2024/10/27

🟪マイコプラズマ肺炎の患者数急増、5つの学会が感染対策など提言

 マイコプラズマ肺炎の患者数が急増する中、日本呼吸器学会など5つの学会は感染対策などをまとめた提言を公表し、注意を呼び掛けています。

 マイコプラズマ肺炎は、子供に多い細菌性の感染症で、発熱や長引くせきが特徴です。

 今年は夏ごろから患者数が急増し、国立感染症研究所のまとめによりますと、全国約500カ所の医療機関から報告された患者の数は、11月13日の時点で、現在の方法で統計を取り始めてからの最多を3週連続で更新しています。

 流行が続く中、日本呼吸器学会(感染症・結核学術部会)と日本感染症学会、日本化学療法学会、日本環境感染学会、日本マイコプラズマ学会の5学会は、感染対策を呼び掛ける提言を公開しました。

 提言によりますと、マイコプラズマ肺炎は、学校で流行を起こしやすいほか、家庭内で子供から大人に感染することも多いとした上で、せきや、くしゃみによる飛まつで感染が広がることから、マスクの着用や換気といった対策が有効だとしています。

 そして、せきなどの症状があり、周囲に同じような症状の人がいる場合は、感染している可能性があるため、医療機関を受診するよう勧めています。

 また、マイコプラズマ肺炎の治療に一般的に使われる抗菌薬に、耐性のあるタイプの菌が確認されているため、抗菌薬の投与を受けても、数日以内に症状が改善しない場合は、再度医療機関に相談してほしいとしています。

 日本呼吸器学会の理事で、長崎大学病院の迎寛教授は、「多くの場合は軽症なので、過剰に心配する必要はないが、潜伏期間が長いため気が付かないまま感染を広げてしまうことがある。マスクの着用や手洗いといった基本的な感染対策を徹底してほしい」と話しています。

 2024年10月27日(日)

2024/10/26

🟪救急搬送の軽症患者に7700円請求の松坂市基幹3病院、徴収された割合は7・4% 救急車の出動は減少傾向に

 救急車で救急搬送された軽症患者から選定療養費(7700円)を徴収する取り組みを進めている三重県松阪市の救急医療の基幹3病院の検証結果がまとまり、25日に市議会に報告されました。取り組みが始まった6月から8月末までの3カ月間で、3病院に搬送された患者(3749人、死者を含む)のうち、選定療養費を徴収された患者は7・4%(278人)でした。

 搬送された患者のうち、入院せずに帰宅した患者(2056人)に限ると、徴収された人の割合は13・5%で、「有料化」の対象となったのは10人に1人程度でした。

 松阪中央総合病院、済生会松阪総合病院、松阪市民病院の3病院と市が、検証結果を数値化しました。今後も検証を続け、救急医療の充実を図るといいます。

 療養費が徴収された278人の傷病別内訳は、 疼痛(とうつう )(痛み)が24人、打撲傷が21人、熱中症・脱水症が21人、新型コロナウイルスが16人などでした。年代別では、65歳以上の高齢者が114人で徴収者の4割を占め、乳幼児も51人で2割近くいました。

 選定療養費を徴収するかどうかを決めた理由は、診療に当たった「医師による緊急性の判断」が57%を占めました。3病院の関係者の一人は、「ぜんそくの発作が起きた場合、病院で処置すれば入院は必要ないが、救急搬送をためらえば死に至るケースもある」と指摘し、徴収基準を設けることは難しいと語りました。

 取り組み開始以降、救急車の出動ペースは減少傾向にあります。

 松阪地区広域消防組合(松阪市と多気、明和町)の6〜8月の救急出動件数は、3カ月間で前年同期比21・9%減となりました。1日に50件以上出動した日数は、78・7%減少しています。市は、「傷病者の必要に応じて救急隊が直行できる頻度が増えた」と効果を認めています。

 松阪市民病院の石川圭一事務部長は、「当初から選定療養費の徴収に数字の想定はない。市民に(かかりつけ医など)1次救急をうまく使ってもらい、松阪の救急医療体制に理解を深めてもらうことが、選定療養費を導入した趣旨だ」と話しています。

 2024年10月26日(土)

2024/10/25

🟪新型コロナウイルス年間死者3万2576人、インフルエンザの15倍 5類移行後、冬の感染増加を懸念

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類となった2023年5月〜2024年4月の1年間で、死者数が計3万2576人に上ったことが24日、厚生労働省の人口動態統計でわかりました。季節性インフルエンザの約15倍と格段に多く、大部分を高齢者が占めます。政府は重症化リスクの低下を理由に新型コロナの類型を引き下げ、日常生活の制約はほぼなくなりましたが、今も多くの人が脅威にさらされています。

 例年冬にかけて感染者が増える傾向にあります。東北大の押谷仁教授(感染症疫学)は、「高齢化社会の日本で被害を減らすために何ができるのかを一人一人が考えないといけない」と訴えています。

 人口動態統計のうち、確定数(2023年5〜12月)と、確定前の概数(2024年1〜4月)に計上された新型コロナの死者数を集計。その結果、3万2576人となり、65歳以上が約97%でした。同時期のインフルエンザの死者数は2244人。新型コロナは、ウイルスが次々と変異して高い感染力を持つ上、病原性はあまり低下せず、基礎疾患のある高齢者が感染して亡くなっているとみられます。

 2024年10月25日(金)

2024/10/24

🟪埼玉県で20歳代女性がはしかに感染 今月に入って5例目

 埼玉県は23日、20歳代の女性がはしか(麻疹)に感染したと発表しました。感染経路がわかっていない上、今月に入って5例目の感染確認となり、県は注意を呼び掛けています。

 県感染症対策課によると、女性は13日に発熱、せき、発疹などの症状があり、後日に医療機関を受診。検査の結果、はしかに感染していることがわかりました。現在は退院し、自宅療養で快方に向かっているといいます。

 女性は、はしかの予防接種歴がなく、海外渡航歴、感染源は不明。13、14日にさいたま市内と三郷市内の商業施設を利用していました。

 県は女性と接触があった人たちの健康観察を続けていますが、これまでのところ、発症した人はいないとしています。

 はしかは感染力が極めて強い感染症で、空気感染、飛沫(ひまつ)感染、接触感染します。潜伏期間を経て、風邪のような症状が現れた後、39度以上の高熱や赤い発疹が体中に出るといいます。

 同課は、症状からはしかが疑われる場合は事前に医療機関に連絡し、マスクを着けて速やかに受診するよう、注意を呼び掛けました。

 2024年10月24日(木)

2024/10/23

🟪マダニ感染症で80歳代男性死亡 兵庫県内2例目、龍野健康福祉事務所管内

 兵庫県西部に住む80歳代の男性がマダニが媒介するウイルスに感染して22日に死亡したことがわかり、兵庫県は草むらなどでマダニにかまれないよう注意を呼び掛けています。

 県によりますと、10月17日、龍野健康福祉事務所管内(たつの市、宍粟市、太子町、佐用町)に住む80歳代の男性が発熱などの症状を訴えて医療機関で診察を受け、その後入院していましたが、22日、死亡しました。 検査の結果、男性は、マダニが媒介するウイルスによる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に感染していたことがわかったということです。

 男性にマダニにかまれた痕はなく直接の死因がこの感染症だったかどうかは調査中だということですが、潜伏期間は6日から2週間だということで、県は、かまれた痕が治った後に症状が出た可能性もあるとみています。

 SFTSは、マダニが媒介し発熱や頭痛、下痢などの症状を起こす感染症で、致死率は10%から30%で、夏から秋にかけて発生数が増加するということです。

 県疾病対策課は草むらややぶなどマダニが多く生息する場所に入る時には、長袖、長ズボンを着用し、足を完全に覆う靴をはいて肌の露出を少なくするなどの対策をとるよう呼び掛けています。

 2024年10月23日(水)

2024/10/22

🟪パーキンソン病患者の大腸に腸内細菌移植、国内初の臨床研究 順天堂大グループ

 順天堂大学は21日、2024年中にもパーキンソン病の患者に健康な人の便から取った腸内細菌を移植すると発表しました。腸内細菌の乱れとパーキンソン病の発症リスクが関連するとの研究があり、今回の臨床研究で移植の治療効果や安全性を確かめます。

 パーキンソン病は手足の震えなどの運動障害が起きる難病で、進行すると認知症になることもあります。病気の仕組みに作用して進行を抑える薬はまだありません。

 順天堂大の服部信孝主任教授は21日の記者会見で、「腸内細菌移植でパーキンソン病の進行を緩やかにできれば、認知症の発症を抑えられるかもしれない」と期待を語りました。

 スタートアップのメタジェンセラピューティクス(山形県鶴岡市)と共同で、40~75歳でパーキンソン病進行期の患者約30人を対象に臨床研究を実施します。抗菌薬で患者の腸内細菌をいったん除き、半数には健康な人の腸内細菌を含む溶液を内視鏡で投与します。残り半数には細菌を含まない溶液を投与します。

 投与から約2カ月後、パーキンソン病の症状を示すスコアの改善の度合いなどを調べ、腸内細菌を投与しなかった患者と比べて治療の効果を検証します。

 近年の研究により、パーキンソン病患者は腸内細菌のバランスが大きく変化しているとわかってきました。腸内細菌の乱れが一因となる腸炎により、パーキンソン病の発症リスクが高まることも判明しました。

 人の腸内には1000種類以上、約40兆個の腸内細菌がすんでおり、代謝物などを通して人体と密接に関係しています。腸内細菌を移植する治療法の研究はパーキンソン病以外でも進んでいます。

 2023年には順天堂大などが潰瘍性大腸炎患者を対象に先進医療を始めました。2024年8月には国立がん研究センターと順天堂大、メタジェンセラピューティクスが、がん患者に腸内細菌を移植してがん免疫薬の効果向上を狙う臨床試験を始めると発表しました。アメリカでは2022年、病原性の腸内細菌による大腸炎の治療法として承認されました。

 2024年10月21日(月)

2024/10/21

🟪臓器移植で緊急性の高い患者を優先するルール、対象を肝臓のみから「心臓・肺」に拡大へ

 脳死者から提供された臓器の移植を受ける患者を選ぶ基準について、厚生労働省は、命の危険が迫り、緊急性が高い患者を優先するルールを拡大する検討に入りました。肝臓だけでなく、心臓や肺に広げます。移植が間に合わずに亡くなる患者を減らす狙いがあります。月内にも開く厚生科学審議会の臓器移植委員会で議論を始めます。

 脳死者から提供された臓器については、日本臓器移植ネットワーク(JOT)が厚労省の基準を踏まえて、移植を待つ患者の優先順位を決めます。上位から、患者が登録した移植施設に臓器の受け入れを要請します。基準は、学会や研究会の提案を反映しており、臓器で異なります。

 見直しは心臓移植から始めます。現在は待機期間が長い患者が移植を受けやすい基準になっています。臓器移植委員会では、余命が短いと判断された患者については待機期間にかかわらず最優先に臓器をあっせんできないかや、対象となる患者の具体的な条件を議論します。肺移植でも検討したい考えです。すでに肝臓では、余命が1カ月以内の患者に適用しています。

 このほか、心臓や肝臓などで臓器を摘出する施設と近距離の移植施設に登録する患者の優先度を高める案も検討します。両施設が離れているため、臓器の搬送を担う人員や手段が確保できず臓器の受け入れを断念する場合があります。搬送時間の短いケースを優先させることで、断念を防ぐことが期待できるとしています。

 JOTによると、9月末現在、国内の待機患者は1万6452人。2023年は592人が移植を受けた一方、463人が待機中に亡くなりました。

 移植を受ける患者の選定基準の見直しは、より多くの命を救うためです。

 具体的な検討に入る心臓は、移植を受ける患者の待機期間が長期化し、平均5年を超えています。現行基準では、待機中に病状が悪化しても優先されず、命を落とす患者が後を絶ちません。

 厚生労働省が9月に公表した移植の実態調査では、一つの臓器あっせんで多くの患者が移植を見送られていた現状が判明しました。効率的なあっせんが行われていないとして、移植医療体制の改革案に盛り込まれました。

 今後、臓器摘出の施設と移植施設の近さを優先する案も議論される見通しです。

 移植を受ける患者数は増加傾向にあるものの、待機患者数を大きく下回ります。一日でも早く移植を受けたいと願う待機患者が納得できる基準にするには、見直しにより、移植の優先順位が下がる患者への影響も含め、慎重な議論が求められます。

 2024年10月21日(月)

🟪小中学生の体力調査、中学生男子はコロナ感染拡大前を上回る

 全国の小学5年生と中学2年生を対象に、50メートル走など8つの項目で体力や運動能力を調べる今年度の国の調査で、中学生の男子の合計点は新型コロナウイルスの感染拡大前を上回りました。一方で、小学生の男女は低下傾向にあり、スポーツ庁は運動の機会を増やす取り組みに力を入れていく方針で...