2024/06/07

🟧「睡眠科」を診療科名に追加へ、2008年以来の見直し 「睡眠内科」「睡眠精神科」など組み合わせ標榜も想定

 厚生労働省は、医療機関が掲げることができる診療科名に「睡眠科」を追加する方針を固めました。診療科名をわかりやすく表記することで、患者が医療機関を選択しやすくします。診療科名の見直しは2008年以来となります。日本人は睡眠時間が短く、睡眠障害は現代の「国民病」ともいわれます。さまざまな病気のリスクを高める恐れがあるため、適切な治療につながることが期待されます。

 医療機関が看板などで広告できる診療科名は「標榜(ひょうぼう)診療科」と呼ばれ、厚労省が医療法に基づき定めています。「内科」「外科」「小児科」など単独で使えるものが20種類あるほか、「糖尿病内科」「脳神経外科」など組み合わせで認められているものもあります。それ以外の診療科も開設できるものの、路上や駅での広告や看板などで宣伝ができません。

 追加するには、関連学会の賛同を得た上で、厚労省の医道審議会に意見を聞く必要があります。(1)国民の求めの高い診療分野であるか(2)診療科名がわかりやすいか、などの条件を満たしていることが前提となります。

 専門医らでつくる日本睡眠学会の調査では、睡眠障害を治療する医療機関(約1200施設)の72%が睡眠科の標榜を希望しています。同学会は日本呼吸器学会や日本循環器学会など関連学会から賛同を得られるよう調整を進めており、今夏にも追加を求める要望書を厚労省に提出する予定です。

 これを受け、厚労省は早急に手続きを進める考えです。「睡眠科」の単独ではなく、「睡眠内科」「睡眠精神科」など組み合わせで標榜できる方式を想定しています。

 現在、患者は症状に応じ、精神科や耳鼻咽喉科、小児科などにかかっているとみられますが、受診先を探しにくいことが課題となっています。日本睡眠学会は「一目でわかる診療科を求めるニーズは高い」と説明しています。

 経済協力開発機構(OECD)の調査(2021年版)では、日本人の1日当たりの平均睡眠時間は7時間22分で、33カ国中で最短。厚労省の調査では、睡眠で十分な休養が取れていない人の割合は2018年に21・7%に上っています。慢性的な睡眠不足は高血圧や糖尿病、うつ病などのリスクを高める恐れがあります。

 こうした中、睡眠への関心が高まっています。睡眠の質を高める効果をうたう乳酸菌飲料などが人気となっており、調査会社の富士経済によると、睡眠サポート市場は2015年の43億円から2022年には640億円に急拡大しています。

 2024年6月7日(金)

2024/06/06

🟧世界の平均気温、5月も観測史上最高 12カ月連続で記録更新

 ヨーロッパ連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は6日、今年5月の世界平均気温が15・91度で、5月としては1940年からの観測史上最高だったと発表しました。これまで最高だった2020年を0・19度上回りました。その月としての記録を更新するのは、昨年6月から12カ月連続となりました。

 産業革命前と同程度とされる1850~1900年の5月の推定平均気温と比べ、1・52度高くなりました。

 アメリカのカリフォルニア州からインドのニューデリーに至る世界各地を熱波が襲い、死者が出た地域もありました。今夏はさらなる熱波が予想されています。

 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では年ごとの変動を除いた世界の平均気温の上昇幅を1・5度に収めることが目標ですが、達成は困難な情勢です。

 2024年6月6日(木)

2024/06/05

🟧緊急避妊薬の処方箋なし試験販売で200薬局追加へ 武見厚労相が明らかに

 望まない妊娠を防ぐため性交後に服用する「緊急避妊薬(アフターピル)」の医師の処方箋なしでの試験販売を巡り、武見敬三厚生労働相は5日の衆院厚労委員会で、販売する薬局を本年度、200ほど追加できる見込みだと明らかにしました。立憲民主党の早稲田夕季氏への答弁。

 試験販売は、日本薬剤師会が厚労省の委託を受けて調査研究として実施。昨年11月に全国145の薬局で始めました。対象は16歳以上の女性で、事前の電話相談や薬剤師の面前での服用が求められます。

 緊急避妊薬は排卵を遅らせる薬で、性交後72時間以内に飲むと8割の確率で避妊できるとされます。購入するには医師の処方箋が必要で、近くに受診できる医療機関がなかったり、受診に心理的な負担を感じたりする人が薬を使いづらいことが課題になっていました。

 2024年6月5日(水)

2024/06/04

🟧糖尿病患者の寿命延びる 死因1位はがん、学会が調査

 日本で糖尿病と診断された人の寿命が、2020年までの10年間で男性が3・0年、女性が2・2年、それぞれ延びていることが、日本糖尿病学会が医療機関を対象としたアンケートで明らかになりました。

 同学会が1970年代から10年ごとに実施している調査の5回目。「糖尿病の死因に関する委員会」(委員長・中村二郎愛知医大先進糖尿病治療学寄附講座教授)が、全国208の医療機関から登録された糖尿病約6万9000人と非糖尿病の約16万5000人の死亡時期や死因を解析しました。

 その結果、糖尿病患者が亡くなった時の年齢は平均で男性約74歳、女性約77歳。日本人全体の寿命の伸びを上回り、寿命の差は縮まりました。

 死因について調べると、1位はがん、2位は感染症。1970年代には42%を占め、1980年代まで1位だった脳梗塞、心筋梗塞、慢性腎不全などの「血管障害」は1990年代に2位、2000年代に3位と順位が下がっていました。今回の調査では死因に占める比率が1970年代の4分の1になりました。薬剤などの進歩が貢献したとみられます。

 一方で、死因中のがんの比率は1970年代の25%から増え続け、今回は39%。国民全体では28%で高止まり傾向なのに対して上昇傾向がみられ、糖尿病患者でのがんの予防、管理の重要性が示されました。

 糖尿病のよく知られた合併症である慢性腎不全が死因となった割合は、1970年代の13%から下がり続け、今回は2・3%と国民全体の2・0%とほとんど差がありませんでした。糖尿病の増加の半面、糖尿病から人工透析が必要な慢性腎不全になる人数は減少に転じており、こちらも薬剤などの進歩を裏付ける結果となりました。

 2024年6月4日(火)

2024/06/03

🟧より深刻な感染症には「パンデミック緊急事態」発令可能に WHOが国際保健規則を改正

 世界保健機関(WHO)は1日の総会で、感染症の拡大を受けた緊急事態宣言の手続きなどを定めた「国際保健規則(IHR)」を全会一致で改正しました。感染症の拡大が「緊急事態」よりも深刻化した場合に「パンデミック緊急事態」を発令することを可能とする規定を盛り込みました。

 パンデミック緊急事態は、WHOが宣言する「国際的な公衆衛生上の緊急事態」よりも重大な局面を想定しています。新たな規則では、感染症が「複数の国家にまたがって広がる」「重大な社会、経済的混乱を引き起こす」可能性がある状況などと定義し、国際社会により高いレベルの警戒と国際協調を促しています。WHOはコロナ禍でも「パンデミック」を表明したものの、明確な規定はありませんでした。

 IHR改正が承認されたことを受け、テドロス・アダノム事務局長は「我々は、そして世界は勝利した。世界はより安全になった」と謝意を表明しました。議場からは拍手が上がりました。

 今回の改正では、医薬品へのアクセスに公平性を確保することや、規則を効果的に運用するための締約国による委員会設置なども盛り込まれました。新たな規則は各国の手続きを経て、実際に適用されます。

 一方、感染症対策の強化を目指し、2年以上にわたって協議が続けられてきた「パンデミック条約」については、総会後も議論を継続し、1年以内の交渉終結を目指すことを決めました。5月下旬に開幕した総会中も議論を続けたものの、ワクチンの公平な配分や監視体制の強化などで先進国と途上国の間の溝が埋まりませんでした。

 テドロス事務局長は、「規則改正での成功は、条約策定も成し遂げられるという自信につながる」と期待を示しました。

 2024年6月3日(月)

2024/06/02

🟧細胞を投与する再生医療後に一時的な視力障害 製造したロート製薬が注意喚起

 細胞を投与する自由診療の再生医療で一時的な視力障害が報告されたとして、細胞を製造したロート製薬(大阪市生野区)が、関係する医療機関に、同様の症状が観察された場合は適切な処置をし、同社に連絡するよう求める注意喚起の文書を配布したことが1日、明らかになりました。細胞の保存のために使われた有機溶剤が、原因となった可能性が高いといいます。

 問題を調査した「特定認定再生医療等委員会」の議事録などによると、東京都のクリニックで、更年期障害や卵巣の機能低下に伴う症状の改善を目的に、自由診療で同社製造の「脂肪由来の間葉系幹細胞」が点滴で投与されました。

 昨年11月、患者に視力障害が出たとクリニックが認定委員会に報告。今年3~4月にも、このクリニックで似た症状が2件相次ぎましたが、いずれも回復したといいます。

 認定委員会では、細胞に含まれていた有機溶剤「ジメチルスルホキシド(DMSO)」が血管の収縮を引き起こした可能性があるといった意見が出ました。

 ロート製薬によると、DMSOは細胞の品質を維持するための保存液として使用されています。

 2024年6月2日(日)

2024/06/01

🟧新型コロナ感染者数は計1万6554人で横ばい 最多の沖縄県は一部で医療逼迫

 厚生労働省は5月31日、全国約5000の定点医療機関から20~26日に新たに報告された新型コロナウイルスの感染者数は計1万6554人で、1機関当たり3・35人だったと発表しました。3週連続で増加しましたが、前週(3・28人)比はほぼ横ばいの1・02倍。昨年の同時期は1機関当たり3・63人でした。

 最多の沖縄県は1機関当たり14・09人で、一部の医療機関の負担が増して逼迫しており、このまま感染が広がり続けると対応が困難になる恐れがあります。

 都道府県別で1機関当たりの感染者数が多かったのは、沖縄県に次いで鹿児島県5・34人、北海道4・84人など。少なかったのは福井県1・33人、愛媛県1・69人、香川県1・77人などでした。

 全国約500の定点医療機関が報告した新規入院患者数は計1489人で、前週比1・13倍でした。

 2024年6月1日(土)

🟧8月熱中症搬送は3万2806人、昨年8月より2029人減少 死者は23都府県で43人

 総務省消防庁は18日、熱中症により8月に救急搬送された人は、全国で3万2806人だったと発表しました。猛暑が続く一方、台風10号の影響で悪天候の日も多く、昨年8月より2029人減少しました。23都府県で計43人の死亡が確認されました。  今後も数日間は残暑が続く見通しで、消防...