2023/06/14

🟧エムポックスのワクチン接種、男性同士の性的接触者に拡大へ 国内で今年166人感染

 「エムポックス(サル痘)」に感染した人の濃厚接触者に接種しているワクチンの対象者を、男性同士の性的接触がある人など高リスク者に広げる方針を厚生労働省が固めたことが、13日明らかになりました。近く国立国際医療研究センター(東京都新宿区)が中心となり、複数の医療機関で臨床研究として接種を始めます。

 エムポックスはサル痘と呼ばれていたものの、世界保健機関(WHO)の英語表記で「mpox」への名称変更を踏まえ、日本も5月にエムポックスへ変えました。

 エムポックスは、血液や体液を介して感染し、発熱や発疹など天然痘に似た症状が出ます。今年に入り国内の感染者は増えており、国立感染症研究所が13日に発表した速報値では、4日までに計166人。

 2023年6月14日(水)

🟧ゲノム編集iPS細胞を提供開始 拒絶反応のリスク減少、京大財団

 京都大iPS細胞研究財団(理事長=山中伸弥・京大教授)は14日、ゲノム編集の技術で免疫の拒絶反応を抑えられるようにした医療用iPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発し、製薬企業などへの提供を開始したと発表しました。安全性や有効性を確かめる臨床試験に活用してもらい、iPS細胞を使った医療の普及を目指します。

 iPS細胞は皮膚や血液から作って、筋肉や神経などの細胞に変化させることができ、病気やけがで失われた組織や臓器を新しい細胞で補う再生医療の実現が期待されています。患者本人から作れば移植しても拒絶反応は起きない一方で、作製には1人当たり数千万円以上の費用と、半年以上の期間がかかるのが課題でした。

 この課題を克服するため、山中教授らは2013年度から、拒絶反応を受けにくい特別な「細胞の型」を持つ健康な人を探し、多くの人に適合するiPS細胞を作って備蓄するプロジェクトを開始。財団を設立し、これまでに7人から血液の提供を受けてiPS細胞を作りましたが、適合するのは日本人の約4割にとどまっています。

 そこで新たに、狙った遺伝子を精密に操作できるゲノム編集の技術を使って「細胞の型」を改良し、多くの人に適合できるようにする方法を検討。拒絶反応にかかわる重要な3つの遺伝子を外したiPS細胞を作製しました。この細胞は、強い拒絶反応については、ほぼ回避できる可能性があるといいます。

 財団は昨年11月、ゲノム編集した医療用のiPS細胞の提供を開始すると発表し、山中教授は「研究開発はこれからが正念場。患者に届けるというゴールに向けて頑張りたい」と語っていました。

 ゲノム編集が狙った遺伝子以外にダメージを与えていないかなどを検査するとともに、供給体制を整備しました。今後、希望する製薬企業や医療機関、研究機関などに提供し、難病などの治療につなげたい考えです。

 今後、各機関が治験を実施するなどし、遺伝子を改変したiPS細胞を人に移植しても問題ないかどうかや、移植できる対象をどこまで拡大できるか確認を進めます。

 財団によると、約30万個のiPS細胞入りの容器1本で約20万円。非営利機関には無償で提供します。

 2023年6月14日(水)

🟧東京都、 水質調査の地点を追加し1年前倒し実施へ 「PFAS」汚染問題

 東京都の多摩地域の地下水から発がん性の疑いがある有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)が検出されている問題について、東京都は13日の都議会代表質問で、高濃度のPFASが検出されている地域で水質調査の地点を増やす方針を明らかにしました。環境省がPFASに関する自治体向けの対応の手引を改訂する方針で、その前に都内の現状を把握するといいます。

 都環境局は4年ごとに、飲用を含む都内260地点の井戸水の水質を定点調査しています。2021年までに、PFASの国の暫定指針値(1リットル当たり50ナノグラム)を超過したのは、多摩地域を中心に24地点ありました。都は今後、濃度の高かった地域で調査地点を追加します。追加地点数や地点の場所については決まっていないといいます。

 村松一希氏(都民ファーストの会)の質問に、栗岡祥一環境局長が「指針値の超過が判明した地下水を飲用しない取り組みの徹底が重要。きめ細かく把握していきたい」と述べました。

 定点調査は現在、2021〜2024年度の3年目。都は計画を1年前倒しし、本年度中に全地点の調査を終えることも明らかにしました。環境省はPFAS対応の手引の改訂に合わせ、暫定指針値を超えた場合の具体的な対応などの公表を検討しています。都環境局の担当者は「改訂に間に合うよう、調査を進めたい」と話しました。

 都環境局が調査対象としている井戸とは別に、都水道局は多摩地域で水道水源に利用している7市の井戸40カ所を、PFAS汚染の影響で取水停止としています。

 2023年6月14日(水)

2023/06/13

🟧川崎市、ぜんそく患者への医療費助成廃止へ 関係者が市に抗議、存続求める

 川崎市は、高度経済成長期の深刻な大気汚染を切っ掛けに、市内のぜんそく患者に独自に行ってきた医療費の助成制度を廃止する条例案を12日、市議会に提出しました。「ほかのアレルギー疾患との公平性を担保するため」としており、可決されれば、来年3月末で新規の受け付けが打ち切られることになります。

 川崎市は、高度経済成長期の昭和30年代から40年代にかけての深刻な大気汚染を切っ掛けに、国の公害認定の新規受け付けが終了した昭和63年以降も、市内のぜんそく患者を対象に年齢に応じて医療費の一部か全額を独自に助成する制度を続けてきました。

 対象者は今年3月現在、子供を含めて1万2438人で、2023年度当初予算額は約3億6800万円となっています。

 しかし、市がアレルギー疾患への対策を検討してきた結果、ぜんそく患者だけではなくさまざまなアレルギー疾患の患者を対象に医療体制の整備や予防に向けた啓発を総合的に進めていく方針が今月決まりました。

 その上で市は、12日に開かれた市議会で「ほかのアレルギー疾患の患者との公平性を担保するため」として、ぜんそく患者への独自の助成制度を廃止する条例案を提案しました。

 今月29日の市議会の採決で可決されれば、来年3月末で新規の受け付けが打ち切られることになります。2024年4月以降の2年間は経過措置で、現行受給者に助成を続けます。

 助成の廃止案について、市が今年2月から3月にかけて行ったパブリックコメントでは700通を超える市民の意見が寄せられ、ほとんどが廃止への反対や懸念の声だったということです。

 川崎市は「大変重く受け止めるが、市民からは公平性を欠くという声もあり、法律や国の指針に照らしても特定の疾患への助成を続けることは困難だ。今後は医療提供や相談の体制整備や人材育成などを進めていく」としています。

 川崎市のぜんそく患者らでつくる「川崎公害病患者と家族の会」の大場泉太郎事務局長は、「助成制度がなくなれば患者が病院を受診する回数が減る恐れがある。患者の中には通院のために生活費を削らなくてはならないという声もあり、不安が強くなっている。多くの市民が廃止に反対の意思を示しているのになぜ強行するのか」と話しています。

 2023年6月13日(火)

🟧はしか4年ぶりに流行懸念、全国で計14人が感染

 感染力が非常に強いはしか(麻疹)の流行が、4年ぶりに懸念されています。新型コロナウイルスの5類感染症への移行で海外との往来が復活する中、感染者の報告が相次いでいます。専門家によると、はしかは潜伏期間が10日~12日と長く、ほかの感染症との区別が難しいため、発見が遅れるケースもあります。

 国立感染症研究所が発表した6月7日までの感染症発生動向調査週報によると、2023年第1週からの累計は東京都で5人のほか、大阪府で3人、兵庫県で2人、千葉県、茨城県、神奈川県、北海道でそれぞれ1人で、合わせて14人が感染しました。

 日本は2015年に土着の麻疹ウイルスの排除に成功したものの、海外からの流入の影響で4年前の2019年には全国で744人が感染しました。百貨店などで集団感染が発生した大阪府は感染者が全国最多の149人となりました。

 はしかは、麻疹ウイルスに感染して起こる感染症で、発熱や発疹などが主な症状となります。免疫をつけるためには、1歳と小学校入学前の計2回の予防接種「麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)」が必要とされます。

 はしかは季節性インフルエンザの10倍ともいわれるほど感染力が強く、空気感染するため、手洗いやマスクのみで予防ができず、予防接種が最も有効な予防法とし、厚生労働省は、海外渡航を計画している成人や、はしかの罹患歴がなく、2回の予防接種歴が明らかでない場合は、予防接種を検討するよう呼び掛けています。

 宮城大看護学群の風間逸郎教授(病態生理学)によると、典型的なはしかの経過は、初期が「カタル期」と呼ばれ、鼻水や熱、せきなどの症状が出て、頰粘膜に白い斑点「コプリック斑」が現れることがあります。その後にいったん解熱するものの、「発疹期」になると全身性の発疹や高熱が出現し、カタル期の症状が強くなることもあります。これらの症状は3日程度持続した後、やがて改善し「回復期」に向かうといいます。

 風間教授は、「初期のカタル期は風邪の症状に似ているために見過ごされる可能性がある」と明かし、発疹についてもはしかの場合、発疹同士が融合することが特徴で、1回だけのワクチン接種など、はしかに対する免疫が不完全な人が発症する軽症で典型的な症状が出現しない不全型の「修飾麻疹」の場合には、風疹などとの鑑別が難しくなると指摘しています。

 ほかにも、発疹が出る「りんご病(伝染性紅斑)」や、2歳以下でかかることが多い「突発性発疹」、薬の内服や注射によって起きる「薬疹」などとも間違われやすいといいます。こうしたことから、はしかの見落としを防ぐため、医療機関では麻疹特異的IgM抗体などの血清抗体価の測定や、行政ではPCRなどの遺伝子検査が求められています。

 厚労省は、はしかの疑いがある場合、かかりつけ医または医療機関に電話などで伝え、受診の要否や注意点を確認してから指示に従うことを求めています。また、周囲への感染を広げないため、医療機関に移動する時は、必ずマスクを着用し、公共交通機関の利用を可能な限り、避けるよう呼び掛けています。

 2023年6月13日(火)

🟧中国、ゼロコロナ政策緩和前後の火葬遺体数公表せず 死者急増を指摘され意図的に非公表か

 中国政府が公表した統計で、2022年10月から12月までの火葬遺体数を非公表としていたことが、12日までにわかりました。中国国内で新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大し、死者数の急増が指摘されていた時期と重なります。中国政府は非公表の理由について説明していないものの、意図的に公表を控えたか、あるいは集計作業が追い付かなかった可能性がありそうです。

 統計は中国民政省が3カ月ごとに公表する「民政統計データ」。2022年1~9月の統計では火葬された遺体数が477・6万人と記載されていた一方で、9日に公開された2022年1~12月の統計からは火葬遺体数の項目自体が消去されていて、10月から12月までの火葬遺体数は不明のままとなっています。

 中国では新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める「ゼロコロナ政策」を大幅に緩和した昨年12月以降、爆発的に感染が拡大。医療機関は逼迫(ひっぱく)し、葬儀場でも火葬の順番を待つ遺族が列をなしました。当局はゼロコロナ政策撤廃後から約1カ月で約6万人が医療機関で死亡したと発表したものの、市民からは実態とかけ離れていると、当局の発表を疑問視する声も上がっていました。

 2023年6月13日(火)

2023/06/12

🟧WHOが「人工甘味料」に警告を発するガイドラインを発表 体重管理に役立たず糖尿病リスクを高める

 世界保健機関(WHO)は5月15日、人工甘味料やその他の砂糖の代替品の摂取を減らすように促すガイドライを発表しました。しかし、だからといって本物の砂糖を再び使い始める必要はない、とも述べています。

 WHOはすでに砂糖の摂取量を制限するように促すガイドラインを発表しています。今回の発表では、天然か人工かにかかわらず、すべての甘味料を控えるよう求めています。

 「甘味料は、食生活の中で推奨されない要素として扱われるべきです」「甘味料は健康的な食生活にはそぐいません。これが我々がいいたいことです」とWHOの栄養・食品安全部長のフランチェスコ・ブランカ氏は述べています。

 ガイドラインでは、人工甘味料の使用が減量に長期的な影響を及ぼさないばかりか、糖尿病や心血管疾患の発症リスクを高めることが示されたとしています。

 人工甘味料の多くは砂糖よりも「低カロリー」で、中には1グラム当たり「ゼロカロリー」のものも存在しているため、カロリー過多を気にする人々から人気を集めています。

 WHOは人工甘味料と減量の関連性を明らかにするべく、日本でも使用されている「アセスルファムK」「アスパルテーム」「サッカリン」「スクラロース」「ステビア」などの人工甘味料を対象とした283件の研究結果を包括的に分析しました。

 その結果、「3カ月以内の短期的な実験」では、被験者の体重やBMI(体格指数)、摂取カロリーを低減させる効果が示されていたことが判明。一方で、「6~18カ月の長期的な実験」では、体重を減らす効果は示されていないことが明らかになりました。

 また、最大30年におよぶ長期的な追跡研究をまとめた結果、「人工甘味料を含む食品」を長期的に摂取した場合は2型糖尿病の発症リスクが23%増加し、「食卓塩のように消費者が後から食品に振りかけるタイプの人工甘味料」を長期的に摂取した場合は2型糖尿病の発症リスクが34%増加することが判明しました。さらに、人工甘味料の長期的な摂取によって、心血管疾患の発症リスクが32%増加することも示されています。

 上記の分析結果から、WHOは「人工甘味料を体重管理や非感染性疾患(NCDs)の予防のために使用することは推奨しない」と主張しています。

 また、栄養・食品安全部長のブランカ氏は、「砂糖を人工甘味料に置き換えても、長期的には減量に役立たない。砂糖の摂取を減らすには、人工甘味料を摂取するのではなく、『果物を食べる』『砂糖も人工甘味料も含まない食べ物を食べる』といった方法を検討する必要がある」「人工甘味料は栄養を含まず、必須の食べ物でもない。人々は健康を促進するために人生の早い段階で『食事に含まれる甘味』を減らすべきである」と述べています。

 甘味料業界の国際団体は「科学的に厳密ではない」と反論しています。

 2023年6月12日(月)

🟩世界の糖尿病患者、過去32年で倍増

 世界の成人の糖尿病患者の割合は過去30数年で倍増し、特に途上国での増加が著しいとする論文が14日、イギリスの医学誌「ランセット」に掲載されました。  イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者らによると、成人の糖尿病患者は1990年には全成人のうち7%でしたが、202...