子供を中心に感染し激しいせきが続く「百日せき」の感染拡大が続く中、今年に入り全国で少なくとも2人の乳児が死亡していることが、関係者の話でわかりました。いずれもワクチン接種前の生後1カ月でした。専門家は、飛沫(ひまつ)を防ぐなど基本的な感染対策の徹底と、ワクチンの接種が可能になる生後2カ月での速やかな接種を呼び掛けています。
百日せきは、主にせきやくしゃみなどの飛沫に含まれる細菌から感染します。百日せきを含む5種混合ワクチンは、公費による定期接種の対象で、安全性と有効性が確認されている生後2カ月から接種が可能となります。接種前の乳児は、呼吸困難や肺炎などで重症化する恐れがあります。
東京都立小児総合医療センターと兵庫県立こども病院で今年3月、いずれも生後1カ月の女児が呼吸不全などで亡くなりました。どちらも治療薬が効きにくい耐性菌に感染していたといいます。
過去の乳児の死亡例は、2014~2023年の国の人口動態統計で、2015年と2028年に各1人が確認されています。
東京都立小児総合医療センター感染症科の堀越裕歩部長は、「今回の急激な感染拡大には、耐性菌の影響もあるとみられる。治療が難しく、子供の重症例が増える恐れもある」と警戒感を示しています。
乳児の感染対策として、欧米などでは妊婦に百日せきワクチンを接種する方法が普及しています。堀越部長は、「耐性菌にもワクチンは有効で、生後2カ月になったらすぐに接種することが大切だ」と指摘しています。
百日せきの患者数について、国立健康危機管理研究機構は、4月14~20日の1週間で1884人(速報値)だったと発表しました。前週の1222人を上回り、すべての患者を把握するようになった2018以降で過去最多を4週連続で更新しました。今年の累計患者数は9336人で1万人に迫っています。
2025年5月2日(金)
0 件のコメント:
コメントを投稿