2025/09/16

🟥マダニ媒介感染症「SFTS」、患者150人超に どの地域でも患者が出る可能性

 マダニが媒介する感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の患者の報告が続いていて、今年の全国の患者数は速報値で152人となった。昨年まで報告がなかった地域にも広がっていて、専門家は「どの地域でも患者が出る可能性があり、医療機関は警戒を高めてほしい」と呼び掛けている。

 SFTSは、主に原因となるウイルスを持つマダニに刺されることで感染する病気で、重症化すると血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、意識障害が起きたりして死亡することもあり、厚生労働省によると死亡する患者の割合は10%から30%に上るとされている。

 国立健康危機管理研究機構によると、9月7日までに全国から報告された患者数は速報値で152人となり、これまで最も多かった2023年の1年間の累計の134人を上回って増え続けている。

 患者が報告されているのは32道府県で、いずれも累計で、▽高知県で14人、▽大分県で13人、▽長崎県、熊本県で9人、▽兵庫県、島根県、鹿児島県で8人など、西日本を中心に多くなっているが、昨年まで報告がなかった北海道や関東地方にも広がっている。 

 長崎大学病院総合感染症科の泉川公一教授はマダニに刺されないよう野外で肌の露出を減らすなどの対策が重要だとした上で、「医療機関はどの地域でもSFTSの患者を診察する可能性を踏まえて警戒を高めてほしい。国内でも医療現場での人から人への感染が報告されているので、手袋やゴーグル、ガウンといった標準的な予防策を実践することが必要だ」と話している。

 2025年9月16日(火)

🟥違法美容医療、厚労省が指導強化へ 相談増で保健所立ち入り事例示す

 美容医療を巡り健康被害や相談が増えていることを受け、厚生労働省が違法の可能性がある医療行為を事例として挙げ、適切に指導するよう求める通知を各都道府県などに出したことが14日、わかった。無資格者による医療方針の決定や、メールやチャットでの不十分な説明などを挙げた。美容医療は違法性の線引きや立ち入り検査の可否判断が難しいとの指摘があり、法的根拠を明示して保健所が動きやすくなることで医療機関への指導体制の強化につなげる狙いがある。

 美容医療はエステサロンなどと比べて大きな効果が期待できるが、医療行為に当たるため、医師や看護師などの資格が必要。美容医療を巡る相談件数は年々増加し、2023年度の国民生活センターなどへの相談件数は5000件超。厚労省の検討会では「医師の診察前に治療内容が決まり契約した」「医師ではない無資格者の施術だった」との相談が報告された。

 美容医療の多くは自由診療で行われ、行政による指導・監査などがある保険診療に比べ実態が見えづらいとの指摘がある。

 2025年9月16日(火)

2025/09/15

🟥コンゴでエボラ出血熱のワクチン接種開始、WHOが発表 資金不足や交通事情で対応遅れも

 世界保健機関(WHO)は14日、コンゴ民主共和国(旧ザイール)中部カサイ州で感染が判明したエボラ出血熱の拡大を防ぐため、現地でワクチン接種が始まったと発表した。ただ届いたのは400回分にとどまり、AP通信は資金不足などで「接種が妨げられている」と指摘。対応が遅れると封じ込めが困難になるとの見方も出ている。

 カサイ州で8月下旬に最初の感染が確認され、少なくとも16人が死亡している。コンゴ国内のワクチン備蓄は2000回分で、WHOなどは追加の約4万5000回分の輸送を急ぐが、コンゴでは交通インフラが脆弱(ぜいじゃく)なため配布に時間がかかる可能性がある。

 ロイター通信によると、支援団体関係者は、アメリカのドナルド・トランプ政権による国際開発局(USAID)廃止の影響で、「効果的な対策が取れない恐れがある」と指摘した。WHOの担当者は「封じ込めは可能だが、好機を逃せば難しくなる」と警告し、支援を訴えた。

 コンゴでは過去にもエボラ熱発生が相次いでおり、2018~2020年に東部で流行した際には2200人以上が死亡した。

 2025年9月15日(月)

2025/09/14

🟥石炭の燃焼や野焼きで出る「すす」、心筋梗塞リスク高める可能性 患者4・4万人とPM2・5濃度のデータを分析

 大気汚染を引き起こす微小粒子状物質(PM2・5)の成分のうち、石炭の燃焼や野焼きなどで発生する「ブラックカーボン」(すす)が急性心筋梗塞(こうそく)のリスクを高める可能性があるとの研究結果を、熊本大や国立環境研究所などの研究チームが発表した。健康に被害を及ぼす成分を特定することで、より効果的な対策につながるとしている。論文が国際学術誌に掲載された。

 チームの小島淳(すなお)・熊本大客員教授(循環器内科)らは、2017年4月~2019年12月に東京、大阪、福岡など7都道府県で救急搬送され、急性心筋梗塞で入院した患者約4万4000人のデータと、各地のPM2・5濃度の観測データを分析した。その結果、入院した当日と前日のPM2・5濃度が上昇すると、患者が増加する傾向があることが判明した。

 PM2・5の成分ごとに調べると、急性心筋梗塞のリスクを高めていたのはブラックカーボンだけだった。濃度が1立方メートル当たり0・3マイクロ・グラム(マイクロは100万分の1)上昇すると、患者数が2・8%増えていた。吸引したブラックカーボンが、肺で炎症を起こすことなどが影響している可能性があるという。

 一方、「硝酸イオン」や「硫酸イオン」などその他の成分には、急性心筋梗塞との明確な関係はみられなかった。

  上田佳代・北海道大教授(環境保健)は、 「PM2・5はさまざまな物質の混合物であり、詳しい成分に着目して疾病との関係を分析することは重要だ。どの排出源への対策が優先されるかの判断に役立つ」と話している。

 2025年9月14日(日)

2025/09/13

🟥臓器提供の意思表示、「していない」が76% 政府の世論調査

 移植医療に関する政府の世論調査で、臓器を提供するかどうかの意思表示をしていないと回答した人は全体の76%だった。厚生労働省の担当者は「提供する、しないのどちらも意思表示をすることができるので、啓発に力を入れたい」としている。

 内閣府は今年7月か8月にかけて全国の18歳以上の3000人を対象に移植医療に関する世論調査を郵送で行い、1391人から回答を得た。

 それによると、臓器移植に「関心がある」と答えたのは全体の62%で、「関心がない」の35%を大きく上回った。

 臓器を提供するかどうかの意思表示の方法として知っているものを複数回答で尋ねたところ、運転免許証が67%、健康保険証が50%、マイナンバーカードが39%、意思表示カードが31%などとなった。

 さらに意思表示についての考えを尋ねたところ、「意思表示をしている」が全体の21%だった一方、「意思表示をしていない」が76%だった。

 意思表示をしていない理由を複数回答で聞いたところ、「抵抗感があるから」と「不安感があるから」がともに28%で最も多くなった。

 厚生労働省の担当者は「臓器提供をする、しないのどちらも意思表示をすることができるので、さらに啓発に力を入れていきたい」としている。

 2025年9月13日(土)

2025/09/12

🟥新型コロナウイルス感染者が2週連続で減少 1医療機関当たり8・12人、最多は宮崎県の17・29人

 厚生労働省は12日、全国約3000の定点医療機関から1〜7日の1週間に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数が3万1329人だったと発表した。1医療機関当たりの感染者数は8・12人。前週比0・97倍で、2週連続の減少となった。

 都道府県別で1医療機関当たりの感染者数が最も多かったのは宮崎県の17・29人で、長崎県13・90人、大分県13・88人と続いた。少なかったのは東京都3・98人、北海道4・81人、沖縄県5・49人などだ。

 2025年9月12日(金)

2025/09/11

🟥高血圧の診療ガイドラインに似た本、ネット通販で販売 誤った記載も確認

 高血圧や骨粗しょう症などの専門の学会が作成している診療ガイドラインと紛らわしい、タイトルなどがよく似た本がインターネットの通販サイトで販売されているのが確認された

。生成AIで作られたとみられ、誤った記載も確認されたということで、学会が注意を呼び掛けている。

 日本高血圧学会によると、8月に発行された高血圧の診療ガイドラインにタイトルや表紙のデザインがよく似た本がインターネットの通販サイトで複数、販売されているのを確認したということである。

 このうち「高血圧管理・治療ガイドライン2025」という実物と同じタイトルの本を学会が購入して調べたところ、全体で70ページ余りと4分の1ほどしかない上に、著者の詳しい情報が書かれておらず、内容も治療の目標とする血圧の値が古い数値になっているなど誤った記載が確認されたということである。

 学会が出版社を通じて連絡しこれらの本はサイトから削除されたが、同様のケースは骨粗しょう症などの診療ガイドラインでも確認されていて、関係する学会は間違えて購入しないよう呼び掛けている。

 こうした本について生成AIに詳しい国立情報学研究所の越前功教授に分析を依頼したところ、1つの文が短く箇条書きが多いことや、図表がないといった特徴から生成AIで作られたとみられるということです。

 日本高血圧学会の市原淳弘理事は、「一般の人が間違えて購入すると病気が悪化することにもつながりかねないので、類似品でないかどうか注意してほしい」と話していた。

 2025年9月11日(木)

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...