2023/10/31

🟩福島第一原発の廃液かかるトラブル、飛散した量は公表の数十倍

 福島第一原発にある汚染水の処理設備を洗浄していた作業員に放射性物質を含む廃液がかかったトラブルで、東京電力は当初、飛散した廃液の量を約100ミリリットルと公表していましたが、実際にはその数十倍に上るとみられることが、作業員への聞き取りなどから新たにわかりました。

 10月25日、福島第一原発にある汚染水の処理設備で行われていた配管の洗浄作業中に、放射性物質を含む廃液をタンクに流すホースが外れて、作業員5人が防護服の上から廃液を浴びました。

 このうち20歳代と40歳代の男性作業員2人は当時監視役で防護服の上に雨がっぱを着用しておらず、汚染が確認され、福島県立医大病院入院して除染を続けていました。

 その結果、28日に放射能量が一定のレベルを下回ったことから、2人は退院しています。

 東京電力はトラブルが起きた当初、現場の床に残っていた廃液の量をもとにホースから飛散したのは約100ミリリットルとしていましたが、30日の会見で、その数十倍の数リットルに上るとみられることが新たにわかったと発表しました。

 廃液が噴き出る様子についての作業員たちの証言や、飛び散ったあとが残っていた床の面積などから推定し直したとしています。

 監視役だった2人には防水性のある雨カッパの着用が義務付けられていなかったことがわかっており、東京電力は、ルールの見直しを検討しています。

 2023年10月31日(火)

🟩プール熱の流行、秋になっても続く 患者数は過去10年の最多更新、7府県で警報レベル

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱の流行が、秋になっても続いています。10月16日から22日までの1週間の患者数は過去10年間で最も多くなり、専門家は「今後も流行が続く可能性があり、換気や手洗いを心掛けて予防してほしい」と呼び掛けています。

 咽頭結膜熱、いわゆるプール熱は、子供を中心にのどの炎症や高熱、結膜炎などの症状が出るアデノウイルスによる急性ウイルス性感染症で、せきやくしゃみなどの飛まつで主に感染するほか、ウイルスが付着したタオルや、プールでの接触などを介しても感染します。ドアの取っ手、エレベーターのボタンなど患者が触れたものを介してもうつり、保育園、幼稚園、小学校などでの小児の集団発生も少なくありません。

 国立感染症研究所によりますと、10月22日までの1週間に全国約3000の小児科の定点医療機関から報告された患者数は6795人で、前の週から1279人増えました。

 1医療機関当たりでは2・16人で、これまで最も多かった前々週を上回り、過去10年で最も多くなりました。

 都道府県別にみますと、沖縄県が6・9人、福岡県が6・33人、奈良県が5・47人、佐賀県が4人、大阪府が3・58人、京都府が3・18人、三重県が3・07人と、7つの府県で国の警報レベルの目安となる「3」人を超えています。41都道府県で前週を上回っています。 

 咽頭結膜熱は例年6月ごろの夏場が流行のピークですが、今年は秋になっても流行が続いています。

 子供の感染症に詳しい国立病院機構三重病院の谷口清州院長は、「まだ流行は続く可能性があり、換気や手洗いを心掛けて予防してほしい。熱が3日以上続いたり、水分や食事がとれなかったりすると、重症化する可能性もあるので速やかに医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2023年10月31日(火)

🟩風邪薬など一部医薬品の大量販売、20歳未満に禁止案 オーバードーズ対策

 麻薬に似た成分を含む市販薬について、厚生労働省は30日、若者の間で広がる過剰摂取(オーバードーズ、OD)の対策として、20歳未満には大容量の製品や2個以上の販売を禁止する案を明らかにしました。

  案は、厚労省の検討会で示されました。厚労省は今後、専門家の意見を踏まえて案を取りまとめ、制度改正を目指します。

  薬局やドラッグストアで販売される風邪薬などの一部には、麻薬や覚醒剤に似た成分がわずかに含まれます。大量の摂取により、幻覚やけいれんを引き起こしたり、気分を高揚させたり、依存症にさせたりする場合があります。

 このため、厚労省はこうした作用のある6つの成分、エフェドリン、コデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ジヒドロコデイン(鎮咳去痰薬に限る)、ブロムワレリル尿素、プソイドエフェドリン、メチルエフェドリン(鎮咳去痰薬のうち、内用液剤に限る)を「乱用の恐れのある医薬品」として指定。これらの成分が含まれる市販薬は1人1個の販売とすることなどを販売者に求めています。

 だが、1個でも中毒量や致死量に至るほどの大容量の薬が入った製品があるほか、ネット通販で簡単に購入できるなど、対策の実効性が問われていました。

 今回の案では、20歳未満に「乱用の恐れのある医薬品」を販売する場合、小容量の製品1個のみとし、2個以上や大容量の製品の販売は原則禁止としました。店頭では、客が手に取れない場所に陳列することにし、購入者の氏名や年齢を記録し、ネット通販では販売しないことも求めています。

 検討会の委員からは「ODをしてしまう若者の周囲の大人に、問題を周知する必要がある」「長期的には販売記録を一元管理できる仕組みが必要だ」などの意見が出されました。

  国立精神・神経医療研究センターの2021年度の調査によると、全国の高校生の1・6%に「過去1年間に市販薬の乱用経験がある」と推定されるといいます。背景には孤独や孤立、SNS(ネット交流サービス)の広がりがあると考えられています。

 2023年10月31日(火)

🟩O157感染の子供3人、ペッパーランチで食事 大分市の店舗、鹿児島県でも症状訴え

 ステーキチェーンの「ペッパーランチ」でハンバーグを食べた客が下痢や嘔吐などの体調不良を訴える被害が各地で相次ぐ中、30日までに大分市内で「O157」への感染が確認された子供3人がいずれもペッパーランチで食事をしていたことがわかり、保健所が関連を調べています。

 ペッパーランチを運営する「ホットパレット」は、今月14日から22日にかけて大分市と山口県、鹿児島県にある3つの店舗でハンバーグを食べた客合わせて5人が、下痢や嘔吐などの体調不良を訴えたと発表しました。

 会社は29日から、運営する全国の187店舗でハンバーグが入っているメニューの販売を休止しました。

 こうした中、大分市保健所によりますと、先週から30日までに腸管出血性大腸菌O157への感染が確認された児童と幼児合わせて3人が、いずれも大分市内のペッパーランチで食事をしていたということです。

 3人はいずれも入院していますが、快方に向かっているということです。3人はほかにも複数の飲食店を利用していて、感染経路は特定できておらず、保健所が関連を調査しています。

 また、鹿児島県によると、ペッパーランチの姶良(あいら)市内の店舗でも14日に食事をした1人が下痢や嘔吐の症状を訴えています。O157の感染については「調査中」だといいます。

 一方、ホットパレットでは店で食事をした後に体調不良を感じた場合には、相談窓口まで連絡するよう呼び掛けています。

 窓口の電話番号は03−5875−2566で、平日の午前9時から午後6時まで受け付けています。

 2023年10月31日(火)

2023/10/30

🟩介護離職、発生企業の5割超で支援制度を利用せず 介護休業・休暇制度の浸透に遅れ

 この1年間に家族などの介護が原因で仕事を辞める「介護離職」をした従業員がいた企業のうち半数以上で、介護休業や介護休暇の制度が利用されていなかったことが、民間の信用調査会社のまとめでわかりました。信用調査会社は「制度の周知を徹底するなど早急な取り組みが必要だ」と指摘しています。

 この調査は「東京商工リサーチ」が10月、全国の企業を対象に行ったもので、5125社から回答を得ました。

 それによりますと、今年8月までの1年間に家族などの介護が原因で仕事を辞める「介護離職」をした従業員がいた企業に、介護休業と介護休暇のいずれかの制度が利用されたかを尋ねたところ、回答のあった220社のうち「利用した従業員がいない」と答えた企業が54.・5%と、全体の半数以上に上りました。

 また仕事と介護の両立支援の取り組みが十分だと思うか尋ねたところ、全体の38%が「そう思わない」と答えました。

 さらになぜ十分ではないのか複数回答で尋ねたところ、多い順に、代替要員を確保しにくい、自分の会社に前例が少ない、介護休業制度が社員に浸透していないなどが挙げられました。

 調査を行った「東京商工リサーチ」は、「育児休業は知られるようになった一方で、介護休業や介護休暇の制度は認知度が低く利用せずに辞めている実態がある。今後、介護離職は増えると予想され、人手不足の中、企業にとっても痛手であることから、制度の周知を徹底するなど早急な取り組みが必要だ」と指摘しています。

 2023年10月30日(月)

🟩ブタの腎臓をサルに移植、最長2年以上生存 ハーバード大など「人への移植に近付いた」

 拒絶反応が起こりにくくなるよう遺伝子を改変したブタの腎臓をサルに移植したところ、最長2年以上生き延びたと、アメリカのハーバード大とアメリカのバイオ企業「イージェネシス」などの研究チームが発表しました。チームは「ブタの臓器を人に移植する臨床試験に近付く成果だ」としています。論文が、イギリスの科学誌「ネイチャー」(電子版)に掲載されました。

 人に移植する臓器は提供者(ドナー)が少なく、慢性的に不足しています。チームは、臓器の大きさや機能が人に近いブタの臓器で代用する方法を研究。腎不全患者など人への臨床試験の前段階として、サルに移植しました。

 ブタの腎臓をそのまま移植すると、拒絶反応が起こって正常に機能しません。チームは、遺伝子を効率よく改変できるゲノム編集の技術を使い、拒絶反応を起こすブタの遺伝子3種類を壊して働かないようにしました。さらに、過剰な免疫による炎症などを抑えるため、人の遺伝子7種類を追加しました。

 遺伝子改変したブタの腎臓をサル15匹にそれぞれ移植したところ、9匹が100日以上、最長で758日生存しました。6匹は1カ月以内に腎不全などで死にました。

 今回の研究は、人への移植を想定してブタの遺伝子を改変しており、人に移植した場合のほうが結果がよくなることが予想されるといい、研究チームの河合達郎・ハーバード大教授(移植外科)は「人に移植した場合は、拒絶反応がより抑えられる可能性が高い」と説明しています。

 愛知医科大病院・小林孝彰教授(移植外科)は、「これまでに報告された論文の中で最長の生存記録だ。サルでは血管障害が起きやすいなどの課題もあるが、人に移植して検証すべき段階にある」と解説しています。

 2023年10月30日(月)

🟩若年層の「献血離れ」が続く 30歳代以下、10年で3割減

 2022年度に献血をした30歳代以下は167万人で、2012年度の251万人から約33%減となり、若年層の「献血離れ」が続いています。この傾向が変わらなければ将来、輸血用血液の供給が不安定になる懸念もあり、厚生労働省と日本赤十字社は、早いうちから献血に関心を持ってもらおうと小中高生や大学生への啓発活動を強化しています。

 献血可能なのは16~69歳(65歳以上は条件あり)で、日赤によると2022年度の総献血者数は501万人。うち10歳代は22万人、20歳代は70万人、30歳代は75万人でした。10年以上前から総献血者数は500万人前後で推移しており、若年層の減少分を40歳代以上が支えている状態です。

 献血で集められた血液は、大半が50歳以上の医療に使われます。今後は少子高齢化で血液の需要が増す一方、献血に協力する人が減ることが懸念されています。

 献血バスが高校に出向く学内献血の減少が背景の一つで、30年前に6割ほどだった実施率は学校方針の変更などで2割前後まで減りました。献血に触れる機会が十分ではなかった世代は、成長しても積極的に献血へ行く人は少ないとみられます。

 2023年10月30日(月)

🟧アメリカの病院でブタ腎臓移植の男性死亡 手術から2カ月、退院して療養中 

 アメリカで、脳死状態の患者以外では世界で初めて、遺伝子操作を行ったブタの腎臓の移植を受けた60歳代の患者が死亡しました。移植を行った病院は、患者の死亡について移植が原因ではないとみています。  これはアメリカ・ボストンにあるマサチューセッツ総合病院が11日、発表しました。  ...