2022/08/01

🇱🇻黄色腫症

皮膚などに黄色い盛り上がりや丘疹ができる状態

黄色腫(おうしょくしゅ)症とは、血漿(けっしょう)中のリポ蛋白(たんぱく)質という脂肪と蛋白質の結合物を取り込んで、脂肪分をためたマクロファージ由来の泡沫(ほうまつ)細胞が集合して、皮膚や腱(けん)などの組織に存在する状態。

黄色腫症を発症する原因は、家族性の高脂血症(高リポ蛋白血症、脂質異常症)や正脂血症(高脂血症のないもの)、肝臓、腎(じん)臓、膵(すい)臓などの疾患や糖尿病などに合併する二次性高脂血症です。

黄色腫が皮膚に存在する形態には、結節型、発疹(はっしん)型、偏平型、手掌線条(しゅしょうせんじょう)型があります。ほかにも眼瞼(がんけん)黄色腫症、腱黄色腫、二次性黄色腫症があります。

結節型黄色腫症では、皮膚から1センチ以上盛り上がった黄色から赤褐色の結節が生じます。高コレステロール血症に多くみられ、膝(ひざ)、肘(ひじ)、手指、足指の関節に生じます。

発疹型黄色腫症では、皮膚から1センチ以下の盛り上がった丘疹が多発します。高トリグリセリド血症(中性脂肪血症)に合併しやすいものです。

手掌線条型黄色腫症では、手のひらのしわに沿って黄色腫が生じます。高コレステロール血症に多くみられます。

眼瞼黄色腫症では、上まぶたの目頭に偏平に盛り上がる黄色の結節が生じます。黄色腫症で最も頻度が高く、3分の2は正脂血症に伴うものです。

腱黄色腫では、皮膚表面に近い腱の肥厚として触れ、アキレス腱、手指伸筋腱に好発します。

二次性黄色腫症では、四肢関節の背面に発疹が生じ、長期の高脂血症に合併します。

黄色腫症に気付いたら、皮膚科、ないし皮膚泌尿器科、内科を受診します。

黄色腫症の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科、内科の医師による診断では、組織検査で泡沫細胞の存在を証明します。高脂血症の検査で、高脂血症に伴うものかどうかを区別します。

偏平型黄色腫症では、骨髄腫(しゅ)の合併も調べます。眼瞼型黄色腫症では、動脈硬化性疾患の合併も調べます。正脂血症に伴う黄色腫症では、ランゲルハンス細胞組織球症、びまん性偏平黄色腫、若年性黄色肉芽腫と区別します。

皮膚科、皮膚泌尿器科、内科の医師による治療では、食餌(しょくじ)療法と薬物療法を行ないます。

食餌療法では、高脂血症のタイプに従って、欧米風の高カロリー食品やコレステロール値の高い食品、脂分の多いファーストフードの過剰な摂取を制限します。そして、野菜や果物、魚といった低カロリー食や低脂肪食、低炭水化物食を中心とした食生活に切り替えます。発疹型と手掌線条型は、食事療法で改善しやすいものです。

薬物治療では、抗高脂血症剤のプロブコールを使用して、黄色腫の退縮を図ります。眼瞼黄色腫症には、切除手術や、液体窒素による冷凍療法、レーザー治療を行ないます。

また、生活習慣の改善も、黄色腫症の予防法として効果的です。適切な体重の維持につながるばかりか、適度な運動を行なうことで基礎代謝の向上効果が期待できます。

🇧🇾黄色靱帯骨化症

脊椎椎弓の前面を上下に連結し、脊椎を縦走する黄色靭帯が骨化し、神経障害が出る疾患

黄色靱帯骨化症(おうしょくじんたいこっかしょう)とは、脊椎(せきつい)の後方部分を構成する椎弓と呼ばれる円柱状の骨の前面を上下に連結し、脊椎を縦走する黄色靭帯が骨化する疾患。特定疾患(難病)である脊柱靭帯骨化症の一種です。

背骨、すなわち脊椎の骨と骨の間は、靭帯で補強されています。椎弓の前面に位置し、脊髄の通り道である脊柱管の後面に位置する黄色靭帯は、骨に適度な動きと安定性をもたらしています。

この黄色靭帯が分厚くなって骨のように硬くなると、脊髄の通り道である脊柱管が狭くなり、脊髄や脊髄から分枝する神経根が圧迫されて、知覚障害や運動障害が症状として現れます。

頸椎(けいつい)にも黄色靱帯骨化症は出現しますが、ほとんどは胸椎の下部に出現します。黄色靱帯が骨化する脊椎の部位によって、頸椎黄色靭帯骨化症、胸椎黄色靭帯骨化症、腰椎黄色靭帯骨化症に分類することもあります。

年齢的には20歳以降に出現しますが、一般的には40歳以上に出現します。男女の性差なく出現します。

黄色靱帯が骨化する原因は不明。遺伝的素因、カルシウムやビタミンDの代謝異常、老化現象、全身的な骨化傾向、骨化部位における局所ストレスなど複数の要因が関与して発症すると推測されているものの、原因の特定には至っていません。ほとんどが胸椎の下部に出現する原因は、胸椎と腰椎の連結する部分に相当し負担がかかるためと見なされています。

同じ脊柱靭帯骨化症の一種で、後縦(こうじゅう)靭帯骨化症という、脊椎の前方部分を構成する椎体と呼ばれる四角い骨の後面を上下に連結し、脊椎を縦走する後縦靭帯が骨化する疾患と合併しやすく、この場合は特に家族内発症が多いことから、遺伝子の関連が有力視されています。

胸椎に黄色靭帯骨化が起こった場合に最初に出てくる症状としては、下肢の脱力やこわばり、しびれがあります。腰背部痛や下肢痛が出現してくることもあります。

また、長い距離を歩くと下肢の痛みが起こるようになり、休息しながら歩くようになる間欠性跛行(はこう)を来すこともあります。重症になると、両下肢まひを来して歩行困難となり、日常生活に障害を来す状態になります。

症状の進行は年単位の長い経過をたどり、軽い痛みやしびれで長年経過する場合もある一方で、年単位の経過で足の動作がかなりの程度傷害される場合もあります。また、軽い外傷、例えば転倒などを切っ掛けに、急に足が動かしづらくなったり、今までの症状が強くなったりすることもあります。

黄色靭帯骨化症の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、まずX線(レントゲン)検査を行います。しかし、胸椎に多い黄色靭帯骨化症を見付けることが困難なことが多いため、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査などで精査します。CT検査は骨化の範囲や大きさを判断するのに有用で、MRI検査は脊髄の圧迫程度を判断するのに有用です。

整形外科の医師による治療では、原因が不明で経過が予測できないため、消炎鎮痛剤などを投与して経過を観察します。下肢や腰背部の痛みが強い場合には、脊髄の周囲の硬膜外腔(がいくう)に局所麻酔薬を注射して、神経の痛みを和らげる硬膜外ブロックを行うこともあります。

経過観察中に進行がみられる場合や、神経症状が強い場合には、胸椎椎弓の骨化部位を取り除いて、脊髄や神経根の圧迫を解除する手術を行うこともあります。

黄色靭帯骨化症を完全に予防することはできませんが、仕事や遊び、泥酔などで転倒、転落することで神経症状を出現させたり、悪化させたりしないことが必要です。

🇲🇩黄色爪

外的物質や薬剤、皮膚疾患、全身疾患などによって、爪の甲が黄色になる状態

黄色爪(おうしょくそう)とは、爪(つめ)の甲が黄色になる状態。

外的物質や薬剤などによる爪の甲の着色ないし変色により、爪は黄色になります。また、爪の甲の発育や成長を遅らせる皮膚疾患あるいは全身疾患によっても、爪は黄色になります。

外的物質としては、たばこや、爪を強化する爪硬化剤、爪に光沢や色をつけるネイルラッカーなどがあり、爪の甲の表面への染み込み具合により黄色調は異なります。

薬剤としては、抗生物質のテトラサイクリン、免疫抑制剤のDーペニシラミン、骨が壊れるのを防ぐビタミンD3などがあります。

皮膚疾患としては、乾癬(かんせん)、掌蹠膿疱(しょうせきのうほう)症、円形脱毛症、爪の水虫である爪白癬(はくせん)、爪甲剥離(はくり)症などで、爪は黄色になります。

全身疾患としては、黄色爪症候群が最も多い疾患で、それ以外にも糖尿病、心不全、黄疸(おうだん)を示す高ビリルビン血症、柑皮(かんぴ)症、カロチン血症、気管支の疾患、胆汁の分泌障害、アミロイドーシス、シェーグレン症候群、エイズなどで、爪が黄色になることがあります。

爪の水虫である爪白癬では、色の変化として白く濁ることが最も多いものの、一部の爪がかなり濃い黄色になることもあります。1本の足指や手指の爪から始まってゆくことが多く、徐々に他の指に進んでゆくこともあります。全部の指の爪に色の変化が現れた場合でも、黄色調は一定ではありません。

これに対して、黄色爪症候群などの全身疾患によって黄色爪になる場合は、ほとんどすべての爪に色調の変化が同時に現れてきます。

黄色爪症候群は、黄色い爪、体のむくみ、呼吸器の病変の3つを特徴とする全身疾患。3つの特徴がすべて現れることは40パーセントから60パーセント程度にとどまり、黄色爪症候群と見なすには、少なくとも2つの特徴が現れることが必要とされています。

最も特徴的なのは、爪が黄色くなり、爪の成長速度が遅くなって爪が伸びなくなること。爪の成長速度は、正常の5分の1ないし10分の1になります。正常な爪は週に0・5~1・2ミリ成長しますが、週に0・2ミリ以下しか成長しません。

爪の甲を根元で固定している皮膚である後爪郭(こうそうかく)の炎症が起こることで、この部分のリンパ管の閉塞(へいそく)が増悪し、爪の根元を覆っている後爪郭が後退します。これにより爪の甲が肥厚し、爪の成長速度が遅くなるのです。

また、手足のリンパ管が何らかの原因で詰まり、そのために体がむくむリンパ管浮腫(ふしゅ)が80パーセントの発症者にみられ、むくみは下肢や顔面に目立ちます。

呼吸器の病変は、ほぼ60パーセントの発症者にみられます。うち、片側や両側の肺に水がたまる胸水貯留が最も多くみられ、腹腔(ふくくう)内に水がたまる腹水貯留や、心臓の周囲を取り囲む袋である心嚢(しんのう)と心臓の間に水がたまる心嚢水貯留がみられることもあります。

それ以外にも、糖尿病や内臓のがんなど種々の疾患を合併することがあります。

黄色爪症候群の原因は、まだはっきりとわかっていません。しかし、先天性のリンパ還流異常がベースにあり、後天的に感染などを契機としてリンパ液の還流量が増加し、還流障害が助長されることによって、リンパ管浮腫や胸水が現れると考えられています。

また、膠原(こうげん)病や腫瘍(しゅよう)随伴症候群といった疾患がもとで、黄色爪症候群が起こるケースもあります。テトラサイクリン、D‐ペニシラミンなどの薬剤に誘発されて、黄色爪症候群が起こるケースもあります。

まれに生まれた時から、黄色爪症候群による体のむくみを生じることもありますが、多くは中年以降に発症します。発症の平均年齢は61歳、男女比はほぼ同等とされています。

黄色爪の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪の甲に黄色調の着色ないし変色を起こし得る外的物質や薬剤、あるいは皮膚疾患や全身疾患を検査して、原因がわかるようであれば、それを除去ないし治療します。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、確立されたものがないため、一般的に対症療法が行われます。ビオチンやビタミンEを含んだ飲み薬の内服、ビタミンE製剤の外用、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の局所注射、抗生物質のクラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)の内服、ビタミンA類似物質であるエトレチナート(チガソン)の内服などが行われます。

黄色爪症候群での黄色爪の多くは10〜20年以上持続するため、根気強く治療しなくてはいけません。特に、肺や気管支にほかの疾患がある人は、黄色爪症候群の完治が難しくなります。

🇺🇦黄色爪症候群

黄色い爪、体のむくみ、呼吸器の病変の3つを特徴とする全身疾患

黄色爪(おうしょくそう)症候群とは、黄色い爪(つめ)、体のむくみ、呼吸器の病変の3つを特徴とする全身疾患。

3つの特徴がすべて現れることは40パーセントから60パーセント程度にとどまり、黄色爪症候群と見なすには、少なくとも2つの特徴が現れることが必要とされています。

最も特徴的なのは、爪が黄色くなり、爪の成長速度が遅くなって爪が伸びなくなること。爪の成長速度は、正常の5分の1ないし10分の1になります。正常な爪は週に0・5~1・2ミリ成長しますが、週に0・2ミリ以下しか成長しません。

爪の甲を根元で固定している皮膚である後爪郭(こうそうかく)の炎症が起こることで、この部分のリンパ管の閉塞(へいそく)が増悪し、爪の根元を覆っている後爪郭が後退します。これにより爪の甲が肥厚し、爪の成長速度が遅くなるのです。

また、手足のリンパ管が何らかの原因で詰まり、そのために体がむくむリンパ管浮腫(ふしゅ)が80パーセントの発症者にみられ、むくみは下肢や顔面に目立ちます。

呼吸器の病変は、ほぼ60パーセントの発症者にみられます。うち、片側や両側の肺に水がたまる胸水貯留が最も多くみられ、腹腔(ふくくう)内に水がたまる腹水貯留や、心臓の周囲を取り囲む袋である心嚢(しんのう)と心臓の間に水がたまる心嚢水貯留がみられることもあります。

それ以外にも、糖尿病や内臓のがんなど種々の疾患を合併することがあります。

黄色爪症候群の原因は、まだはっきりとわかっていません。しかし、先天性のリンパ還流異常がベースにあり、後天的に感染などを契機としてリンパ液の還流量が増加し、還流障害が助長されることによって、リンパ管浮腫や胸水が現れると考えられています。

また、膠原(こうげん)病や腫瘍(しゅよう)随伴症候群といった疾患がもとで、黄色爪症候群が起こるケースもあります。

まれに生まれた時から、黄色爪症候群による体のむくみを生じることもありますが、多くは中年以降に発症します。発症の平均年齢は61歳、男女比はほぼ同等とされています。

黄色爪症候群の検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪の甲に黄色調の着色ないし変色を起こし得る外的物質や薬、あるいは皮膚疾患や全身疾患を検査して、原因がわかるようであれば、それを除去ないし治療します。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、確立されたものがないため、一般的に対症療法が行われます。ビオチンやビタミンEを含んだ飲み薬の内服、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド剤)の局所注射、抗生剤(抗生物質)のクラリスロマイシンの内服などが行われます。

黄色爪症候群での黄色爪の多くは10〜20年以上持続するため、根気強く治療しなくてはいけません。特に、肺や気管支にほかの疾患がある人は、黄色爪症候群の完治が難しくなります。

🇧🇬黄色斑眼底

20歳以前に発症し、視力障害を起こしたり、失明したりする遺伝性の疾患

黄色斑(おうしょくはん)眼底とは、眼球内部の網膜が変性を起こして、視力障害を起こしたり、失明したりする遺伝性の疾患。スタルガルト病、スターガルト病、シュタルガルト病、斑状網膜症候群などとも呼ばれます。

ドイツの眼科医、カール・スタルガルトが1901年に初めて報告した疾患ですが、現時点でも治療法は見付かっていません。

若年性の黄斑変性では最も多いか最も一般的な疾患であり、通常、常染色体劣性の遺伝形式で受け継がれ、20歳以前に発症します。学童期から10歳代に矯正視力の低下を切っ掛けに発見されることが多く、眼鏡でもコンタクトレンズでも補正できない視野の中央の暗点は、最も早い症状です。症状が進むにつれて、黄斑が変性、委縮して、さらに視力が低下します。

その黄斑とは、光を感じる神経の膜である網膜の中央に位置し、物を見るために最も敏感な部分であるとともに、色を識別する細胞のほとんどが集まっている部分。網膜の中でひときわ黄色く観察されるため、昔から黄斑と呼ばれてきました。この黄斑に異常が発生すると、視力が低下し、また、黄斑の中心部にある中心窩(か)という部分に異常が発生すると、視力の低下が深刻になります。

黄色斑眼底では、黄斑部の網膜色素上皮または網膜深層に、円形または類円形のリポフスチンといわれる黄白色の不規則な斑点が蓄積される結果として、黄斑が変性し、さらに委縮性の病変となります。

両方の目の視野の中央に進行性の欠損が起きて暗点ができますが、周辺視野にはほとんど影響が出ません。夜間や暗い場所での視力が著しく衰え、色を感知する機能が衰えることもあります。

進行性の疾患ながら、その進行速度は個人によって異なります。視力が著しく低下して失明に至るケースがある一方で、30歳代になっても良好な視力を維持しているケースもあります。

黄色斑眼底の検査と診断と治療

眼科の医師による診断では、両眼対称性であること、進行性であること、家族にかかった人がいること、薬物や感染症など外因がないことなどが、重要な手掛かりになります。フルオレセイン蛍光眼底検査、網膜電図などの電気生理学的検査も、診断を確実にするには必須です。黄斑部の網膜色素上皮に異常を起こすABCR遺伝子が突き止められているので、この遺伝子の検索も決め手になります。

黄色斑眼底には有効な治療法は見いだされていませんので、視力の大幅な低下を避けることはできません。発症者の網膜に漏出点があればレーザー光凝固の処置が行われますが、それは欠けた視野を戻すのではなく、さらなる悪化を避けるだけです。

症状に応じて、遮光眼鏡、弱視眼鏡、拡大読書器、望遠鏡などの補助具を使用することが有用で、周辺視野と残った中心視を活用できます。その他のリハビリテーションも重要です。

いつの日か、先端的医療の進歩が根本的な治療法を可能にすることが期待されていますが、弱視学級や盲学校での勉学、職業訓練など、将来を見通して現実的に対応することが有益でしょう。

🇦🇹凹足

足の甲が極端に高く、起立時や歩行時に土踏まずの部分が地面に接しない状態の足

凹足とは、足の甲が極端に高く、起立時や歩行時に土踏まずの部分が地面に接しない状態の足。ハイアーチと呼ばれたり、足の甲が高く盛り上がっていることから甲高と呼ばれることもあります。

足の裏にはアーチと呼ばれる緩やかな盛り上りがあり、踵(かかと)から親指の付け根を通る土踏まず、すなわち内側の縦アーチ(内側縦足弓)、踵から小指の付け根を通る外側の縦アーチ(外側縦足弓)、親指の付け根から小指の付け根を通る横アーチ(横足弓、メタタザールアーチ)の3つから構成されています。3つのアーチは、足が地面に着地する際にスプリングの役目を果たし、体に加わる衝撃を和らげる働きをしています。

凹足では、アーチの湾曲が強く、しなやかさに欠けるために、スプリング機能の働きが悪く、足の裏が本来持つ能力である衝撃吸収や、力の分散がうまく発揮できず、さまざまな症状が現れます。

まず、体の重みを踵や親指と小指の付け根の点で支えることになるため、足の指の付け根や踵に、皮膚表面の角質層が部分的に厚くなるたこや、魚の目ができます。

足の甲の部分に5本存在する中足骨(ちゅうそくこつ)の骨頭の太くなっている部分にかかる圧力が高くなるため、中足骨骨頭部痛を起こすこともあります。足の甲の部分にある第1中足骨の骨頭下部にある種子骨の周囲に炎症が起き、足の親指の裏側に痛みが生じることもあります。

親指が圧迫を受けて変形する外反母趾(がいはんぼし)と逆に、小指が圧迫を受けて変形する内反小趾(ないはんしょうし)を起こすこともあります。足の指、特に第2指と第3指が曲がってハンマートゥの状態になり、浮き指になる傾向もあります。

足の裏が本来持つ能力である衝撃吸収がうまく発揮できない場合は、足の裏のアーチを支えている足底筋膜に炎症が起こる足底筋膜炎や、脛(すね)に沿った筋肉に損傷が生じて痛むシンスプリント(脛骨〔けいこつ〕疲労性骨膜炎)を起こすこともあります。

さらに、足の裏の縦アーチが高いために、いつも足底筋が縮んだままで、足の裏全体で均一なバランスをとれないので、ふくらはぎや足の裏が極めて疲れやすく、たくさん歩いたり運動をすると、ふくらはぎや足の裏がつるような痛みを感じることもあります。そして、常にバランスをうまくとれない状態になることで、足裏だけではなく、膝(ひざ)や腰、背筋にも負担がかかり痛みが出てくることもあります。

凹足の原因の多くは遺伝によるもので、足を形作る筋力の不均衡が成長の過程で現れ、発症しやすいといわれています。末梢(まっしょう)神経に原因があり、かつ遺伝性の疾患であるシャルコー・マリー・トゥース病では、特徴的な甲高の足がみられます。

後天的にハイアーチを発症するケースもあり、遺伝性で進行性に筋力が低下してくる筋ジフトロフィーや神経のまひなどが原因で発症するものと、ハイヒールなどの踵が高い靴を長期間にわたって履き続けることにより、筋肉のバランスが崩れるなどの習慣が原因で発症するものとがあります。

ハイヒールを履き続けて凹足を発症するケースでは、つま先で立つような状態が長期間にわたって続くために、脛前面の筋肉である前脛骨筋と足の裏の筋肉である足底筋群のバランスが崩れ、徐々に足のゆがみが起こり、凹足へと進行していきます。

一度、凹足になると、スニーカーなどの踵の低い靴よりも踵の高い靴を履いていたほうが楽なので、好んで踵の高い靴を履くようになります。こうなるとさらに足のゆがみが進行し、重度の凹足になることもあります。

凹足の検査と診断と治療

整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による診断では、足の土踏まずが地面に付かずに不自然にアーチを描いている特徴的な骨の変形であるため、見た目ですぐに状態がわかります。

骨の変形の状態を詳しく知るために、X線(レントゲン)検査を行って足の状態を撮影し、骨の変形が影響している別の部分の状態も調べます。

整形外科、形成外科、ないし足の外科の医師による治療では、骨の変形の程度が軽い場合は、日常生活の中での心掛けや意識した足指の運動を行うことにより、症状の改善を図ります。

骨の変形の程度の重い場合は、足の裏のアーチを緩めるために足底筋膜や中足骨を切るといった手術を行うこともあります。

日常生活の中での心掛けには、必ずといっていいほどできているたこ、魚の目を取り除くことと、正しい歩き方をすることがあります。正しい歩き方は、踵が地面に接触したら足の裏全体をつけるような感じで体重移動させ、足の親指で地面をけるように意識するものです。

足指の運動には、弱くなった下腿(かたい)の腓骨(ひこつ)筋群を鍛え、緊張している足底筋群の緩和を目的として、両方の足のひらをバンドで巻き付け、つま先の開閉をゆっくり行うといった方法があります。また、つま先立ちを繰り返すなど、足の裏の縦アーチが伸びるようなストレッチ運動をするのも効果的です。

必要に応じ、靴での圧迫部分の保護と痛みの軽減を目的として、一人一人に合った足形を取り、中敷き(インソール)を作るのも効果的です。縦アーチを保護する大きめの中敷きで、足の指の付け根や踵だけに掛かる荷重を分散して、足底部でも受け止めるようにします。これで足底筋群への負担を少なくして、痛みや疲労感を軽減できますし、中敷きと組み合わせて、たこ、魚の目ができにくい足にすることもできます。

🇦🇹黄疸

血液中にビリルビンが一定量以上に増えて組織に蓄積し、皮膚や眼球結膜が黄色みを帯びる状態

黄疸(おうだん)とは、血液中にビリルビン(胆汁色素)が一定量以上に増えて組織に蓄積する結果、皮膚や眼球結膜が黄色みを帯びる状態。肝臓などの臓器に疾患が起こった際に現れる症状で、黄疸が現す特定の疾患名はありません。

ビリルビンは、寿命を120日とする赤血球が古くなって壊される際に、その中のヘモグロビン(血色素)から作られ、健康な人では血液1dl中に0・2~1・0mgみられます。これが2mg程度以上になると、体の皮膚や、白目の表面を覆っている眼球結膜が黄色みを帯びて、肉眼的に判断可能です。これを顕性黄疸といいます。1~2mgの間では、皮膚や眼球結膜の黄色みは不明瞭であり、不顕性黄疸といいます。

みかんなどの柑橘(かんきつ)類やニンジンを過剰に摂取した場合に、手のひらなどの皮膚が黄色になることがありますが、柑橘類などがカロチン(カロチン)を多く含むために血液中のカロチン濃度が高くなり、その黄色色素が皮膚に沈着して黄色になる柑皮症によるものです。黄疸とは異なり、眼球結膜が黄色みを帯びないことや、血液中のビリルビンの上昇がないことで区別できます。

脾臓(ひぞう)などで作られたビリルビンは血液に入って肝臓に運ばれ、肝臓で生成される消化液である胆汁の中へ排出され、その胆汁の成分として小腸の一部である十二指腸の中に排出されます。ビリルビンが胆汁中に排出されなかったりすると、血液の中にたまった過剰なビリルビンは皮膚などの組織にどんどんと蓄積され、黄疸が起こります。

血液中のビリルビン値が高い場合、肝臓の疾患が原因による場合と、胆汁の排出通路である胆管系の疾患が原因による場合が考えられます。例えば、肝臓に炎症や繊維化などの損傷があれば、ビリルビンの胆汁中への排出が阻害されて血液の中にたまり黄疸が起こりますし、胆汁の排出通路である肝臓と十二指腸をつなぐ胆管系が胆石や悪性腫瘍(しゅよう)などでふさがっていれば、ビリルビンが血液の中にたまり黄疸が起こります。

黄疸を起こす肝臓の疾患としては、急性ウイルス性肝炎、薬剤性肝障害、慢性肝炎の急性増悪期、肝硬変、肝細胞がん、アルコール性肝障害、自己免疫性肝炎、急性脂肪肝、寄生虫性肝障害、感染性肝障害などがあり、肝細胞の壊死(えし)が広範におよぶ結果、ビリルビンの処理が円滑に行われなくなったことで黄疸が起こります。

黄疸を起こす胆管系の疾患としては、毛細胆管から肝内胆管の間の異常で胆汁の流れが障害される肝内胆汁うっ滞症と、総胆管を含む肝外胆管が狭窄(きゅうさく)したり閉鎖して胆汁の流れが障害される胆道閉鎖症があります。肝内胆汁うっ滞症は、肝炎や薬物性肝障害、原発性胆汁性肝硬変などが原因となります。胆道閉鎖症は、結石や悪性腫瘍、炎症などが原因となります。

また、溶血性貧血などで、血液の中に含まれる赤血球が過剰に破壊され、肝臓の処理能力を超える大量のビリルビンが生成される場合にも、黄疸は出現します。これは新生児の黄疸で多くみられます。

さらに、先天的に肝臓でのビリルビンの処理機構が障害されている場合にも、黄疸は出現します。これは体質性黄疸と呼ばれ、10歳前後から過労などを契機に黄疸が出現しては自然に消える状態を繰り返すものですが、遺伝性で生命にかかわるものではなく、治療の必要はありません。

一般に病的な黄疸をみる場合には、全身の倦怠(けんたい)感や疲労感、皮膚のかゆみ、感冒様症状、発熱、尿が茶褐色になるなどの、ほかの症状を伴います。黄疸症状がひどくなると、汗まで黄色になり、皮膚と接触する肌着が黄色になることがあります。

黄疸の初期の段階では特にケアは必要がありませんが、原因となる疾患が進行してくると症状が急激に悪化してくることも予想されます。皮膚に関するケアは、かかないようにすることや常に清潔な状態を保つように心掛けることが必要になります。

黄疸の検査と診断と治療

内科、消化器科の医師による診断では、黄疸の原因を調べるために、血液を採取して血液像や肝機能などを調べるとともに、X線(レントゲン)検査、腹部超音波(エコー)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査を行い、必要に応じて肝血管造影検査、逆行性胆管造影検査、肝生検を行います。

内科、消化器科の医師による治療では、血液中のビリルビン値が上昇する原因となる肝臓の疾患や胆管系の疾患の改善を図ります。

肝臓自体の疾患が原因となるウイルス性肝炎などの場合は、肝臓の状態の改善とともにビリルビン値が正常に戻れば、黄疸も軽快します。

手術が必要なのは胆管系の疾患のみで、胆道閉鎖が原因の場合は、内視鏡治療や外科手術を行い閉鎖した胆管を再び開通させます。手術不可能な場合は、胆石や腫瘍などが原因で胆汁の流れが悪くなっている部位にチューブなどを通して、胆汁の流れをよくするドレナージによる減黄や、狭窄している部位に金属製の筒を置いて、狭まりを防ぐステント留置などを行います。

🟥東京都の40歳代女性がはしかに感染 都内では今年2例目

 東京都は、都内に住む40歳代の女性がはしか(麻疹)に感染したと発表しました。都内では今年2例目の感染者となります。  都によりますと、はしかの感染が確認された都内に住む40歳代の女性は、3月2日に発熱し、その後、せきや発疹などの症状が現れました。  女性は8日、北区の東京北医...