6年前の2019年、難病の筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)を患う京都市の女性を本人からの依頼で殺害した罪などに問われ、無罪を主張した医師について、最高裁判所は12日までに上告を退ける決定をし、懲役18年の判決が確定することになりました。
医師の大久保愉一(よしかず)被告(47)は元医師の山本直樹被告(47)(上告中)とともに6年前、全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病のALSを患っていた京都市の当時51歳の女性から依頼を受け、薬物を投与して殺害した嘱託殺人や、14年前の2011年、精神疾患のある山本被告の父親を殺害した罪などに問われました。
医師側は裁判で「女性が尊厳ある死を選択し、医師が応じたものだ。医師を処罰するのは個人の尊厳などを保障する憲法に違反する」などとして、無罪を主張していました。
2審の大阪高等裁判所は「尊厳ある人生の終わりを決める権利は尊重されるべきだが、嘱託殺人が直ちに許されるわけではない。医師は、女性の気持ちが変わらないか慎重に見極めることが必要だったのに、わずか15分程度の面会で犯行に及び、130万円の謝礼も受け取っている。女性を思っての犯行とは考えがたい」などとして、医師側の主張を退け、1審に続いて懲役18年を言い渡しました。
医師側が上告していましたが、最高裁判所第2小法廷の高須順一 裁判長は12日までに退ける決定をし、懲役18年の判決が確定することになりました。
亡くなった女性の父親(84)は、「判決が確定することになっても娘は帰ってきません。医師には薬物を投与して殺害する前、娘が思いとどまるような言葉をかけてほしかった。同じような事件が2度と起こらないことを願っています」と話していました。
2025年6月14日(土)