2025/06/07

🟩血液のがん「成人T細胞白血病」に新治療法、高齢患者に効果高く 鹿児島大など

 鹿児島大医学部などのグループが6日、九州に多い血液のがん「成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)」の高齢者向け標準治療を確立したと発表しました。臨床試験で症状が悪化せずに1年後も生存している(1年無増悪生存)割合が3割を超え、既存の治療法を大きく上回りました。

 ATLは、「ヒトT細胞白血病ウイルス1型」(HTLV―1)感染者の3〜5%が発症するとされます。70歳以下の患者には造血幹細胞移植が有効ですが、体の負担が大きいため高齢者には向かないとされます。このため鹿児島大と名古屋市立大、九州がんセンターが共同で高齢者向け治療法の確立を目指していました。

 有効性が確認されたのは、「モガムリズマブ併用CHOP療法」と呼ぶ療法で、抗がん剤などを使う療法と、モガムリズマブという薬の投与を併せて行います。

 67~86歳の患者48人を対象にした試験で、1年無増悪生存割合は36・2%。生存期間の中央値は1・6年でした。

 研究代表者で鹿児島大学病院長の石塚賢治教授は、「ATLは鹿児島に多い病気であり、地域の問題解決のためにも取り組んだ」と話しました。

 研究の成果は、アメリカの血液学雑誌「Blood」から5月15日付でプレリリースされました。

 2025年6月7日(土)

2025/06/06

🟩新型コロナ新規感染者は定点当たり0・84人、4週連続で1人を下回る

 厚生労働省は6日、全国約3000の定点医療機関から5月26日〜6月1日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が3227人だったと発表しました。1医療機関当たりは0・84人で、前週と変わらず横ばい。1人を下回るのは4週連続。

 1医療機関当たりの感染者数が多かったのは、沖縄県2・76人、京都府1・62人、鹿児島県と佐賀県1・25人。少なかったのは青森県0・33人、大分県0・40人、福井県0・41人などだった。

 2025年6月6日(金)

2025/06/05

🟩布マスクを巡る文書不開示決定、一部取り消し 大阪地裁、賠償も命じる

 5年前、当時の安倍晋三政権が新型コロナ対策として配布した布マスク「アベノマスク」について、神戸市の大学教授が、納入業者とのやりとりを記録した文書を国が開示しないのは違法だなどと訴えた裁判で、大阪地方裁判所は、不開示とした国の決定の一部を取り消す判決を言い渡しました。

 5年前、当時の安倍政権が新型コロナ対策として440億円余りをかけて、約3億1800万枚を調達し、全国すべての世帯などに配布した布マスクについて、神戸学院大学の上脇博之教授は、契約や発注などを巡る納入業者とのやりとりの内容が記録された文書を、厚生労働省などに情報公開請求しました。

 しかし、契約書や見積書など一部の資料を除き、「作成した事実はなく、保有していない」などとして開示されなかったということで、上脇教授は「文書を作成していないことなどあり得ず、開示しないのは違法だ」として国に対し、決定の取り消しと110万円の賠償を求めました。

 5日の判決で、大阪地方裁判所の徳地淳裁判長は不開示とした国の決定の一部を取り消すとともに、国に11万円の賠償を命じました。

 布マスクを巡って、上脇教授は今回の裁判とは別に、1枚当たりの発注金額などを国に開示するよう求める訴えも起こしていて、2023年に、国に開示を命じた判決が確定しています。

 2025年6月5日(木)


2025/06/04

🟩昨年の出生数68万6061人、初めて70万人下回る 厚労省調査

 昨年1年間に生まれた日本人の子供の数は68万6000人余りと、前年より4万1000人余り減少し、統計を取り始めて以降、初めて70万人を下回ったことが、厚生労働省の調査でわかりました。また、1人の女性が産む子供の数の指標となる合計特殊出生率は昨年1・15となり、これまでで最も低くなっています。

 厚労省によりますと、昨年1年間に国内で生まれた日本人の子供の数は68万6061人となり、前年より4万1227人減少しました。

 出生数が減少するのは9年連続で、1899年に統計を取り始めて以降、初めて70万人を下回りました。出生数はすべての都道府県で減少しています。

 国立社会保障・人口問題研究所が2023年に公表した将来予測では、日本人の出生数が68万人台になるのは2039年と推計していて、想定より15年ほど早く少子化が進行しています。

 日本人の出生数は、最も多かった第1次ベビーブーム期の1949年には269万人余りいましたが、その時と比べると4分の1近くまで減少しています。

 また、1人の女性が一生のうちに産む子供の数の指標となる合計特殊出生率は昨年1・15となり、前年から0・05ポイント低下し、統計を取り始めた1947年以降で最も低くなりました。

 最も低かったのは東京都の0・96で、宮城県が1・00、北海道が1・01などとなっています。最も高かったのは沖縄県で1・54、次いで福井県が1・46、鳥取県と島根県、宮崎県が1・43などとなっています。

 一方、昨年1年間に死亡した人は160万5298人と、前年より2万9282人増えて過去最多となりました。

 この結果、亡くなった人の数が生まれた子供の数を上回る「自然減」は91万9237人(前年比+7万509人)と過去最大となりました。

 このほか、結婚の件数は昨年48万5063組と前の年より1万322組増加したものの、10年間で15万組余り減少しています。

 日本人の出生数が初めて70万人を下回ったことについて、厚労省は「若い世代の減少や、晩婚化・晩産化が要因にあると考えている。急激な少子化に歯止めが掛からない危機的な状況にあり、今後も少子化対策に取り組んでいきたい」としています。

 2025年6月4日(水)


2025/06/03

🟩赤穂市民病院の医療過誤訴訟、市と執刀医への8900万円賠償命令が確定 

 赤穂市民病院(兵庫県赤穂市中広)で受けた手術中のミスで両足に重度のまひが残ったとして、患者の女性(80)と家族が当時の執刀医と赤穂市に損害賠償を求めた訴訟で、被告側に計約8900万円の支払いを命じた神戸地裁姫路支部判決が確定しました。確定は5月31日付で、原告、被告側のいずれも期限までに控訴しませんでした。元執刀医と市が双方の支払い額について協議することになります。

 5月14日に言い渡された判決では、当該手術について「被告医師の注意義務違反は著しい」と指摘。入職後9カ月間で関与した手術11件が院内事故調査委員会の検証対象とされた経緯を巡っても、「直ちに被告医師に本件手術の執刀をしてはならなかったほどの技量不足があったと認めることはできないが、被告医師の技量が稚拙であったことをうかがわせる事情とはいえ、注意義務違反の程度が著しいものであったことを裏付ける事情というべきだ」としました。

 術後に被告医師が神経を損傷したことを明確に説明しなかったことや、病院側が過誤を認め謝罪するまでに時間を要した一連の経緯も「慰謝料を検討する上で相応に考慮すべき」と認めました。

 術前に、透析となる可能性があるとして「早く手術したほうがいい」などと説明したことについては、虚偽とは認定しませんでした。

 被告医師はウェブ漫画によって社会的制裁を受けたとして慰謝料の減額を求めていたものの、認められませんでした。

 判決後、元執刀医側と赤穂市側はともに「判決を真摯に受け止める」としていました。原告代理人も判決の内容を肯定的に評価していました。

 2025年6月3日(火)

2025/06/02

🟩精神疾患男性の不妊手術、国の統計に未計上 岩手医大病院、届け出怠った疑い

 岩手医大病院で2003年11月に実施された精神疾患がある男性の不妊手術が、全国の実施件数などをまとめた国の統計に計上されていないことが1日、わかりました。病院側が、母体保護法で義務付けられた行政への届け出を怠っていた疑いがあります。

 男性を巡っては、同法の要件で精神疾患を理由とする不妊手術が認められていないにもかかわらず、病院側が事前に要件を十分確認していなかった疑いが判明しています。

 岩手医大病院は「記録が残っていないため回答できない」、岩手県は「当時、県への届け出がなかったためと認識している」としました。母体保護法を所管する、こども家庭庁は「手術が行われた場合は、法に基づく届け出が適切に行われるべきだ」としています。

 母体保護法は、不妊手術を実施した場合は翌月10日までに都道府県知事に届け出るよう医師に義務付けています。件数は国の統計「衛生行政報告例」に計上されます。

 それによると、2003年度は全国で男女計2873件実施され、岩手県分は女性が71件、男性が0件となっていました。

 2025年6月2日(月)

2025/06/01

🟩温暖化が妊婦の健康に影響 日本はリスク高まる「暑い日」が15日増、アメリカ機関分析

 アメリカの気候研究機関クライメート・セントラルは、地球温暖化の影響で、早産など妊娠にかかわる健康リスクが高まる暑い日が世界的に増えており、日本では年平均で15日増加したとする分析結果をまとめました。都道府県別では、最多は沖縄県の36日増で、続く東京都が28日増、鹿児島県が22日増でした。「暑い日が1日でもあれば、リスクは上がる」と注意を呼び掛けています。

 妊娠中の女性が暑さにさらされると、高血圧や妊娠糖尿病、早産などの影響が出るとされます。研究チームは日本を含む247の国と地域でリスクが高まる気温を割り出し、2020〜2024年の5年間でそれを上回った日数を推計しました。その上で、温暖化が起きなかったと仮定した場合と比較し、増えた日数を数えました。

 約9割の国と地域で、健康に影響が出る恐れがある暑い日が倍増していました。日本全体の年平均は15日増の33日でした。リスクが高まるとされる気温は沖縄が29・1度で、年平均で36日増えて42日に。東京都は28・6度で、28日増の43日、鹿児島県は29・5度で、22日増の33日でした。

 2025年6月1日(日)


🟩熱中症疑いで救急搬送、東京都28人埼玉県28人群馬県14人など

 東京消防庁によりますと、23日、東京都内では、午後3時までに32歳から98歳までの合わせて28人が、熱中症の疑いで救急搬送されました。  このうち1人が重症、15人が中等症、12 人が軽症だということです。  東京消防庁は、のどが渇く前にこまめに水分を補給することや、室内で適...