2022/08/13

🟦国内の体外受精出生、初の減少 2020年は6万394人で前年比201人減

 2020年に国内で実施された不妊治療の体外受精によって生まれた子供が前年より201人少ない6万394人だったことが、日本産科婦人科学会の調査で明らかになりました。現行方式の記録が残る1986年以降、初めて前年を下回りました。治療対象となる世代の女性が減っているほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあるとみられます。

 体外受精は、卵子を体内から取り出し、体外で精子と受精させて子宮に戻します。今回、体外受精児が初めて減少に転じたものの、生まれてくる子の約13人に1人の割合を占めました。1983年に国内で初めて誕生してからの累計では77万人を超えました。

 2020年は治療件数も44万9900件で、前年より8201件少なくなりました。減少に転じた背景には、第2次ベビーブーム(1971〜1974年)世代の女性が40歳代後半を迎え、年齢的に治療が難しくなったことがあります。近年は治療件数の増加が鈍化しており、2020年はコロナ禍も影響して治療を控える夫婦が増えたとみられます。

 一方、体外受精は政府の少子化対策で今年4月から公的医療保険の対象となりました。厚生労働省が2021年に公表した実態調査によると、体外受精は1回当たりの治療費が平均約50万円に上りましたが、経済的負担の軽減が期待されています。

 データを取りまとめた東邦大学医療センター大森病院産婦人科の片桐由起子教授は、「保険適用後に治療を受ける夫婦が増え、生まれてくる子供は再び増加する可能性がある」と話しています。

 2022年8月13日(土) 

🟦全国で新たに16万8826人が新型コロナ感染 死亡210人、重症637人

 国内では12日午後6時15分の時点で、東京都で2万401人、神奈川県で1万2432人、埼玉県で1万528人、兵庫県で1万68人、大阪府で1万31人など全47都道府県と空港検疫で、新たに16万8826人の新型コロナウイルスへの感染が発表されました。

 前日の11日が検査件数が少なくなる傾向がある祝日だったことやお盆休みの影響もあり、前週の金曜日より6万4875人減少し、4日ぶりに20万人を下廻りました。

 また、東京都で30人、千葉県で21人、兵庫県で15人、埼玉県で12人、愛知県で12人、神奈川県で11人、和歌山県で8人、福岡県で7人、高知県で7人など計210人の死亡の発表がありました。

 国内で感染が確認された人は、空港検疫などを含め1531万1571人、クルーズ船の乗客・乗員が712人で、合わせて1531万2283人となっています。

 感染して亡くなった人は、国内で感染が確認された人が3万4793人、クルーズ船の乗船者が13人で、合わせて3万4806人です。

 厚生労働省によりますと、新型コロナウイルスへの感染が確認された人で、人工呼吸器や集中治療室などで治療を受けるなどしている重症者は、前日より34人増えて12日時点で637人となっています。

 一方、神奈川県では12日、新たに1万2432人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表されました。前週の金曜日と比べて745人少なくなりました。

 また、横浜市、相模原市、横須賀市、それに藤沢市は80歳代から90歳代までの男女合わせて11人の死亡を発表しました。

 神奈川県内で発表された感染者は、これで118万6485人となり、このうち2472人が死亡しています。

 県は引き続き、基本的な感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 2022年8月13日(土) 

🇸🇲結膜結石

眼瞼結膜に白色ないし黄色をした小さな硬い感じの結石ができる疾患

結膜結石とは、上下のまぶたの裏側を覆っている眼瞼(がんけん)結膜に、白色ないし黄色をした小さな硬い感じの塊である結石ができる疾患。

目の結膜は、上下のまぶたの裏側と、眼球の表面から黒目の周囲までを覆っている、半透明の薄い粘膜の部分を指します。まぶたの裏側を覆っている部分が眼瞼結膜、白目の表面を覆っている部分が眼球結膜と呼ばれています。一方、黒目の部分を覆っている粘膜は角膜と呼ばれています。

結膜の働きは、直接、外界に接している目を異物の侵入から守ることで、結膜には抗菌作用のある粘液や涙液が分泌され、常に作られている涙で目の表面を潤して防御しています。また、結膜には適度な緩みがあり、上下左右などの眼球運動に耐えられるようになっています。

その結膜にできる結膜結石は、カルシウムや脂質、組織中の老廃物などが集まって沈着したもので、眼瞼結膜下のある程度深いところにでき始めます。

初期には無症状で、無症状のまま経過することがほとんどなのですが、時に少しずつ眼瞼結膜の表面に移動してきて、露出することがあります。こうなるとまばたきするたびに、隆起した結膜結石が白目の表面を覆っている眼球結膜や、黒目の部分を覆っている角膜を直接こすることになるため、「ゴロゴロする」「何か入っているような感じがする」といった異物感、違和感、不快感を感じるようになります。

結膜結石が角膜に当たって角膜の上皮に傷が付くと、痛みで目が開けられなくなることや、目が充血したりすることがあります。

年齢とともに結膜結石がある人が増え、50歳以上の人に多くみられるので、老化現象の一つとしてできることも多いと見なされます。ただ、根本的な発生メカニズムはわかっていませんが、慢性的な結膜炎やドライアイがあったり、さらには目をよくこすったり、コンタクトレンズを長期装用したりしていると、若い人でもできることはあります。

体質的に結膜結石のできやすい人もおり、よく再発することがあります。

結膜結石の検査と診断と治療

眼科の医師による診断では、左右上下すべてのまぶたをめくって、スリットランプ(細隙灯〔さいげきとう〕)と呼ばれる検眼用の顕微鏡を使って視診することで、容易に診断できます。

眼科の医師による治療では、自然に、ないし洗眼や点眼などによって結膜から結石が脱落することがあるため、2~3日様子をみて、強い異物感がなくないようであれば手術で結石を除去します。

手術では、表面麻酔剤を点眼してまぶたをめくり、細い針の先で引っ掛けるようにして結石を取り除きます。通常2~3分以内に、手術は終わります。出血することがありますが、2~3日以内に止まります。

まれに、感染を起こすことがあるため、医師の指示通りに抗菌薬としての点眼液や、抗炎症薬としての点眼液を点眼する必要があります。結石を除去すれば、90パーセント以上よくなります。

しかし、眼球に接していない小さな結石は除去できないため、それが月日の経過で老廃物などが蓄積して大きくなり、異物感や不快感、痛みが再発することもあります。体質的に結石のできやすい人では、よく再発することがあります。再発した場合は、再度眼科を受診してもらい、新たに露出した結石を手術で除去することになります。

🇸🇲結膜弛緩症

結膜が平均より強く弛緩した状態になり、異物感、流涙、出血を生じる眼疾患

結膜弛緩(しかん)症とは、結膜が平均より強く弛緩した状態になり、異物感、流涙、出血などを生じる眼疾患。

目の結膜は、上下のまぶたの裏側と、眼球の表面から黒目の周囲までを覆っている、半透明の薄い粘膜の部分を指します。まぶたの裏側を覆っている部分は眼瞼(がんけん)結膜、白目の表面を覆っている部分は眼球結膜と呼ばれています。一方、黒目の部分を覆っている粘膜は角膜と呼ばれています。

その結膜の働きは、直接、外界に接している目を異物の侵入から守ることで、結膜には抗菌作用のある粘液や涙液が分泌され、常に作られている涙で目の表面を潤して防御しています。

また、結膜には適度な緩みがあり、上下左右などの眼球運動に耐えられるようになっています。この緩みが眼球結膜の部分で平均より強くなっている状態が、結膜弛緩症です。

緩んだ結膜は下まぶたに沿って存在し、程度が強い時は角膜へ乗り上がっていることもあります。

結膜弛緩症の原因はよくわかっていませんが、加齢とともに増える傾向にあります。

結膜弛緩症を発症すると、眼球運動や、まばたきに伴って、弛緩結膜(余剰結膜)が過剰に動くため、異物感を生じます。強い痛みではなく、ごろごろする、しょぼしょぼする、何か挟まっている感じがするなど、不快感に近いような症状です。

また、下まぶたと結膜の間の空間にたまるようになっている涙が、その空間に弛緩結膜があるためにたまらず、弛緩結膜が形成するひだ、あるいはしわの間に涙がたまり、揚げ句に、外にこぼれ落ちるため、流涙を生じます。

さらに、弛緩結膜が過剰に動くことから、結膜の毛細血管が引っ張られて切れ、白目から出血する結膜下出血の原因となります。結膜下出血を繰り返す人には、しばしば結膜弛緩症がみられます。

こういった症状から眼科を受診した場合、しばしば疲れ目、いわゆる眼精疲労などと診断され、結膜弛緩症が見過ごされていることがあり、眼精疲労などの点眼薬を処方されることもあります。しかしながら、結膜弛緩症は物理的に結膜が余っている状態なので、点眼薬だけで症状が軽快することはあっても、完治は難しくなります。

結膜弛緩症はドライアイとも深い関係があり、下まぶたに沿って弛緩結膜が存在するため、弛緩結膜が形成するひだや、しわの間に涙がたまったり、こぼれ落ちるため、角膜に涙がゆき渡らなくなり、ドライアイと同じ状態になります。弛緩結膜に隣接した部分の角膜に、傷が生じることもあります。

本当に涙の分泌量が少ないドライアイがある場合には、結膜弛緩症によりさらに目の表面に涙がゆき渡らなくなるために、ドライアイの症状の悪化につながります。ドライアイの人は、点眼薬をむやみに使用すると点眼薬毒性が出ることがありますが、ドライアイと結膜弛緩症の合併を見過ごされ、過剰な点眼薬の使用によって悪循環に陥ることもあります。

目に慢性の異物感や不快感を覚えている人、涙があふれる傾向がある人、白目からの出血を繰り返す人、いろいろな点眼薬を使ってもドライアイの症状が改善しない人は、結膜弛緩症がないかどうか一度、眼科を受診し、正しく診断してもらうことが勧められます。

結膜弛緩症の検査と診断と治療

眼科の医師による診断では、結膜の過度の弛緩は下の白目を覆っている眼球結膜に現れやすいため、下まぶたを下に引き、さらに軽く目の奥のほうへ押し付けながらそのまま上へ持ち上げると、眼球と下まぶたの間に、半透明の弛緩結膜(余剰結膜)現れることで、確定できます。

目の表面の状態を調べるために、スリットランプ(細隙灯〔さいげきとう〕)と呼ばれる検眼用の顕微鏡を使って、フルオレセインという黄色の染色液を少量点眼すると、よりはっきり弛緩結膜の存在を見ることができます。

眼科の医師による治療では、一般的に、下の白目の部分にある弛緩結膜を手術で切除します。手術は局所麻酔で15分程度で、弛緩結膜を切除した後、糸で縫合します。

手術後に強く目をこすると糸がとれるので、1週間は寝る際に眼帯をします。手術後に糸による異物感が生じますが、1週間程度でよくなります。手術後の充血も、1週間程度で消えます。手術後の傷跡はほとんど残らず、結膜は再生します。

🇸🇲キアリ奇形

脳の奇形の一種で、後頭部にある小脳や延髄の一部が頭蓋骨から頸椎に落ち込む疾患

キアリ奇形とは、本来は頭蓋骨(とうがいこつ)の中に納まっているべき、小脳扁桃(へんとう)や延髄が頭蓋骨の下縁にある大後頭孔を超えて、頸椎(けいつい)を上下に貫いている脊柱管に脱出、下垂する疾患。脳の奇形の一種です。

脱出した小脳扁桃が間脳、中脳、橋、延髄などで構成されている脳幹を圧迫したり、頭蓋骨と頸椎の移行部で脳脊髄液の通過を障害したりして、症状を出すことがあります。しばしば、脊髄(せきずい)の中に空洞が生じ、内部に脳脊髄液が貯留する脊髄空洞症を合併します。

胎児期に後頭骨から頸椎上部の骨の形成異常によって起きる先天性と、出生時の外傷による頭蓋骨の変形によって起きる後天性があり、詳しい原因はわかっていません。

また、脱出、下垂した脳組織や合併する疾患によって、キアリ奇形は1型、2型、3型に分類されます。

キアリ奇形1型は、小脳扁桃だけが脊柱管内に下垂するものです。先天的に脊椎骨が形成不全となって、脊椎骨の背中側の一部が開放し、脊髄や髄膜の一部が骨の外に露出する脊髄髄膜瘤(りゅう)の合併はなく、神経系の奇形を合併することはまずありません。

通常は単独の疾患ですが、時に脳脊髄液による脳の圧迫が脳機能に影響を与える水頭症や、頭蓋骨縫合早期癒合症(小頭症)、脳腫瘍(しゅよう)、脊髄係留などの疾患によって、後天的にキアリ奇形1型を認めることもあります。通常は、遺伝性はありませんが、まれに家族間で発生することもあります。

キアリ奇形2型は、小脳虫部や脳幹まで脊柱管内に下垂するもので、アーノルド・キアリ奇形とも呼ばれます。キアリ奇形1型より重症で、ほとんどで水頭症を伴うとともに、原則として脊髄髄膜瘤を伴い、神経系の奇形を合併します。

キアリ奇形3型は、小脳、延髄が頸椎上部の脊髄髄膜瘤の中に下垂するものです。生命予後は、不良です。

キアリ奇形1型を発症すると、頭痛、後頸部痛、めまい、手足の感覚障害、脊柱側湾症、筋肉が緊張しすぎて歩きにくくなる痙縮(けいしゅく)を生じます。頭痛や後頸部痛は、くしゃみやせきで誘発されることが多いのが特徴的です。まれに睡眠時無呼吸症候群を起こすこともあります。

一般には、数年から十数年かけてゆっくり進行し、高校生ぐらいから40歳くらいの女性に症状が出ることが多いのですが、小児期から症状を出すこともあります。

小児のキアリ奇形1型では、年齢によっても症状が異なります。2歳以下では、食物を飲み込みにくくなる嚥下(えんげ)障害や、胃食道逆流などの症状が約80パーセントに認められるのに対して、3歳をすぎると、合併する脊髄空洞症による腕から手にかけてのしびれや筋力低下、頭痛、脊椎側湾症といった症状が多くなります。

脊髄空洞症も2歳以下では、約30パーセントにしか伴いませんが、3歳をすぎると、85パーセント程度と高率に伴うようになります。

キアリ奇形2型の多くは、乳幼児期に発症しますが、やはり年齢によって症状が異なります。

2歳以下では、嚥下障害、呼吸障害が主な症状で、重症な場合は気管切開や、腹部に開けた穴から管で胃に栄養分を送る胃ろうが必要になることもあります。2歳以上では、キアリ奇形1型と類似した症状になってきます。脊髄髄膜瘤が致死的経過をとることもあるため、特に乳児では症状が出た場合に準緊急的な対応が必要になります。

キアリ奇形の検査と診断と治療

脳神経外科、脳外科の医師による診断では、頭部のMRI(磁気共鳴画像撮影)検査を行い、小脳扁桃が大後頭孔より下垂していると、キアリ奇形1型と確定します。

脊髄のMRI(磁気共鳴画像撮影)検査により、脊髄空洞症の有無を調べます。また、CT(コンピュータ断層撮影)検査やX線(レントゲン)検査を行い、頭蓋骨の形成異常、側湾など脊椎骨の変形を調べます。

キアリ奇形2型に対しては、合併する水頭症、脊髄髄膜瘤を併せて評価します。

脳神経外科、脳外科の医師によるキアリ奇形1型の治療では、基本的には小脳扁桃が下垂して空間が狭くなり、延髄などが圧迫されている大後頭孔部の減圧術を行います。

後頭骨の一部を削除した後、人工硬膜を用いて硬膜を形成し、空間を広げます。この手術で、合併する脊髄空洞症も改善する場合がほとんどです。改善しない場合は、空洞内にカテーテルを入れて、たまった脳脊髄液をくも膜下腔(こう)へ流す手術を行う場合があります。

キアリ奇形1型の80〜90パーセントは、手術により症状が改善し、予後良好とされています。

キアリ奇形2型の治療では、脊髄髄膜瘤に対する修復術と、水頭症に対する脳脊髄液の一部分を頭蓋骨の外へ流す処置や、シャントチューブと呼ばれる細い管を用いて頭以外の腹腔へ脳脊髄液を流す仕組み作りを優先します。

これらの治療にもかかわらず明らな症状が認められるようになった場合には、キアリ奇形1型に対するのと同じ減圧術を行います。しかし、予後は不良です。

🇲🇹奇異性尿失禁

排尿障害があって十分に排尿できないために起こる残尿の一時的な漏れ

奇異性尿失禁とは、排尿障害があって十分に排尿できず、常に膀胱が伸展しているために、一時的な少量の漏れを示す尿失禁。溢流(いつりゅう)性尿失禁とも呼ばれます。

尿失禁というと、尿を流す部分が緩んで垂れ流しになることと思われがちですが、一時的な漏れではなく、一日中、常に漏れ続ける失禁は真性尿失禁、または全尿失禁と呼び、代表例として挙げられるのは尿管開口異常などの先天性尿路奇形によって常に尿が漏れているもの、または手術などの際、尿道括約筋を完全に損傷したものです。

一方、一時的な漏れを示す奇異性尿失禁は、排尿障害があって尿が出にくい状態になっているのに、尿が無意識に漏れるものです。尿が出にくくても、新しい尿は腎臓(じんぞう)から次々に膀胱(ぼうこう)に送られてくるのでたまっていき、膀胱がいっぱいになると尿がチョロチョロと少量ずつあふれて出てきます。

膀胱に尿を保持できるものの、排尿しようとしても十分に排尿できずに、尿が少量ずつ漏れ出る状態であり、尿を保持できない尿失禁とは異なるために奇異性尿失禁といわれます。

この症状は、前立腺(ぜんりつせん)肥大症による下部尿路閉塞(へいそく)が原因となることが多いので、中高年男性に多くみられます。

前立腺肥大症による排尿トラブルは、膀胱への刺激による頻尿から始まります。前立腺は膀胱から出てすぐの尿道を取り巻いているので、前立腺肥大によって膀胱の出口や尿道への刺激が強くなり、夜中に何度も排尿のために起きるというような頻尿が始まります。同時に、会陰(えいん)部の不快感や圧迫感、尿が出にくいといった症状も現れます。

次に、排尿に際して尿が出切らずに、膀胱にたまる残尿が発生するようになります。この段階では排尿障害が次第に強くなり、息んで腹圧をかけないと出ないようになってきます。さらに、肥大した前立腺によって尿道が狭くなっていくと、慢性尿閉となります。残尿が多くなって膀胱は尿が充満した状態になり、尿意を感じなくなって気付かないうちに尿が少量ずつあふれて漏れる奇異性尿失禁の状態になります。

ほかには、女性が子宮がんを手術した後、糖尿病や脳血管障害で膀胱が収縮しなくなった場合に、奇異性尿失禁がみられます。

女性の場合は尿が出やすい体の構造なので、男性に比べて奇異性尿失禁の状態になるケースはまれですが、子宮がんや直腸がんの手術の後で一時的に膀胱が収縮しなくなった場合、大きな子宮筋腫(きんしゅ)で膀胱の出口が圧迫され尿閉になった場合、子宮脱や子宮下垂などで尿道が開きづらくなった場合に、奇異性尿失禁がみられます。

また、糖尿病や脊髄(せきずい)損傷、脳血管障害などによって、膀胱を中心とする末梢(まっしょう)神経系が器質的に傷害されると、膀胱が収縮しなくなる神経因性膀胱となり、たまった尿があふれて漏れる奇異性尿失禁がみられます。糖尿病では知覚がまひするために、尿意を感じないまま膀胱が膨らんで、1000ミリリットルもたまることがあります。

奇異性尿失禁がみられると、下着がぬれる、臭いが気になるなど、しばしば不快感を覚えることになります。最近は尿パッドも普及してきましたが、外出や人との交流を控えることにもつながりかねません。次第に日常生活の質が低下することも懸念されます。

奇異性尿失禁を放置していると、膀胱にたまっている尿に細菌が繁殖して尿路感染症や腎機能障害などを起こしたり、腎不全になることもあります。症状がみられたら、泌尿器科、ないし婦人科など専門医を受診してください。

奇異性尿失禁の検査と診断と治療

泌尿器科、ないし婦人科の医師による診断では、症状および各種検査を総合し、奇異性尿失禁の原因を確定します。一般的には問診、尿検査、超音波検査、血液検査、尿流動態(ウロダイナミクス)検査(膀胱内圧、腹圧、排尿筋圧、外尿道括約筋活動、尿流量測定)、尿路造影検査、内視鏡検査などを行って、奇異性尿失禁の原因を探ります。

泌尿器科、ないし婦人科の医師による治療は、奇異性尿失禁の原因になる疾患の種類によって異なり、基礎疾患があればその治療が第一です。前立腺肥大症や子宮脱、子宮下垂と診断すれば、その治療を行います。また、必要に応じて膀胱を収縮させる薬を用いることもあります。

前立腺肥大症が奇異性尿失禁の原因の場合は、症状が軽い場合は薬物療法から始め、症状がひどい場合や合併症を引き起こしている場合は手術療法を行います。

神経因性膀胱が奇異性尿失禁の原因の場合は、治療が可能ならばまず基礎疾患に対して行いますが、神経の疾患はなかなか治療の難しいことが多く、薬物療法、排尿誘発、自己導尿法などで排尿効率を高めることになります。

自己導尿法は、尿が出にくく残尿が多い場合に、1日に1〜2回、清潔なカテーテルを自分で膀胱内に挿入し、尿を排出させるものです。 これで、とりあえず症状は改善し、外出も容易になります。

🇲🇹キーンベック病

手首を構成する骨の一つである月状骨が壊死する疾患

キーンベック病とは、手首を構成する8個の骨の一つである月状(げつじょう)骨に、血流障害による壊死が起こる疾患。月状骨軟化症とも呼ばれます。

1910年、キーンベックによる初めての報告以来、この疾患名がつきました。月状骨は、手首(手関節)を構成する8個の小石のような骨(手根骨)のほぼ中央に位置します。つまり、周囲がほぼ軟骨に囲まれていて血行が乏しいために、血流障害に陥って壊死を起こしやすく、つぶれて偏平化します。体の中で、このような血流障害による壊死を起こしやすい部位は、ほかに大腿(だいたい)骨頭が挙げられます。

キーンベック病はバドミントン、テニスなどの手首をよく使うスポーツで発症することが多く、捻挫(ねんざ)や打撲などの軽微な外傷を切っ掛けに発症することもあります。職業的には工員、大工、農漁業など手をよく使う20、30歳代の男性に多く発症します。明らかな外傷や職歴のない女性、高齢者に発症することもあります。

何らかの原因で月状骨への血行が絶たれて発症すると考えられていますが、根本的な原因は不明です。

一説には、手首の使いすぎ、軽微な外傷の繰り返しなどが月状骨に損傷を起こし、血行障害に陥った骨では修復能力が乏しいため、次第に偏平化を引き起こすと考えられています。また、肘(ひじ)と手の間に位置する前腕に2本ある骨、橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の長さのバランスの違いにより、手関節内の月状骨にかかる圧力が強くなる場合に、発症しやすいと考えられています。

主な症状は、手首を動かしたり力を入れた時の痛みや、はれ、握力の低下、手首の動きの制限。壊死が進行すると、痛みのために手関節の変形性関節症の状態になり、日常生活で多大な不自由を生じるようになります。

10歳代前半で発症した場合などは自然治癒も期待できますが、成人では完全な治癒は期待しにくく、壊死が進みます。しかし、手首の使いすぎを抑えるとともに、痛みが落ち着いてくることもあります。

整形外科の医師による診断では、X線検査で月状骨に輝度変化が生じていたり、硬化像、偏平化が認められれば確定できます。MRI検査をすれば、より詳しい状況がわかります。

治療法は、症状、年齢などによって変わります。初期や痛みが強い時には、ギプス、装具などで固定を行い、しばらく安静にします。治らない時には、進行度などに応じていろいろな手術が行われます。月状骨にかかる力を減らして痛みを緩和するために橈骨短縮骨切り術や、部分手関節固定術が行われたり、手首のそばから血管や、血管をつけた骨を月状骨内に移植する方法なども行われます。

末期では、壊死した月状骨を隣の舟状骨、三角骨とともに切除する近位手根列切除術などが行われます。変形性関節症が生じた場合は、手首が動かないように固める全手関節固定術などが行われます。

🟥COP30、合意文書採択し閉幕 脱化石燃料の工程表は見送り

 ブラジル北部ベレンで開かれた国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)は22日、温室効果ガス排出削減の加速を促す新たな対策などを盛り込んだ合意文書を採択し、閉幕した。争点となっていた「化石燃料からの脱却」の実現に向けたロードマップ(工程表)策定に関する直接的な記述...