2022/08/19

🇹🇼鼻前庭炎

鼻の入り口、鼻毛の生えている部分に炎症が起きた状態

鼻前庭炎(びぜんていえん)とは、鼻の穴の入り口付近の鼻前庭と呼ばれる部位に、炎症が起きた状態。

鼻前庭は鼻毛が生えている部位で、不衛生な手で鼻先をこすったり、指先で鼻の穴をほじったり、鼻水をかみすぎたり、鼻毛を抜いたり、鼻毛を必要以上にカットすることで鼻前庭に傷ができ、鼻毛の毛根や皮脂腺(せん)、汗腺に細菌が感染すると、炎症が起きます。

鼻先や鼻前庭に症状が現れるのが特徴で、どちらかというと大人より子供に多くみられます。子供が頭や顔などにできているただれ物を触った指先で鼻の穴をいじると、鼻前庭にただれが飛び火します。

鼻前庭炎を起こす原因で最も多いのが、皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌による感染です。黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌は皮膚に常に一定量存在しており、鼻前庭にできた傷に感染して炎症を起こします。

鼻前庭炎を起こす、鼻先や鼻前庭に、はれ、痛み、かゆみが現れます。また、鼻前庭に、ただれ、ひび割れができたり、乾燥してかさぶたができることも多く、それが痛みやかゆみを助長することになり、かさぶたがはがれて出血すると、より症状が悪化します。

重症化すると、うみを持ったはれ物ができる鼻せつに発展し、鼻先や鼻前庭に、はれ、痛み、発赤が現れます。触ると、かなりの痛みが生じます。進行すると、うみが破れて出てくることもあり、それが原因で鼻詰まりを伴うこともあります。

症状が進行すると、皮膚の真皮の深いところから皮下脂肪組織にかけて化膿(かのう)性炎症を起こして蜂窩織炎(ほうかしきえん)を生じ、鼻の先端や、鼻の全体がはれることがあります。さらには、顔面蜂窩織炎を生じ、顔面まではれることもあります。

顔のこの部分の静脈は脳へとつながっているため、静脈を通って細菌が脳に広がると、退行性血栓動脈炎や続発性の海綿動脈洞血栓症などの頭蓋内合併症が起こることもあります。最悪の場合、増殖した細菌が血液中に入って敗血症を起こし、生命の危険を伴うこともあります。

また、糖尿病を発症していたり、免疫を低下させる疾患が潜在していると、繰り返し鼻せつを発症し、症状も重くなる傾向があります。

鼻がはれたら、余計に悪化するため、いじってはいけません。耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、適切な治療を受けるようにします。

鼻前庭炎の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、鼻鏡で観察するとすぐに確定できます。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、ブドウ球菌に有効な抗生剤が入ったバシトラシン軟こうや、ムピロシン軟こうなどを塗布する薬物療法が基本となります。

痛みや炎症が強い場合は、抗生剤が入った軟こうを塗布するとともに、抗生剤を内服し、消炎鎮痛剤も合わせて内服します。

うみを持ったはれ物できる鼻せつに発展し、かなりの痛みが生じている場合は、メスで切開し、うみを出すこともあります。

鼻前庭炎の予防としては、鼻先を触る、鼻の穴をほじる、鼻毛を抜く、鼻の脂を絞るなど、鼻を刺激することを必要以上に行わないのが効果的です。鼻毛は抜かずにハサミで適当な長さに切り、鼻の穴をきれいにする際は直接指を突っ込むのではなく、ティッシュを使うようにします。

また、鼻の中にはもともと雑菌が多いため、小さな傷やはれ物ができた場合は、すぐに消毒することで重症化を防げます。

🇹🇼鼻前庭湿疹

鼻の入り口、鼻毛の生えている部分に湿疹ができた状態

鼻前庭湿疹(びぜんていしっしん)とは、鼻の穴の入り口付近の鼻前庭と呼ばれる部位に、湿疹ができ、かゆみが出る状態。乾燥性前鼻炎とも呼ばれます。

鼻前庭は鼻毛が生えている部位で、不衛生な指先で鼻の穴をほじったり、鼻毛を抜いたり、鼻毛を必要以上にカットすることで鼻前庭の皮膚に傷が付くことが原因となって、炎症が生じ鼻前庭湿疹を起こすことがあります。

また、いわゆる蓄膿(ちくのう)症と呼ばれる慢性副鼻腔(ふくびくう)炎や、急性および慢性の鼻炎、アレルギー性鼻炎などが原因となって、鼻前庭湿疹を起こすことがあります。慢性副鼻腔炎や鼻炎では、常に鼻水や分泌物が出ていることがあり、鼻前庭は絶えず刺激され、湿っています。不快感から鼻をこすったり、鼻をかんだりする機会も増えます。そうした刺激によって、皮膚に赤いただれが生じて、鼻前庭湿疹を起こすことになります。

鼻前庭湿疹を起こすと、かゆみや刺激を感じ、チクチクする痛みを伴うこともあります。皮膚が乾いて、かさぶたができることもあり、余計にかゆみを感じます。

症状が進むと、鼻前庭の後ろに続く鼻中隔粘膜にも湿疹が及んで、潰瘍(かいよう)ができ、鼻血が出ることもあります。湿疹を起こした部位に、皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌などの細菌が感染すると、さらに重い症状を引き起こすこともあります。

鼻前庭湿疹は、刺激すると余計に症状が悪化します。鼻をこすったり、いじったりする癖のある子供は、耳鼻咽喉(いんこう)科を受診し、鼻の疾患がないかどうか診察してもらうことが勧められます。

鼻前庭湿疹の検査と診断と治療

耳鼻咽喉科の医師による診断では、鼻鏡で鼻の粘膜の状態を観察することで、おおかた確定できます。

耳鼻咽喉科の医師による治療では、副腎(ふくじん)皮質ホルモン(ステロイド)と抗生剤(抗生物質)が入った軟こうを患部に塗ります。一日に2~3回、風呂(ふろ)上がりや朝の起床時などに塗るようにします。

鼻水が止まらない症状が出ている時は、同時に鼻炎を治療する薬を服用します。

治療中は患部にできるだけ触れないようにすると、湿疹を早く治すことができます。どうしても鼻をいじってしまう子供の場合は、爪(つめ)を清潔にして、薄手の手袋をはめ、鼻をいじられなくすることもあります。

再発予防のためには、鼻前庭湿疹の原因となる鼻の疾患に対する治療も行います。

🇹🇼脾臓破裂

腹部を強打して破裂することが多く、伝染性単核球症で自然に破裂することも

脾臓(ひぞう)破裂とは、左横隔膜の下、左肋骨弓(ろっこつきゅう)のところにある100グラムほどの臓器である脾臓が破裂すること。

交通事故やスポーツ事故、打撲などで腹部を強打して破裂することが多く、特に脾臓がはれている脾腫(しゅ)のある人は健康な人に比べて、破裂しやすくなっています。

また、主にEB(エプスタイン・バー)ウイルスの感染で起こる伝染性単核球症が原因で脾臓がはれて大きくなると、腹に圧力や衝撃がかかる運動や軽微な外傷で破裂したり、自然に破裂しやすくなります。

一般に、左上腹部の疼痛(とうつう)が、脾臓破裂に先行して起こります。脾臓が破裂すると、脾臓を覆う被膜や内部組織も裂けます。古くなった血球、すなわち赤血球、白血球、血小板を破壊して処理したりする脾臓は血管の豊富な臓器であるため、被膜が避けると血液が腹腔(ふくくう)内に流出して腹痛が起こり、血圧が下がって、めまいや意識障害などの症状が現れます。腹筋も反射的に収縮して、硬くなります。

大量に血液が流出している場合は、出血性ショックにより生命にかかわる危篤な状態になることもあるので、すぐに処置しなければいけません。 緊急に輸血して血液循環を維持するとともに、手術を実施して止血する必要があります。

血液が徐々に漏れ出している場合は、血流量が減少して血圧が低下し、脳や心臓に十分な酸素が供給されなくなって、初めて症状が現れることもあります。低血圧や酸素欠乏による症状には、めまい、意識障害、視力障害、錯乱、意識喪失などがあります。

脾臓の損傷が破裂にまで至らず、被膜下血腫を起こすこともあり、その血腫は損傷を受けた数時間後、あるいは数カ月後まで破裂しないこともあります。

脾臓破裂の検査と診断と治療

外科、消化器外科などの医師による診断では、症状が脾臓破裂以外の原因によるものかどうかを判定するため、腹部X線検査を行います。超音波検査やCT検査を行うこともあります。放射性物質を使った画像検査で、血流をたどって出血の有無を確認したり、腹腔内の体液を針で吸引して、腹腔内の出血を調べることもあります。

脾臓破裂の疑いが濃厚である場合は、緊急手術を行って、致死的な出血を未然に防ぎます。通常は手術で脾臓全部を除去しますが、破裂範囲が小さい場合は修復できることもあります。

脾臓を摘出すると、細菌やウイルスに対して防御する働きが失われ、感染を起こしやすくなるなどのリスクが生じますが、命にかかわるような問題がある場合は手術を行う価値があります。しかし、特に小児の場合、細菌感染に対する永久的な感受性が生じるのを防ぐため、可能なら脾臓摘出を避け、必要に応じた輸血で対処します。

脾臓摘出の実施前後には、感染を防ぐための特別な注意が必要です。例えば、可能であれば、手術前には肺炎球菌に対する予防接種を行います。

手術後は毎年、インフルエンザの予防注射を受けることが推奨されます。特定の健康状態にある人、例えば鎌状赤血球症やがんなど命にかかわる感染症を起こすリスクの高い疾患を持っている人では、感染を防ぐ抗生物質の使用が推奨されます。

伝染性単核球症の治療では、抗EBウイルス薬はないため、安静と対症療法が中心です。症状が長引く場合は、ステロイドホルモン剤を用いることもあります。重症の場合は、血漿(けっしょう)交換療法や抗がん剤が用いられます。

🇷🇺肥大型心筋症

心臓の筋肉の疾患で、左心室心筋の異常肥大を特徴とする疾患

肥大型心筋症とは、心臓で血液を送り出している左心室心筋の異常肥大を特徴とし、原因または原因との関連が不明な疾患。原因として多くは、心筋収縮に関連する蛋白(たんぱく)質の遺伝子変異が認められます。

血管系統の中心器官である心臓には、4つの部屋があります。上側の右心房と左心房が、血液を受け入れる部屋です。下側の右心室と左心室が、血液を送り出す部屋です。4つの部屋がリズミカルに収縮することで、心臓は絶え間なく血液を全身に送り出すことができるのです。リズムを作っているのが心臓の上部にある洞結節(どうけっせつ)と呼ばれる部分で、1分間に60~80回の電気刺激を発生させて、心臓を規則正しく収縮させています。

心筋が肥大して厚くなると、心臓内部の空間が狭くなって、心臓は十分な量の血液を送り出せなくなります。右心室と左心室の間にある心室中隔の上部で、左心室心筋の肥大が著しい場合には、心臓が収縮する時に左心室の血液流出路の狭窄(きょうさく)を生じるものがあり、これを閉塞(へいそく)性肥大型心筋症と呼びます。

狭窄の生じないものは、非閉塞性肥大型心筋症と呼びます。この非閉塞性肥大型心筋症の中で、肥大する部位が心臓の底の心尖(しんせん)部に限局するものは、心尖部肥大型心筋症と呼びます。

また、肥大型心筋症では、心室中隔以外の部分である左心室自由壁に比べて、心室中隔の異常肥大が著しいことが一般的なため、非対称性中隔肥大と呼ぶこともあります。

症状としては、非閉塞性肥大型心筋症では、動悸(どうき)、呼吸困難、胸部圧迫感、胸痛などが自覚症状として現れます。

閉塞性肥大型心筋症では、さらにめまい、あるいは失神が加わります。失神の多くは運動時に起こりますが、運動をすると安静時よりも心臓が強く収縮するため、左心室の血液流出路の閉塞を強めるためと考えられます。重い場合には、運動中に急死することもあります。多くみられるのは、若年者で家族歴に急死例のある人。

非閉塞性肥大型心筋症では多くの場合、無症状か症状が軽度なので、検診の心電図異常で見付かるか、自覚症状がないまま突然死でたまたま見付かることもまれではありません。

肥大型心筋症の検査と診断と治療

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による診断では、症状、身体所見、心電図などの各種検査、特に心臓超音波検査(心エコー)の所見により、心筋肥大の分布、心臓全体の収縮力の状態を判断します。

閉塞性肥大型心筋症の場合には、左心室の血液流出路付近の狭窄部分の血流の速さを超音波ドップラー法を用いて測定し、重症度を調べます。

循環器科、循環器内科、心臓血管外科、心臓血管内科、不整脈科、不整脈内科などの医師による治療では、β(ベータ)遮断剤やカルシウム拮抗(きっこう)剤、ジソピラミド(リスモダン)などを処方します。これらの薬剤は、心筋の弾力性を保ったり、左心室の血液流出路の狭窄を軽減したりする目的で用います。しかし、これらの薬剤も急死を予防できるものではありません。

閉塞性肥大型心筋症の場合には、ペースメーカーの植え込みによる治療を行うこともあります。この治療は、右心室側へ外的な電気刺激を与えて心筋の収縮リズムをコントロールすることにより、左心室側の心筋の収縮に遅れが生じて血液流出路の狭窄が著しく軽減することを利用したもので、ぺースメーカーの植え込み後はほとんどの症例で、短期間のうちに失神発作などの症状がなくなります。

心筋の異常肥大が著しい場合には、肥大している心筋に栄養を送っている冠動脈にエタノールを注入して、その心筋を部分的に壊死させたり、肥大している心筋の一部を切り取って血液が流れやすくする手術を行うこともあります。

日常生活では、自覚症状のない軽症例でも運動中の急死が起こりますから、急激な運動は避けます。

🇷🇺火だこ

比較的低い温熱刺激が皮膚表面に作用して生ずる紫紅色の色素沈着

火だことは、温風ヒーターや赤外線電気こたつなどからの44度以下の比較的低温の温熱刺激が長時間、あるいは繰り返し皮膚表面に作用することで生じる紫紅色の網目状、あるいは斑(まだら)状の色素沈着。温熱性紅斑(こうはん)とも呼ばれます。

暖房器具で至近距離から、火傷(やけど)を起こさない程度の温熱で温めた場合に、皮膚と毛細血管周囲の線維組織が温熱刺激で炎症を起こして、色素沈着ができます。毛細血管の走行に沿って、最初は赤くなり、次第に紫がかった紅色になってゆきます。

触っても、しこりなどはなく、かゆみも痛みもないのが一般的ですが、痂皮(かひ)や潰瘍(かいよう)、痛み、かゆみも伴うこともあります。

皮膚の深い部分に損傷がおよんでいると、低温火傷になり、水疱(すいほう)ができたりします。

温風ヒーターやハロゲンヒーター、ストーブの熱い空気の噴き出し口に当てていた皮膚や、赤外線電気こたつ、電気毛布、あんか、懐炉、火鉢、湯たんぽなどに長時間接していた皮膚などに、火だこができます。

エアコンが普及した現代では減りましたが、生活習慣がもたらした意外な原因の火だこもみられるようになりました。例えば、ホットカーペットの上でいつも同じ体位で寝ていたため、温熱刺激を受けていた側の胸から腹部に生じた例などです。最近では、自動車のヒーターや加温装置付きの椅子が原因となった例もあります。

中年から高齢の人に多く、また女性の下腿部分に多くみられます。
 冬場にもスカートをはいて、机の足元に暖房器具を置いて仕事をしたりする女性では、温熱刺激がじかに下肢に作用して、太もも、ひざから下の下腿などに火だこを生じやすく、時に皮膚がんの発生素地になり、角化性小結節と呼ばれる、がん前駆症や有棘(ゆうきょく)細胞がんが発生することもあります。

通常は夏になると、色素沈着は薄くなったり消えたりしますが、原因に気付かず温熱刺激を長期間にわたって続けると色素沈着が取れにくくなります。

火だこの検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、特徴的な色素沈着とその分布、経過より判断します。
 似た症状があり鑑別すべき疾患としては、血の巡りに問題があって網目のように主に下肢の皮膚が赤紫色に変わるリベドー疾患(網状皮斑〔もうじょうひはん〕)があります。

治療の効果がみられない場合や経過の長い場合は、皮膚の一部を採取して顕微鏡で調べる組織検査を行うこともあります。また、皮膚以外にも症状が現れていないかどうかを確認するため、血液検査、尿検査、レントゲン写真など、必要に応じて検査が追加されます。

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、赤みが強く、炎症を起こしている場合、ステロイド剤の塗り薬を処方します。潰瘍もあれば、潰瘍治療も併用します。

色素沈着を防ぐために、ビタミンCなどの内服薬を処方することもあります。色素沈着が残ってしまった場合は、ビタミンCなどの内服薬やハイドロキノンなどの美白作用のある外用剤を使用して、改善するようにします。

人目が気になる場合は、カバー用化粧品やファンデーションなどで目立たなくするのも一つの方法です。

火だこを予防するには。暖房器具で暖を取る際に、長時間同じ皮膚の部位が当たらないようにすること、暖房器具を皮膚の至近距離に設置しないこと、暖房器具の温度をあまり上げないこと、暖房器具に当たりながら入眠しないことなどに気を付けます。エアコンを使って、部屋全体を加温、加湿するのも有効です。

🇰🇿ビタミン過剰症

脂溶性のビタミン剤の過剰摂取で、いろいろな症状が出現

ビタミン過剰症とは、ビタミン剤やサプリメントの飲みすぎ、特定の食品の取りすぎによって生じる疾患。普通の食生活をしている限りでは、まず起こらないといってよいでしょう。

ビタミンB群、ビタミンCのような水溶性のものは、過剰に摂取しても尿からどんどん出るので、過剰症を心配する必要はほとんどありません。これに対して、脂溶性のビタミンA、ビタミンD、ビタミンKは、過剰に摂取すると体内、ことに肝臓に蓄積されて、いろいろな症状が起こってきます。脂溶性ビタミンのうちビタミンEは例外で、過剰症の可能性は低いとされています。

ビタミンA過剰症では、頭痛、嘔吐(おうと)、めまい、下痢、鼻血、食欲不振、体重減少、脱毛、皮膚や粘膜の剥脱(はくだつ)などの症状とともに、骨がもろくなり、肝臓の機能も悪くなります。妊婦においては、著しく大量のビタミンAを服用したため、胎児に奇形が生じた例が報告されています。

ビタミンD過剰症では、骨からカルシウムが分離し、関節、腎臓(じんぞう)、心臓、膵臓(すいぞう)、皮膚、リンパ節などにカルシウムがたまります。そのために、骨がもろくなったり、腎臓の機能が悪くなり、尿毒症になることもあります。現れる症状は、全身倦怠(けんたい)感、口渇、食欲不振、吐き気、頭痛、皮膚のかゆみ、多尿、便秘、脱水、腎障害、精神抑うつなどです。

ビタミンK過剰症では、呼吸因難、皮膚水疱(すいほう)、新生児溶血性貧血が現れます。

ビタミン過剰症の検査と診断と治療

ビタミンA過剰症はビタミンAの服用を、ビタミンK過剰症はビタミンKの服用を中止すれば治ります。ビタミンD過剰症の治療も、ビタミンDの投与をやめることですが、いったんカルシウムが石灰化して腎臓に沈着すると、なかなか取れません。ビタミンDの過剰摂取には、特に注意する必要があります。

これはビタミンDだけに限らず、ビタミンA、ビタミンKについても同じですが、市販の総合ビタミン剤などをやたらに飲んだり、子供に飲ませることは、かえって害があります。注意書きにある指示量を守るようにしましょう。

2022/08/18

🇰🇿ビタミン欠乏症

ビタミンの欠乏で、いろいろな疾患が出現

欠乏症を起こす主なビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、ニコチン酸、およびビタミンCです。

ビタミン欠乏症は、食べ物から摂取するビタミンの量が体の必要とするビタミン量を満たさないか、あるいは、摂取する量は十分でも体内への吸収や利用が十分でない時に起こります。前者は発育期や授乳で消費が多い時など、後者は胃や腸の一部を手術で切り取った後などが相当します。

ビタミンA欠乏症(夜盲症)

夜盲(やもう)症とは、夜間や暗い場所での視力、視野が著しく衰え、目がよく見えなくなる疾患。俗に、鳥目(とりめ)と呼ばれます。

先天性では、幼児期より徐々に発症するものと、発症しても生涯進行しないものがあります。後天性では、ビタミンAの欠乏によって発症します。網膜にあって、夜間の視覚を担当するロドプシンという物質が、ビタミンAと補体から形成されているため、ビタミンA不足は夜間視力の低下につながるのです。夜盲症が進行すると、結膜や角膜の表面が乾燥して白く濁り、失明することもあります。

なお、ビタミンAは発育の促進、皮膚の保護の機能とも関係しているので、これが欠乏すると、乳幼児の発育が遅れたり、皮膚がカサカサになったりすることもあります。

ビタミンB1欠乏症(かっけ)

かっけ(脚気)とは、ビタミンB1欠乏症の一つで、ビタミンB1(チアミン)の欠乏によって心不全と末梢(まっしょう)神経障害を来す疾患。心不全によって下肢のむくみが、末梢神経障害によって上下肢のしびれが起きます。

ビタミンB1は、糖質の代謝に重要なビタミンです。白米を主食として副食の少ない食事を長期間続けた際や、重労働、妊娠、授乳、甲状腺(せん)機能高進症などでビタミンB1の消費が一時的に増大した際に、糖質の分解産物であるピルビン酸や乳酸が蓄積されて、かっけが起こります。

かっけの症状としては、初めは体がだるい、手足がしびれる、動悸(どうき)がする、息切れがする、手足にしびれ感がある、下肢がむくむなどが主なものです。進行すると、足を動かす力がなくなったり、膝(ひざ)の下をたたくと足が跳ね上がる膝蓋腱(しつがいけん)反射が出なくなり、視力も衰えてきます。

かつては、かっけ衝心(しょうしん)といって、突然胸が苦しくなり、心臓まひで死亡することもありましたが、現在ではこのような重症例はほとんどありません。

しかし、三食とも即席ラーメンを食べるといったような極端に偏った食生活によるかっけなどが、最近は若い人に増えてきています。インスタント食品やスナック菓子には脂質とともに糖質も多く含まれているのですが、この糖質の消費に必要なビタミンB1の摂取量が足りていないのです。また、過度なダイエットや欠食、外食によって、女子大学生の血中総ビタミンB1の値が非常に低いことも報告されています。

さらに、糖尿病の発症者と、高齢の入院患者にも、かっけが増えてきているといいます。糖尿病の場合は、血液中の糖質に対するビタミンB1の相対的な不足が原因となり、高齢の入院患者の場合は、高カロリー(糖質)の輸液に対してやはりビタミンB1の不足が原因となります。食事の代わりに酒を飲むといったアルコール依存症の人も、ビタミンB1欠乏症になる確率が高いと見なされています。

なお、ビタミンB1の欠乏症には、欧米に多いウェルニッケ・コルサコフ症候群もあります。こちらは中枢神経が侵される重症の欠乏症で、蛋白(たんぱく)質、脂質中心の食生活で、アルコールを多飲する人に多発します。症状は、意識障害、歩行運動失調、眼球運動まひ、健忘症など。

ビタミンB2欠乏症

ビタミンB2欠乏症とは、ビタミンB2(リボフラビン)の欠乏によって、皮膚や粘膜にトラブルが現れたり、子供の発育が悪くなったりする疾患。

ビタミンB2には皮膚を保護する働きがあるので、欠乏すると皮膚や粘膜にいろいろな症状が現れてきます。例えば、唇の周囲やふちがただれたり、舌が紫紅色にはれたり、肛門(こうもん)や外陰部などの皮膚と粘膜の移行部のただれなどもみられます。目の充血や眼精疲労などの症状のほか、進行すると白内障を起こすこともあります。 脂漏性皮膚炎も認められ、鼻の周囲や顔の中央部に脂ぎった、ぬか状の吹き出物ができます。重症になると、性格変化や知能障害が現れることがあります。

ビタミンB2にはまた、子供の発育を促す働きがあるので、欠乏した子供では成長不良につながります。成長期には、必要量を十分取らなければなりません。

ビタミンB2は、体内で糖質、蛋白(たんぱく)質、脂肪をエネルギー源として燃やすのに、不可欠な水溶性ビタミンです。ビタミンB2欠乏症は、アルコールの多飲、糖質過剰摂取、激しい運動、労働、疲労などで、現れることがあります。多量の抗生物質や経口避妊薬、ある種の精神安定薬や副腎(ふくじん)皮質ステロイド薬などを長期に服用した時にも、現れることがあります。また、心臓病、がん、糖尿病、肝炎、肝硬変などの慢性疾患や吸収不良によって、ビタミンB2欠乏症のリスクが高くなります。血液をろ過する血液透析や腹膜透析でも、同様です。

ビタミンD欠乏症(くる病)

くる病とは、骨が軟らかくなり、変形を起こしてくる疾患。骨成長期にある小児の骨のカルシウム不足から起こる病的状態で、成人型のくる病は骨軟化症と呼びます。

カルシウム不足による骨の代謝の病的状態というのは、骨基質という蛋白(たんぱく)質や糖質からなる有機質でできた骨のもとになるものは普通に作られているのに、それに沈着して骨を硬くする骨塩(リン酸カルシウム)が欠乏している状態です。このような状態では、骨が軟らかく弱くなります。

子供では、骨が曲がって変形したり、骨幹端部の骨が膨れてくることがあります。成人でも、骨が曲がったり、骨粗鬆(そしょう)症と同様に、ちょっとした外部の力で骨折が起こるようになります。

くる病の原因は、いろいろあります。ビタミンD欠乏による栄養障害、腎(じん)臓の疾患、下痢や肝臓病などの消化器の疾患、甲状腺(せん)や副腎などのホルモンの異常に由来するものや、妊娠、授乳などによるカルシウム欠乏に由来するものがあります。

骨粗鬆症と同時に存在することも多く、その場合には骨粗鬆軟化症と呼んでいます。

ニコチン酸欠乏症(ペラグラ)

ニコチン酸欠乏症とは、ビタミンBの一つであるニコチン酸が欠乏することにより、皮膚炎、下痢、精神錯乱などを起こす疾患。ナイアシン欠乏症とも呼ばれ、とうもろこしを主食とする中南米などの地域ではペラグラとも呼ばれています。

ニコチン酸は、ナイアシンとも呼ばれる水溶性のビタミンで、蛋白(たんぱく)質に含まれる必須アミノ酸のトリプトファンから体内で合成されます。糖質、脂質、蛋白質の代謝に不可欠な栄養素であり、また、アルコールや、二日酔いのもとになるアセトアルデヒドを分解します。人為的にニコチン酸を摂取することで、血行をよくし、冷え性や頭痛を改善しますし、大量に摂取すれば血清のコレステロールや中性脂肪を下げる薬理効果もあります。

ニコチン酸欠乏症はとうもろこしを主食とする人に多い疾患ですが、日本では、不規則な食事をするアルコール多飲者にみられます。酒を飲むほどニコチン酸が消費されますので、つまみを食べずに大量に飲む人は、栄養不良に注意が必要です。特にビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6が不足すると、ニコチン酸の合成能力が低下します。

遺伝病であるハートナップ病の人も、トリプトファンが腸から吸収されないために、ニコチン酸欠乏症を発症します。

症状としては、日光に当たることによって手や足、首、顔などに皮膚炎が起こります。同時に、舌炎、口内炎、腸炎などを起こし、そのために食欲不振や下痢なども起こします。その後、頭痛、めまい、疲労、不眠、無感情を経て、脳の機能不全による錯乱、見当識の喪失、幻覚、記憶喪失などが起こり、最悪の場合は死に至ります。

日本では普通の食事をしている限り、重症にはなりません。食欲減退、口角炎、不安感などの軽いニコチン酸欠乏症が見られる程度です。

ビタミンC欠乏症(壊血病)

壊血病とは、ビタミンCの欠乏によって、出血性の障害が体内の各器官で生じる疾患。ビタミンC欠乏症とも呼ばれます。

水溶性ビタミンであるビタミンCは、血管壁を強くしたり、血液が凝固するのを助けたりする作用を持っています。また、生体内の酸化還元反応に関係し、コラーゲンの生成や骨芽細胞の増殖など、さまざまな作用も持っています。

成人におけるビタミンCの適正摂取量は、1日に100mgとされています。日本人はもともとビタミンCの摂取量が多く欠乏症になりにくいのですが、3~12カ月に渡る長期、高度のビタミンC欠乏があると、壊血病が生じます。妊娠や授乳時では、ビタミンCの必要量も増えます。

ビタミンCが欠乏すると、毛細血管が脆弱(ぜいじゃく)となって、全身の皮下に点状の出血を起こしたり、歯肉に潰瘍(かいよう)ができたり、関節内に出血を起こしたりします。また、消化管や尿路から出血することもあります。一般症状として、全身の倦怠感(けんたいかん)や関節痛、体重減少が現れます。

小児においても、壊血病は生じます。特に生後6~12カ月間の人工栄養の乳児に発生し、モラー・バーロー病とも呼ばれています。現れる症状は、骨組織の形成不全、骨折や骨の変形、出血や壊死(えし)、軟骨や骨境界部での出血と血腫(けっしゅ)、歯の発生障害などです。

ビタミン欠乏症の検査と診断と治療

ビタミンA欠乏症(夜盲症)

ビタミンA欠乏性の夜盲症以外の場合、治療法が確立しておらず、光刺激を防ぐ対策を必要とします。遮光眼鏡を使用したり、屋外での作業を控えるなどです。

ビタミンA欠乏性では一般に、ビタミンAを経口で服用し、ビタミンAを多く含む食品を適度に取ります。ビタミンAには、レバーやウナギなど動物性のものに含まれるレチノールと、主に緑黄色野菜などの植物性食品に含まれβ-カロチンの2種類があります。ただし、過度に摂取するのは、ビタミンA中毒を引き起こすのでよくありません。

ビタミンB1欠乏症(かっけ)

かっけの検査では、ハンマーなどで膝の下を軽くたたく、膝蓋腱反射を利用した方法が広く知られています。足がピクンと動けば正常な反応で、何も反応がなければかっけの可能性がありますが、診断を確定する検査ではありません。

かっけの治療では、ビタミンB1サプリメントを投与します。なお、かっけの症状は回復したようにみえても、数年後に再発することがあるので注意が必要です。

ビタミンB1はいろいろな食べ物の中に含まれているので、偏食さえしなければ、欠乏症を起こすことはほとんどありません。過度のダイエット、朝食や昼食を抜く、外食で食事をすませる、インスタント食品に偏るなどの食生活では、ビタミンB1の不足を招き、かっけになりやすくなります。

ただし、ビタミンB1が不足していても、他の栄養素のバランスがいい場合は、すぐにかっけにはなりません。食生活に偏りがあって、疲労感や倦怠(けんたい)感が続いている場合は、潜在的ビタミンB1欠乏症と考えて、食生活を改善する必要があります。

お勧めなのは玄米食。玄米にはビタミンB1が多く含まれているからで、玄米を精米した白米ではほぼ全部のビタミン類が取り除かれています。玄米のほかにビタミンB1を多く含む食品には、豚肉、うなぎ、枝豆、えんどう豆、大豆(だいず)、ごま、ピーナッツなどがあります。これらをうまく組み合わせて、ビタミンB1を摂取していきましょう。

ビタミンB2欠乏症

医師による診断は、現れた症状や全身的な栄養不良の兆候に基づいて行います。尿中のビタミンB2排出量を測定し、1日40μg以下であれば欠乏症です。血中のビタミンB2濃度の測定も行われます。

治療では、ビタミンB2を症状が改善されるまで、経口で服用します。ビタミンB2の1日所要量は成人男性で1・2mg、成人女性で1・0mgとされており、1日10mgを経口で服用すると症状は完全に改善します。他のビタミン欠乏症を伴うことも多く、その場合はビタミンB1、ビタミンB6、ニコチン酸なども服用すると、より効果的です。

なお、ビタミンB2吸収不良を生じている場合、血液透析や腹膜透析を受けている場合は、ビタミンB2サプリメントを日常から摂取する必要があります。

ビタミンD欠乏症(くる病)

確定診断のためには、X線写真で確かめるほか、血液検査や尿検査、血清生化学検査などにより、ビタミン、ホルモン、カルシウム、リン、血清アルカリホスファターゼなどの数値を測定します。

治療では、原因に応じて対処することになります。一般には、ビタミンDなどの薬剤投与を行い、小魚や牛乳などのようにカルシウムの多い食べ物を摂取し、日光浴をします。ビタミンDには、カルシウムやリンが腸から吸収されるのを助け、骨や歯の発育を促す働きがあります。このビタミンDは食べ物の中にあるほか、皮膚にあるプロビタミンDという物質が、紫外線を受けるとビタミンDになります。

骨が軟らかくなるのが治っても、骨の湾曲、変形などが強く残ったものは、骨を切って変形を矯正する骨切り術を行うこともあります。

ニコチン酸欠乏症(ペラグラ)

ニコチン酸欠乏症の治療は、ニコチン酸を含むビタミンB群の投与です。ニコチン酸アミドを1日50〜100mg投与し、他のビタミンBの欠乏を合併することも多いので、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6も併用して投与します。ビタミンB群は、お互いに協力しあって活動しているため、それぞれの成分だけではなく、ビタミンB群としてまとめて投与することが望ましい栄養素でもあります。

ニコチン酸の過剰症は特にありませんが、合成品のニコチン酸を100mg以上摂取すると、皮膚がヒリヒリしたり、かゆくなることがあります。とりわけ、ニコチン酸の摂取に際して注意が必要なのは、糖尿病の人です。ニコチン酸はインシュリンの合成に関与し、大量に摂取すると糖質の処理を妨げてしまいます。 一部の医薬品との相互作用を示唆するデータもあるため、すでに他の薬を服用中の場合は主治医に相談の上、ニコチン酸を摂取する必要があります。

ビタミンC欠乏症(壊血病)

乳児では1日100mg、成人では1日1000mgのビタミンCを投与すると、症状の改善が認められます。ただ、長期に投与すると尿路結石(シュウ酸カルシウム結石)が生じることがあり、注意が必要です。

予防としては、新鮮な果物や野菜を十分に取ります。また、煮すぎない、ゆですぎない、ミキサーに長時間かけないなど、調理によるビタミンCの破壊に気を付ければ、まず壊血病の心配はありません。

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