インフルエンザの患者数が、全国で「警報レベル」を超えた。インフルエンザは学校や保育園など集団生活の場で、感染が広がりやすい。子供はインフルエンザ脳症にも注意が必要だ。小児科医は、手洗いなどの感染対策に加え、早めのワクチン接種を呼び掛けている。
インフルエンザにかかると、高齢者では肺炎などになって入院が必要になるケースが少なくない。子供も肺炎や中耳炎などで入院するケースがある。さらに子供に特有の重篤な合併症として知られているのが、インフルエンザ脳症だ。
意識障害やけいれん、異常行動などが現れる。重症化すると死に至る場合もあり、知的障害や運動機能障害などの後遺症が残る場合もある。5歳未満に多いとされるが、学齢期での発症も報告されている。今季と同様に、秋からインフルエンザの感染が広がった2023年のシーズンには、189人のインフルエンザ脳症の患者報告があった。
ワクチンで脳症を完全に防げるわけではないが、インフルエンザの発症や重症化を一定程度防ぐ効果が期待される。このため、脳症のリスクも軽減できると考えられている。
日本小児科学会は10月、今季の「治療・予防指針」を発表。ワクチンには、インフルエンザの発症を予防する効果や、学校での欠席日数を減らす効果が報告され、インフルエンザによる入院を減らした報告もあるとし、ワクチンの接種を推奨している。
小児科医で、日本ワクチン学会理事長を務める中野貴司・川崎医科大特任教授は、「感染者数が増えているので、なるべく早めにワクチン接種を検討してほしい。インフルエンザは患者数が著しく増え始めてから、1カ月以内にピークを迎えるというのが例年の傾向。遅くても年内には接種を済ませてほしい」と呼び掛ける。
2025年11月21日(金)
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