラブルが相次いでいるということです。

 2人が相次いで死亡したことを受け、厚労省は2024年2月、1DーLSDが含まれる3製品について医薬品医療機器法に基づき、全国の店舗やインターネットでの販売を禁止する命令を出しています。

 厚労省は1DーLSDについて、「危険ドラッグの一種で乱用するとどういう症状が出るかわからないため絶対に使用しないでほしい」と呼び掛けています。

 危険ドラッグが社会問題になったのは10年前の2014年で、警察庁によりますと危険ドラッグを使ったことが原因で死亡したとみられる人は1年間で112人に上りました。

 東京都の池袋では危険ドラッグが原因の暴走事故で歩行者7人が死傷し、取り締まりや規制が強化されました。

 その後、危険ドラッグを使ったことが原因で死亡したとみられる人は2015年は11人に減り、2016年は6人、2017年は3人、2018年と2019年はそれぞれ1人、そして、2020年から昨年までの4年間は1人も確認されていませんでした。

 一方、危険ドラッグを使ったなどとして検挙された人は、2015年の1196人をピークに、2021年には145人まで減りましたが、2022年は279人、2023年は424人と再び増加傾向になっています。

 2024年4月7日(日)

🟩百日ぜきが長崎県内で増加、3月末で昨年1年間の6倍

 激しいせきが特徴の百日ぜきが長崎県内で流行しています。今年の患者数は3月30日時点で24人。すでに昨年1年間の6倍に達しています。感染症法の改正により、患者数を全数把握するようになった2018年以降では最多のペースで増加していて、県は注意を呼び掛けています。  県環境保健研究...