世界保健機関(WHO)は5月15日、人工甘味料やその他の砂糖の代替品の摂取を減らすように促すガイドライを発表しました。しかし、だからといって本物の砂糖を再び使い始める必要はない、とも述べています。
WHOはすでに砂糖の摂取量を制限するように促すガイドラインを発表しています。今回の発表では、天然か人工かにかかわらず、すべての甘味料を控えるよう求めています。
「甘味料は、食生活の中で推奨されない要素として扱われるべきです」「甘味料は健康的な食生活にはそぐいません。これが我々がいいたいことです」とWHOの栄養・食品安全部長のフランチェスコ・ブランカ氏は述べています。
ガイドラインでは、人工甘味料の使用が減量に長期的な影響を及ぼさないばかりか、糖尿病や心血管疾患の発症リスクを高めることが示されたとしています。
人工甘味料の多くは砂糖よりも「低カロリー」で、中には1グラム当たり「ゼロカロリー」のものも存在しているため、カロリー過多を気にする人々から人気を集めています。
WHOは人工甘味料と減量の関連性を明らかにするべく、日本でも使用されている「アセスルファムK」「アスパルテーム」「サッカリン」「スクラロース」「ステビア」などの人工甘味料を対象とした283件の研究結果を包括的に分析しました。
その結果、「3カ月以内の短期的な実験」では、被験者の体重やBMI(体格指数)、摂取カロリーを低減させる効果が示されていたことが判明。一方で、「6~18カ月の長期的な実験」では、体重を減らす効果は示されていないことが明らかになりました。
また、最大30年におよぶ長期的な追跡研究をまとめた結果、「人工甘味料を含む食品」を長期的に摂取した場合は2型糖尿病の発症リスクが23%増加し、「食卓塩のように消費者が後から食品に振りかけるタイプの人工甘味料」を長期的に摂取した場合は2型糖尿病の発症リスクが34%増加することが判明しました。さらに、人工甘味料の長期的な摂取によって、心血管疾患の発症リスクが32%増加することも示されています。
上記の分析結果から、WHOは「人工甘味料を体重管理や非感染性疾患(NCDs)の予防のために使用することは推奨しない」と主張しています。
また、栄養・食品安全部長のブランカ氏は、「砂糖を人工甘味料に置き換えても、長期的には減量に役立たない。砂糖の摂取を減らすには、人工甘味料を摂取するのではなく、『果物を食べる』『砂糖も人工甘味料も含まない食べ物を食べる』といった方法を検討する必要がある」「人工甘味料は栄養を含まず、必須の食べ物でもない。人々は健康を促進するために人生の早い段階で『食事に含まれる甘味』を減らすべきである」と述べています。
甘味料業界の国際団体は「科学的に厳密ではない」と反論しています。
2023年6月12日(月)